この記事では、映画『マイノリティ・リポート』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マイノリティ・リポート』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マイノリティ・リポート』の作品情報
上映時間:145分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:スティーヴン・スピルバーグ
キャスト:トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー etc
映画『マイノリティ・リポート』の登場人物(キャスト)
- ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)
- 犯罪予防局に勤務する優秀な警察官。しかし、ある日突然彼がリオ・クロウという男を殺す未来が予知されてしまう。
- ダニー・ウィットワー(コリン・ファレル)
- 有能な司法調査官。予防的治安維持機能システムの完全性に疑いを持っている。
- アガサ(サマンサ・モートン)
- 犯罪を予知するプリコグの一人。プリコグの中でも最も強い力を持つ。
- ラマー局長(マックス・フォン・シドー)
- ジョンの上司で、息子を失ったジョンを気にかけていたが・・・?
- リオ・クロウ(マイク・バインダー)
- ジョンに殺されると予知された男。ジョンにとっては見ず知らずの人物。
映画『マイノリティ・リポート』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【起】
今より未来の世界。アメリカではあらゆる犯罪が多発し、日々多くの人が殺され、まるで世紀末のような事態に陥っていた。しかし、とある新システムが開発されたことにより、殺人発生率がなんと0%とになるという奇跡のようなことが起きたのだ。
そのシステムとは、突如現れたプリコグという3人の予知能力者達の予知に従い、今後事件を起こすと予知された人物を事件勃発前に逮捕するというものだった。ジョン・アンダートンは、その予防的治安維持機能を遂行する犯罪予防局の一員として、日々多くの容疑者を逮捕してきた。ジョンは警察官として非常に優秀な人物であったが、かつて息子を誘拐されそのまま行方知れずになってからというもの、妻と離婚し、麻薬を手放せなくなっていた。
そんなある日、司法調査官のダニー・ウィットアーという人物が犯罪予防局へとやってきた。それは、近々行われる国民投票の結果次第で予防的治安維持機能が全国に導入されるか決定するためであった。ダニーは、このシステムが完全なものであるかを確認するためにやってきたのである。

映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【承】
そして、ダニーはこのシステムに対して嫌疑的だった。いくらシステムが完璧であっても、それを捜査する人間側にエラーが出る、と指摘したのである。そして、その時プリコグの一人であるアガサが、とある映像の予知をした。プリコグは時折、以前起こった犯罪を再び予見する、エコーという現象を起こすのだった。
そして、プリコグの3人はもう一つの映像を映し出した。それは、リオ・クロウという男を殺すジョンの姿だった。その映像にいち早く気がついたジョンは、慌てて犯罪予防局から逃げ出した。ジョンにとってリオ・クロウなど全く聞き覚えもない人物であり、そんな男を自分が殺すはずはない、とジョンは否定する。
そして、システム事態に何かしらの問題があるのではないかと考え、システムを考案した女性、アイリス・ハイネマン博士の元へと向かうのだった。そこで、ジョンはプリコグの3人がニューロインという麻薬の中毒者たちから生まれた存在であること、そして、マイノリティ・リポートの存在を知るのだった。
映画『マイノリティ・リポート』のあらすじ【転】
普段3人で波長を合わせ予知をするプリコグ達だが、時折その3人の意見が食い違うことがあるという。システムを完璧なものだと世間に示したい運営側は、この少数意見を却下してきた。それがマイノリティ・リポートである。
