この記事では、映画『クワイエット・フォレスト』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『クワイエット・フォレスト』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『クワイエット・フォレスト』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0049513
製作年 | 2016年 |
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上映時間 | 94分 |
ジャンル | ホラー |
監督 | ダニエル・カストロ・シンブロン |
キャスト | ブロンティス・ホドロフスキー アリオシャ・ソートニコフ カミラ・ロバートソン・グレニー フェルナンド・アルバレス・レベイユ |
製作国 | メキシコ フランス |
映画『クワイエット・フォレスト』の登場人物(キャスト)
- グスタヴォ(ブロンティス・ホドロフスキー)
- 3人の子供の父親。マルコス以外が外に出るのを固く禁じている。
- マルコス(フェルナンド・アルバレス・レベイユ)
- 長男。序盤で行方不明となってしまう。
- アルヘル(アリオシャ・ソートニコフ)
- 次男。マルコスの行方を知りたがるが父親に禁じられる。
- ルチアーナ(カミラ・ロバートソン・グレニー)
- 長女。兄のアルヘルと共に過ごす。絵を描くことが得意。
映画『クワイエット・フォレスト』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『クワイエット・フォレスト』のあらすじ【起】
出口のない森の中に、小屋が建てられている。
そこには長男のマルコス、弟のアルヘルと妹のルチアーナ、彼らの父親が住んでいた。
父親はマルコス以外の子供を外に出そうとはせず、自らも外出の際にはガスマスクを着用する。
ある日の夕方、謎の怪物が小屋の周りをうろつきだした。
うなり声と足音におびえるアルヘルとルチアーナ。
そこに、外出していた父親が戻ってくる。
しかし、一緒に外出していたマルコスは怪物に連れ去られたようだ。
数日後アルヘルは、父親の部屋の鍵を壊すが中に入らなかった。
父親はアルヘルにガスマスクを着けさせ、外に連れ出す。
外の世界を知らないアルヘルは、捨てられたトラックを見ても、何であるのか分からない。
さらに父親から、前日に部屋の鍵を壊したことで叱られる。
やがてアルヘルは、2人の人影を見かけるのだった。
小屋に戻り、狩った鹿肉を食べる3人。
その晩、父親はルチアーナが描いた絵を眺める。
しかし、異形の姿をした父親がアルヘルとルチアーナを突き刺している絵があった。
その後に彼は、何かを作り始めるのだった。
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映画『クワイエット・フォレスト』のあらすじ【承】
眠りから覚めたアルヘルは、父親が酔いつぶれて寝ていることに気づく。
鍵を盗んだ彼は父親の部屋に入ったが、ベッドの下に汚れた皿があるぐらいだった。
やがてアルヘルは、マルコスを探しに1人で森に向かう。
途中でマルコスの幻影のようなものに遭遇するが、すぐに消えてしまった。
その後に少年を連れた老人と出会うが、彼は『マスクは必要ない』と言う。
さらに彼らはマルコスのマスクを持っていた。
食べ物と引き換えにマルコスの居場所を教えると提案されるが、そこに父親が現れ、銃で老人たちを追い払うのだった。
アルヘルたちは帰宅するが、老人たちが食べ物目当てで小屋を訪ねてくる。
食べ物を恵んでやったが、少年が酒瓶でアルヘルを殴った。
さらに老人はルチアーナを人質にとったのだ。
しかし父親が老人を射殺し、少年は銃で殴って気絶させた。
実は少年は、女性であることが分かる。
父親は情けをかけ、彼女に食事を摂らせた。
だがアルヘルを連れ出そうとしたので、父親は彼女を外に放り出す。
そして彼女は、マルコスが死んだことを話して去ってしまうのだった。
映画『クワイエット・フォレスト』のあらすじ【転】
父親が木を切りに外出した。
アルヘルはその間に改めて、父親の部屋を調べてみることに。
すると天井裏へ続く梯子に気付いた。
上った先には、父親が作ったであろう操り人形がいくつかある。
それぞれマルコス、アルヘル、ルチアーナに似せて作られていた。
ルチアーナが描いた例の絵もある。
異形の姿の父親の足は、地球のようなマルコスの頭に突き刺さっていた。
さらにアルヘルは、黒い扉を見つけた。
中には木製の歯車があったので、それを起動してみるアルヘル。
すると小屋全体が揺れ、さらに小屋のパイプからはうなり声のような音が鳴る。
例の怪物は、全て父親の演出によるものだったのだ。
やがて父親が帰ってくるが、アルヘルとルチアーナによって地下室に閉じ込められてしまう。
そしてアルヘルは銃を持って、妹と共に外に逃げるのだった。
2人が歩く先は断崖と、山と、森林が続く。
その頃、父親の前に狼が幻影のように現れていた。
やがて、父親がアルヘルとルチアーナを見つける。
父親は子供たちを連れ戻そうとするが、突然現れた女性が彼の頭を石で殴るのだった。
映画『クワイエット・フォレスト』の結末・ラスト(ネタバレ)
父親を殴ったのは、アルヘルの夢の中に出てきた女性だった。
