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映画『時をかける少女(1983)』あらすじネタバレ結末と感想

映画『時をかける少女(1983)』の概要:『時をかける少女(1983)』は、筒井康隆の短編小説を元にした、原田知世主演の大林宣彦監督作。ロケ地は大林監督の出身地である尾道市がメインで、「尾道三部作」の第二作目である。

映画『時をかける少女』 作品情報

時をかける少女

  • 製作年:1983年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:SF、コメディ、青春
  • 監督:大林宣彦
  • キャスト:原田知世、高柳良一、尾美としのり、上原謙 etc

映画『時をかける少女』 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

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映画『時をかける少女』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『時をかける少女(1983)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『時をかける少女』 あらすじ【起・承】

半日授業の土曜の放課後、理科室の掃除中、芳山和子は実験室から物音がすることに気付く。
しかし実験室に人影はなく、何かの実験中の器具があるだけだった。和子はフラスコから漂うラベンダーの香りの湯気を吸い、倒れてしまう。

同じ理科室の掃除当番で仲の良い深町と吾朗が和子を保健室に運ぶ。
目が覚めた和子は実験室が妙だったと語るが、深町と吾朗が見たときには実験器具などなく、片付いていたという。

これ以降、和子は自分だけ時間の感覚がおかしくなっていることに気付く。
ある日の夜、地震が起こった。吾朗の自宅の醬油屋が火事だと知り、和子は急いで向かう。しかし火元は別の建物で、ボヤ程度で済んだ。そこには深町も来ており、彼はパジャマ姿のままだった。

翌朝、和子は寝坊して急いで学校に向かうが、吾朗と合流した途中の道で瓦礫が崩れてくる。とっさに吾朗を庇うと、和子は次の瞬間ベッドにいた。なんだ、夢だったのだと思った和子は、朝食を食べて余裕をもって学校に出かけるが、誰も昨夜の火事のことを知らなかった。
その日の授業は昨日と同じことの繰り返しで、和子は自分がおかしくなってしまったのだと思う。
その日、深町に相談すると、和子はタイムリープしたのだという。

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映画『時をかける少女』 結末・ラスト(ネタバレ)

深町の自宅で、和子は幼いころの思い出にふける。ひな祭りのある日、深町と二人遊んでいた和子は鏡の破片で怪我をし、それを庇おうとした深町も怪我をしていた。
和子は今も残る手の傷痕を見て、深町にもまだあるかと確認するが、彼の手には何の傷痕も残っていなかった。

その日、やはり地震が起こり、ボヤ騒ぎもあった。翌朝、和子は崩れてくるがれきから吾朗を助けるが、なんと吾朗の手に思い出の傷痕があったのだ。

和子は不審に思い、深町の自宅を訪ねる。和子は温室のラベンダーの香りをかいで、気を失ってしまう。
目が覚めると、和子は海辺の崖にいた。深町はそこで植物採集をしていた。今起こっていることに納得ができない和子に、深町は土曜日の放課後、理科実験室にタイムリープするように言う。

和子は土曜の理科実験室を強く念じ、時間を戻った。あの日、実験室には深町がいたのだ。深町は遠い未来からやってきた薬物博士で、未来にはない植物を採集するためにこの時代に来たという。この時代で生活するため、身の回りの人の記憶をいじったこと、そして和子の中の吾朗との記憶を、自分との記憶であるように書き替えたことを話す。
全てを知られた今、和子の記憶を消さなければならないという。一緒に行きたいとすがる和子の記憶を消し、深町は帰って行った。

11年後、大学で薬学の研究者となった和子は、ある日廊下で深町とすれ違う。

映画『時をかける少女』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『時をかける少女(1983)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

『時をかける少女』の原点

筒井康隆原作の短編小説『時をかける少女』はこの前にも映像化されているが、現在に至るまで『時をかける少女』という作品をここまでの有名作品にしたのはこの映画の力だと思う。
今では細田守監督版『時をかける少女』の方が知られていると思うが、大林版を知らない世代も細田版を観て、この作品を手に取るということもあるだろう。
今でもテレビドラマ化されるなど、作品が注目され続けているのも、この映画のヒットがあったからこそだと思う。

原田知世主演、思わぬヒット

この映画の裏話はいろんなところで知ることができると思うが、大林監督はじめ制作側は、原田知世という女優の思い出としてこの作品を作ろうと思ったのだそうだ。当初、まさかここまでヒットするとは思わなかったらしい。デビュー間もない原田知世は真田広之主演作のヒロインオーディションを受けたが、惜しくもグランプリを逃して特別賞だった。しかし原田知世を気に入った角川プロデューサーが、彼女に何か映画を作ってあげたい、ということで、この作品が選ばれたのである。
デビューして間もないので演技力は当然ないし、大林監督は原田知世の目が小さいので、スクリーンの中で瞳を輝かせるために苦労したらしい。主演女優ともなると、映画のスクリーンの中でどれだけ輝くかが重要。そこに苦労した甲斐があり、こうしてヒットを記録して15歳の原田知世の姿は今も輝いているのである。

独特の撮影技法と舞台

この映画の冒頭は、モノクロで始まる。少しずつ画面に色が入り、徐々にカラーになっていくという方法は珍しい。また、大林監督作品は世界観が独特だと思うのだが、この作品も同じである。舞台となった尾道の街並みのカットはマット合成で、すこし靄がかって不思議な空間のように見える。
クライマックスの、和子が土曜の理科実験室に戻るシーンは、過去のいろんな場面が走馬灯のように流れるが、あれはスチールカメラで撮りしたものらしい。


元祖和製タイムリープ物にして、様々な意味で二度と撮れないであろう傑作。
今の若い人が観たら画面の粗が気になるかもしれない。若干唐突な展開が気になるかもしれない。役者達の棒読み感が気になるかもしれない。しかしそれら全て含めてあの時にしか撮れなかったファンタジーなのだ。それもふわふわしたファンタジーではなく、実は結構残酷な大人のファンタジーなのだ。(吾郎の扱いを見よ・・・)
一部で伝説となったトンデモなエンディングロールと合わせ、ファンタジーの許された時代に思いを馳せて楽しむ一本。(男性 40代)

映画『時をかける少女』 まとめ

細田版『時をかける少女』がさわやかで切ない青春映画だとしたら、大林版はB級青春映画である。監督が意図したところだろうが、本筋に関係ないと思われるホラーっぽい要素が随所に見られたり、謎のセリフや暗示があったりと、B級感満載なのである。
原作とも、細田版とも違う大林版『時をかける少女』。どの映像作品にもそれぞれのよさがあるが、この映画は特に強烈な印象と、原田知世、そしてユーミン作詞作曲の主題歌、『時をかける少女』といえばこれ、という印象が強い。

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