映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の概要:ミシュランの1つ星を保持するフランス料理店を経営するマダム・マロリー。その店の前にインド料理店が開店した。インド料理店を経営するパパと険悪な状況となるも、パパの息子ハッサンが作る、スパイスを使った革新的なフランス料理に惹かれていく。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の作品情報
上映時間:122分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:ラッセ・ハルストレム
キャスト:ヘレン・ミレン、オム・プリ、マニシュ・ダヤル、シャルロット・ル・ボン etc
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映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の登場人物(キャスト)
- マダム・マロリー(ヘレン・ミレン)
- ミシュランの1つ星を持つ、フランス料理店を経営している。頑固者だが、優しく愛情深い面もある。鍛えられた味覚を持つ舌は、いずれも一級品のみを選び抜く。
- パパ(オム・プリ)
- インドのムンバイ出身。産まれながらの料理人。ヨーロッパを一家で転々としている。恰幅の良い壮年の男性で頑固な面がある。インドで妻を亡くす。大家族を率いる家長。
- ハッサン(マニシュ・ダヤル)
- パパの次男。偉大な料理人である母から料理を仕込まれる。インド料理のスパイス使いに天才的な才能を持ち、マルグリットに好意を抱く。勉強家で料理の腕は逸品。
- マルグリット(シャルロット・ルボン)
- パパ一家を救ったフランス人女性。黒髪で英語も話せる。マダム・マロリーのレストランで副料理人として働いており、ハッサンに惹かれる。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のあらすじ【起】
インドのムンバイで、インド料理店を経営していたパパ一家。選挙の暴動により、自宅レストランと偉大な料理人であった母を亡くし、ヨーロッパへ移住。しかし、ヨーロッパではインド料理に命を吹き込むことができず、フランスへ一家で渡った。だが、旅の途中で車が故障。そこへ通りがかった、フランス人女性マルグリットに助けられる。
マルグリットの自宅へ招待されたパパ一家は、彼女のフランス料理をごちそうになる。その夜は一家でホテルへ。
早朝、ホテルの近くにあった売り家に目を留めたパパ。父の後をついて来たハッサンは、家を購入するなら兄に相談するよう話すも、パパは聞かない。売り家は広く、店を開くにはうってつけだった。パパは家族の制止も聞かず、家を購入してしまった。
パパが購入した家の前には、ミシュランの1つ星を持つフランス料理のレストランがあった。レストランのオーナーはマダム・マロリー。料理に情熱を捧げる熱い心の持ち主である。店の前の売り家がエスニックのレストランを開くと情報は得ていたが、すぐに潰れるだろうと高を括っていた。このレストランには、マルグリットが副料理人として働いている。マダム・マロリーからの信頼も厚い。
市場の仕入れに向かったマルグリットは、そこでハッサンに出会う。彼女はミシュランの星を持つことが、いかに偉大であるかをハッサンに語る。ハッサンもフランス料理に興味を抱き、勉強しようと思うのだった。
インド料理店の開店準備は着々と進められた。週末の土曜日に開店という段になって、マダム・マロリーが偵察にやって来る。彼女は随分と辛らつな言葉を吐き、インド料理を嘲った後、メニューを持ち帰った。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のあらすじ【承】
開店当日。市場へ仕入れにやって来たパパとハッサンだったが、マダム・マロリーに妨害され購入できず。仕方なく隣町まで買い出しに出掛ける。そのせいで、仕込みの時間も押してしまい、厨房はさながら戦場のようである。
どうにか、開店はできたものの、お客さんは来ない。パパは一考を案じた。インドの装束を着て、通りがかりの人を誘客するのだ。そうして、ようやく店にお客さんが溢れ始めた。
