この記事では、映画『春夏秋冬そして春』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『春夏秋冬そして春』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『春夏秋冬そして春』の作品情報
出典:https://video.unext.jp/title/SID0063052
製作年 | 2003年 |
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上映時間 | 102分 |
ジャンル | ヒューマンドラマ ロマンス |
監督 | キム・ギドク |
キャスト | オ・ヨンス キム・ジョンホ ソ・ジェギョン キム・ヨンミン キム・ギドク |
製作国 | 韓国 ドイツ |
映画『春夏秋冬そして春』の登場人物(キャスト)
- 和尚(オ・ヨンス)
- 湖に浮かぶ小さな島にある寺に小坊主と一緒に住んでいる。小坊主に様々なことを教え、時には厳しく身を持って体験させる。1度は出て行き、成長した小坊主が帰ってきた時も温かく迎え入れる。
- 男(小坊主:キム・ジョンホ / 青年:ソ・ジェギョン / 成人:キム・ヨンミン)
- 和尚と共に寺に住む幼い男児。成長するにつれ様々な悩みに直面するが、その度に和尚からの厳しい教えで乗り越えていく。
映画『春夏秋冬そして春』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『春夏秋冬そして春』のあらすじ【起】
春。湖に浮かぶ小さな島には寺があり、そこには和尚と小坊主が住んでいた。和尚たちの移動手段は一隻の小さな舟だけであった。寺から少し行った先の小島へ降りた2人はそれぞれ用を足す。
小坊主は湖を泳ぐ魚や空を飛び回る蝶、色々なものに興味津々であった。ある日和尚は、小坊主が魚に石を括り付けて遊んでいるのを見つける。その後も黙って様子を見ていると、魚以外にも蛙や蛇などにも石を括り付けて楽しそうに遊んでいるようだった。
和尚は手頃な石を川辺で拾うと、寝ている小坊主に括り付ける。翌朝目を覚ました小坊主は、括り付けられた石を見て、泣きながら外してほしいと和尚に頼む。和尚は、同じように魚や蛇も苦しんでいると教え、昨日石を括り付けていた生き物たちを助けてこいと言う。もしも1匹でも生き物が死んでいた場合は、心の中に石を抱えて生涯を生きろと厳しく教えるのであった。
結局、小坊主が石に括り付けた魚は死んでしまっていた。小坊主は申し訳なさそうに魚を土へと埋めると、まだ生きていた蛙を助けてやる。最後に血を流しながら死んでしまった蛇を見つけた小坊主はたまらず泣き出す。その様子を和尚はじっと見つめていた。
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映画『春夏秋冬そして春』のあらすじ【承】
夏。小坊主は少年へと成長していた。そんなある日、寺に1人の少女がやってくる。少女は病気療養のために寺に来たようであり、しばらく寺に滞在することになる。
やがて少年は少女を異性として意識し始める。少女もまんざらでもない様子であり、2人は和尚の目を盗んで身体を重ねる。
ある日、彼らは寝床を抜け出し舟で身体を重ねてそのまま寝落ちしてしまう。目を覚ました和尚は、舟の上の2人を見つけると舟を手繰り寄せ、舟の栓を抜く。舟に水が入ってきたことに驚いた2人は目を覚ます。
和尚に謝罪に行く彼らに、和尚は少女の病気はどうかと尋ねる。良くなったという少女に、ならば立ち去れと言い放つ。必死で止める少年に、欲望は執着を呼び、執着は殺意を呼ぶだろうと和尚は諭すのであった。
舟で去ってしまう彼女を見つめながら少年はむせび泣く。結局少年は少女のことが忘れられず、仏像と鶏を持って寺を出て行くのであった。
映画『春夏秋冬そして春』のあらすじ【転】
秋。和尚が寺で新聞を読んでいると、30代男性、妻を殺し逃走。と書かれた記事を発見する。そこに写っていた顔写真はかつての少年であった。和尚は天を仰ぎ複雑な表情を浮かべている。
そんな和尚のもとに彼が現れる。和尚のもとに逃げてきたのだ。和尚は大きくなったと声を掛け、快く寺へと彼を招き入れるのであった。幸せに暮らしているか?と問う和尚に、ほっといてくださいと声を荒げる男。妻に浮気をされてしまったそうだ。
怒りと悲しみに打ちひしがれる男は、仏像の前で自殺を図ろうとする。その様子を目の当りにした和尚は、目を覚ませと男を竹刀で何度も殴りつけるのであった。
和尚は人を殺めたからといって自分を殺めてはならないと男に言うと、この文字をナイフで刻み怒りを消せと、般若心経を床に手彫りさせる。
そこに刑事が訪れる。動揺する男であったが、和尚は落ち着いた様子で刑事を寺へと連れてくる。心を鎮める般若心経であり、終わるまで見守ってほしいという和尚の言う通りに刑事はそっと見守る。
