映画『マイノリティ・リポート』の概要:2002年に発表された、若かりし頃のトム・クルーズが主演を務めたSF超大作。昔に制作されたとは思えない、今でも十分通用する世界観と綿密に練られたストーリーが素晴らしい。
映画『マイノリティ・リポート』の作品情報
上映時間:145分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー etc
映画『マイノリティ・リポート』の登場人物(キャスト)
- ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)
- 犯罪予防局に勤務する優秀な警察官。しかし、ある日突然彼がリオ・クロウという男を殺す未来が予知されてしまう。
- ダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)
- 有能な司法調査官。予防的治安維持機能システムの完全性に疑いを持っている。
- アガサ(サマンサ・モートン)
- 犯罪を予知するプリコグの一人。プリコグの中でも最も強い力を持つ。
- ラマー局長(マックス・フォン・シドー)
- ジョンの上司で、息子を失ったジョンを気にかけていたが・・・?
- リオ・クロウ(マイク・バインダー)
- ジョンに殺されると予知された男。ジョンにとっては見ず知らずの人物。
映画『マイノリティ・リポート』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【起】
今より未来の世界。アメリカではあらゆる犯罪が多発し、日々多くの人が殺され、まるで世紀末のような事態に陥っていた。しかし、とある新システムが開発されたことにより、殺人発生率がなんと0%とになるという奇跡のようなことが起きたのだ。
そのシステムとは、突如現れたプリコグという3人の予知能力者達の予知に従い、今後事件を起こすと予知された人物を事件勃発前に逮捕するというものだった。ジョン・アンダートンは、その予防的治安維持機能を遂行する犯罪予防局の一員として、日々多くの容疑者を逮捕してきた。ジョンは警察官として非常に優秀な人物であったが、かつて息子を誘拐されそのまま行方知れずになってからというもの、妻と離婚し、麻薬を手放せなくなっていた。
そんなある日、司法調査官のダニー・ウィットアーという人物が犯罪予防局へとやってきた。それは、近々行われる国民投票の結果次第で予防的治安維持機能が全国に導入されるか決定するためであった。ダニーは、このシステムが完全なものであるかを確認するためにやってきたのである。
映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【承】
そして、ダニーはこのシステムに対して嫌疑的だった。いくらシステムが完璧であっても、それを捜査する人間側にエラーが出る、と指摘したのである。そして、その時プリコグの一人であるアガサが、とある映像の予知をした。プリコグは時折、以前起こった犯罪を再び予見する、エコーという現象を起こすのだった。
そして、プリコグの3人はもう一つの映像を映し出した。それは、リオ・クロウという男を殺すジョンの姿だった。その映像にいち早く気がついたジョンは、慌てて犯罪予防局から逃げ出した。ジョンにとってリオ・クロウなど全く聞き覚えもない人物であり、そんな男を自分が殺すはずはない、とジョンは否定する。
そして、システム事態に何かしらの問題があるのではないかと考え、システムを考案した女性、アイリス・ハイネマン博士の元へと向かうのだった。そこで、ジョンはプリコグの3人がニューロインという麻薬の中毒者たちから生まれた存在であること、そして、マイノリティ・リポートの存在を知るのだった。
映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【転】
普段3人で波長を合わせ予知をするプリコグ達だが、時折その3人の意見が食い違うことがあるという。システムを完璧なものだと世間に示したい運営側は、この少数意見を却下してきた。それがマイノリティ・リポートである。
ジョンは自分のマイノリティ・リポートが存在するはずだ、とそのデータを求める。しかし、そのデータはプリコグの脳内のみに保管されており、マイノリティ・リポートを入手するには危険を冒して犯罪予防局に侵入する必要があるのだ。
そして、ジョンが目をつけたのはプリコグの内の一人、アガサという女性だった。アガサの力は3人の中で最も強く、予知をする上で鍵となっているためである。闇医者の力も借りなんとかアガサを奪取することに成功したジョン。しかし、無情にもジョンのマイノリティ・リポートなど最初から存在しないことが明らかになる。諦めきれないジョンは、予見の通り、クロウを追うことにする。そして、クロウが自分の息子を誘拐し殺した犯人であることを突き止めるのだった。
映画『マイノリティ・リポート』の結末・ラスト(ネタバレ)
怒りのあまりクロウを殺そうとするジョンだったが、かつての息子の言葉を思い出し、寸前で思い留まるのだった。すると、クロウは「自分を殺してくれなきゃ家族に保険金が降りない」と叫び始めたのだった。なんと、クロウはジョンの息子を殺した本当の犯人ではなく、何者かに命令されていただけだったのだ。そして、クロウは何者かに銃殺され、目の前にいたジョンが殺人犯として逮捕されてしまった。