マダム・マロリーの店では、厳かなクラシック音楽が流れ、お客さんは優雅なフランス料理を楽しんでいる。レストランは終日、満席なのだった。しかし、ドアを開ければ、インド音楽が大音量で流れてくる。これでは営業妨害である。マダム・マロリーは市長に騒音の苦情を申請した。
度々、マグリットと出会い、フランス料理の基礎を学ぶハッサン。郷に入っては郷に従えで、インド料理にもフランステイストを融合させてみようと考える。
料理へと誠実に向き合うハッサンの才能は素晴らしく、マルグリットの舌を唸らせた。
市長の説得により、音量を下げることにしたパパだったが、対抗意識を今まで以上に高める。市長もマダム・マロリーの頑固さには辟易としている様子だった。
情報を集めて市場に来たパパは、食材の先買いをしてマダム・マロリーへと仕返しをする。ハッサンはパパの仕業に納得できず、先買いして来た鴨でロティを作り、マダム・マロリーの厨房へと持参。味見をしてもらうも、マダム・マロリーはソースを味見した後、無表情でハッサンの料理を捨ててしまった。
斯くして、マダム・マロリーとパパの攻防が開始され、板挟みとなってしまう市長。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』のあらすじ【転】
フランス建国記念日の夜のことだった。ハッサンはマルグリットと会った後に帰宅。しかし、店の壁には罵詈雑言の落書きがされ、中へ入ったハッサンは厨房に侵入者を発見。侵入者はキッチンのガスを爆発させて逃走した。そのせいで、ハッサンは両手に酷い火傷を負ってしまう。
マダム・マロリーは誰がやったかを知っていた。愛国心の強い若いシェフは、自店のスタッフである。彼女は彼を即刻、クビにしたのだった。
そうして、パパのところの落書きを消しに向かう。雨が降っている日だった。
その姿を見て外へ出て来たハッサンは、彼女のためにオムレツを作ると言い出す。マダム・マロリーはハッサンが作った独自レシピのオムレツを1口食べ、合格だと笑うのだった。
マダム・マロリーの元で、フランス料理の基礎を勉強したいハッサンだったが、パパは決して許そうとしない。彼はマダム・マロリーと言い合いになる。
その日の夜から朝まで、パパの店で座り込みをしたマダム・マロリー。
朝方、パパとマダム・マロリーの話し合いがされ、ハッサンのシェフ修行が許可される。
翌日からマダム・マロリーの厨房で修行に入ったハッサン。ライバルはマルグリットである。ハッサンはめきめきと力をつけた。そして、大臣が来店する夜、メインの料理を任される。供された彼の料理には、誰もが拍手と称賛を送った。
このことにより、マダム・マロリーとパパの仲が修復されていくことになる。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の結末・ラスト(ネタバレ)
その日は、ミシュランの星が発表される日だった。仲良しになったパパとマダム・マロリーは、電話をひたすら待つ。結果は星2つ。昇格したのだ。マダム・マロリーとパパは互いに喜びを分かち合った。
結果を聞いたハッサンとマルグリットは互いにハグ。これは、ハッサンのスパイスとフランス料理の融合が認められたということだった。
ハッサンはその後、世界的なフランス料理店へと引き抜かれていく。新しい店は科学を利用した近代的な店だった。彼はそこで、スパイスに更なる改良を加える。そして1年後には、その店の代表的なシェフとなるのだった。料理雑誌では、革新的な料理と味を作り出すとして、ハッサンに大注目。
その頃、ハッサンは昔の味を思い出せなくなっていた。彼はある夜、ウニ料理を見て密かに気付く。新しい味を探す内に、自分の大切な何かを忘れてしまったことに。
そして、同郷のシェフが持参したインド料理を口にし、懐かしさから涙を浮かべるのだった。
ミシュランの星が発表される日。彼は家族の元へ帰った。マルグリットと一緒に料理を作り、家族や世話になった人々へ御馳走することにする。たった1人で頑張るよりも、家族と共に過ごすことで料理に愛情を注ぎ、おいしいと言ってもらった方がより幸せである。
ハッサンはマルグリットと公私共に在りたいと願い、3つ目の星はみんなとマダム・マロリーの店で獲りたいと笑うのであった。
映画『マダム・マロリーと魔法のスパイス』の感想・評価・レビュー
南フランスのとある街で、道を隔てた向かい同士の2つのレストランの戦いと、料理を巡る人々の交流を描いたヒューマンドラマ。
