映画『ザ・プレイヤー』の概要:ハリウッドの映画会社で皆から憎まれている重役が、差出人不明の脅迫状に怯え、自分を逆恨みする脚本家を殺害してしまう。華やかなハリウッドの裏側を皮肉たっぷりに描いたサスペンス。1992年公開のアメリカ映画。
映画『ザ・プレイヤー』 作品情報
- 製作年:1992年
- 上映時間:124分
- ジャンル:サスペンス、コメディ
- 監督:ロバート・アルトマン
- キャスト:ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ etc
映画『ザ・プレイヤー』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
映画『ザ・プレイヤー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ザ・プレイヤー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ザ・プレイヤー』 あらすじ【起・承】
ハリウッドの映画会社で重役をしているグリフィン・ミル(ティム・ロビンス)のもとには、毎日多くの脚本家が売り込みにくる。グリフィンの会社には年間5万件近い企画が持ち込まれ、その中で映画化されるのは年に12本という厳しい世界だった。
厳しい競争を強いられるのは映画会社の重役たちも同じで、グリフィンも常に自分のクビの心配をしていた。ライバル社から引き抜かれたラリー(ピーター・ギャラガー)が自分と同じポストに就き、グリフィンは神経を尖らせる。さらにグリフィン宛に差出人不明の脅迫状が届くようになり、彼は差出人の該当者を捜し始める。
グリフィンは面会した多くの脚本家の中からデビッド・ケヘインという男に焦点を絞る。デビッドの自宅にはジューン(グレタ・スカッキ)という恋人がおり、グリフィンは彼女と電話で話す。ジューンは画家で、不思議な魅力のある女性だった。
映画館でデビッドと接触したグリフィンは、2人で日本料理店へ行く。デビッドはグリフィンに無視されたことを深く恨んでおり、彼を罵倒し続ける。2人は駐車場で口論となり、頭に血がのぼったグリフィンはデビッドを殺害してしまう。
翌日。グリフィンのもとには“まだ生きてるぜ!”と書かれたファックスが届く。脅迫状の差出人はデビッドではなかった。グリフィンは様子を探るため、デビッドの葬儀へ行く。そこでジューンに声をかけられ、彼女の自宅へ行く。警察はグリフィンを疑い、彼の尾行を開始していた。しかし彼の犯行を裏付ける確証がなかった。
映画『ザ・プレイヤー』 結末・ラスト(ネタバレ)
謎の男に呼び出されたグリフィンは、待ち合わせ場所で若手監督のトムに捕まり、しつこく新企画の売込みを受ける。そのせいで謎の男とは会うことができず、車で帰ろうとしたところ、車内にはガラガラヘビが仕込まれていた。グリフィンは恐怖の中で、ジューンの自宅を訪ねる。グリフィンとジューンは急速に惹かれあっていく。
ハリウッド的映画ではなく、スターも使わずハッピーエンドでもないリアリティーのある人間ドラマを作りたいというトムの企画をグリフィンはラリーに任せることにする。この映画が滑ればラリーを引きずり降ろせるという目論見があってのことだった。
グリフィンは仕事仲間で恋人のボニーを遠ざけ、ジューンとパーティーへ行く。警察は彼の尾行を続けており、ついに本署へ彼を呼び出す。グリフィンは精神的に追いつめられながらも、なんとか持ちこたえる。
ジューンとメキシコ旅行に行くつもりだったグリフィンは、空港で警察の姿を見て温泉リゾート地へ行き先を変更する。そこで初めてジューンと愛し合い、デビッドのことを打ち明けようとするが、ジューンは聞きたくないと拒絶する。
翌日。会社から緊急の呼び出しがある。前の社長がクビになり、グリフィンに次期社長のポストが用意されたのだ。しかしその前に警察へ行き、目撃者の面割りに参加しなければならなくなる。目撃者のおばさんはガラス越しに6人の男を見て、グリフィンは絶対に犯人ではないと証言する。おばさんの記憶の曖昧さにより、グリフィンは命拾いする。
1年後。ラリーが担当したトムの映画はジュリア・ロバーツ主演のハッピーエンドに仕上がっていた。社長となったグリフィンはジューンと結婚し、順風満帆な生活を送っていた。そんな彼に“サスペンス王”を名乗る脚本家から“皆に憎まれる映画会社の重役が逆恨みのライターを殺すハリウッドを舞台にした映画”の売り込みがある。結末はハッピーエンドだと聞き、グリフィンはその企画を買う。