翌朝、般若心経を彫りきったのを見届け、刑事たちは男を連れて舟で去っていく。和尚はその後、自らの寿命を悟り、焼身自殺するのであった。
映画『春夏秋冬そして春』の結末・ラスト(ネタバレ)
冬。すっかり年老いた男は寺に帰ってくると、和尚が自殺した舟に手を合わせ、凍った湖から和尚の遺骨を拾い上げる。そして、男は氷で仏像を彫り、和尚の残した書物をもとに毎日修行に励む。
そんな男のもとに、1人の女が小さな子供を連れて現れる。女は顔をスカーフで全て覆っており、顔を見ることができなかった。女は泣きながら仏像に何度も頭を下げ、気が付くと子供の傍で眠っていた。
女はスカーフを1度取り、強く巻きつけると、子供を置いて寺をあとにする。泣きながら足を進めた女であったが、凍った湖の割れたところに落ちてしまい、そのまま沈んでしまう。
翌朝幼い子供は泣きながら湖の上を伝い歩く。男はその様子に気が付くと慌てて子供を抱き上げる。男は氷の下に女の死体を見つけると、そっと引き上げるのであった。そして男は背中に大きな石を括り付け、仏像を抱えて山を登る修行を行う。
春。和尚となった男の傍には女が捨てた男の子が小坊主となっていた。小坊主はカメに石を括り付けて遊んでいる。
映画『春夏秋冬そして春』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
針で刺されたような静かな衝撃が心に残る作品。少年が師匠と共に四季を生きるその姿には、命の循環と人の業が色濃く映し出されている。特に秋のシーンで青年が師匠を殺める瞬間、自然と人間の怒りが混じり合うようで胸が苦しくなった。最後、老僧となった師匠が湖面に落ち葉を流すあの儀式は、すべてを赦し浄化する希望のようにも思えた。(20代 男性)
禅寺を舞台に一年を巡る物語は、まるで一幅の絵画のよう。春の子どもの無邪気さから始まり、夏の初恋、秋の挫折、冬の孤独と、人生の縮図が映像の中で静かに展開する。特に、青年が師の弟子を射殺してしまう場面には胸が張り裂けそうに。だが最後に再び春が来ることで、人は再生できるのだと教えられた。(30代 女性)
宗教的でありながら哲学的、人間ドラマでもある稀有な一本。春夏秋冬…季節の移り変わりが、主人公の心理の成長と相まって重層的に響く。秋、師を裏切る罪を犯してからの冬の苦悩は心に刺さる。そして最後、湖に刻まれる落ち葉の円環は“救い”以上に“許し”を感じさせ、鑑賞後も余韻が続いた。(40代 男性)
女性の目線から見ても、自然と人の感情のリンクが美しく映る作品でした。初恋の切なさも、許されない罪の苦悩も、すべてが季節とともに彩られていく様には感動しました。晩年の師匠が青年に最後の教えを与える場面では涙がこぼれそうに。人と自然の融合を詩的に描いた名作です。(20代 女性)
韓国映画の枠を超えた普遍的な叙情美に圧倒されました。夏の少年が湖に落ちるシーンから始まり、秋の別れ、冬の試練、そして春の再生へ…その流れに自然と共鳴する人間の営みが刻まれている。特に青年が湖に師匠を葬るシーンは忘れられない。美と業が共存する映像詩だと思います。(50代 男性)
観る者を選ぶ映画ですが、その静謐さと深さには説得力がある。冒頭の子どもが湖で遊ぶシーンと、最終章で教師となった自身の穏やかな演技がリンクする構成に鳥肌がたちました。季節ごとに変わる自然の中で、人はどのように生き、赦し、再び生まれ直すのか。そんな問いかけを静かに行う映画です。(30代 女性)
春夏秋冬とともに人の生と死、赦しと償いが描かれる本作は、まさに映像詩。秋に師を射殺する瞬間の静寂さ、その後の冬の苦悩と、季節だけでなく人の心の気候まで感じさせる。最後に湖に戻る青年の姿を見て、自分の人生もまた巡り続けるものだと実感しました。(40代 男性)
青春と老い、罪と贖罪が美しい四季の流れに絡む、深い静寂の中の人間ドラマ。初恋の甘美さも、裏切りの痛みも、歳月とともに風化し再生していく描写が胸に染みる。最後の場面では、「すべては巡り、また始まるんだ」と心が静かに解放されるような感覚を覚えました。(20代 男性)
映像美に惚れ込まれました。緑の木々、雪の白、紅葉の赤、そして湖面の静けさ…。その中で育つ主人公と師匠の関係が、言葉よりも映像で語られていく。殺意が雪原に響く秋のシーンには強い衝撃があったけど、最後の春で蘇る生命力には心救われた。普遍的な静けさが嬉しい映画。(50代 女性)
宗教的寓話として読み解くのもいいし、人間ドラマとして感じるのもいい珠玉の映画。春夏秋冬を通じて主人公が成長し、罪を犯し、そして赦されていく構成が見事。特に湖の落ち葉の円環は、「巡り巡る命」のメタファーとして深く印象に残りました。観終わって心が浄化されたような作品です。(30代 男性)
映画『春夏秋冬そして春』を見た人におすすめの映画5選
サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜
この映画を一言で表すと?
