漫画、ドラマ版共に大ヒットを収めた大人気シリーズがとうとうスクリーンに。ドラマ版に引き続き、主演を務めるのは菅田将暉。舞台は東京を飛び出し広島へ。久能史上最大の事件が幕を開ける。
映画『ミステリと言う勿れ』の作品情報
- タイトル
- ミステリと言う勿れ
- 原題
- なし
- 製作年
- 2023年
- 日本公開日
- 2023年9月15日(金)
- 上映時間
- 128分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
サスペンス - 監督
- 松山博昭
- 脚本
- 相沢友子
- 製作
- 大多亮
沢辺伸政
渡邉万由美
市川南 - 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 菅田将暉
松下洸平
町田啓
太原菜乃華
萩原利久
鈴木保奈美
遠藤憲一
でんでん - 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
映画『ミステリと言う勿れ』の作品概要
『BASARA』や『7SEEDS』などで知られる漫画家田村由美。そんな彼女が2018年より連載を開始し、第67回小学館漫画賞一般向け部門も受賞した新たな代表作がこの『ミステリと言う勿れ』。元々菅田将暉は本シリーズのファンであり、本作への出演を快諾。結果、菅田将暉は東京ドラマアワードで主演男優賞を獲得するなど、久能整は菅田将暉の新たな代表作となった。興味深いのが本作のタイトル『ミステリと言う勿れ』。カテゴリー分けとしてはミステリーに分類されている本シリーズであるが、作者の「ミステリーなんて書けない!」という思いからこのようなタイトルになったという。作者である田村由美のチャーミングな一面が垣間見えるエピソードである。しかし、そうは言いつつも本作のミステリーとしての側面も勿論一流。本作でも、莫大な遺産をめぐり恐ろしい殺人事件が勃発する。
映画『ミステリと言う勿れ』の予告動画
映画『ミステリと言う勿れ』の登場人物(キャスト)
- 久能整(菅田将暉)
- 独特な考え方を持つ大学生。その着眼点で様々な事件を解決してきた。
- 車坂朝晴(松下洸平)
- 狩集家の顧問弁護士。汐路から高い信頼を受ける。
- 狩集汐路(原菜乃華)
- 名家、狩集家の娘。久能にバイトと称して遺産相続に関する謎を持ちかける。
映画『ミステリと言う勿れ』のあらすじ(ネタバレなし)
一見どこにでもいる普通の高校生、久能整。そんな久能は最近奇妙な事件に度々遭遇していた。事件の一つで、犬童我路という不思議な青年との出逢いを果たした久能。今では消息不明となっている犬童であったが、ある日、彼を知るという女子高校生、狩集汐路が久能に接触してくる。狩集は代々続く由緒正しいお家柄だが、とある忌まわしき事件が続いていた。その莫大な遺産相続の場で、代々親族が不幸な死を遂げてきたのだ。遺産を手にするためには、相続候補者達で遺言書に記された謎を解くしかない。彼女に連れられる形で共に広島へと旅立った久能。そして、巨大な狩集家を舞台に久能史上最大の事件が幕を開けるのだった。
映画『ミステリと言う勿れ』の感想・評価
田村由美ワールド
大人気漫画家田村由美。その魅力は、どこまでと続いていく広い世界観と柔らかい繊細なタッチの絵柄。何よりも彼女の凄まじい点は、80年代から活躍しているベテラン漫画家でありながら、現在も尚厳しい漫画業界の第一線に立ち続けていること。現代の若者にも刺さる感性を失わないその姿勢には頭が下がる。これだけの名作の数々を生み出し続けている田村由美であるが、意外にも劇場版作品が制作されるのは今回が初となる。本作のヒットをきっかけに、これまで彼女が世に送り出してきた名作の数々が新たに劇場版として陽の目を見ることもあるかもしれない。その先駆けとなれるか、本作のヒットが期待される。
大人気、広島編
近年、漫画作品を原作としたドラマ作品は多い。本シリーズもその一つで、原作漫画も多くのファンから愛されている。この『ミステリと言う勿れ』では、数多くの印象的な事件が巻き起こる。それらの中でも原作ファンから非常に高い人気を誇るのが、この広島編。遺産を取り巻く多くの不思議な謎の数々、名家に伝わる血に塗れた歴史。魅力的な要素の数々が、視聴者を虜にした。その後にも次々と事件に巻き込まれていく久能だが、これ以上劇場版に相応しい時間はないように思われる。テレビシリーズも、原作に非常に忠実に制作されている。原作の大人気チャプターを、見事再現してみせることができるだろうか。
俳優陣の怪演
ドラマ版『ミステリと言う勿れ』を語る上で外すことができないのは出演俳優陣の怪演。ドラマ版でも多くの名シーンが誕生したが、特に印象的なのが煙草森役を演じた森下能幸。詳細は避けるが、純粋な笑顔で「またやろうと思いました」と口にした姿に、多くの視聴者が言いようのない恐怖を覚えた。ミステリー作品には、常人では理解の及ばない、殺人者の抱く狂気が必要不可欠。それらが深ければ深いほど、より事件は凄惨なものとなり視聴者は惹き込まれるのだ。本作でも、松下洸平や鈴木保奈美など豪華キャストが勢揃い。一体本作では、誰の怪演が見られるのか。今から期待が集まる。
映画『ミステリと言う勿れ』の公開前に見ておきたい映画
金田一少年の事件簿 上海魚人伝説