父親は意識を失い、そして森の奥から怪物のうなり声が響く。
女性は森の奥へ逃げてしまった。
アルヘルは妹を連れて森を進むが、やがて死体となった女性を見つける。
夢と同じように、彼女は大木のそばで腹部を切り裂かれていた。
行く当てもなくなったことから、アルヘルたちは小屋に戻ることに。
ルチアーナは目を閉じ、話しかけても反応しなかった。
やがてアルヘルは、家の外に父親がいるのを見つける。
彼を呼ぶアルヘル。
しかし父親は斧を持って、怪物のうなり声が聞こえる森の中に走り出すのだった。
やがて、腹を裂かれた父親が小屋に戻ってきた。
彼はアンヘルと、動かないままのルチアーナのそばに座る。
ランプの光は雨漏りによって消え、小屋の中は真っ暗に。
その中で恐怖におびえる子の声と、子を励ます父の声だけが響いていた。
映画『クワイエット・フォレスト』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
終始抑制された演出が印象的で、音や沈黙が恐怖を増幅させる演出に震えました。特に主人公の少年が外の世界への強い好奇心と恐怖の狭間で揺れる描写がリアルで、ラストの衝撃には息を呑みました。父親の正体が暗示される場面では、人間の狂気が一番怖いというメッセージが強烈に伝わってきました。モンスターよりも人間が脅威というテーマは古典的ながら、静かな描写の積み重ねで説得力がありました。(20代 男性)
前情報なしで観ましたが、まさかこんなに心をえぐられる作品だとは思いませんでした。ホラーというよりディストピアの心理劇に近く、外の「霧」よりも家の中にある恐怖のほうがよほど深かったです。弟の不在の理由を探る兄の視点を通して、徐々に浮かび上がる真実が胸に突き刺さりました。家族の崩壊、父の暴走、そして子どもたちの無力さが静かに描かれていて、観終わったあとしばらく動けませんでした。(30代 女性)
序盤から張り詰めた空気が続き、観ていて常に緊張を強いられました。ラテンアメリカのホラーらしい、不穏さと社会的背景の組み合わせが見事です。特に霧の正体が明かされるわけではなく、曖昧なまま終わるのが逆にリアリティを感じさせ、観客に解釈を委ねる手法が上手い。ラストの脱出のシーンでは、少年の成長と絶望が同時に訪れる感じがして胸が締めつけられました。(40代 男性)
静寂と映像の力でここまで引き込まれるとは思いませんでした。余計な説明は一切なく、視聴者の想像力に訴えかける構成が本当に秀逸。父親の暴力性が徐々に露わになる展開は、まるで精神的ホラーを見ているようでした。怪物の姿がはっきり描かれない分、家の中の緊張感が際立っており、霧という存在も比喩としてとても効果的。社会や家族の抑圧を象徴するような恐怖映画でした。(50代 女性)
私はホラー映画が苦手なんですが、この作品はむしろドラマとして観るべきだと思いました。主人公の少年の視点から描かれる世界は非常に限定的で、その分感情移入しやすく、弟の「行方不明」の真実が明らかになる場面では涙が出ました。父が息子を守っていたという建前のもとで暴走していたという事実がとても辛く、今の世界情勢ともどこか重なって感じられたのが印象的です。(10代 女性)
観終わってからもしばらく心がざわつく映画です。いわゆるジャンプスケア的な驚かしはなく、じわじわとくる不気味さと、心理的な重さで圧倒されました。霧=外の世界の不確かさ、父=内側の絶対的恐怖という構造が見事でした。何より、あのラストの決断は、少年にとっても観客にとっても痛みを伴うもので、非常に心に残りました。映画というより、現代寓話に近い作品です。(30代 男性)
「霧の外に出てはいけない」と信じていた少年が、父親の行動に疑問を持ち始めてからの展開がとてもスリリングでした。怪物が実在するのかどうかという不安と、父の狂気に飲まれていく家庭という閉鎖空間が恐ろしく、どこか『シャイニング』を彷彿とさせました。環境設定や小道具の使い方にもセンスがあり、低予算ながら高品質な映画でした。静かな衝撃が残る名作です。(40代 女性)
ホラー作品としては地味かもしれませんが、私はその「地味さ」が逆に怖かったです。説明が少ない中で観客に考えさせるスタイルが好みで、特に弟の存在に関する謎が徐々に明かされていく過程が秀逸。父親が「守るふりをして支配する」姿はリアルで、観ていて胸が詰まる思いがしました。救いがあるようでない結末も、今の時代に相応しい問題提起だと感じました。(50代 男性)
抑圧された世界観の中で、子どもが少しずつ真実に近づくというプロットが好きな人には刺さると思います。色味を抑えた映像、沈黙の多い演出、そして父という絶対者の存在感。すべてが不穏で、安心できる場面が一切ありませんでした。個人的にはホラーとしてではなく、家父長制への批評としても機能していたと思います。観終わって、しばらく感情を整理するのが大変でした。(20代 女性)
こういう映画、大好きです。観る側の想像力をフルに要求してくるタイプで、伏線もセリフも少なめなのに、全体としては非常に深くて考えさせられる。特に印象に残ったのは、父が弟を「外」に連れ出す理由が明らかになる瞬間。あれは本当にショックでした。霧の向こうにある恐怖ではなく、家の中にある真実のほうが何倍も恐ろしいと感じました。完成度の高いアートホラーだと思います。(30代 女性)
映画『クワイエット・フォレスト』を見た人におすすめの映画5選
ザ・ロード
この映画を一言で表すと?
