映画『ロスト・イン・トランスレーション』の概要:異国の地・東京で中年のハリウッド俳優と若いアメリカ人女性が出会い、互いの孤独に寄り添いながら友達以上恋人未満の関係で短い時間を過ごす。ソフィア・コッポラが監督・脚本を務めた2003年公開のアメリカ映画。
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 作品情報
- 製作年:2003年
- 上映時間:102分
- ジャンル:ラブストーリー
- 監督:ソフィア・コッポラ
- キャスト:ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、ジョヴァンニ・リビシ、アンナ・ファリス etc
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 評価
- 点数:70点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ロスト・イン・トランスレーション』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 あらすじ【起・承】
ハリウッドの映画スター、ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)はサントリーのウイスキーのCM撮影のため東京へ来る。最近は映画出演のオファーもなく、200万ドルのギャラが支払われるこの仕事はボブにとって重要だった。
しかし撮影現場で通訳がうまく機能せず、ディレクターの注文にボブはうまく答えられない。アメリカからは妻のリディアからどうでもいい伝言がやたらと届き、ボブは精神的に参っていた。疲れているはずなのに夜は眠れず、ホテルのバーで時間を潰す。
シャーロット(スカーレット・ヨハンソン)はボブと同じヒルトンホテルに滞在していた。結婚して2年になる売れっ子カメラマンの夫ジョンの仕事についてきたのだが、ずっと1人でホテルに取り残され、ボブと同じく不眠気味になっていた。
異国の地で孤独を感じていたボブとシャーロットはバーで顔見知りとなり、話をするようになる。ジョンが福岡へ出張に出た日の夜、シャーロットはボブを誘って東京の街へ繰り出す。ボブは若いシャーロットやその友人たちとクラブやカラオケで大騒ぎし、それなりに楽しい夜を過ごす。
ボブとシャーロットにはかなりの年齢差があったが、一緒にいるとなぜか落ち着き、行動を共にするようになる。
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 結末・ラスト(ネタバレ)
一緒に寿司を食べに行ったり、足を怪我したシャーロットを病院に連れて行ったりして、2人は距離を縮めていく。ホテルの部屋で飲んだ夜、ベッドに寝転がって互いの身の上話をする。シャーロットは自分の将来やジョンとの結婚生活に不安を感じており、ボブに助言を求める。しかしそれは俳優としても落ち目で、結婚して25年になる妻ともうまくいっていないボブも同じだった。それでもボブは優しい言葉でシャーロットを励ます。
東京での滞在期間を延ばすため、ボブは嫌だったテレビ出演を引き受ける。シャーロットは1人で京都へ行き、お寺巡りをする。その夜、ホテルのバーで歌っていた歌手がボブに声をかけてくる。つい深酒したボブはその歌手と一夜を共にしてしまう。
翌朝、シャーロットはボブの部屋に女がいることに驚く。その後2人はしゃぶしゃぶを食べに行くが、何となく気まずく、少し言い合いをしてしまう。その夜ホテルの火災警報が鳴り、避難場所で顔を合わせた2人はバーで少し飲む。明日はボブがアメリカへ帰る日で、2人は感傷的になっていた。しかし男女の関係に踏み込むことはせず、翌朝を迎える。
ホテルのロビーで一旦2人は別れるが、タクシーから道行くシャーロットの後ろ姿を見たボブは、タクシーを止めて彼女を追いかける。そこで初めてシャーロットを抱きしめ、2人はキスをする。切ない気持ちを抱えながらも、2人は本当のサヨナラをする。
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ロスト・イン・トランスレーション』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
日本を見られているという感覚
本作はアメリカ映画だがロケは全て日本で行われている。後半で少しだけ京都の南禅寺と平安神宮のシーンもあるが、基本的には東京が舞台だ。
不思議なもので何かと馴染みの深い東京が、なぜか異国に感じられる。それはこの映像を見ている私たちもいつの間にか“外人目線”を意識して、東京を見ているからに他ならない。普段は特に何も感じないケバケバしい電飾やごちゃごちゃした街並み、さらには人や交通量の多さまで、妙に気恥ずかしい気持ちで見てしまう。東京は確かに世界屈指の大都会だが、何だか汚い街だよな…なんて、日本人として恥ずかしくなってしまうのだ。
それとは逆に日本情緒あふれる美しい京都の風景が映し出されるとなぜかほっとする。この感情は一体何なのか…。日本映画を見ていてこんな気持ちになったことはない。おそらく、海外の人に“センスの悪い汚ねえ国だな”と思われたくないといういやらしい欲なのだろう。ある意味での愛国心なのかもしれないが、他人に自分のテリトリーを値踏みされているようで、終始心がざわついた。
ビル・マーレイと日本のオヤジ
ビル・マーレイは背が高い。188センチもある。日本のオヤジたちに混じるとさらにそのでかさが強調される。エキストラとしてビル・マーレイとエレベーターに乗っていたオヤジの集団は、絵に描いたような“日本のオヤジ”の集団だった。みんな小さい。そしてくどいようだがビル・マーレイはでかい。ここをあえて強調した狙いは何なのか?おそらく笑いを取ろうとしたのだろうが、微妙に笑えない。どちらも間抜けだったけど。
話は全然面白くない
ソフィア・コッポラ監督は本作でアカデミー脚本賞を受賞している。脚本賞を受賞しているということは、話の展開や台詞に当然期待する。しかし、話は全く面白くない。どちらかといえば、全体の雰囲気を楽しむ映画だと思うのだが…。日付通りに淡々と進む時間経過の中で、特に何が起こるわけでもなく進んで行くストーリーは、うっかりすると猛烈な睡魔に襲われても仕方がないほど退屈である。それでも眠らずに見られるのは、何となく雰囲気があるからだ。これが脚本賞とは、不思議な評価だなと感じた。
映画『ロスト・イン・トランスレーション』 まとめ
藤井隆やダイヤモンド・ユカイが登場すると知人がテレビに映った時のようなテンションになり“お!出た!”となぜか嬉しくなる。そして藤井隆の捨て身のダンスが一番笑えた。あとはイラつくぐらい前に進まない話なので、集中力を持続させるのが難しい。それでも海外での評価は高いようで、視点の違いを感じる。
ソフィア・コッポラ監督の作品とはどうも相性が悪い。父親のフランシス・フォード・コッポラ監督の作品は大好きなのに。そこは全く関係ないようだ。当たり前か。
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