ジョンは自分のマイノリティ・リポートが存在するはずだ、とそのデータを求める。しかし、そのデータはプリコグの脳内のみに保管されており、マイノリティ・リポートを入手するには危険を冒して犯罪予防局に侵入する必要があるのだ。
そして、ジョンが目をつけたのはプリコグの内の一人、アガサという女性だった。アガサの力は3人の中で最も強く、予知をする上で鍵となっているためである。闇医者の力も借りなんとかアガサを奪取することに成功したジョン。しかし、無情にもジョンのマイノリティ・リポートなど最初から存在しないことが明らかになる。諦めきれないジョンは、予見の通り、クロウを追うことにする。そして、クロウが自分の息子を誘拐し殺した犯人であることを突き止めるのだった。
映画『マイノリティ・リポート』の結末・ラスト(ネタバレ)
怒りのあまりクロウを殺そうとするジョンだったが、かつての息子の言葉を思い出し、寸前で思い留まるのだった。すると、クロウは「自分を殺してくれなきゃ家族に保険金が降りない」と叫び始めたのだった。なんと、クロウはジョンの息子を殺した本当の犯人ではなく、何者かに命令されていただけだったのだ。そして、クロウは何者かに銃殺され、目の前にいたジョンが殺人犯として逮捕されてしまった。
一連の黒幕は、ラマーという犯罪予防局の局長だった。ラマーは、システムの完全性を証明したいがために、ジョンを嵌めたのだ。また、ラマーの行動にはもう一つ理由があった。実は、ラマーはシステムのためにアガサを手に入れるため、アガサの引き渡しを拒む彼女の母親を殺した過去があったのだ。偶然であったが、ジョンはその事件に繋がる手がかりを見つけてしまっていた。事件の発覚を恐れたラマーは、ジョンを抹殺しようとしたのである。
かつてダニーが指摘したヒューマンエラーは現実のものとなり、このシステムは直ちに廃止された。そして、ジョンは未来に向かって再び歩き出すのだった。
映画『マイノリティ・リポート』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
新たに発明された近未来的な安全システムに基づいて、物語が展開していく。タッチパネルでの操作など、この当時に作られたとは思えない程、未来的表現が秀逸である。主人公であるジョンが自ら、リオクロウという人間を殺すという予知を受け、その過ちを証明する為に行動していくのだが、リオクロウの素性が分かっていくにつれ、ジョンの予知が現実のものへと近づいていく。結果、ジョンはリオクロウを殺害する事は無かったが、変な話この予知での映像が無ければ、ジョンはリオクロウを殺害していたのではないだろうか。ラストに向かう展開は非常に見物である。(男性 30代)
2002年に公開した作品だが今見ても全く古い感じはせず、近未来の設定の精密さにとても驚いた。ストーリーもSFはもちろんのことアクション映画やミステリーとしても十分楽しめるものになっているので、幅広い層におすすめ出来る作品だと思った。
主演のトム・クルーズの存在感はやはり絶大で、色々なエピソードが詰め込まれていても引き締まった映画に出来上がっていてさすがだと思った。(女性 20代)
本作は、犯罪を予知できるようになった近未来、犯罪予防局で働くジョン(トム・クルーズ)自身が突然容疑者となってしまい、容疑を晴らす為に奮闘するSFサスペンス作品。
2002年公開の作品だが今観ても違和感がなく、当時このような近未来の世界観が巧妙に作りこまれていることに驚愕した。
殺人予知能力者プリコグの人権を無視した行動には恐怖を感じた。
また、このような世界が本当にやってくるのではないかとさえ思った。
長時間だが、設定が興味深くてあっという間だった。(女性 20代)
皆大好きフィリップ・K・ディックの作品を元にした映画。知る限りフィリップ・K・ディックの本自体にはすっきりさっぱりハッピー・エンドというものはあまりない気がするのだが、今作はスピルバーグのおかげかエンターテイメント作品としてクリアな結末が用意されていて良かった。
描かれている近未来の世界の数々の「未来ガジェット」に目を奪われるが、作品の根底にあるのは「未だ犯していない犯罪で裁かれる危うさ」のような気がする。そしてそれは未来のことではなく、現代への警笛であろう。(男性 40代)