主人公である探偵役がまだ学生の青年、次々と主人公らを襲う連続殺人事件。さらに、劇場版となり地元を飛び出すというスケールアップを見せる点も、本作と最新作は共通している。最新作同様漫画を原作としており、これまでアニメ化、アニメ映画化、ドラマ化と様々なメディア展開がなされてきた名シリーズ『金田一少年の事件簿』。主演を務めたのは若かりし頃のKinKi Kids堂本剛。堂本剛は実写版初代金田一一を担当しており、本作はドラマ版を経た上での初の劇場版となる。舞台となったのはタイトルからも分かるように上海。後に彼が、「あのシリーズのロケは過酷だった」と語る内容とは。
詳細 金田一少年の事件簿 上海魚人伝説
ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
ミステリー作品において、遺産相続が連続殺人事件のキッカケとなることは少なくない。金は人を狂わせる。大金が手に入るかもしれないという欲望に負け、通常では考えられないような狂気に走ってしまうのだ。最新作も本作も、そんな連続殺人事件をテーマとしている。主演は、007シリーズで知られるダニエル・クレイグ。同シリーズではどこまでもハードボイルな役柄を演じ続けていた彼だが、本作では訛りの強いお茶目な探偵役に挑戦。これまでとは一風変わった、どこか楽しげな新しいダニエル・クレイグに注目。舞台は世界的に有名なミステリー作家、ハーランの居宅。突如非業の死を遂げたハーランの遺産を巡り、遺産相続候補者達が水面下で動き出す。
犬神家の一族(1976)
シャーロック・ホームズやエルキュール・アポロ、ミス・マーブルなど、著名な名探偵達は世界中に多く存在する。そんな彼らと肩を並べる、日本を代表する探偵キャラこそが金田一耕助。後にその孫を主役としたシリーズも大ヒットを博すなど、様々なメディア展開がなされている。そんな金田一シリーズの中でも、最も知名度が高いのがこの『犬神家の一族』だろう。水面から足だけが突き出た印象的なシーンなどでも有名。最新作同様、こちらも名家で起こる遺産を巡った殺人事件をテーマとして描かれている。金は人を狂わせる。次々と本性を表していく親族達の中で、一体犯人は誰なのか。
詳細 犬神家の一族(1976)
映画『ミステリと言う勿れ』の評判・口コミ・レビュー
『ミステリと言う勿れ』を鑑賞。ドラマ版のファン必見の見事な劇場版だった。遺産相続を巡る争いの物語からやがて一家にまつわる思っても見なかったドス黒い闇が出てくる展開がゾクゾクして面白い。犯人造形の気持ち悪さやその犯人のやる事のえげつなさも良かった。 pic.twitter.com/QSy23BBfA3
— Keita (@movielove0328) September 17, 2023
『ミステリと言う勿れ』
邦画において「TVドラマの映画版」ほど地雷臭が漂うものはないところ、今作はその地雷原を軽やかに飛び越え、独立した「映画」の領域に達している。
「日本家屋」という限定された場所ながら、リッチな撮影と照明によって全く飽きがこない。菅田将暉も相変わらずの職人肌。 pic.twitter.com/zqrG8vpgYV— suzu (@nezimaki49081) September 15, 2023
『ミステリと言う勿れ』鑑賞
WEB広告で面白そうだな〜と思って漫画アプリで読んでからめちゃくちゃ面白くてハマったらドラマ化されてドラマも面白かったんですよね原作にあったけどドラマでは飛ばされた広島編の映画化
ストーリーは原作と一緒なので犯人は分かってる状態で見たけどやっぱり面白い pic.twitter.com/DaCHmkshTY— ブンブン丸 (@fantsia_1992) September 17, 2023
2023年307本目『ミステリと言う勿れ』鑑賞
大傑作…今どき謎解きミステリーかと思ったら中盤から悪しき風土が顔を魅せる市川崑先生もビックリの残虐ミステリー映画の傑作…主人公がおしゃべりって言う割に喋ってなかったけどフラリと現れ謎を解いて帰っていく金田一スタイルは大好きです pic.twitter.com/zMAyPKVcS4— 空翔ぶギロチン (@moviekoala) September 15, 2023
『ミステリと言う勿れ』
軽妙な導入部はそれなりに楽しんだものの、中盤以降のそれは無理やろな展開と永遠に説明台詞が続く謎解きパートはまあまあ苦痛。たまに良い事を言う整くんや細かな伏線回収があったもののモヤモヤしかない結末で万事帳消し。悪い評判しか聞かなかった予告編よりは見られるが… pic.twitter.com/RAIsWSSPJN— ⁂ ⌘ 背 骨 ⌘ ⁂ (@sebone_returns) September 16, 2023
映画『ミステリと言う勿れ』のまとめ
本シリーズのヒットを語る上で、菅田将暉の存在は必要不可欠。勿論、菅田将暉が超一流の実力派俳優であることは既に周知の事実である。元々大人気漫画、それもこれまで数多くのヒット作を世に送り出してきた田村由美作品の実写化ということで、本作への注目度は非常に高かった。そこで問題になるのが、誰を主役久能整役に据えるのか。久能整は、非常に難解なキャラクター。基本的に無表情、発言自体は多いものの感情を相手に中々悟らせない不思議な雰囲気を纏っている。独特の感性、世界観を持ち周囲を困惑させる。勿論その不思議さが彼の大きな魅力なのだが、その雰囲気を再現するには並大抵の俳優では難しい。そこで白羽の矢が立ったのが菅田将暉なのである。そして、その期待に見事応えてみせた菅田将暉。スクリーンでも、その唯一無二の存在感に期待したい。
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