映画『ピーター・パン(1953)』の概要:ディズニー映画の中でもトップレベルの知名度を誇る名作。子供が大人にならない不思議な島、ネバーランドで繰り広げられる子供達とフック船長との熱い戦いから目が離せない。
映画『ピーター・パン』の作品情報
上映時間:77分
ジャンル:アニメ、ファンタジー
監督:ハミルトン・ラスケ、クライド・ジェロニミ、ウィルフレッド・ジャクソン
キャスト:ボビー・ドリスコール、キャサリン・ボーモンド、ハンス・コンリード、ポール・コリンズ etc
映画『ピーター・パン』の登場人物(キャスト)
- ピーター・パン(ボビー・ドリスコール)
- ネバーランドに住む不思議な少年。ある日突然ウェンディ達の前に現れる。
- ウェンディ・ダーリング(キャサリン・ボーモント)
- ダーリング家の長女。勇気のある女の子で、ネバーランドでの冒険に心を躍らせる。
- ジョン・ダーリング(ポール・コリンズ)
- ダーリング家の長男。知識が豊富で、頭脳派。
- マイケル・ダーリング(トミー・ラスク)
- ダーリング家の末っ子で、いつもぬいぐるみを持ち歩いている。
- フック船長(ハンス・コンリード)
- かつてピーター・パンのせいで片手を失った海賊。それからというもの彼に復讐を誓っている。
- ミスター・スミー(ビル・トンプソン)
- フック船長の配下。ドジな性格で、度々フック船長を危険に巻き込んでいる。
映画『ピーター・パン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ピーター・パン』のあらすじ【起】
イギリス、ロンドン。そこにはダーリングという一家が暮らしていた。その日、ダーリング夫妻にはパーティに出かける用事があり、3人の子供達は留守番をすることになる。折角の子供だけの自由の時間。しかし、彼らは父親を怒らせてしまい、子供部屋に閉じ込められてしまったのだ。
落ち込む子供達。しかし、そんな時だった。彼らの前に信じられないことが起こったのだ。なんと、空飛ぶ少年が現れたのである。彼の名前はピーター・パン。彼はネバーランドという国に暮らしており、そこで暮らす者達は永遠に年を取らないという魔法のかかった場所だったのだ。
ピーター・パンは、ウェンディに一緒にネバーランドに行こうと声をかける。元々夢見がちなウェンディはその誘いに大きく心を動かされ、2人の弟達、ジョンとマイケルと共に、ネバーランドに向けて旅立つことにするのだった。ウェンディのその答えに満足したピーター・パンは、相棒である妖精、ティンカーベルの粉を彼らに振りかけた。
映画『ピーター・パン』のあらすじ【承】
すると、彼らはなんと自由に空を飛べるようになっていたのだ。そして、彼らはピーター・パンの後に続き、右から二番目の星にあるというネバーランドを目指すのだった。しばらく飛行を楽しんでいると、とうとうネバーランドが見えてきた。しかし、何者かが彼らに向けて大砲を放ってきたのだ。それは、ピーター・パンに深い恨みを持つフック船長という海賊だった。
ピーター・パンは彼らを守るため、自分が囮になると名乗りをあげる。そして、3人を隠れ家へ連れていくようティンカーベルに頼むのだった。しかし、ティンカーベルは大好きなピーター・パンが興味を示しているウェンディに内心嫉妬心を抱いていた。そして、なんとティンカーベルは3人を置き去りにしてしまうのだった。
その隠れ家には、ピーター・パンの仲間が暮らしていた。ティンカーベルは彼らをけしかけてウェンディ達を消そうとするが、その目論見が帰ってきたピーター・パンにバレてしまう。そして、怒ったピーター・パンにより、ティンカーベルは追放を言い渡されてしまうのだった。
映画『ピーター・パン』のあらすじ【転】
そして、3人はピーターの仲間達、通称ロストボーイ達と共にインディアンや人魚などと交流を深め楽しい時間を過ごしていた。
一方、愛しのピーター・パンに追放されたティンカーベルは、なんと彼の最大のライバルであるフック船長の元にいた。意気消沈するティンカーベルに、フック船長は悪魔のような言葉を囁く。ウェンディを消してしまえば、もう一度ピーター・パンはティンカーベルだけのものになると言うのだ。そんな甘い言葉に惑わされてしまったティンカーベルは、思わず現在ウェンディ達が身を寄せている彼らの隠れ家の場所を教えてしまう。
一方、ウェンディ達の間にも諍いが起きていた。両親が心配するので家に帰ろう、とウェンディが言い出したのだ。そして、元々外の世界に興味のあったロストボーイ達もウェンディ達についていくと言いだした。それに怒りを見せたのが、いつまでもみんなで遊んでいたいピーター・パンだった。ピーター・パンは、島を去ろうとする彼らに別れを言うことをせず、部屋に閉じこもってしまう。
映画『ピーター・パン』の結末・ラスト(ネタバレ)
しかし、なんと彼らが家を出た瞬間、隠れ家の場所を突き止めていたフック船長達に捕らえられてしまうのだった。そして、フック船長はピーター・パンの元に、時限爆弾を仕掛けていくのだった。しかし、起爆する直前、フック船長の元に閉じ込められていたティンカーベルがピーター・パンを守るため飛び出してきた。そして、彼女は自らの身体を張ってピーター・パンを守るのだった。ティンカーベルはピーター・パンに、ウェンディを助けにいくように伝えるが、ピーター・パンはティンカーベルが回復するまで彼女を待つのだった。
