映画『ザ・ハロウ 侵蝕』の概要:森に棲むハロウの恐怖を味わう夫婦の姿を描いた、モンスターパニック系ホラー。監督は、本作が長編映画デビューとなるコリン・ハーディ。「未体験ゾーンの映画たち2016」で上映された。
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:97分
- ジャンル:ホラー
- 監督:コリン・ハーディ
- キャスト:ジョゼフ・マウル、ボヤナ・ノヴァコヴィッチ、マイケル・マケルハットン、マイケル・スマイリー etc
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★★
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 あらすじ【起・承】
ロンドンからアイルランドに引っ越してきた、アッテンボロー一家。
妻クレアは家の窓の鉄枠を外し、自然に関する博士でもある夫アダムは、近くにある森に赤ん坊のフィンと愛犬イギーを連れて入ることが多かった。
ある日、アダムは朽ち果てた山小屋のような場所で、謎の生物を見つける。
研究心に火が付いたアダムは、それを自宅に持ち帰って調べるが正体はよく分からなかった。
一方で彼らは隣人コラムから、森に入るなという忠告を何度も受けていた。
その夜、アダムと妻クレアがフィンの泣き声を聞いて子供部屋に駆け付けると、窓ガラスが割られていた。
警察を呼ぶと、冗談交じりに、アイルランドの民話に出てくる炎と鉄が苦手な妖精のような存在“ハロウ”だと言われる。
アダムが足を踏み入れている森は、ハロウのものだと信じられていた。
そしてその森で、コラムの娘コーラが忽然と姿を消したこともあったというのだ。
警察が帰った後、証拠として割れた窓の写真を撮るアダム。
一瞬、人影を見かけてシャッターを切るが、カメラには映っていない。
翌日、アダムはフィンを連れて窓ガラスの修理を頼むために町に行くが、窓の鉄枠を戻してからだと言われてしまう。
その帰り道に車の調子がおかしくなり、エンジンを確認している間にトランクに閉じ込められて気を失うアダム。
トランクから出てフィンの無事を確認した時には、外は暗くなっていて車には奇妙な傷が。
慌てて家に帰ると、コラムが渡してきたという一冊の本とクレアが待っていた。
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 結末・ラスト(ネタバレ)
コラムの嫌がらせだと思ったアダムとクレアは、フィンとイギーを連れて家から離れようとする。
しかし、片目が真っ赤になっていたイギーは、どこかに走り去ってしまった。
アダムたちだけで車に乗り込みエンジンをかけようとするが、車の周囲にはハロウたちが群がっていた。
幽霊の女の子を避けようとして車は横転し、アダムたちは家に戻ることになる。
ハロウの存在を信じざるを得なくなったアダムとクレア。
隙をつかれたアダムは、ハロウに片目を突かれてしまう。
警官の言葉を思い出して、ハロウが嫌う光をつけるためにアダムは発電機をつけるために一人外に出るが、彼は刺された片目からハロウに侵食されつつあった。
灯りを付けて窓辺に鉄を置いてハロウの侵入を防ごうとする2人だったが、クローゼットの中で寝かしていたフィンが攫われてしまう。
必死でフィンを取り戻したクレアだったが、コラムの置いていった本の「取り替え子」の話に、憑りつかれたアダムは偽物だと言って聞かない。
フィンを傷つける勢いのアダムから守るため、クレアはカメラのシャッターを頼りにコラムの家に助けを求めに行くが、門前払いされてしまう。
ピンチに陥ったクレアの前に、人間とは思えない外見のアダムが現れ、本物のフィンを差し出す。
アダムは、ハロウに侵されたイギーやコーラと会い、以前森の中でフィンが落としたおしゃぶりを咥えた本物のフィンを見つけ、ハロウたちから取り返してきたのだった。
押し寄せるハロウの群れから命がけでクレアを救う夫を見て、クレアは差し出されたフィンと自分が抱くフィンを交換すると、急いで逃げた。
朝日の中で、置いて行かれた偽フィンはハロウの姿に戻った。
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ハロウの正体やラストには不満が残る
森に住む妖精のような存在「ハロウ」を、生き物に寄生してそれ自体を乗っ取ってしまう冬虫夏草の生態をモデルに表現している。
冬虫夏草に寄生されたアリの話を伏線として、アダムがクレアに話す部分もあってわかりやすい。
アダムも途中でハロウに感染し、彼の意思なのかハロウに操られている状態なのか、疑わしくなる中盤以降はハラハラさせられる。
また、多くの国の民間伝承として残る「取り替えっ子」の話も登場させ、ハロウだと言い張る感染者アダムと、自分の子フィンだと信じるクレアのどちらが正しいのか、見ている側を引き込む展開にしていて引き込まれる。
しかし、忠告する隣人の話を無視する主人公家族という設定はありきたり。
その隣人コラムが渡してきた本が物語の鍵になっているように描かれているが、それの正体は明らかにされておらず、終盤に出てくるハロウになったアダムとフィンを抱くクレアの絵も謎のまま。
ハロウが何なのかも明らかにせず、ハロウの一部である黒いネバネバが付いた木が売られていくラストは、環境問題をテーマにしていても説得力に欠けるし、感染系ホラーにしても弱い。
薄気味悪い夜の森
薄暗い森の不気味さ、夜の森には何かがいそうだという恐怖感を上手く表現している。
カメラのシャッターを切るとハロウが一瞬見えるシーンには、ドキッとさせられる。
かろうじて人間の形を保っているコーラや感染したばかりのアダムを含め、ハロウの造形にはB級感が残るが、不気味な雰囲気は出ている。
また、指の先から出る針のようなものをクレアの目に刺そうとするシーンは、先端恐怖症の場合は見ない方がいいだろう。
作中に登場する冬虫夏草のお話。中国では漢方薬や薬膳料理、中華料理の材料としても使われるこの冬虫夏草ですが、まさかこれがハロウの存在の伏線だとは思わず、完全に油断していました。
冬虫夏草は昆虫に寄生したキノコの一種ですが、それを知っているとハロウ行動や侵蝕の様子がなるほどなと納得できると思います。
しかし、最終的にハロウの目的など詳しいことは描かれていないのでモヤっとした気持ちが残るでしょう。
森に近づくなと言うだけで、いざと言う時に助けてくれない隣人もなんだか気持ち悪く感じました。(女性 30代)
映画『ザ・ハロウ 侵蝕』 まとめ
日本での公開は予算的に難しいが、素晴らしい、面白いと認められた海外映画を集めて上映する「未体験ゾーンの映画たち2016」で公開された本作。
肝心のクリーチャー「ハロウ」の正体については放り投げたままだったり、説明不足な部分は多いが、ホラー映画としてはそこそこ楽しめる内容。
びっくりするほど怖くはないが、ドキリとさせられるシーンは多い。
ラストでアダムが本物のフィンを助け出し、クレアがアダムの言葉を信じて本物のフィンを選ぶなど、心に染みる部分もある。
アダムが目を刺されて感染するシーンは、鍵穴を覗きたくなくなるようなトラウマを植え付ける可能性がある。
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