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映画『きみはいい子』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『きみはいい子』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『きみはいい子』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『きみはいい子』の結末までのストーリー
  • 『きみはいい子』を見た感想・レビュー
  • 『きみはいい子』を見た人におすすめの映画5選

映画『きみはいい子』 作品情報

きみはいい子

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:121分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:呉美保
  • キャスト:高良健吾、尾野真千子、池脇千鶴、高橋和也 etc

映画『きみはいい子』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

[miho21]

映画『きみはいい子』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『きみはいい子』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『きみはいい子』 あらすじ【起・承】

新米教師の岡野(高良健吾)は中々子供と上手くつきあえない。
性格はまじめであるが、はっきりせず決断力が無い。
そして言っていることも自信無さそうに話すため、子供達からはあまり信用されず言うことも聞いてくれない。

ある日、放課後いつも校庭の隅に残っている男子を見かける。
その子は岡野がうけもっている子供だった。
雨の日も同じ場所に座っているため、送っていくことにする。
話を聞くと母親の恋人である男性が「17時まで帰ってくるな」と言うのだと言う。
自宅は木造の古ぼけたアパートで、彼氏らしき男性が玄関前にいた。
岡野が子供の食事の心配などをすると、男性は機嫌悪く大声で叫んだため気弱な岡野は帰ることにする。
しかし家の中に入った後、男性が生徒を怒鳴っている声が聞こえて心配になった。

その後、岡野は保健室に生徒をつれて行き、他の教師同席で虐待の事実を暴こうとする。
しかし悪い事を話さない生徒にいたついた岡野は、生徒の洋服をまくしあげて体の傷を見ようとした。
だが「それは学校がすることでは無い」と、親の目を気にした教師達が止めて真実は明らかにならないままである。

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映画『きみはいい子』 結末・ラスト(ネタバレ)

水木雅美(尾野真千子)は3歳の娘あやねと今日も公園へ。
そこでは気の合わないママ友とも話をしなければならなかった。
雅美は自身が虐待をうけていたため、あやねにも手を挙げてしまう。
そんな雅美と気が合って仲良くなったのが大宮陽子(池脇千鶴)だった。
二児の母をしながら適度に子供と距離をとり、明るくママ友に媚びない姿勢の人柄である。

陽子の自宅に遊びに行った際、あやねがティーカップを割ってしまい怒る雅美。
あやねはまた叩かれると思い必死で頭をかばい「ごめんなさい」と繰り返す。
「大げさにしないで」と動揺し虐待がばれにように必死で怒る雅美を陽子は抱きしめた。
実は自分も虐待をされていた子供だったのだと陽子は言った。
雅美のその態度に、きっと虐待をされているのだろうと気がついていていたのだ。
全てわかってくれた人の前で、雅美は泣いた。

佐々木あきこは独り暮らしの老人である。
スーパーで物をかばんに入れたまま、会計をせずに帰り店員に声をかけられた。
認知症なのでは無いかと不安を抱えている。

そんなある日、自宅の鍵が無いと困る自閉症の子供に声をかけられたあきこは、自宅に入れお茶を入れてあげる。
電話をして迎えに来た母親は、あの店員だった。
孤独で寂しかった毎日は、この親子により温かく満ち足りたものになっていく。

そんな障害児を抱える教室で、生徒に向き合う教師の姿を見た新米教師の岡野は学校に来なくなったあの男子生徒の家に走っていくのだった。

映画『きみはいい子』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『きみはいい子』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

気になる結末

この作品は岡野が気持ちを入れ替えて、学校に来なくなった生徒の元に向かい自宅の扉を開けるところで終わっている。
その少年は虐待によりまだ生きているのかどうなのか。
その結論は想像の範囲内で、明確に表示されていないのだ。
この終わり方が気持ち悪く、個人的には好まない。

暗く寂しい部分があるからこそ、最期はわかりやすく明るくして希望を持たせて欲しいのだ。
子供が大人から虐待させるなどと言うことはあってはならないこと。
それを自分の決意が固まったからと家まで走って行きようやく扉を開ける勇気が出ましたと言わんばかりの軽率なラストの作り方には納得がいかない。

実際に虐待が明るみになるのは一握りで、もしかしたら教師が扉を開けに来てくれるのは良いケースなのかもしれない。
それでも映画は宣伝効果がある。
それを上手くいかして虐待撲滅に繋がるような作品に仕上げてしまえば良いのにという思いが残った。

