この記事では、映画『アニー・ホール』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『アニー・ホール』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『アニー・ホール』 作品情報

- 製作年:1977年
- 上映時間:93分
- ジャンル:ラブストーリー、コメディ
- 監督:ウディ・アレン
- キャスト:ウディ・アレン、ダイアン・キートン、トニー・ロバーツ、ポール・サイモン etc
映画『アニー・ホール』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『アニー・ホール』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『アニー・ホール』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『アニー・ホール』 あらすじ【起・承】
(※本編は時系列通りではないですが、分かりやすくするために、時系列順にしています。)
ニューヨーク・ブルックリン育ちのユダヤ系の男アルビー・シンガーは、テレビに出ることもあるコメディアン。幼いころから変人で、宇宙がいずれ爆発してなくなることを知ると宿題をしないようになって親と先生を困らせ、教室では隣の女の子の頬にキスをするような少年だった。
大人になると、小柄で眼鏡で頭頂部は薄いが、モテないわけではない。一度の結婚経験があり、最初の妻はインテリで話も合うはずなのにしっくりこずに別れてしまった。今は恋人のアニーがいる。
二人はテニスクラブで出会い、徐々に仲を深めていった。アニーはナイトクラブで歌う歌手だ。いつしか同棲するようになり、順調に愛を育んでいった。ところが、そこの頃から二人の関係に亀裂が入り始める。
アニーはアルビーを家族に紹介するが、いかにもアメリカの平均的な家庭を見せつけられ、自分の家族の殺伐とした食卓との違いに嫌気がさす。
アニーはアルビーの勧めで大学に通い始めるが、彼女が大学の教授と親しくすればアルビーは嫉妬し、彼も別の女の子たちと浮気をする。

映画『アニー・ホール』 結末・ラスト(ネタバレ)
二人はベッドでも上手くいかなくなっていた。アニーはそもそも喧騒につつまれたニューヨークが好きではない。アルビーがセックスに熱心でもアニーは外のパトカーの音などですぐに興ざめし、やる気をなくした。
アニーは、アルビーの勧めで精神科に通い始める。その医者にはアルビーも15年通っている。
これで仲は修復されるかと思われたが、そううまくはいかない。
二人は疎遠になり、アルビーは別の女の子と付き合い始めるが、しかしそれでもアニーに呼ばれたらすぐ駆けつけるほどアニーを愛しているのだ。
ある日、ナイトクラブでアニーが歌っていると、歌手のトニーがやってきて彼女にロスへ来てレコーディングしないかと誘う。
アルビーが気に入らなそうなのでその時は断ったが、改めてロスへ行くことを決意する。
アルビーを伴ってロスを訪れたアニーは、パーティに参加してロスを楽しむ。
ニューヨークへの帰り道、二人はお互いに自分たちの関係が修復不可能だと悟った。円満に別れ、アニーはロスのトニーの元へ旅立った。
ニューヨークのアルビーは、まだアニーが忘れられなかった。自分とやり直してほしいと彼女に連絡し、ロスまで話をしに行くが、アニーの気持ちは変わらない。すっかりロスに慣れ、人生を謳歌していた。
アルビーは一人ニューヨークへ戻り、自分とアニーの話を芝居にした。芝居のラストでは、アルビーとアニーは結ばれる。せめてフィクションの中ではハッピーエンドを。
しばらくしてアニーとは再会した。食事を楽しんで過去を懐かしみ、笑い合う仲だ。
映画『アニー・ホール』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アニー・ホール』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ウディ・アレン作品の中で最も「らしさ」が出た作品
この映画は、何よりもウディ・アレン本人が出演しているので、彼らしさを感じやすいというのもあるが、やはり本人の口から語られるいろんなことから他の作品での印象を思い出し、「やっぱりそうなのか」と思うこともしばしば。ウディ・アレン作品を語る上では絶対に観ておいた方がいい作品だ。
ニューヨークを愛している男で、ブルックリンで育ったユダヤ系のコメディアン。これだけの設定を見てもウディ・アレンそのもので、この映画は自伝なのかとも思うが、本人はそれを否定しているらしい。しかし主人公のアルビーにウディ・アレン本人が投影されているのは確かだと思える。
ユダヤ系であることをかなりコンプレックスにしており、何かと反ユダヤと決めつけてはべらべらと愚痴るし、いろんな物事について皮肉交じりに早口でまくしたてる。
こういう物事の見方は彼の後の作品にも見られる要素だ。
