この記事では、映画『RUN/ラン(2020)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『RUN/ラン(2020)』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2020年 |
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上映時間 | 89分 |
ジャンル | スリラー |
監督 | アニーシュ・チャガンティ |
キャスト | サラ・ポールソン キーラ・アレン パット・ヒーリー セーラ・ソーン |
製作国 | アメリカ |
映画『RUN/ラン(2020)』の登場人物(キャスト)
- クロエ・シャーマン(キーラ・アレン)
- 慢性的な病気で車椅子で生活している少女。
- ダイアン・シャーマン(サラ・ポールソン)
- クロエの母親。クロエを過剰に介護している。
- サム(パット・ヒーリー)
- 郵便配達員。
映画『RUN/ラン(2020)』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『RUN/ラン(2020)』のあらすじ【起】
クロエは生まれつき複数の疾患を抱えており、足が不自由であったため車椅子での生活を送っていた。それでもクロエは自分でできることは自分でし、大学進学を目指し自宅学習に励み、現在は合格発表の通知を待っている状態であった。母ダイアンは、クロエのチョコレート一つの糖分の管理までする厳しい面もあるが、いつでも娘のサポートをしていた。
ある日、どうしてもチョコレートが食べたくなったクロエは母親が置いた買い物袋中からこっそり盗もうとした。すると、そこに母ダイアンの名前が書いてある処方薬の瓶を見つけた。
就寝前、いつものようにダイアンがクロエに飲み薬を渡すと、その中に日中に見つけた薬のカプセルがあった。疑問に思いながらもクロエはその薬を飲んだ。しかし、どうしても薬の正体が知りたくなったクロエは、夜中にパソコンで薬を検索しようと試みた。しかし、自宅にはインターネットが引かれていなかった。さらにクロエは見知らぬ人に電話して、代わりに薬を調べてもらったりもした。しかし薬の正体はわからず、クロエは飲んだふりをして薬を保管するようになった。
映画『RUN/ラン(2020)』のあらすじ【承】
ある日、クロエはダイアンに映画を観に行きたいと頼んだ。映画を見ている最中、クロエはトイレに行くと嘘をつき、近くの薬局へと向かった。薬剤師から薬のことを聞き出すと、その薬は犬に処方される筋弛緩剤であり、人間が飲み続ければいずれ足が動かなくなることがわかった。それを聞いたクロエはショックで喘息の発作を起こしてしまった。そこにクロエを探していた母親が駆けつけると、「大丈夫」と言うとクロエに注射をして眠らせてしまった。
目を覚ましたクロエは自室におり、ドアが厳重にロックされていることに気づいた。家から逃げなければならないと考えたクロエは、なんとか窓を這って隣の部屋に行くことで脱出に成功した。外に出たクロエは、顔見知りの郵便配達員サムを見つけると、彼に事情を話して助けを求めた。しかしクロエの行動を見ていたダイアンがその場に現れた。
映画『RUN/ラン(2020)』のあらすじ【転】
ダイアンは嘘をついて娘を返すよう懇願したが、サムが了承しなかったため、ダイアンはサムの首に注射を打ち気絶させてしまった。
気を失っていたクロエが目を覚ましたのは自宅の地下室であった。クロエが目についた書類をあさると、そこにはクロエの死亡診断書と新生児が病院から誘拐されたという新聞記事の切り抜き、そして自分が幼少期に元気に走っている写真を見つけた。さらに、ゴミ箱の中にはクロエの志望していた大学からの合格通知が捨てられていた。このことから、クロエは自分は本当は健康体で生まれたにも関わらず、亡くなった本物のクロエの代わりとして不自由な体にされたことを知り驚愕と怒りで震えた。
その場にダイアンがやってきて、クロエに今までのことは全部忘れて新しい生活を始めましょうと言い始めた。拒絶したクロエにダイアンは注射を打とうとするが、クロエは致死性の毒物を飲み込むことで反抗を示した。クロエを死なせることはできないダイアンは、彼女を病院へと運ぶしかなかった。
映画『RUN/ラン(2020)』の結末・ラスト(ネタバレ)
病院で目を覚ましたクロエは声を発することができなかった。助けを呼べない状況の中、看護師の目を盗んでダイアンはクロエを連れ出してしまった。しかし、クロエは看護師から筆談のために渡されていたスケッチブックに「MOM」と書き残していた。それを見た看護師が状況に気づいて、母親がクロエを誘拐したことを病院に報告した。