尾野真千子と池脇千鶴の名演技

ママ共同士の苦悩はメディアでも取り上げられている。
そこに虐待の事実が入ると、その大変さにさらに隠し通さねばならないことが増えてしまうのだ。
考えるだけで心の負担が大きい。
そして負の連鎖。
親から虐待をうけた子供は大人になって虐待してしまうというものである。

ここに出てくる雅美も陽子もそのうちの一人で、特に雅美はその傷を隠せてはいない。
この難しい役を尾野真千子と池脇千鶴は何の違和感も持たせず演じている。
本当にママ友の世界を覗いているかのような上手さだ。
虐待の根の深さを感じさせられるエピソードである。


タイトルの「きみはいい子」という言葉は、子どもにかける事が多いけど、大人もまた、誰かからこの言葉をかけて欲しい、というメッセージを込めている作品のように感じました。
虐待の被害に遭っている子どもはもちろん、加害者である親にも救いの手が必要で、また虐待の事実に大人が気づいても救えないこともある。自分が被害や加害に気づいたとき、何が出来るのか、そもそも何か出来るのか、考えさせられました。
自分は虐待の被害に遭ったことはないので、きっと本当の意味で寄り添ってあげられないだろうと思います。そのもどかしさもあるけれど、自分にできる事には目を背けずに行動に移せる大人になりたいと感じました。(女性 20代)


虐待という重めのテーマを描きながらも、明るい未来が見えるような終わり方をしていた今作。子供が悲しく苦しい思いをしている作品は苦手で最後まで見ていられないのですが、今作には虐待の反対側にある愛情や優しさのようなものが感じられました。
オムニバス形式の作品ですが、それぞれに繋がりがあり、ラストはとてもうまくまとまっていたと思います。自信がなかった教師が、自分の役目に気付き、勇気を出して一歩踏み出す瞬間がとても良かったです。そんなに簡単な事ではないと思いますが、少しだけ希望を感じられました。(女性 30代)


子役の俳優が皆、真に迫る演技です。外では平静を装っているけれど、家の中は問題だらけ。そんな人は少なくないと思います。万人向けの作品です。池脇千鶴の演技が圧倒的に光っていました。いつも大笑いしている、肝っ玉母さんのような存在は太陽のように眩しく、尊い。陽子が雅美を抱きしめた時、大泣きしました。日本でももっと気楽にハグし合えたら、孤独や自殺、あらゆるトラブルがぐっと減るかもしれません。愛し方を磨いていきたいです。(女性 30代)


心に静かに突き刺さる映画でした。虐待、発達障害、老老介護と、重たいテーマを複数扱いながらも、登場人物一人一人にちゃんと希望を持たせてくれる作りに感動しました。特に印象的だったのは、虐待する母親が、自分の中の苦しみに気づく瞬間。そこから救いの手が差し伸べられるラストに涙が止まりませんでした。タイトルの「きみはいい子」がこんなにも温かく響くなんて思ってもいませんでした。(20代 男性)


最初は辛くて観ていられなかったけど、途中から涙が止まらなくなりました。登場人物の誰もが「誰かに認められたい」「ちゃんと愛したい」と思っているのに、それがうまくいかずに苦しんでいる。その葛藤がリアルで胸が締めつけられました。中でも、発達障害の子どもを持つ母親の孤独と限界が描かれるシーンは、自分と重なる部分が多くて本当に辛かった。でも最後の救いに希望をもらいました。(30代 女性)


虐待というテーマは重いのに、演出が丁寧で、決して暴力的な印象ではなく、静かに心を揺さぶる作品でした。坂井真紀さん演じる母親が、泣きながら「きみはいい子」と繰り返すシーンが忘れられません。あの言葉の中には後悔、愛情、赦しがすべて詰まっていた気がします。先生役の高良健吾も素朴で誠実な演技がよかったです。誰かを傷つけてしまった経験がある人ほど刺さる作品だと思います。(40代 男性)


何気なく観たのに、心を大きく動かされました。親からの暴力を受けながらも、健気に笑おうとする子どもの姿に胸が苦しくなります。けれどこの映画は、そうした絶望の中に、ほんの少しの希望をちゃんと描いてくれている。近所の高齢女性との交流、学校の先生のまなざし、見守るまわりの人たち。その優しさに、涙が自然にこぼれました。もっと多くの人に届けたい作品です。(50代 女性)