挑戦的・革新的な作品
この作品は、今後の映画制作への姿勢に大きく影響を及ぼしたらしい。長回しを利用していることも知られ、平均的な映画の何倍もの時間がワンシーンにかかっている。
画面を分割する手法もとられて印象的だし、登場人物がカメラ目線でまるで画面の向こうの観客に語り掛けるような手法も印象的だ。こういう手法も、ウディ・アレンの自伝なのかと思わせる理由だと思う。
あとは、ものすごいテンポで進んでいく会話がこの映画の軸だと思う。全てが会話・会話・会話。登場人物は常にしゃべっている。しかもものすごい速さで。
このような演出方法が他の作品とは一線を画している。その後のウディ・アレン作品とも少し違う。だが、映画監督としての転機になったことはよくわかった。
ウディ・アレン監督の作品といえば見事な脚本構成がいつも楽しめる最大限のポイントだと思うが、本作もまた練りに練った脚本である。映画の九割がほとんど会話で成立していて、雰囲気としては「ビフォア・サンライズ」シリーズに近くて好きだ。
特に劇的な何かが起こるわけではないが、日常の中の少しのドラマの見せ方や濃密な人間描写がやっぱり卓越していて最高に見応えがある。アカデミー賞を四部門も勝ち取った名作なので是非脚本の面白さを観て欲しい。(女性 20代)
本作は、70年代後半のニューヨークを舞台に、男女の出会いと別れを描いたラブコメディー作品。
主人公のダイアン・キートンのメンズライクな着こなしや彼とのカフェでの会話、とにかくどこを切り取ってもお洒落。
恋模様というよりは、昔好きだった人との再会と別れ。
特に、早口の会話劇が見どころで、サラッと本音をいうところが好きだった。
そして、ラストのしっとりとした雰囲気、ユーモアのある独特の世界観、昔好きだった人をもう一度良いなと思う気持ちやカフェでの会話劇が素敵だった。(女性 20代)
ウディ・アレンが監督、主演を務めているので主人公のアルビーはウディ・アレン本人なのでは無いかと思ってしまうほど、リアルでウディ・アレンらしさの詰まったストーリーでした。
柔らかくて暖かい空気が流れているので、セックスや浮気と言ったシーンも下品ではなく、とても穏やかに描かれていた気がします。しかし、モヤモヤとした心の中を映し出す時には少し過激な表現をしたりと静と動のバランスが絶妙でした。
男女の関係は「結婚」だけが全てでは無いし、お互いにとってベストな形あるのだと教えてくれる素敵な作品でした。(女性 30代)
ウディ・アレンの代表作であり、恋愛映画の金字塔とも言える一本。アニーとアルヴィーの関係は、まるで日常の断片を切り取ったようなリアリティがある。愛し合っていても噛み合わない二人の会話が滑稽で切ない。ラストで再会するシーンでは、終わった恋の余韻と優しさが心に残った。恋愛の儚さと美しさを絶妙に描いた名作。(30代 男性)
アニーが成長していく姿が本当に印象的だった。最初はアルヴィーに頼っていた彼女が、最後には自分の道を歩む。別れは悲しいけれど、それが彼女にとっての“自由”だったのだと思う。アレンの皮肉なユーモアとアニーの純粋さの対比が美しい。大人の恋のリアルさに共感しつつも、どこか温かい気持ちになれる作品。(20代 女性)
映画全体がモノローグのようで、観客に語りかける手法が新鮮。アルヴィーの神経質で皮肉なキャラクターが滑稽でありながら人間臭い。アニーとのすれ違いがリアルすぎて痛いほど共感した。恋愛は「理屈ではなく感情でしか語れない」ことを、アレンはユーモラスに描いている。ラストのモノローグは名言そのもの。(40代 男性)
アニー・ホールのファッションと生き方がとにかく魅力的!70年代のボーイッシュで自由なスタイルが今見てもオシャレ。恋愛に依存しながらも自分を見つけようとする姿が女性として共感できた。別れた後の再会で見せる笑顔が、成長と優しさを象徴していて泣ける。恋に不器用なすべての女性に刺さる映画。(30代 女性)
ウディ・アレンの恋愛観が凝縮された作品。彼の神経質で内省的なキャラクターは、現代にも通じる“こじらせ男子”の原型だと思う。愛しているのに不安になる、完璧を求めすぎて壊してしまう。そんな人間臭さが愛おしい。アニーが去っても、彼の中に残る「愛の記憶」がとてもリアルだった。(20代 男性)
恋愛は終わっても、愛は形を変えて残る──そんなメッセージを感じた。アニーとアルヴィーの関係は理想ではなく現実。お互いを理解しようとしても、最後まで噛み合わない。でもその不完全さが美しい。ラストのナレーションで「愛は非合理的でも価値がある」と語るアレンの言葉に深く頷いた。(50代 女性)
全編を通してセリフがリズミカルで知的。ニューヨークを舞台にした会話劇として完成度が高い。アニーとの恋が終わる過程が悲しいけれど、どこか清々しい。ウディ・アレンの皮肉とユーモアの中に、人間への深い愛が感じられる。笑って泣けて、最後にじんわりと温かい気持ちになる恋愛映画。(40代 男性)
映画『アニー・ホール』を見た人におすすめの映画5選
(500)日のサマー(2009)
この映画を一言で表すと?