階段の前で、クロエの車椅子を引いていたダイアンは警備員達に追い詰められた。ダイアンが隠し持っていた拳銃を取り出そうとしたことで、警備員はダイアンに向かって発砲した。撃たれたダイアンは、そのまま階段から転がり落ちた。
7年後、クロエは大学を出ており医療刑務所にいるダイアンのもとを訪ねた。クロエは少しだけ自力で歩行できるまでになっていた。ベッドにやつれた様子で横たわるダイアンの隣で、クロエは今の自分の幸せな生活を話した。そして、口の中からラップに包まれた薬のカプセルを取り出した。クロエは「ママ、お薬の時間よ」と言い、微笑んだ。
映画『RUN/ラン(2020)』の考察・解説(ネタバレ)
映画『RUN/ラン(2020)』で、ダイアンの背中の傷の意味
映画『RUN/ラン(2020)』に登場するダイアンの背中の傷は、彼女の過去のトラウマと心の痛みを象徴するものです。ダイアンには、実の子供を早産で亡くしたという辛い過去があります。この悲劇的な出来事から立ち直ることができず、彼女の心には深い傷が残ったのです。背中の傷は、肉体的な痛みだけでなく、娘を失ったことで生じた感情的な苦しみをも表しています。
この傷を背負ったまま、ダイアンはクロエという少女を誘拐し、まるで実の娘のように育て始めます。しかし、その行動は異常なものでした。クロエに不必要な薬を与えて病気に仕立て上げ、過剰な世話を焼くことで支配し続けるのです。ダイアンの背中の傷は、過去の悲しみから逃れられず、現在の狂気じみた行動に繋がっていることを視覚的に表現しているのです。
この傷は、「失うことへの恐怖」という、ダイアンの異常な愛情の根源を象徴しています。娘を守るためなら何でもするという危険な思考に至った原因を、この傷は暗示しているのです。過去の出来事から癒されることができず、その痛みが現在のダイアンの行動に大きな影響を与えている様子が、背中の傷によって強調されています。
映画『RUN/ラン(2020)』はディーディー・ブランチャード殺害事件の実話を題材にしている?
映画『RUN/ラン(2020)』の物語は、ディーディー・ブランチャード殺害事件からインスパイアを受けていると考えられています。この事件では、ディーディー・ブランチャードが娘のジプシー・ローズに対し、実際には存在しない病気を患っていると思い込ませ、長年にわたって不必要な介護を強要していました。いわゆる「代理ミュンヒハウゼン症候群」と呼ばれる精神疾患に関連する実話であり、母親が娘を過剰に保護しながら支配する様子が大きな注目を集めました。
『RUN/ラン』でも、クロエが母親ダイアンによって車椅子生活を余儀なくされ、健康に問題があると信じ込まされている点が、事件との共通点として挙げられます。ダイアンは表向き「献身的な母親」を演じていますが、実際にはクロエの体調や生活を完全に管理し、自立を阻んでいるのです。このような歪んだ母娘関係が、ディーディーとジプシーの実話と重なる部分が多いことから、映画がこの事件を題材にしている可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、『RUN/ラン』はフィクション作品であり、事件を直接的に再現したものではありません。しかし、母親が子供を不必要に病気に見せかける異常な関係性というテーマは、映画の中に色濃く反映されています。
映画『RUN/ラン(2020)』に気まずいシーンはあるか?
映画『RUN/ラン(2020)』には、家族や恋人と一緒に観ると気まずく感じるシーンがいくつか存在します。特に、母親ダイアンと娘クロエの歪んだ関係性は、親子関係に敏感な人にとって不快感を覚える部分があるかもしれません。ダイアンはクロエの身体的な健康を完全に管理し、自立しようとする彼女の試みを、薬物や強制的な手段で阻止しようとします。
また、クロエを家に閉じ込め、外の世界との接触を断ち、嘘をつき続けるダイアンの行動は、精神的な虐待を連想させます。このような母親による支配や虐待の描写は、観ている人に強い不安を感じさせる可能性があり、親子の絆をテーマにした映画としては気まずさを覚える人も多いでしょう。
さらに、クロエが母親から逃げ出そうとするシーンや、体の異変を感じて疑念を抱き始めるシーンなど、精神的に追い詰められる描写が続きます。このような重い内容は、家族で気軽に楽しむには少し難しいかもしれません。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストでクロエが見せた義足の意味とは?