「父と子の絆が試される、終末世界の黙示録的サバイバルドラマ」
どんな話?
文明が崩壊した世界を舞台に、父と息子が希望を求めて旅をする物語。荒廃した大地と飢え、狂気に満ちた人々の中を、生き残るためだけでなく「人間性」を守るために歩き続けるふたり。極限状態の中に描かれる、深くて静かな愛の物語です。
ここがおすすめ!
終末的な世界観ながらも、息子を守ろうとする父の愛が胸を打ちます。美しい映像と抑制された演出で静かに語られる物語は、『クワイエット・フォレスト』の重厚な雰囲気と通じ合うものがあり、観終わった後も心に残り続ける一作です。
ミスト
この映画を一言で表すと?
「“霧”の中に潜む恐怖と、人間の本性を描いた極限パニックドラマ」
どんな話?
突然現れた謎の霧に覆われた街。その中には人間を襲う未知のクリーチャーが…。スーパーマーケットに閉じ込められた人々は、外の怪物と内側の疑心・狂気の両方に追い詰められていく。原作はスティーヴン・キングの短編小説。
ここがおすすめ!
外の“何か”よりも、人間の恐怖や集団心理のほうが怖いと感じさせる展開が秀逸。衝撃のラストは映画史に残る問題作とも言われています。『クワイエット・フォレスト』の閉塞感や人間の狂気をもっと激しく描いた作品として非常におすすめ。
ザ・ヴィレッジ
この映画を一言で表すと?
「隔絶された村で起こる謎と恐怖を描く、静謐で緊張感あふれるサスペンス」
どんな話?
森に囲まれた村で平和に暮らす人々。しかし「境界の森の向こうには怪物がいる」と信じられていて、村人たちは一歩も外に出られない。ある事件をきっかけに、若い女性が禁断の森に足を踏み入れたことで、恐るべき真実が明らかになる。
ここがおすすめ!
不穏な空気と美しい映像、そして少しずつ明かされる秘密のバランスが絶妙。静かでありながら強いメッセージ性を持つ作品で、『クワイエット・フォレスト』の世界観が好きな方には間違いなく刺さる一本です。
カメラを止めるな!
この映画を一言で表すと?
「まさかの展開に笑いと感動が止まらない、低予算の奇跡的傑作」
どんな話?
ゾンビ映画を撮影していたチームが、本物のゾンビに襲われる!?という低予算ホラー風の前半から一転、後半ではその裏側の真相が明かされる構造の見事さに驚かされます。ジャンルの枠を超えた映画愛にあふれる物語です。
ここがおすすめ!
表面的にはホラー要素もありますが、実は人間ドラマとメタ視点が織りなす深い感動が魅力。『クワイエット・フォレスト』とは違う角度で、限られた環境の中で生まれる創造力を楽しみたい人にぜひ観てほしい一本です。
サウンド・オブ・サイレンス
この映画を一言で表すと?
「音が命取りになる世界で、生き延びるための静かなサバイバル」
どんな話?
音を立てると“何か”に襲われる世界。聴覚に障害を持つ少女とその家族が、人知れず静寂の中で暮らしていたが、ある日その平穏が破られていく。『クワイエット・プレイス』の影響を受けたとも言われる、静けさが鍵のホラー作品。
ここがおすすめ!
無音や静寂を駆使した演出で緊張感が持続し、観る者の神経を逆撫でし続けます。『クワイエット・フォレスト』同様、音と静けさを武器にしたホラーが好きな方には強くおすすめできます。心理的な怖さがじわじわ迫る秀作です。
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