一連の黒幕は、ラマーという犯罪予防局の局長だった。ラマーは、システムの完全性を証明したいがために、ジョンを嵌めたのだ。また、ラマーの行動にはもう一つ理由があった。実は、ラマーはシステムのためにアガサを手に入れるため、アガサの引き渡しを拒む彼女の母親を殺した過去があったのだ。偶然であったが、ジョンはその事件に繋がる手がかりを見つけてしまっていた。事件の発覚を恐れたラマーは、ジョンを抹殺しようとしたのである。
かつてダニーが指摘したヒューマンエラーは現実のものとなり、このシステムは直ちに廃止された。そして、ジョンは未来に向かって再び歩き出すのだった。
映画『マイノリティ・リポート』の感想・評価・レビュー
新たに発明された近未来的な安全システムに基づいて、物語が展開していく。タッチパネルでの操作など、この当時に作られたとは思えない程、未来的表現が秀逸である。主人公であるジョンが自ら、リオクロウという人間を殺すという予知を受け、その過ちを証明する為に行動していくのだが、リオクロウの素性が分かっていくにつれ、ジョンの予知が現実のものへと近づいていく。結果、ジョンはリオクロウを殺害する事は無かったが、変な話この予知での映像が無ければ、ジョンはリオクロウを殺害していたのではないだろうか。ラストに向かう展開は非常に見物である。(男性 30代)
2002年に公開した作品だが今見ても全く古い感じはせず、近未来の設定の精密さにとても驚いた。ストーリーもSFはもちろんのことアクション映画やミステリーとしても十分楽しめるものになっているので、幅広い層におすすめ出来る作品だと思った。
主演のトム・クルーズの存在感はやはり絶大で、色々なエピソードが詰め込まれていても引き締まった映画に出来上がっていてさすがだと思った。(女性 20代)
本作は、犯罪を予知できるようになった近未来、犯罪予防局で働くジョン(トム・クルーズ)自身が突然容疑者となってしまい、容疑を晴らす為に奮闘するSFサスペンス作品。
2002年公開の作品だが今観ても違和感がなく、当時このような近未来の世界観が巧妙に作りこまれていることに驚愕した。
殺人予知能力者プリコグの人権を無視した行動には恐怖を感じた。
また、このような世界が本当にやってくるのではないかとさえ思った。
長時間だが、設定が興味深くてあっという間だった。(女性 20代)
皆大好きフィリップ・K・ディックの作品を元にした映画。知る限りフィリップ・K・ディックの本自体にはすっきりさっぱりハッピー・エンドというものはあまりない気がするのだが、今作はスピルバーグのおかげかエンターテイメント作品としてクリアな結末が用意されていて良かった。
描かれている近未来の世界の数々の「未来ガジェット」に目を奪われるが、作品の根底にあるのは「未だ犯していない犯罪で裁かれる危うさ」のような気がする。そしてそれは未来のことではなく、現代への警笛であろう。(男性 40代)
流石スティーンブン・スピルバーグ監督のSFサスペンスというべきか間延びせず飽きの来ない作品。細かな点で矛盾点や気になる点はあるものの幅広い年齢層が楽しめるエンターテインメントに昇華しているのは流石としか言いようがない。
主演のトム・クルーズのアクションも見ごたえがある。それにトムの子供を思う演技がとても良くできていて感情移入させられてしまう。黒幕とその脆弱なシステムに若干首をかしげたくなるが全体的に面白かった。(男性 30代)
みんなの感想・レビュー
殺人を予知し犯罪を防ぐシステム、というそれ自体に何か矛盾と危険が内包されているものがテーマという難しい映画だが、特にわかりにくい点などもなく、単純にドキドキハラハラ楽しめる。トム・クルーズは安定の格好良さだし、映像技術もさすがドリームワークス、卓越している。ストーリーも終わり方が弱いとは書いたが消化不良とまではいかず、きちんと終結を迎えている。
大きな感動を呼んだり心に刺さる作品ではないが、全体的にどの点から見ても高得点、例えるなら優等生のような作品である。
①さすがスピルバーグ
さすが、という言葉がふさわしい、近未来をしっかりと描き切った力強いストーリーだった。とにかく設定が面白い。殺人予知によってすべての殺人が予防されるというのは、なるほどと思えるようでどこか矛盾をはらんだものとなっている。それに対してのめりこんでいるジョンというキャラクターが、自分が殺人者だと予知されて驚愕するというのは、実に人間らしく、主人公に感情移入している観客たちも一体どうなるのか頭がぐるぐるしてくる。
ミッション:インポッシブルばりにトム・クルーズの独壇場なのかと思いきや、意外にいい味を出しているのがプリコグたちだ。近未来的で独特な風貌に、薄幸そうなふるまい、彼もある意味被害者であることが伝わってくる描き方はとてもよかったと思う。
②近未来のかっこよさ
今でこそ、様々な映画で描かれ、現実味も増してきた技術かもしれないが、この映画が公開された2002年、空中にスクリーンを展開したり、眼球によって認証されたり、空飛ぶ球体が追跡してきたり、と最先端(と思える)技術がてんこもりで、わくわくし通しだった。そういったものに慣れた今見ると新鮮味は欠くかもしれないが、それを使いこなすトム・クルーズがとにかくかっこいいので一見の価値ありがと思う。
③終わり方がインパクトに欠ける
プリコグたちの予知のシーンや、主人公が犯罪者だと言われ追われるシーン、他人の眼球を用いて逃走したり、ととにかく前半にインパクトのあるシーンが詰め込まれすぎているので、後半少しインパクトに欠ける。パージェスが悪そうなのはなんとなく察しが付くし、ウィットワーが死にキャラであることも読めてしまうからかもしれない。
個人的にはクロウを殺さず踏みとどまったあたりが山場の様に感じた。