映画『RUN/ラン(2020)』のラストシーンで、クロエが義足を見せる行為には、母親ダイアンからの支配を完全に断ち切り、自立した存在になったことが象徴されています。長年にわたり、クロエはダイアンによって病気や障害を持つように仕向けられ、自由に体を動かせない状態に置かれていました。しかし、物語の最後で、クロエは自らの力で母親の支配から逃れ、リハビリを経て義足を使えるまでに回復したのです。
義足は、クロエがこれまでの苦難や制約を乗り越えた証です。母親に押し付けられた偽りの障害を克服し、自分自身の人生を歩む力を手に入れたことを表しています。かつてダイアンの言いなりになり、物理的にも精神的にも自由を奪われていたクロエですが、義足を使う姿は、もう過去の束縛に囚われていないことを強調しているのです。
また、義足を見せるシーンは、クロエが自分の意志で生きる決意を固めた瞬間でもあります。映画全体を通して描かれる「自立」と「自由」というテーマの象徴的な場面と言えるでしょう。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストに出てきた薬は何だったのか?
映画のラストシーンで、クロエがダイアンに与えた薬は、かつてダイアンがクロエに飲ませていたものと同じ薬だったと示唆されています。ダイアンは長年にわたり、様々な薬をクロエに投与することで、彼女を病気や障害があるように見せかけ、支配し続けてきました。クロエが母親に与えた薬は、まさにその支配の象徴であり、同時に復讐の手段でもあったのです。
母親から受けた恐ろしい仕打ちを完全に理解したクロエは、その恐怖を逆手に取るために薬を使います。母親が意図的に自分を病弱にし、自由を奪ったのと同じ方法で、今度はクロエが母親を薬で支配しようとするのです。この行動には、クロエが自分の人生を取り戻すための復讐心が込められています。
クロエにとって、薬は苦しみの象徴でした。それを母親に与えることで、自分の力を取り戻し、母親との決着をつける意図が表れているのです。
映画『RUN/ラン(2020)』のラストで、クロエのセリフが意味するものとは?
映画『RUN/ラン(2020)』のラストシーンで、クロエがダイアンに向かって放つ「お薬の時間よ」というセリフは、母娘の支配関係の逆転を象徴する重要な言葉です。物語全体を通して、ダイアンはクロエに不必要な薬を与えることで、彼女の体調や行動を管理してきました。「お薬の時間」という言葉は、クロエを病気に仕立て上げるためのダイアンの手段だったのです。
しかし、ラストシーンでクロエがこのセリフを言うことで、二人の立場が完全に入れ替わったことが示されます。今や、クロエがダイアンに薬を与え、彼女を支配する側に立ったのです。このセリフには、クロエが自分の人生を取り戻し、母親の支配から脱却したことが込められています。それは、これまで抑圧されてきた人生への強い反発と、復讐の意志の表れでもあります。
また、このセリフは、母親に対する心理的な勝利宣言でもあります。長年の束縛から解放されたクロエが、自分の未来を自ら選び取る決意を固めた瞬間を象徴しているのです。
映画『RUN/ラン(2020)』に出てくる緑色の薬の正体
映画『RUN/ラン(2020)』に登場する緑色の薬は、クロエに投与されていた筋肉の緊張を緩和し、体の自由な動きを制限するための薬です。この薬の存在は、物語の重要な鍵となっており、母親ダイアンがクロエを意図的に障害者に見せかけていたことを示す決定的な証拠なのです。
物語の途中で、クロエはこの緑色の薬が「トリゴシン」という名前の薬であることを突き止めます。実はこの薬は、本来犬などの動物に処方される筋弛緩剤であり、人間に使用するものではありません。ダイアンはこの薬をクロエに与えることで、彼女の歩行能力を奪い、車椅子生活を強いていたのです。薬の正体を知ったクロエは、自分が母親に長年騙され、自由を奪われていたことに気づくのです。
この薬の存在は、ダイアンが異常な方法でクロエを支配していた事実を浮き彫りにしており、物語のクライマックスに向けて母娘の対決を導く重要な要素として機能しています。
映画『RUN/ラン(2020)』でダイアンに襲われたトムはどうなったのか?
映画『RUN/ラン(2020)』で、薬剤師のトムはクロエに真実を伝えようとした直後、ダイアンに襲撃されます。トムは、クロエに母親が与えている薬の名前を教えるという重要な役割を果たします。真実を知ろうとするクロエは、ダイアンへの疑念を抱き始めた時、トムの助けを求めて薬局に電話をかけます。トムはクロエの質問に答え、緑色の薬が動物用の「トリゴシン」であることを明かすのです。
しかし、この情報を知ったダイアンは、すぐさまトムの家に押し入り、彼を襲撃して、クロエに薬の真相を伝えることを阻止しようとします。トムはダイアンに襲われた後、クロエとの接触を断たれてしまいますが、映画ではその後の彼の運命について明確には描かれていません。
観客は、ダイアンがトムを殺害したか、少なくとも重傷を負わせたのではないかと推測します。彼が襲撃されるシーンは、物語に緊張感を与え、クロエがますます母親の恐ろしい支配から逃れなければならないことを印象付ける重要な場面となっています。
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