映画『ジョニーは戦場へ行った』の概要:第一次世界大戦の戦場で負傷し、両手足と目も鼻も口も耳も失ってしまったジョーは、軍部の実験材料として生かされ続ける。医師団は彼に意識はないと判断していたが、ジョーはベッドの上で考え続けていた。ドルトン・トランポが原作・脚本・監督を手がけ、戦争の残酷性と人間の尊厳とは何かを強烈に訴えかけてくる。1971年公開のアメリカ映画。
映画『ジョニーは戦場へ行った』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:戦争、ヒューマンドラマ
監督:ダルトン・トランボ
キャスト:ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ジェイソン・ロバーズ、マーシャ・ハント etc
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映画『ジョニーは戦場へ行った』の登場人物(キャスト)
- ジョー・ボーナム(ティモシー・ボトムズ)
- コロラドのパン工場で働いていたが、アメリカが第一次世界大戦へ参戦し、徴兵されてパリへ出征する。爆撃により頭部に甚大な損傷を受け、目、鼻、口、耳も失う。さらに手術で両手足も切断され、軍部の実験的な試みにより密かに生かされ続ける。
- カリーン(キャシー・フィールズ)
- ジョーの恋人。最後までジョーに“行かないで”と言い続けていた。
映画『ジョニーは戦場へ行った』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ジョニーは戦場へ行った』のあらすじ【起】
1917年、アメリカは第一次世界大戦に参戦し、多くの若者たちが徴兵によって戦地へ送られていた。コロラドのパン工場に勤めているジョーも徴兵され、出征前夜を迎える。最後の夜は恋人カリーンの家で過ごし、その夜初めて二人は結ばれる。カリーンは最後の最後までジョーに“行かないで”と言い続けていた。
ジョーはパリの戦場へと送り込まれ、前線で戦っていた。ある雨の夜、塹壕の前の有刺鉄線に引っかかっていたドイツ兵の遺体を埋葬する任務に駆り出され、敵の攻撃を受ける。攻撃から逃れるため塹壕に飛び込んだジョーは、そこで爆撃を受けてしまう。
陸軍の医療施設に運び込まれたジョーは目、耳、鼻、口を失っていた。さらに壊死した両手足も手術によって切断され、生きる肉塊のような姿になってしまう。脳の中で延髄だけが唯一損傷を免れたおかげで心臓や呼吸中枢は機能し続けていたが、大脳を損傷しているため痛みも喜びも記憶も夢も思考もない状態であると判断される。陸軍医療隊のティラリー大佐はジョーが有効な研究材料になると考え、身元不明の負傷兵407号と番号を打って引き取ることにする。
映画『ジョニーは戦場へ行った』のあらすじ【承】
ジョーは喉の管から酸素と栄養を摂取し、人工肛門から排泄をする状態で病室に監禁される。看護師たちは感情移入することを禁止され、義務的にジョーの世話を続けていた。そんな中でジョーははっきりと意識を取り戻し、自分に何が起こったのか考え始める。
ティラリー大佐はジョーには何の感覚もないと考えていたが、ジョーの残された体は痛みや不快感を感じていた。視界は真っ暗で何も聞こえなかったが、振動で人の出入りを判断することもできた。ジョーはサンクールの占領軍基地の第3病院に搬送され、そこの備品室へ密かに寝かされる。
しばらくしてジョーは自分の両手足が切り落とされていることに気づく。こんな残酷な姿でなぜ自分が生かされているのかと、ジョーは混乱する。自ら外部と接触するすべを持たないジョーは、ずっと頭の中で様々なことを考え、心の中で叫び続けていた。そしてカリーンや家族のことを思い出し、心の中で彼らに話しかける。
顔の包帯が取れた時、ジョーは潤いと渇きの境界線を感じる感覚で、自分に目も口も歯も舌も鼻もないことに気づく。ジョーは“こんな姿で生きたくない”と心の中で絶叫していた。
映画『ジョニーは戦場へ行った』のあらすじ【転】
考え続けることしかできないジョーは、頭の中で自問自答を続ける。自分が生きる肉の塊だと自覚した上で、この悪夢のような現実を受け止めるのは至難の技だった。新しい婦長は窓を閉め切った暗い部屋に監禁されているジョーに同情し、窓を開けてくれる。ジョーは額に感じる太陽の温もりに感謝し、他に何もなくても神はいつもいるのだと自分を励ます。さらに昼と夜の違いがわかるようになったので、日付を数え始める。
日付を数え始めて1年が過ぎた頃、新しい看護師がジョーの担当となる。彼女はジョーの姿を見て涙を流し、ジョーを優しく撫でてくれる。ジョーは彼女の優しい手の感触で、カリーンのことを思い出していた。
看護師は献身的にジョーの世話をしてくれる。彼女は彼を人間として見てくれた。ジョーはわずかに動く頭部を振って、彼女の親切に応える。看護師はジョーには意識があるのではないかと考えるようになる。
クリスマスの夜。看護師はジョーの胸に指で文字を書いてみる。ジョーは彼女が話しかけてくれているのだと気づき、その文字を読み取る。看護師は“メリークリスマス”と書いてくれた。ついに正確な日付を手に入れたジョーは、喜びに胸を震わせる。
映画『ジョニーは戦場へ行った』の結末・ラスト(ネタバレ)
看護師に話しかけてもらえたことで、ジョーは自分の言葉を伝達する手段を考える。ジョーは昔父に教わったモールス信号を思い出し、頭を揺さぶって信号を送り続ける。ジョーが何かを訴えていると感じた看護師は大尉を呼ぶが、ティラリー大佐からの指令書にはジョーの動きは筋肉の反射に過ぎないので、それが激しい場合は鎮静剤を打つようにと書かれていた。大尉は指示通りジョーに鎮静剤を打つが、看護師はその判断を疑う。
看護師はジョーを見つめ続け、これが何かの信号だということに気づく。彼女の訴えでジョーの病室にティラリー大佐や陸軍医療隊の上層部が集まり、部下がジョーのモールス信号を読み取る。ジョーは“SOS”“助けて”と訴え続けていた。
ジョーの脳が機能していたことは医師団に衝撃を与える。ジョーは望みを聞かれ“自分の姿を人に見てもらうため、カーニバルの見世物になりたい、外へ出たい”と訴える。しかし上層部はこの非人道的な行為の責任を問われることを恐れて“外へは出せない”とジョーに伝える。ジョーは“それならばいっそ殺してくれ”と必死で訴えるが、それも聞き入れてもらえない。
看護師はジョーの望みを叶えてやろうと、密かに彼の喉元の管に栓をするが上層部に見つかってしまう。上層部は栓を外し、ジョーに鎮静剤を打つ。自殺することも逃げることもできないジョーは“SOS”“助けて!”と心の中で叫び続けるのだった。
映画『ジョニーは戦場へ行った』の感想・評価・レビュー
可哀想だと思うことはジョーに対して失礼な気がして、なんとも言えない歯がゆい気持ちになりました。戦争によって両手足や目、鼻、口、耳と身体のほとんどを失ってしまったジョー。彼を実験材料とした人たちに悪意や企みは無かったのかも知れませんが、興味本位で彼を見ているような気がして不快でなりませんでした。
彼を一人の人間として見てくれた看護師の優しさと、それに答えるように自分の気持ちをぶつけるジョー。伝えることが出来ないもどかしさと、一生懸命なジョーの姿に胸がうたれました。(女性 30代)
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