流石スティーンブン・スピルバーグ監督のSFサスペンスというべきか間延びせず飽きの来ない作品。細かな点で矛盾点や気になる点はあるものの幅広い年齢層が楽しめるエンターテインメントに昇華しているのは流石としか言いようがない。
主演のトム・クルーズのアクションも見ごたえがある。それにトムの子供を思う演技がとても良くできていて感情移入させられてしまう。黒幕とその脆弱なシステムに若干首をかしげたくなるが全体的に面白かった。(男性 30代)
「犯罪を起こす前に逮捕する」という設定だけでワクワクさせられましたが、実際に観てみると、予知と運命の矛盾、自由意志の問題まで深く突きつけられて非常に考えさせられる内容でした。トム・クルーズ演じる主人公が、自分が“未来の犯人”として指名される展開は衝撃的で、一気に物語に引き込まれました。予知された未来を変えることができるのか?という問いに対するラストの答えが、希望に満ちていて良かったです。(20代 男性)
スピルバーグ監督の映像表現にまず驚きました。未来のテクノロジー描写が斬新で、特に指先で操作する透明なディスプレイや網膜認証など、現在の技術の先取りをしていて感心しました。物語自体もただのSFアクションではなく、人間の意志やシステムの危うさといったテーマがしっかり描かれていて見応え十分。アガサの存在が物語に深みを与えていて、彼女の静かな存在感が最後まで印象的でした。(30代 女性)
原作ファンとしては大胆にアレンジされた脚本に驚きましたが、それでもテーマの核をきちんと残している点は評価したいです。人間が「未来を変える力を持っている」というメッセージに共感。スピルバーグらしいエンタメ性と思想性のバランスが素晴らしく、未来社会の怖さと魅力が同時に描かれていたと思います。トム・クルーズの疾走感あるアクションも健在で、最後まで緊張感を持って観られました。(40代 男性)
途中まで単なる逃亡劇かと思っていたけれど、どんどんストーリーが深まり、ラストには予想もしなかった真相が明かされてビックリしました。特に、予知能力者の「マイノリティ・リポート」という存在がキーになっていて、人間の判断のあいまいさや正義とは何かを問いかけられる構成になっているのが秀逸でした。アクションも見ごたえがあり、SF初心者でも楽しめると思います。(20代 女性)
トム・クルーズが演じる主人公ジョンのキャラクターにとても共感できました。息子を失った過去から、正義に執着するようになり、それが皮肉にも自分自身の運命を狂わせていくという展開に心が痛みました。アガサとの交流も感動的で、彼女の力に頼るだけでなく、最終的には自分の意志で未来を切り開こうとするジョンの姿に胸を打たれました。哲学的なテーマと娯楽性の融合が見事でした。(30代 男性)
映画『マイノリティ・リポート』を見た人におすすめの映画5選
インセプション
この映画を一言で表すと?
“夢の中の夢”で潜在意識に潜り込む、知的で刺激的なSFサスペンス!
どんな話?
他人の夢に潜り込み、アイデアを盗むという特殊技術を操る男が、「夢の中に新たな発想を植え付ける」というミッションに挑む。現実と幻想の境目が曖昧になる中で、主人公の過去と向き合っていく。
ここがおすすめ!
緻密な構成と圧倒的な映像美、そして“意識の階層”をめぐる深いテーマが魅力。『マイノリティ・リポート』と同様に、個人の選択とシステムとの対立を描いた心理SFの傑作です。思考型映画が好きな方にぴったり。
ブレードランナー 2049
この映画を一言で表すと?
人間とAIの境界を問う、哲学的で美しい近未来SF。
どんな話?
人造人間“レプリカント”を狩る任務を負う青年Kが、自らの存在の意味に疑問を抱き、禁じられた真実に近づいていく。前作『ブレードランナー』の30年後を描いた続編でありながら、新たな物語としても秀逸。
ここがおすすめ!
未来社会の倫理、記憶の曖昧さ、存在のアイデンティティといった深いテーマが『マイノリティ・リポート』と通じる部分。視覚的に美しく、重厚で静かな余韻が残る作品です。映像美重視のSFファンにおすすめ。
アイ,ロボット
この映画を一言で表すと?
AIが支配する未来で起こる“人間 vs ロボット”の反乱劇!
どんな話?
2035年、ロボットが日常生活に浸透した社会で、一体のロボットが殺人事件の容疑者となる。ウィル・スミス演じる刑事が事件を追ううちに、人間とAIの関係に潜む真の危機に直面する。
ここがおすすめ!
