映画『図書館戦争 革命のつばさ』の概要:『図書館戦争 革命のつばさ』は、有川浩原作のベストセラー小説シリーズ最終巻『図書館革命』を原作とする長編アニメーション映画。原作三作目まではテレビアニメで放送され、今作はその続編となる。
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:105分
- ジャンル:アクション、サスペンス、ラブストーリー
- 監督:浜名孝行
- キャスト:井上麻里奈、前野智昭、沢城みゆき、石田彰 etc
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『図書館戦争 革命のつばさ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 あらすじ【起・承】
元号が昭和から正化に変わって30年以上。
「メディア良化法」が制定され、日本の様々なメディアは法律によって厳しく検閲される社会。図書館は図書館法にのっとり、検閲と戦うために「図書隊」を設立してしばらく経った。
タスクフォース所属の笠原郁と堂上篤はデートの真っ最中だったが、その日起こったテロ事件によって招集される。
福井原発を狙って起こったテロが、当麻蔵人の小説『原発危機』に似ているとし、この小説がテログループの参考文献になった可能性があるとして、良化委員会から当麻が狙われているというのだ。
良化委員会は当麻の執筆権利のはく奪をし、その後これを前例として次々と作家狩りをする恐れがあるとして、図書隊は当麻を保護することになった。
当麻側は、「表現の自由」を楯にメディア良化委員会を告訴し、長期にわたる法廷での争いが始まった。
タスクフォースは当麻の警護に当たったが、基地内で当麻の誘拐未遂事件が起こる。犯人はすぐ捕まり、未遂で終わったが、黒幕は「未来企画」。
タスクフォースの手塚光の兄である慧がトップの組織だ。
業務部所属の柴崎は、慧の光への執着を利用して彼の携帯から慧に電話をかけ、この事件を不問にする代わりにある条件を提案する。
それは、政府内に「メディア良化委員会」に対抗し得る派閥を作る事。慧はその提案に乗って動き出す。
当麻はその後、図書隊司令の稲嶺の自宅で警護される。
裁判の一審は原告が勝訴するが、その後の控訴審は敗訴。手塚慧は何者かに命を狙われ、当麻の居場所も突き止められて命からがら図書隊の基地まで逃げる。
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 結末・ラスト(ネタバレ)
世間はこの裁判に関心を持っていなかったが、当麻のファンが立ち上がり署名活動を始めたことや、良化隊が当麻を狙って、彼が乗った車をコンテナで運ぶヘリを襲撃する映像が報道されたことなどから、次第に事の重大さに気付き始める。
いよいよ最高裁を前に、図書隊はもし敗訴になった場合どうするかの議論が行われた。なかなかいい案が出ない中、突破口となったのは笠原の何気ない一言だった。
「いっそのこと亡命すればいい」と言った笠原の案が採用され、敗訴となった瞬間から狙われるであろう当麻をタスクフォースがどこかの国の大使館に連れていく作戦を計画する。
最高裁は、当麻に執筆制限5年間を言い渡した。実質的な敗訴だ。
タスクフォースは計画通り大使館へ向かうが、道路は良化隊に封鎖されている。仕方なく堂上と笠原で地下鉄から英国大使館へ向かおうとするが、その道中で堂上は良化隊に撃たれ負傷してしまう。
当麻は諦めかけるが、堂上は郁に大阪の領事館へ向かうように指示する。そして笠原を勇気づけるように自分の階級章を渡した。
そんな堂上の意志を受けた笠原は、「帰ってきたら好きって言いますから」と言い放ち、キスをする。
レンタカーで大阪に入った二人は、その夜はホテルに泊まって翌日領事館に駆け込む計画だ。笠原は図書隊に作戦を知らせるため、脳みそを振り絞って電報で図書隊に知らせた。
翌日、大阪のオバサンに変装した当麻は英国総領事館に入る手前でひったくりに遭い、変装がやぶれてしまう。
良化隊に囲まれる当麻を逃がすために笠原は一人で良化隊に立ち向かう。
その時、郁の前にタスクフォースの面々が現れた。前日知らせた電報を上手く読み解き、図書隊はここまでやってきたのだ。
その後、当麻をアメリカ総領事館に届けようとするも、良化隊に阻まれる。もう打つ手がないと思った時、イギリスの外交官が現れる。彼は図書隊の要請を受けて当麻の亡命を受け入れた。
この一件の後、国では「メディア良化法」の在り方が見直され始めた。
事件が落ち着いて暫く、笠原は堂上の入院している病院を訪れ、ようやくあの時予告したことを成し遂げる。堂上に想いを告げ、二人は付き合い始める。
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『図書館戦争 革命のつばさ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
実写版に比べると原作に近い
アニメ版『図書館戦争』は、テレビシリーズがかなり前に放送され、原作ファンには人気がある。実写版の映画に比べて既に作品としての軸が定まっているので、原作やアニメシリーズを知る人向けの映画だと思う。
特殊な設定の世界観ゆえに説明が面倒くさいが、新規の観客向けではないのでその説明が不要な分、かなり原作の『図書館革命』に忠実な構成になっていた。
こういうところは、原作を知らない層に向けて作られたと思われる実写版に比べると原作ファンに嬉しい作品だ。
一般世間は思っている以上にメディア規制に無関心
この映画を観ていて思うのは、一般社会の人間は検閲に対して関心がなさすぎるということだ。実際の世界はこれほどメディアに対して厳しい検閲を行っているわけではないけれど、違反用語はある。実際に小説を書くような立場の人は、使えない表現を変えなければならないので違反用語や規制を意識しているようだが、メディアの受け手である層はそんなことを意識しない。
「メディア良化法」によって検閲が行われている『図書館戦争』の世界でさえ、本を読まない層にとって当麻の裁判や一連の事件など蚊帳の外の出来事に過ぎないと描写されている。最終的には、図書隊もかかわるメディアの情報操作によって世間の意識が向けられ、いい方向に向かいつつあるが、現実の社会ではなかなかこんな簡単にはいきそうもない。
実際に、漫画やアニメなどは規制されつつある。東京オリンピックに向けてさらに強力に規制されるという話もあり、いよいよ対岸の火事ではなくなるかもしれないのだ。
こう考えると、ちょっと今の社会の在り方って怖いなあと思う。
映画『図書館戦争 革命のつばさ』 まとめ
原作の大ヒットから、アニメ化・漫画化・実写映画化を経てさらに知名度を上げた『図書館戦争』シリーズ。原作の最終巻にあたる作品なので、映画らしい盛り上がりがある。
エンターテイメントとしても楽しめるが、メディアの規制に関わるテーマを持った作品でもある。作者の有川浩は、作家としてメディアの規制を意識せざるを得ない立場ゆえに、この作品の構想を思い付いたという。この作品に出会わなければ確かにメディアの規制に関心を向けることはなかったと思うので、印象に残る作品である。
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