映画『ザ・プレイヤー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ザ・プレイヤー』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
映画化されるって大変
この映画はハリウッドでの映画製作の舞台裏を描いたハリウッド映画だ。現場を知る人間が作っているので、映画会社の内情や重役たちの人物像にはリアリティーがあるのだろう。映画ファンとしてはそれだけでも興味深いところだ。
主人公のグリフィンは映画会社で脚本担当の重役をしており、彼には毎日125本もの電話がかかってくる。それが100本に落ちたらクビを心配し始めるらしい。当然電話の内容は企画の売込みであり、彼は何度も“25語以内で説明しろ”と相手に要求している。確かにそれくらい手短に伝えてもらえないと、125本ものストーリーを聞くのは不可能だ。企画が採用される確率は0.00024パーセント。これでコネもなく持ち込みの脚本が採用されたら、奇跡というほかない。
そう考えるとどんなにひどい脚本でも、映画化されている時点ですごい確率をくぐり抜けてきたそれなりの脚本ということになる。原作のないオリジナル脚本が映画化されることはもっと稀なので、今後そういう作品を見る時は今まで以上に脚本に注目してみたい。
皮肉たっぷりの劇中劇
映画会社の重役たちはヒットする作品の条件として“スターをキャスティングすること”“セックス&バイオレンス”そして何より“ハッピーエンドであること”を挙げている。そのすべてに反する企画を持ち込んだトムという映画監督がこだわっていたのはハリウッド的ではないリアリティーのある人間ドラマを作ること。つまり暗にハリウッド映画というのはリアリティーのない娯楽映画だとこの作品は言っている。
しかし結局トムの映画はジュリア・ロバーツが主演を務めるハッピーエンドに仕上がっており、それに異を唱えたボニーは会社をクビになる。ロバート・アルトマン監督が“これがハリウッドの現実ですよ”と、皮肉たっぷりの劇中劇を作ったわけだ。
それにしてもこの劇中劇「人身保護令状」。異常にチャチな作りで、ものすごくつまらなさそうな映画なのが笑える。その作品の中でジュリア・ロバーツ、ブルース・ウイルス、スーザン・サランドン、ピーター・フォークなどの大スターが顔を揃えているのがまたおかしい。
何より強烈なのはこの「ザ・プレイヤー」がヒットするハリウッド映画の3大条件(スター、セックス&バイオレンス、ハッピーエンド)を満たしているというブラックさ。この皮肉を受け入れているハリウッドって変な世界だ。そこが面白くもあるのだが。
何これめちゃくちゃ面白いじゃん!と良い意味で期待を裏切られた今作。ティム・ロビンスは『トップガン』や『隣人は静かに笑う』などに出演していたので存在は知っていましたが、特に注目して見たことはありませんでした。
しかし、今作の彼はめちゃくちゃ良いです。自分のクビを心配して神経を尖らせる様子も、魅力的な女に惹かれてしまうのも、とにかくオシャレに描かれていて、高身長でスマートな彼のビジュアルも良い方に影響していたと思います。
豪華な俳優がカメオ出演しているので、そんな所に注目して見るのも面白いかもしれません。(女性 30代)
映画『ザ・プレイヤー』 まとめ
カメオ出演も含めるとかなりの豪華キャストで遊び心も満載なので、いろんな角度から楽しめる作品だ。多くの要素をうまく消化して、ひねくれすぎないバランスを保ちつつ、しっかり嫌味は言っているような賢さを感じる。ただ、ストーリー展開の面で少々消化不良気味であったのも正直なところ。特にジューンに関しては、何か裏があるような描写が続いたので次の展開を期待したが、あっさり妊娠中の幸せな奥様になっていて肩透かしを食らった。別にいいんだけど。
それにしても主演のティム・ロビンスはでかい。というか、長い。「ショーシャンクの空に」ではモーガン・フリーマンも189センチあるので違和感を感じなかったが、本作では彼が195センチの長身であることを思い知った。ティム・ロビンスの身長と同様に作品全体の質も高いので、オススメできる一本だ。
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