12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『自虐の詩』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『自虐の詩』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『自虐の詩』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『自虐の詩』の結末までのストーリー
  • 『自虐の詩』を見た感想・レビュー
  • 『自虐の詩』を見た人におすすめの映画5選

映画『自虐の詩』の作品情報

自虐の詩

製作年:2007年
上映時間:115分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー
監督:堤幸彦
キャスト:中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀 etc

映画『自虐の詩』の登場人物(キャスト)

森田ゆきえ(中谷美紀)
ずっと不幸だけど、小さな幸せをいつも願っている。お酒を飲み暴れるイサオとボロアパートで暮らす。元シャブ中の娼婦。イサオの子供を身ごもるが、事故にあってしまう。
葉山イサオ(阿部寛)
仕事をしないで飲んでばかり。無口で不器用な元ヤクザ。シャブ中だったゆきえを助けた過去を持つ。
父親は東京の有名なヤクザで、大阪の組長から何度もスカウトされる。
ラーメン屋の店主(遠藤憲一)
ゆきえのバイト先のラーメン屋店主。ゆきえに恋心を抱いている。飲んでばかりのイサオを見かねてゆきえにプロポーズするが、振られてしまう。
大家さん(カルーセル麻紀)
ゆきえとイサオの部屋の隣に住む大家さん。ゆきえを常に心配している。
熊本さん(丸岡知恵)
中学時代の同級生。ゆきえと同じく家が貧乏だった。

映画『自虐の詩』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『自虐の詩』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『自虐の詩』のあらすじ【起】

「前略、お母ちゃん。何故私を産んだんですか?」
寂れた田舎町で、 ぼろぼろのジャージの少女が新聞配達をしている。ふと新聞を読んでいたら、そこに父親がの顔があった。急いで家に帰ると、ちょうど警察に連行されるところだった。
「お母ちゃん。 いつも私は不幸でした。」

大阪の商店街で人だかりができていた。血まみれでパンチパーマの男が倒れている。
その男には小指がなかった。
「ゆきえちゃん!イサオさんが!」
警察にかけこむゆきえ(中谷美紀)。そこには先ほどの、血まみれでパンチパーマの男が霊安室で寝ていた。また、酔っぱらって喧嘩をし、警察にお世話になっていた。

大人になった少女は、古びたぼろアパートでイサオ(阿部寛)と暮らしていた。
ある日ゆきえは大家さんにお金を借りていた。イサオがゆきえの給料袋をまるごと盗んだのだ。
「ちゃぶ台ひっくり返すの36回目や!ひどい男やなー。」
給料が入って、ゆきえはイサオに美味しいものを食べさせようとした。しかし、怒りっぽいイサオは、ちゃぶ台ごとひっくり返したのだった。
「あのひとね、ああ見えていいとこあるんだから。」

映画『自虐の詩』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『自虐の詩』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『自虐の詩』のあらすじ【承】

喫茶店で仲間とだらだらするイサオは、寒さに震えながら出前を運ぶゆきえを見てしまった。窓を新聞紙で隠して思いっきり目をそらした。
「おい、弁当。明日から、仕事。」
思ったことがあったのか、イサオは仕事に出ると言い出した。大喜びしてイサオに抱きつくゆきえ。筑前煮、卵焼き、紅じゃけ。上機嫌で豪華なお弁当を作り始めた。

交通整理のバイトをはじめたイサオは先輩に怒鳴られていた。イサオは全く仕事ができなかった。そこにヤクザ時代の知り合いが、高級そうなベンツで通りがかる。
「おまえほんとにあのブスのためにヤクザやめたの?あの女、昔・・・・・・」
ゆきえは息をきらせながら警察にかけこむ。いさおは暴言を吐いた2人組をぼこぼこに殴って、警察に連れて行かれていた。
「おまえはこの世界で生きる男や。悪いようにはせえへん。」
イサオは、評判を聞きつけた大阪の組長にスカウトされていた。うまくいかないイサオの心は揺れていた。

ゆきえはバイト先のラーメン屋に出勤した。ラーメン屋の店主はゆきえのことが好きで、
プロポーズをしたが断られてしまっていた。
「この人うちのお父さんです!!!」
ラーメン屋の奥から出てきた謎のおじさん。彼は18年の刑期を終えて出所した、ゆきえの父親だった。

映画『自虐の詩』のあらすじ【転】

パチンコで勝って酔っぱらったイサオは、仲間とゆきえのラーメン屋になだれこむ。しかし、運悪く父親とはちあわせになってしまう。揉み合いになる2人にゆきえが叫んだ。
「赤ちゃんができたの!!!!!」
ある日、ゆきえは産婦人科にいた。
「おめでとうございます。3ヶ月ですよ。」
イサオは札束をゆきえに押し付け、無言で店を飛び出してしまった。