そして、ティンカーベルが回復した頃、ピーター・パンは仲間を助けるべくフック船長の海賊船へと向かうのだった。そして、フック船長とピーター・パンによる因縁の対決が始まる。激しい戦いの末勝利を収めたのはピーター・パンだった。そして、ピーター・パンは海賊船にティンカーベルの魔法の粉を振りかけた。すると、船が空高く浮き上がったのである。ウェンディ達はそれに乗り、家へと帰っていく。ロストボーイ達は、ネバーランドに残りピーター・パンと共に暮らす道を選んだ。家に帰った3人は、その夢のような一夜のことを決して忘れないのだった。
映画『ピーター・パン』の感想・評価・レビュー
大人にならない世界で、海賊と戦うディズニー映画です。子供の時にこの映画を観た時は、本当に自分は大人にならなくて、ずっと子供のままでいるんだ。と思いました。ネバーランドに行って、自由に生きると思いました。
子供に夢を与える作品ではあると思いますが、自分もネバーランドに行って大人になんかならないと思ってしまうかもしれませんね。(女性 30代)
子どもの頃、空が飛べたらいいのにと何度も思った。ピーター・パンは、子どもだけが行ける夢の国ネバーランドの住民。昔は観ながら「空が飛べたらいいのにな」と思う程度だったが、大人になって観てみると、また少し違った視点から鑑賞することができた。
大人にならない子どもだけの国。アダルトチルドレンのようなニュアンスだったり、大人はいつから大人なのかだったり、考えることが多かった。
他の子どもたちよりも年上だったウェンディは、ネバーランドに夢中になりきれていない。彼女の「大人になる」という言葉の意味を深く考えてしまった。(女性 20代)
本作における、物語の主軸は、ヒロインである、ウエンディの大人への成長といえよう。
憧れのネバーランドに訪れるも、無邪気なピーターや弟たちほど、気乗りせず、少し浮いた印象を受けるが、後に子供たちから「お母さん」と慕われ、ピーターの宿敵、フック船長に囚われながらも、彼らを勇気づけ、最後、両親に一人部屋に移ることを了承する。
彼女にとって、ネバーランドへの旅は、大人への道を見出し、子供の時間から巣立つ、最後のひと時だったのかもしれない。(男性 20代)
自分は早く大人になりたかったので子供の頃はあまり共感できない作品だったが、大人になると子供でいたい気持ちも理解できて、また違った思いで楽しむことができた。
無邪気なピーター・パン、子供ながらに落ち着いた考えを持つウェンディ、どのキャラクターも個性的で魅力的だなと思った。空を飛べたり海賊と戦ったり、ワクワクした気持ちが刺激される作品。
大人へと成長していく過程の大事なひと時を感じることができる作品だと思う。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
ディズニー作品は、小さいころ繰り返し観ることが多かった。観ている最中何も考えずに楽しんでいたのがほとんどだったけど、あのころ感じた嫌な印象は何だったんだろうと少し大人になってから考えてみると、腑に落ちることがあった。大人でも子供でも楽しめる作品とは、こういうものなんだなと感じた。
ちなみに、昔も今も変わらず好きなキャラクターはティンカー・ベル。「ピーターが一番」と、行動の動機が純粋で、不変だからかもしれない。
①子供なら一度は願う夢
永遠に子供でいられる夢のような場所がネバーランド。ずっと遊んで過ごしたいというのは、誰もが一度は考えることだと思う。「ピーター・パン症候群」という言葉があるくらいだ。大人になった今ですら「子供に戻れたらどれだけいいか」と思うことはよくある。
そんな夢の世界を描いた映画なので、何度観ても楽しい。空を飛べる妖精の粉や、海賊との戦いなど、子供ならわくわくすることばかり。
②子供と大人の間で
子供のころから何度も何度も繰り返し観た『ピーター・パン』だが、年をとるにつれて注目するところや感じることも違ってくる。
小さいころは単純に世界観を楽しめたけれど、大人になるにつれて「あれ?」と思うことが増えてくる。
映画の中でも、ウェンディはネバーランドにどこか疑問を感じている存在として描かれる。ジョンやマイケルと違い、ウェンディは子供から大人になろうとする年頃。しかも女の子なので、男の子に比べても精神的に成熟するのは早い。子供でいたい気持ちもあるが、大人としての感覚も少しずつ持ち始めているのだ。だから、ネバーランドでこんなばかばかしく遊んでいていいのかと思う。はじめのうちこそネバーランドを楽しむが、だんだんこの世界のおかしさに気付くのだ。
映画を観ている人も、大きくなっていくにつれてこれに気付く。姉弟の両親の思いだったり、ウェンディの成長など。
小さいころは、ウェンディはなんで楽しい気分を邪魔する嫌な奴なんだと思っていたが、少し大きくなれば一番共感できる存在になっていた。逆にピーターの性格が嫌だと思うくらい。
子供の夢、大人の気持ちのどちらもわかる秀逸な作品である。