『マイノリティ・リポート』同様、テクノロジーに支配された社会の危うさと、“自由意志”の重要性を描いた作品。テンポの良いアクションと哲学的なテーマが融合し、誰でも楽しめるSFエンタメです。
ガタカ
この映画を一言で表すと?
遺伝子で人生が決まる世界に抗う、“努力と夢”の近未来ドラマ。
どんな話?
遺伝子操作によって生まれた優秀な人間が成功する未来社会で、自然妊娠によって生まれた青年が、身分を偽って宇宙飛行士を目指す。夢と不平等をテーマに描かれる静かで力強い物語。
ここがおすすめ!
選ばれし者だけが成功する社会への痛烈な風刺。『マイノリティ・リポート』と同じく、“個人の可能性”をめぐる物語が胸を打ちます。エンタメ性よりもじっくりと味わうSFを観たい人におすすめです。
イーグル・アイ
この映画を一言で表すと?
全てを監視するAIに操られた男が、国家の陰謀に挑むサスペンスアクション。
どんな話?
突然、正体不明のAIから指示を受けることになった青年ジェリー。彼は知らぬ間にテロの容疑者にされ、国家規模の陰謀に巻き込まれていく。現代的なテクノロジー社会の恐怖を描いたスリリングな一作。
ここがおすすめ!
監視社会、AIによる管理といった『マイノリティ・リポート』の要素を、よりスピーディーで派手なアクションで楽しめる作品。ハラハラドキドキしながら近未来の危機を体感したい人に最適です。
みんなの感想・レビュー
殺人を予知し犯罪を防ぐシステム、というそれ自体に何か矛盾と危険が内包されているものがテーマという難しい映画だが、特にわかりにくい点などもなく、単純にドキドキハラハラ楽しめる。トム・クルーズは安定の格好良さだし、映像技術もさすがドリームワークス、卓越している。ストーリーも終わり方が弱いとは書いたが消化不良とまではいかず、きちんと終結を迎えている。
大きな感動を呼んだり心に刺さる作品ではないが、全体的にどの点から見ても高得点、例えるなら優等生のような作品である。
①さすがスピルバーグ
さすが、という言葉がふさわしい、近未来をしっかりと描き切った力強いストーリーだった。とにかく設定が面白い。殺人予知によってすべての殺人が予防されるというのは、なるほどと思えるようでどこか矛盾をはらんだものとなっている。それに対してのめりこんでいるジョンというキャラクターが、自分が殺人者だと予知されて驚愕するというのは、実に人間らしく、主人公に感情移入している観客たちも一体どうなるのか頭がぐるぐるしてくる。
ミッション:インポッシブルばりにトム・クルーズの独壇場なのかと思いきや、意外にいい味を出しているのがプリコグたちだ。近未来的で独特な風貌に、薄幸そうなふるまい、彼もある意味被害者であることが伝わってくる描き方はとてもよかったと思う。
②近未来のかっこよさ
今でこそ、様々な映画で描かれ、現実味も増してきた技術かもしれないが、この映画が公開された2002年、空中にスクリーンを展開したり、眼球によって認証されたり、空飛ぶ球体が追跡してきたり、と最先端(と思える)技術がてんこもりで、わくわくし通しだった。そういったものに慣れた今見ると新鮮味は欠くかもしれないが、それを使いこなすトム・クルーズがとにかくかっこいいので一見の価値ありがと思う。
③終わり方がインパクトに欠ける
プリコグたちの予知のシーンや、主人公が犯罪者だと言われ追われるシーン、他人の眼球を用いて逃走したり、ととにかく前半にインパクトのあるシーンが詰め込まれすぎているので、後半少しインパクトに欠ける。パージェスが悪そうなのはなんとなく察しが付くし、ウィットワーが死にキャラであることも読めてしまうからかもしれない。
個人的にはクロウを殺さず踏みとどまったあたりが山場の様に感じた。