映画『ブルックリン』の概要:アイルランドのベテラン作家、コルム・トビーン氏による2009年の同名小説が原作の今作は、アイルランドの女性が新天地アメリカで愛と人生を探していく姿を、繊細なタッチで描いた青春映画です。
映画『ブルックリン』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:112分
- ジャンル:ラブストーリー、青春
- 監督:ジョン・クローリー
- キャスト:シアーシャ・ローナン、ドーナル・グリーソン、エモリー・コーエン、ジム・ブロードベント etc
映画『ブルックリン』 評価
- 点数:65点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
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映画『ブルックリン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ブルックリン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ブルックリン』 あらすじ【起・承】
エイリシュはアイルランドのとある田舎町の食品店で働きながら、母と姉と三人で暮らしていました。妹のキャリアを心配した会計士の姉は、エイリシュにアメリカへ出稼ぎに行くことを勧めます。当時のアメリカは、アイルランドの人々にとって、夢の新天地だったのです。
姉からの紹介で、ブルックリンのデパート・ガールの職を得たエイリシュは、単身アメリカに向かいます。船旅で出会った女性に助けられながらもブルックリンにたどり着いた彼女でしたが、暮らし始めた寮の都会的な女性たちや、デパートの同僚たちに囲まれる生活の中で、彼女は委縮し自信を無くしてしまうのです。
故郷を懐かしみ、ホームシックに悩む彼女を心配した後見人の神父は、彼女にブルックリン大学の会計士コースを受講することを勧めます。学ぶ喜びを得た彼女は、少しずつ以前のような笑顔を取り戻していきます。
そんなある夜、エイリシュは寮の友人に誘われた移民たちの集まるナイトパーティーで、イタリア系移民のトニーに出会います。エイリシュに一目で心奪われた彼は、毎日職場や学校へ送り迎えにやってくるようになりました。
映画『ブルックリン』 結末・ラスト(ネタバレ)
明るく社交的で家族思いのトニーの笑顔に惹かれるエイリシュは、彼からの交際の申し込みを受け容れ、楽しい日々を送り始めます。仕事にも慣れ、厳しい上司から接客態度を褒められるまでになった彼女は、ファッションやメイクも覚え、気付けば洗練されたニューヨーカーになっていたのでした。
しかし、トニーからの求婚を受け容れた矢先、彼女のもとに、故郷からの手紙が届きます。それは母からのもので、大好きな姉が病床にふけっているというものでした。
急いで帰国するも、姉はあっけなく亡くなってしまい、エイリシュは悲嘆に暮れます。悲しむ彼女の気分を晴らそうと、故郷の友人はあちこち連れ出します。トニーからの手紙やブルックリンでの仕事を心配していた彼女でしたが、姉を亡くしひとりになってしまった母の元をあっさりと去るわけにもいかず、滞在は長引いていきます。
そんな日々の中、地元の名士の息子で紳士的なジムとの仲が急速に進展します。トニーとは真逆な、静かな彼に癒しを感じる彼女に、母親もジムとの結婚を勧めます。
トニーとの仲をなかなか言い出せない彼女に、ジムは求婚します。
悩む彼女でしたが、姉からの言葉を思い出し、アメリカへ帰る船に乗ります。そこで彼女は以前の自分と同じような、田舎の空気をまとった女の子と出会います。
「どうどうと船を降りるのよ。」
そうアドバイスした彼女の背中は、以前エイリシュが憧れた都会の強い女性そのものでした。
映画『ブルックリン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ブルックリン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
麗しいパステルカラー
今作の主役エイリシュを演じたのは、自身もアイルランド人であるシアーシャ・ローナン。金髪碧眼とその白い肌が魅力的な彼女に良く似合う、パステルカラーのファッションが麗しい今作では、映像にも淡い光と色彩を取り入れ、映画を通して彼女を美しく映し続けます。
また、時代背景は1950年代。この時代のファッションは昨今の大きなトレンドのひとつであり、ファッションを楽しみに映画を選んだ観客も多かったのではないでしょうか?まるで当時のファッション雑誌そのもののような、ブルックリンの古い町並みや、それに映えるエイリシュの着こなすクラシカルなファッションは、この映画の最大の魅力だと言えます。
王道の少女漫画展開
今作のエイリシュの人生に大きくかかわってくるのが、恋愛です。
ブルックリンでは、都会を象徴するかのような、自由で情熱的なトニーと出会い恋に落ちます。アイルランドでは、まさに田舎を象徴するような、母親からの信頼も厚く安定感があり理知的なジムに惹かれます。この二人の対比によって、エイリシュの生きる二つの世界の違いを鮮やかに映し出しているのです。
それでいて、この二人は真に彼女を愛します。ともすれば都合の良すぎる展開に、しかし女性客は心ときめいてしまうものです。
彼女の決断
この映画の中で、彼女は結果的にはブルックリンを選択します。これは、時代を考えれば納得のいくものです。この時代は、これから景気の良くなる機運のあった時代であり、また自由恋愛はまだまだ得難い財産であったはずです。そのような、時代を見据えた結論の立て方で観客を納得させる手法も、見事です。
21世紀が舞台であったとしたら、果たしてエイリシュはトニーを選ぶのでしょうか?
映画『ブルックリン』 まとめ
ふたつの国、ふたりの色男の間で惑う、愛らしく若い女性の青春の物語。まさにガールズムービーと言うべきこちらは、しかし男性客には全くお勧めしません。あまりにも女性に都合の良い話になってしまっているからです。
実際にあったであろう女性差別の側面は見せず、終始軽やかなキラキラした映画ですから、残業帰りの疲れた体をソファに沈める際にはピッタリではないでしょうか。
お酒ではなく、温かいミルクティーが似合うような、幸福感に包まれた映画です。
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