ノンフィクションのフランス映画。監督・脚本共にエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ。フランスでの歴代観客動員数3位フランス映画のみの歴代観客動員数2位。日本で公開されたフランス語映画の中では歴代1位である。
映画『最強のふたり』 作品情報
- 製作年:2011年
- 上映時間:113分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:エリック・トレダノ、オリビエ・ナカシュ
- キャスト:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、オドレイ・フルーロ、アンヌ・ル・ニ etc…
映画『最強のふたり』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★☆☆☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『最強のふたり』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『最強のふたり』のあらすじを説明します。
ドリスというスラム街出身の黒人青年がいた。ドリスは無職であり、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てで職探しの面接を紹介され、フィリップ邸の介護職の仕事を受ける事になる。面接ではみな形にはまった毅然とした態度でこなしていく。候補者はみな病人として扱うのでフィリップは雇う気にならなかった。しかし、ドリスだけは目的が違いフィリップの気難しい性格が災いして周囲の反対を押し切りドリスに一か月の試用期間を与える。ドリスは友人に身辺調査された結果、前科がある事も。周囲はフィリップを心配していた。頸髄損傷で首から下が麻痺した富豪と、看護や介護の資格もない無職の彼との介護生活が始まる。
始めは介護がろくに出来ないドリスはフィリップを放置して危ない目に合わせてしまう事が多々あった。しかも二人は現在の状況だけでなく様々な世界観が違い、衝突を繰り返した。音楽に服装、年齢や人種、会話のズレ…。しかし、お互い共通している事があった。本音を通して生きる姿勢が一緒だった。それはお互いにすごく親しくなるきっかけとなっていき次第に二人は心を打ち明け始める。フィリップには半年ほど文通している親しい女性がいた。その女性とは文通以上の関係を望んで居なかったがドリスの性格が災いしたのか幸いしたのか、無理やり関係を進めさせられる事になる。フィリップは頸髄の損傷から自身を失っておりこのアクションが後々にフィリップ自身の運命を変えていく事になる。
果たして、フィリップの結末は…。笑いあり涙ありの二人の関係が始まった。
映画『最強のふたり』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『最強のふたり』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
なぜドリスを雇ったのか
面接にきたドリスは他の候補者より世間一般的に見て欠けている要素ばかりです。人種や資格、常識など…。更には、面接でフィリップを罵る様な事も言います。
ではなぜ敢えてフィリップはドリスを雇ったのか?
これは、映画だからではなく現状の日本の就職活動でも言える事だと思うんですよね。テンプレート的な発言でその人を知る事は出来ないと思うんです。相手の魅力を知るためにはありのままの自分を表現できる素直さが大事だと思うんです。ただ、企業側にその人材を受け入れる器がないと無意味ですけどね…。そこに、フィリップの器が伴った。且つ、フィリップが内心で求めていた「一、人間としての触れ合い」に届いたのだと思います。
大事な場面で素直にというのはなかなか出来そうで出来ないですからね。
冒頭にあった車での二人のシーンを出した意義
これはなかなかの伏線。だって、ドリスとフィリップが車内で親しげにしているシーンを出したら後にドリスが雇われる事のネタバレになりますからね。
最初にこのシーンを挙げた事によって、中盤でドリスが仕事を辞める事になる以降の伏線が良く仕上がったと思う。映画って中だるみしやすいけど結果として中盤を飽きさせず展開出来たのかなと…。
離職後にどのような展開でまた二人が繋がるのか?と見入ってしまう。
その中盤をドリスのいない「ドリスが来る前のフィリップ」を描いたかのような私生活で繋いだ事は作り手の上手さに舌を巻いた。
最強のバディ・ムービーの一つ。
美しいパリの町並みにかっこいい車、そして軽快な音楽。テンポやタイミングも良く、冒頭で「セプテンバー」のホーンがなるあたりですでに作品の虜。そして何かと対照的な主人公2人がゆっくり紡いでいく信頼関係に痺れる。
これが実話ベースというのがまたすごい。介助する側とされる側の関係は一筋縄ではいかないことは察するに余りあるが、特に介助する側の心のバリアフリー感がこの人物を魅力的なものにしているのだろう。(男性 40代)
重いテーマなのに明るく面白い作品です。フランス映画は小難しくて頭が痛くなり、どうも苦手でしたが、この作品はブラックユーモアが多く、音楽も風景も素敵でとても観やすいです。
何よりもフィリップとドリスの明らかに身分差がある2人の関係が素で清々しく描かれており、2人が笑顔のシーンを観るだけでも感慨深いものがあります。フィリップ役の俳優さんは顔の表情だけで演技しているのでそこも見どころの1つです。(女性 30代)
ドリスとフィリップの素敵な関係に感動しつつ、下ネタが炸裂したりと笑える要素も盛りだくさんで最初から最後まで夢中になって見られました。
障害者と黒人の青年の絆。こんな風に言うと語弊があるかもしれませんが映画の題材とされてしまいがちなキャラクターを「普通」に描いているので、余計なことを気にせずに見られました。
それはドリスの優しさのおかげだと思います。誰にでも同じように優しくて、ありのままで素直な性格がフィリップの表情も柔らかくしていたのでしょう。
一見でこぼこに見える2人の絆はとても強く、美しいものでした。(女性 30代)
障がい者にとって一番つらいことは何か。私がこの映画を見終えて思ったのは、「特別扱い」。
身分も地位も真逆のドリスを介護人として雇う。他にも応募者はいたのに噓をつかず「障がい者だから」「大富豪だから」という見た目を無視して落ちに来たドリスを採用するあたりが心打たれる。ラストシーンではフィリップの介護人はドリスしかいないであろう描写、また二人は介護人も友人も超えた関係性にもかかわらずドリスの粋な計らいで別れを告げるシーンは涙がこぼれた。(男性 20代)
面白い映画、前向きになれる映画、感動する映画…そのどれもが当てはまるので難しいが、私がこの映画を評するとしたらやはり“最強のバディムービー”だろう。とにかくフィリップとドリスの関係性が素晴らしい。
友情に生まれも育ちも関係ないのだと、言うのは簡単だが実際はそう簡単なことではないと思う。でもこの二人を見ていると、本当にお互いの事が好きなら、その他個人を示す一切の情報など、ただの蛇足でしかないのだと思えてくる。
主演二人の自然な演技も素晴らしい。(女性 30代)
映画『最強のふたり』 まとめ
フランスのノンフィクション映画。俳優を知らないから入り込めないとは思わず観てほしいと思う。マイナーな俳優だけど演技力高いです。フィリップとドリス。二人の演技はそれこそ自然体で描かれてて見る者を引き込むことが出来てました。ストーリーの流れが非常に分かりやすく、冒頭でドリスとフィリップが車で外出するシーンからラストシーンまで鑑賞者視点で飽きずにストーリー展開します。ドキュメンタリー映画に近しい要素があるが、この作品自体が自作で作られたドキュメンタリーを映画化したものであり、他のノンフィクション作品より一歩現実感を味わえると思います。
映画と実話の相違点は多少あるが映画製作上の都合と割り切れる程度の差異です。(介護期間の短縮化とドリスの生活環境を伝えやすくする黒人青年という設定など。)
感想はシンプルに楽しめました。障害者をテーマに扱うより、笑いを軸に扱っている作品ととって頂けるなら…。コンプレックスを抱えている二人が自然と絡み合い、その結果お互いのいいところが明確にくみ取れる作品。貴重な出会いは大切にするべきだと思いました。
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