発達障害児の担任をしていた時期があった自分にとって、登場人物それぞれが直面する苦しみがリアルすぎて、途中で何度も胸が詰まりました。母親も先生も、みんな“良くなろう”としているのに、うまくいかない苦しさ。その葛藤が伝わってきました。終盤、先生が生徒を信じて「きみはいい子」と伝える場面では、涙腺が崩壊しました。教育に関わる人には必ず観てほしい映画です。(30代 男性)


この映画は、社会の隙間で見えなくなりがちな「声なき声」に光を当てている。高齢者の孤独、母親の孤立、子どもの沈黙。それぞれが交差していくストーリー展開が見事でした。とくに、老女と近所の子どもとの交流は、観ていてとても温かい気持ちになれました。希望はほんの少しでも、誰かの行動が世界を変えることがあるというメッセージに深く感動しました。(60代 女性)


感情を大きく動かされることなく、淡々と進む物語なのに、最後には大きな感動が待っている稀有な作品。だからこそ、言葉の一つ一つが重く感じられた。特に虐待する母親が、息子に「いい子」と言うシーン、あれは本当に名場面だと思う。きれいごとではないけれど、人を信じたい、許したいと思える瞬間がきっとある。そんな思いに包まれました。(40代 男性)

映画『きみはいい子』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『きみはいい子』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

そして父になる

この映画を一言で表すと?

「血か、時間か――父性をめぐる静かな問いかけに心が揺さぶられる」

どんな話?

6年間育ててきた息子が、実は病院で取り違えられた他人の子だった――突然知らされた事実に戸惑いながらも、2つの家族が“本当の親子とは何か”を模索していく人間ドラマ。是枝裕和監督が丁寧に描く心の軌跡です。

ここがおすすめ!

感情を抑えた演出が登場人物たちの葛藤をリアルに映し出し、『きみはいい子』同様、親子関係の本質に迫ります。何気ない会話の中に、家族の愛と戸惑いが滲み出る傑作。観終わったあと、自分の家族に会いたくなります。

誰も知らない

この映画を一言で表すと?

「ひと目に触れず、静かに失われていく子どもたちの現実」

どんな話?

母親に置き去りにされた4人の子どもたちが、アパートの一室でひっそりと暮らす実話を基にした衝撃作。長男・明が弟妹を守ろうと奮闘する姿を通して、社会からこぼれ落ちた命の尊さを描きます。

ここがおすすめ!

是枝裕和監督の代表作であり、子どもたちの無垢さと過酷な現実の対比が胸を打ちます。『きみはいい子』と同様、子どもの目線から社会の冷たさと希望の光を同時に描き出しており、観る者の心に深く残ります。

万引き家族

この映画を一言で表すと?

「つながりの形は違っても、そこには確かに“家族”があった」

どんな話?

万引きをしながら日々を生きる家族のもとに、虐待されていた少女が加わり、奇妙な共同生活が始まる。法と愛情、血と心をめぐって、“本当の家族”とは何かを問いかける衝撃の人間ドラマ。

ここがおすすめ!

現代日本の家庭や福祉の問題を鋭く描きつつ、登場人物たちの温かな絆が胸を打ちます。『きみはいい子』と同様、社会の隙間で生きる人々に優しく光を当てる作品で、観終わった後に静かな余韻が残ります。

子宮に沈める

この映画を一言で表すと?

「“普通の母親”が壊れていく現実が、あまりにも静かで恐ろしい」

どんな話?

児童虐待死事件をモデルに、母親と2人の子どもたちが追い込まれていく様子をドキュメンタリーのような手法で描いた問題作。母の孤立、経済苦、感情の麻痺がじわじわと迫りくるリアルな恐怖があります。

ここがおすすめ!

とにかく静かで淡々とした語り口なのに、観る側の心を冷たく締めつけてきます。『きみはいい子』の虐待のテーマに深く共鳴し、親子関係の限界や支援のなさに警鐘を鳴らす強烈な作品です。

そこのみにて光輝く

この映画を一言で表すと?

「荒んだ日常の中で見つけた、わずかな“光”の尊さ」

どんな話?

仕事も希望も失った男が、貧困家庭に生きる女性と出会い、少しずつ変わっていく姿を描くヒューマンドラマ。閉塞感に満ちた地方都市で、かすかに差し込む希望の光をすくい上げるような物語です。

ここがおすすめ!

菅田将暉や池脇千鶴の圧倒的な演技が光る、静かで力強い作品です。『きみはいい子』のように、絶望の中でも人は人に救われる、というテーマがじわじわと心に染みていきます。重くても美しい映画です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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