ミシュラン1つ星のフレンチの名店と、その向かい側に突如開店したインド料理店。
両店の趣向を凝らした食欲をそそるメニューは見どころで、気が付いたらお腹が空くこと間違いなしである。
特にインド料理店のシェフであるハッサンの天才的な腕前と華麗な料理が素晴らしく、後に皆に認められる姿が誇らしかった。
思いの外調理のシーンが少なかったことや、原題の『THE HUNDRED-JOURNEY』に劣る邦題は期待外れだった。(女性 20代)
主人公はマダム・マロリーのはずだが、個人的には作品を観終わった後、ハッサンの印象ばかりが残った。そして、作中に登場する料理の全てがとにかく美味そう。調理のシーンがもっとあっても良かったが、描きたかったのは恐らく料理に国境はないということではないかと思う。おいしいは正義だ。ハッサンが作った料理をマダム・マロリーが認めた瞬間は、気持ちよかった。料理にしても何にしてもそうだが、伝統の味を守りつつ新たな世界を切り開くことが次代へと繋がっていくことだと思う。しかも、料理は奥が深いのでアイデア次第では同じ料理でも全く違うものができたりする。いずれにせよ、おいしいものは何人でもおいしいと感じられるもの。今作では、料理はおいしいと言ってくれる人がいるからこそ作り甲斐があるのだと大切なことを描いており、心温まるストーリーだった。(女性 40代)
みんなの感想・レビュー
①料理の監修はあの名門料理学校
本作品に出てくる料理を監修したのは、世界中の著名な料理人を輩出しているル・コルドン・ブルー。
現在、本作品のHPから特設サイトへリンクしており、映画の中に出てくる料理のレシピをいくつか紹介している。
その中でも、ハッサンがマロリーに作ったオムレツは本作品の鍵を握る料理であるため1度は作ってみたい品である。
②世界の色男?!今注目の主演男優
今回の作品でハッサン役に大抜擢されたマニッシュ・ダヤルはアメリカのサウスカロライナ州出身の31歳。両親はインド人であり、4人兄弟の3番目である。
出身校はジョージ・ワシントン大学。当時は俳優ではなくディレクターやプロデューサー志望で経済学を専攻していた。演技を学んだのはニューヨークの演劇芸術学校。
2011年から2012年にTV放送されたビバリーヒルズ3シーズン・4シーズンに薬学と内科疾患を専攻しているRaj Kher役として出演している。
本作品出演後は海外紙の『People』に”今週のセクシー俳優”として選ばれるなど人気が急上昇している。本人はこのことについて「なにかの間違いなんじゃないかと思う。シェフの役をキッチンでしていた時、まったく色気は出ていなかったよ。」と答えており、驚きを隠せないようだ。
また、日本でも俳優の山田孝之に似ていると話題になっている。
③ミシュランガイドの歴史と仕組み
ミシュラン(MICHELIN)とはフランスにあるタイヤ会社の名前であり、マスコットキャラクターのMichelin manは日本でもCMなどに使用されなじみがある。
ミシュランガイドの発行は1900年に開始され、当時は自動車修理工場の場所やホテルが掲載されていた。現在のように飲食店の評価を星の数で行い始めたのは1926年である。そこから80年の年月を経て、2007年にアジア初の東京ミシュランガイドが発行され始めた。
ミシュランガイドの星で評価されるのはあくまでも皿の上の料理についてであり、お店の雰囲気や快適さなどは星とは別で描かれているフォークとスプーンの数で評価されている。
このミシュランガイドで各飲食店を評価する匿名調査員はミシュランの社員であり、ミシュランジャパンのHPで随時募集されている。
劇中に「フランス人はインド料理を食べない」という台詞が出てきます。私はこの短い台詞の中に、東南アジア諸国の欧州諸国に対する引け目や劣等感を感じとりました。
しかし、作品の結末にはインド料理で多用されるスパイスを、フランス料理にふんだんに使った料理がたくさん登場します。和洋折衷ならぬ印洋折衷です。
複雑な歴史や各国に対する個々の感情が背景にあったとしても、より美味しいものを求める人間の本能によって、自然と国どうしの壁が取り払われ、文化の融合が始まるのです。
我が国でも、室町時代にポルトガルより伝えられた南蛮菓子によって日本の「カステラ」が作られたこともその一例でしょう。
料理には国と国とを結びつける力があります。料理をきっかけにして世界とつながることを本作品を見て教わりました。