空を見上げて悩むイサオのもとに、ヤクザの組長が現れた。
「おまえには一流のヤクザの血が流れとる。あの親父の血が。 腹くくれ。」
ゆきえはまた語りかける。
「前略、お母ちゃん。私は本当にこの子を産んでいいのでしょうか?」

大家さんが大阪の街を必死に走る。イサオを見つけて胸ぐらを掴み、叫ぶ。
「ゆきえちゃんが!意識不明の重体や!あんたの子供が!死にかけとるんや!」
ゆきえは配達の途中で、歩道橋の上から落ちる事故にあっていた。いさおは病院へ走る。人を、自転車を、看板を、なぎ倒しながら。

映画『自虐の詩』の結末・ラスト(ネタバレ)

ゆきえは夢を見ていた。

「貧乏!」
ばかにされながら、友達と弁当を食べるゆきえ。
内職をしているところに、父親は女を連れて帰ってきた。
「貧乏!」
一方父親も新しい嫁にばかにされていた。どうしても結婚したい父親は銀行強盗を計画した。原因は、新しい母親のせいだったのだ。父親が逮捕されたせいで、ゆきえは孤立した。でも、友達の熊本さんはゆきえに、
「近ぐさいても、遠ぐさいても、あんたのこと忘れね。」
「嬉しいときも、悲しいどきも、あんたと友達でいっから。」
「ずっと友達でいっから。」

手術は続く。血は全く止まらない。

「気持ち悪い!シャブ中!」
ゆきえは昔、誰にでも1000円でやらせる有名な娼婦だった。イサオはそんなゆきえが好きでいつも見守っていた。薔薇を送り、客からゆきえを守り、でも絶対に手は出さなかった。
「愛しています。ここを出て一緒に暮らしましょう。」
更生施設から出てきたゆきえを、ヤクザを辞めたイサオが待っていた。海を2人で見つめながら言った。
「また、来ましょうね。」

目を覚ましたゆきえのまわりには、ゆきえを心配そうに見つめるイサオ、大家さん、父親、イサオの友達がいた。
イサオは涙を流しながらゆきえに言った。
「海に行こうな、3人で。」

「前略、お母ちゃん。この世は、幸も功も不幸もないのかもしれません。でも、意味はあるのです。」
海で幸せそうな夫婦が寄り添っていた。手には産まれたばかりの命が、笑っていた。

映画『自虐の詩』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

一見、不幸そうなゆきえとイサオですが、相手が気付かない所でお互いのことを心から大切に想っている、自虐というより自己犠牲的な愛に感動しました。
感動すると同時に笑えてしまう、心温かくなる作品です。
相手を思いやる心を失くしてしまった、そんな今、もう一度観直したいそんな映画。
原作の4コマ漫画も読んでみたくなりました。

クセの強い不器用な役の代表のような阿部寛がしっくりくるのはもちろんのこと、中谷美紀の薄幸さも負けていません。(女性 40代)


何と言っても葉山イサオのちゃぶ台返しが綺麗に決まるところが良い。後で床に落ちたご飯を片付ける森田ゆきえを思えば可哀そうではあるのだが、あそこまで綺麗に机がひっくり返るのは見ていて清々しい。そして、机がひっくり返された日を密かに数える大家さんのシーンが、シュールでおもしろかった。イサオは無口で不器用な男だが、必死に病院に向かう姿を見てゆきえへの深い愛情を感じた。破滅的な雰囲気が漂いながらも、思わずふっと笑ってしまう楽しさがある作品。(女性 30代)


自分がゆきえの立場だったらこんな人生もう嫌だと投げ出してしまいそうになるほど「不幸」だと思ってしまいましたが、ゆきえにとって人生は不幸の連続では無かったようです。ゆきえのことをずっと見守り、ゆきえのためにヤクザをやめたイサオの優しさと男らしさがなんとも微笑ましくて、阿部寛が演じることでイサオのキャラクターが仕上がっていました。
遠藤憲一やカルーセル麻紀など脇を固める俳優陣も大物揃いなので飽きずに見られる作品でした。(女性 30代)


阿部寛演じるイサオの破天荒な性格と、中谷美紀演じる幸江の不器用な優しさが胸に残る作品でした。最初はギャグ満載のコメディかと思って見ていましたが、終盤に向けて静かに涙を誘う展開に驚かされました。イサオが何も語らずに幸江の父親に会いに行っていたという事実が明かされた瞬間、不器用な愛情に心を打たれました。(30代 男性)


笑って泣ける映画という評判通り、前半はぶっ飛んだ夫婦喧嘩やコントのような展開で笑わせられましたが、後半に進むにつれてどんどん人間味がにじみ出てきて、不意に泣かされました。特に、イサオが幼少期の幸江を抱きしめる幻想的なシーンは本当に美しく、今でも心に残っています。意外と深い作品でした。(20代 女性)


漫画原作ということで軽い気持ちで見始めたのに、気づけば涙を流していました。中谷美紀の演技がとにかく素晴らしく、最初はどこか頼りなさそうな女性が、過去と向き合いながら自分を取り戻していく過程が丁寧に描かれていました。特に、イサオとの不器用なやり取りの中にある深い愛情がじんわりと伝わってきて感動しました。(40代 男性)