「喪失」と「受容」を静かに見つめる、現代の悟りの物語。
どんな話?
ヘヴィメタルドラマーのルーベンは、突如聴覚を失い、音のない世界に放り込まれる。回復への望みと、現在を受け入れる心の葛藤の中で、彼は自分自身と向き合うことになる。音と静寂が語る、魂の再生の物語。
ここがおすすめ!
『春夏秋冬そして春』のように、沈黙の中で人生と向き合う感覚が全編にわたって漂います。音のない時間がもたらす心のざわめきと平穏が美しく描かれており、自分を見つめ直したくなるような映画体験ができます。
リトル・フォレスト
この映画を一言で表すと?
食と自然と共に生きる、心と体の再生記。
どんな話?
都会の生活に疲れた主人公が、故郷の山村に戻り、自給自足の生活を送りながら日々を見つめ直していく。四季折々の食と風景が織りなすシンプルな暮らしの中に、人生の豊かさが静かに描かれる。
ここがおすすめ!
四季を通して描かれる生活と成長の物語は、『春夏秋冬そして春』とまさに共鳴します。美しい自然と丁寧な暮らしが、観る者の心をゆっくりとほぐし、忙しい日常の中で忘れがちな“生きる喜び”を思い出させてくれます。
アンダー・ザ・ツリー
この映画を一言で表すと?
日常の裂け目から吹き出す人間の業を描く、黒い寓話。
どんな話?
一見平和なアイスランドの住宅街。隣家の木の影がきっかけで、徐々にエスカレートする隣人同士のトラブルが、静かに狂気と暴力へと変わっていく。自然と人間の関係を通じて、社会のひずみをあぶり出す作品。
ここがおすすめ!
自然の中で静かに描かれる“罪と赦し”というテーマは、『春夏秋冬そして春』に通じます。美しい映像とは裏腹に、内面に潜む黒い感情が際立ち、人間の業と滑稽さを浮かび上がらせる、独特な緊張感が魅力です。
ブランカとギター弾き
この映画を一言で表すと?
孤独な少女が奏でる、路上の小さな奇跡。
どんな話?
母親を買うためにお金を貯めるストリートチルドレンの少女・ブランカ。盲目のギター弾きとの出会いをきっかけに、彼女の世界が少しずつ変わっていく。喪失と希望が混じり合う、温かくも切ない物語。
ここがおすすめ!
社会の片隅で生きる少女の視点と、静かな風景、最小限のセリフで語られる感情表現は、『春夏秋冬そして春』と同じく“静けさの中の強さ”を感じさせます。シンプルな美しさと純粋さが胸を打ちます。
ザ・レヴェナント:蘇えりし者
この映画を一言で表すと?
壮絶な自然の中で、生きる意味を問う“原始的叙事詩”。
どんな話?
19世紀、極寒のアメリカ原野で仲間に裏切られ瀕死となった男が、壮絶なサバイバルの果てに復讐と再生の旅に出る。レオナルド・ディカプリオの魂の演技と、苛酷な自然の中で繰り広げられる人間の強さが際立つ。
ここがおすすめ!
『春夏秋冬そして春』と同様、自然と人間の関係性が作品の核。セリフは少なく、圧倒的な映像と呼吸のような演出で観る者を物語の奥深くへと引き込みます。自然の中で己と向き合う映画が好きな方に最適です。
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