映画『ラビット・ホール』の概要:4歳の息子を不慮の事故で亡くした夫婦が、苦しみ傷つけ合いながらも再生の道を模索していく。原作は2007年にピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーの戯曲。2010年公開のアメリカ映画。
映画『ラビット・ホール』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:92分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
- キャスト:ニコール・キッドマン、アーロン・エッカート、ダイアン・ウィースト、タミー・ブランチャード etc
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映画『ラビット・ホール』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ラビット・ホール』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ラビット・ホール』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ラビット・ホール』 あらすじ【起・承】
ベッカ・コーベット(ニコール・キッドマン)とハウイー(アーロン・エッカート)夫婦は、8か月前に4歳になる息子のダニーを交通事故で亡くしていた。ダニーは庭から出た飼い犬を追いかけ道へ飛び出し、高校生のジェイソン(マイズラー・テラー)が運転する車に轢かれてしまった。
ベッカは誰に対しても素直になれず、子供を亡くした両親の会でも他の会員に辛辣なことを言ってしまう。ハウイーはベッカを刺激しないようにしていたが、彼も一人になるとスマホに保存してあるダニーの動画を繰り返し見ているのだった。2人の心はすれ違い、些細なことで喧嘩になってしまう日々が続いていた。
ベッカの妹イジーは最近ミュージシャンのオーギーと付き合い始め、妊娠する。ベッカはダニーの服を妹に譲ろうとするが、イジーはそれを断る。母親のナット(ダイアン・ウィースト)は11年前に息子(ベッカの兄)を亡くした経験があり、神の存在まで否定するベッカのことを心配していた。しかしベッカは麻薬中毒の末30歳で亡くなった兄とダニーを同列で考えようとする母親に強く反発する。
そんなある日、ベッカは偶然ジェイソンを見かけ、彼の後をつける。図書館で彼が返却した「並行宇宙」という本を借りたベッカは、ジェイソンに興味を持つ。自分を待っている様子のベッカにジェイソンから声をかけ、2人は公園で話をする。事故を起こしたジェイソンもベッカと同じく苦しんでおり、ベッカは彼の謝罪を素直に受け入れる。
映画『ラビット・ホール』 結末・ラスト(ネタバレ)
ダニーの動画がベッカのミスで消えてしまい、ついに2人は大げんかとなる。ダニーの思い出を大切にしながら新たな道を進もうとするハウイーと、ダニーの面影の残る家さえも売却したいと考えているベッカは理解しあえず、互いを傷つけ合ってしまう。
ベッカはハウイーに内緒でジェイソンと会うようになり、様々な話をする。ジェイソンが漫画を描いていると聞き、ベッカは完成したら読ませてもらう約束をする。ハウイーは会で知り合ったギャビーという女性とマリファナを吸い始める。ギャビーは8年前に子供を亡くし夫婦で会に通っていたが、最近になって夫とも破局していた。
それでもハウイーはベッカのことを愛しており、家の売却を決める。しかしダニーが家の前で事故死していることがネックとなり、オープンハウスにしても家はなかなか売れない。その日の夕方、ジェイソンが完成した漫画を持って家を訪ねてくる。ジェイソンを見てハウイーは感情的になり、彼にひどい言葉をぶつけてしまう。
ベッカはジェイソンとの出会いをきっかけに少しずつ変わり始めていた。ジェイソンの家の前で、友人たちと卒業式に出かけていく彼の姿を見つめながら、ベッカは初めて思い切り泣く。卒業式の後、ベッカはジェイソンに漫画を返す。息子が並行宇宙で暮らす父親に会いに行く「ラビット・ホール」というジェイソンの漫画を、ベッカは褒める。
帰宅後、ベッカはハウイーに親しい人たちを招いてバーベキューをしようと提案する。その先どうするかはまだわからないが、ベッカとハウイーには小さな希望の光が見えていた。
映画『ラビット・ホール』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ラビット・ホール』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
子供を亡くすということ
悲しみや喪失感には個人差があるし、何が一番悲しいかは人によって違う。それでも子供を持つ親ならば、子供に先立たれることほどつらく苦しいことはないはずだ。しかもその悲しみの形は、同じ子供を亡くした夫婦の間でも共有できない。夫婦だから支え合える、相手の痛みがすべて理解できるといった理想論ではなく、悲しみを取り除く正しい方法などないのだとこの作品は教えてくれる。
では、子供を亡くした親はどうすればいいのか。明確な答えなどないが、物語の後半でベッカの母親が語る言葉には一筋の光があった。“悲しみは消えない。しかし時間とともに変化し、その重さが変わる。重たくのしかかっていた大きな石がポケットの中に収まる小石になる。それでも、この小石に触れるたび、やはり悲しみに襲われる”要約するとこんな感じだ。さらに母親はこう言う。“息子の遺したものだから持ち続けられる”と。
ともに息子を亡くした母と娘が静かな地下室で語り合うこのシーンは、本作の中で一番印象に残った。ずっと悲しみを抱えて生きるという漠然とした状態を、とてもうまく言葉にしている。
あと一歩の何か
主演のニコール・キッドマンは製作にも関わっている。それを考えると、この作品への熱意は並々ならぬものがあったのだろう。確かに演技にも熱がこもっていた。実際に本作での演技で数多くの映画賞にノミネートされている。
しかし多くの賞にノミネートされながら主演女優賞の受賞は少ない。それもわかる。何度か彼女の演技にグッとくるシーンもあったのだが、“息子を亡くした母親の痛み”が思うように届いてこない。それには脚本や演出や他のキャストとのバランスなど、いろいろな原因があるので一概には言えないが、全体に彼女が浮き気味だなとは感じた。どうもニコール・キッドマンの演じる母親はリアリティに欠けている。母親としてはベッカの母親を演じたダイアン・ウィーストの方が、ずっと心に残る。ルックスが良すぎるというのも、役によっては損だなと思った。
映画『ラビット・ホール』 まとめ
物語はとてもわかりやすいのに、ベッカが心を開いていくきっかけとなるジェイソンの漫画の内容がわかりにくい。もとの戯曲を映画用に脚色した際、ずいぶん省いた箇所があるのかもしれない。しかし戯曲の原作者が映画の脚色も担当しているので、納得してはいるのだろうが…。とりあえず「ラビット・ホール」を読ませて欲しい。
ネット上の評価は高いようなので、日本人には好まれる作品なのだろう。個人的には“ものすごく平均点の映画”という感想で、一度見れば満足だ。
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