女の人生の切なさやしんどさを描いた映画でありながら、どこかユーモラスで温かみもある絶妙なバランスの作品です。幸江の子ども時代のトラウマ、そして現在の複雑な恋愛関係が、少しずつ解きほぐされていく様子に共感しました。イサオの無口な優しさも印象的で、最終的には“ああ、愛ってこういうことかも”と思わせてくれました。(30代 女性)


とにかく阿部寛が良い!荒っぽくて何を考えているか分からないイサオだけど、実は誰よりも優しい。あの不器用な男が、幸江を想って静かに行動していたことが後からわかる展開には、本当に泣かされました。コメディとしても面白いのに、しっかり心に残るものがある。いい意味で裏切られる映画です。(50代 男性)


女性の目線で描かれる「報われない愛」が、こんなにも美しく描かれているとは思いませんでした。中谷美紀演じる幸江の健気さが、時に滑稽で、時に涙を誘います。イサオの行動も、見返すたびに「あれは愛だったんだ」と感じられるようになる、奥深い作品です。静かな余韻が長く残りました。(40代 女性)


不器用な人間たちが、ぶつかりながらも少しずつ理解し合っていく。そんな物語がじんわりと胸に響きました。イサオの「無言の愛」は、自分のような口下手な人間にはとても共感できました。あのラストの穏やかな時間がすべてを物語っているようで、静かに涙が流れました。優しい気持ちになれる映画です。(20代 男性)

映画『自虐の詩』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『自虐の詩』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

かもめ食堂

この映画を一言で表すと?

静けさの中にやさしさが宿る、“人生の余白”を描いた癒し系ドラマ。

どんな話?

フィンランド・ヘルシンキで小さな食堂を開いた日本人女性が、少しずつ地域の人々と心を通わせていく物語。特別な事件は起きないけれど、登場人物たちのゆったりとした時間と対話の中に、人生の豊かさがじんわりと染みてくる。

ここがおすすめ!

『自虐の詩』のように派手さはないけれど、静かに心に残る映画です。孤独や過去を抱えた人たちが少しずつつながっていく様子が、見ているだけで癒されます。日常の中にある奇跡を感じたい人にぴったりです。

しあわせのパン

この映画を一言で表すと?

心を込めたパンが人生をほぐす、北海道の小さな癒しの物語。

どんな話?

北海道の湖畔にあるパンカフェを舞台に、夫婦と訪れる客たちとのふれあいを描いたハートウォーミングストーリー。それぞれが抱える悩みや過去が、丁寧に焼き上げられたパンと温かい会話で、少しずつほどけていく。

ここがおすすめ!

『自虐の詩』で感じた“人の優しさ”や“再生”といったテーマが共通しています。映像も美しく、観ているだけで心がほどけていくような感覚に包まれます。人間関係に疲れたときに観たい映画です。

万引き家族

この映画を一言で表すと?

血のつながりよりも“心の絆”を問う、衝撃と優しさの家族ドラマ。

どんな話?

貧困の中で暮らす一家が、犯罪すれすれの行動で日々をしのぐ中、虐待されていた少女を引き取り疑似家族のような生活を始める。だが、ある事件をきっかけに“本当の家族とは何か”が問われる展開へ。

ここがおすすめ!

『自虐の詩』のように、壊れた人たちが不器用に寄り添い合う姿が心に響きます。痛みの中に温かさがある作品で、人間の弱さと強さを描く是枝裕和監督の真骨頂。心を揺さぶられたい人におすすめです。

舟を編む

この映画を一言で表すと?

“言葉”を通して、人と人が繋がる姿を描いた静かな感動作。

どんな話?

出版社で辞書作りに人生を捧げることになった不器用な青年と、周囲の仲間たちとの10年以上にわたる物語。地味な仕事の積み重ねがやがて大きな意味を持つことになる、言葉と愛の記録。

ここがおすすめ!

『自虐の詩』のように、ひたむきな人たちの努力や成長が描かれています。言葉では伝えきれない想いが、じわじわと伝わってくる余韻の深い一本。地味だけど人生にとって大切なことを再確認させてくれます。

そして父になる

この映画を一言で表すと?

「血」か「時間」か――家族の本質に迫る感情のドラマ。

どんな話?

病院で取り違えられたことで、6年間育てた子どもが実の子ではないことが判明。エリートサラリーマンの父が、家族の形に悩み、葛藤しながらも本当の“父”になる過程を描く感動の物語。

ここがおすすめ!

『自虐の詩』のように、正解のない人生の問いに対して、じっくりと向き合っていく姿が描かれています。家族、愛、そして生き方を見つめ直したくなる作品です。優しさと痛みのバランスが絶妙です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

影山みほをフォローする
コメディ映画ラブストーリー映画

みんなの感想・レビュー