「“運命の恋”を信じた男と、信じなかった女のすれ違いの物語」
どんな話?
建築家を夢見るトムは、同僚のサマーに一目惚れする。恋は順調に見えたが、サマーは「真実の愛なんて信じない」と言い切る。2人の視点を行き来しながら描かれる500日の恋の記憶は、甘くて痛い現実を突きつける。恋の始まりと終わりを独特の構成で描いた傑作。
ここがおすすめ!
『アニー・ホール』と同じく、恋愛の美しさと儚さをユーモアと切なさで描く。時系列を交錯させながら、恋がどう壊れていくのかを丁寧に見せる演出が秀逸。観終わった後、恋の記憶を懐かしく思い出させてくれる青春恋愛映画。
恋人たちの予感(1989)
この映画を一言で表すと?
「“男女の友情は成立するのか?”という永遠のテーマを描いた名作」
どんな話?
大学を卒業したハリーとサリーは、偶然の出会いをきっかけに10年以上の友情を築く。しかし、いつしかお互いに友情以上の感情が芽生え始める。笑いと本音が詰まった会話の連続で、恋愛のリアルな変化を描くロマンティック・コメディ。
ここがおすすめ!
『アニー・ホール』のように“男女の違い”を軽妙な会話で描く秀逸な脚本。メグ・ライアンとビリー・クリスタルの掛け合いが絶妙で、会話だけで笑えて泣ける。ウディ・アレン作品が好きな人には間違いなく刺さる一本。
マンハッタン(1979)
この映画を一言で表すと?
「ウディ・アレンが描く、ニューヨークという名の恋愛劇場」
どんな話?
中年の脚本家アイザックが、年下の恋人と別れ、友人の愛人に恋をするという複雑な恋愛模様を描く。白黒の映像とガーシュウィンの音楽が美しく、ニューヨークの街そのものが登場人物のように存在感を放つ。
ここがおすすめ!
『アニー・ホール』に続くウディ・アレンの傑作。恋の迷いや孤独、知的ユーモアが詰まっており、人生の複雑さを洗練された会話劇で描く。アレンらしい皮肉とロマンが同居する、大人の恋愛映画の極致。
ラ・ラ・ランド(2016)
この映画を一言で表すと?
「夢と恋のどちらも選べない、切なすぎるラブストーリー」
どんな話?
ジャズピアニストのセブと女優志望のミア。夢を追いかける二人は恋に落ちるが、現実と理想の間で関係は少しずつすれ違っていく。煌びやかなミュージカルの中で描かれるのは、夢と愛の“両立できなさ”という現代的テーマ。
ここがおすすめ!
『アニー・ホール』と同じく、“終わる恋”の美しさを描いた作品。ラストの「もしも」の再会シーンは涙なしでは見られない。音楽、映像、構成、すべてが芸術的で、恋愛の儚さを映画的に表現した傑作ミュージカル。
ブルー・バレンタイン(2010)
この映画を一言で表すと?
「始まりの愛と終わりの愛、その対比が痛いほど美しい」
どんな話?
恋に落ちた若い夫婦ディーンとシンディ。結婚から数年後、愛が冷めていく過程を“出会い”と“別れ”の時間軸を交互に描く。かつての情熱と現在の疲弊が交錯し、観る者に深い痛みを与えるリアルな恋愛ドラマ。
ここがおすすめ!
『アニー・ホール』同様、恋愛の始まりの輝きと終わりの切なさを対比で描く構成が見事。ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズの演技が圧巻で、感情の生々しさが突き刺さる。恋のリアルを描いた、心に残る傑作。






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