映画『複製された男』の概要:実力派俳優、ジェイク・ギレンホールが一人二役に挑んだサスペンス映画。その衝撃のラストが波紋を呼んだ話題作。カナダ・スクリーン・アワードでは最優秀作品賞、監督賞を受賞した。
映画『複製された男』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:SF、サスペンス
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト:ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ etc
映画『複製された男』の登場人物(キャスト)
- アダム(ジェイク・ギレンホール)
- 歴史講師をしている、平凡な日々を過ごしている男性。映画で自分そっくりの男を見てから興味を持つ。
- アンソニー(ジェイク・ギレンホール)
- 映画俳優。アダムと瓜二つの外見をしており、互いの妻と彼女を交換する提案をする。
- メアリー(メラニー・ロラン)
- アダムの彼女。平凡すぎるアダムとの関係にマンネリを感じている。
- ヘレン(サラ・ガドン)
- アンソニーの妻。現在妊娠中。
映画『複製された男』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『複製された男』のあらすじ【起】
大学で歴史を教えているアダムは、平凡な男でした。仕事に向かい、講義をして自宅に帰り眠る。そういったルーチンの様な日々を送っていました。恋人であるメアリーとも連れ添って長くなりますが、刺激不足の日々にマンネリを感じています。また、実母であるキャロラインからはこの歳になっても過干渉を受けており、毎日に辟易していました。
人生をもう少し楽しんだ方がいい、と同僚に映画を勧められたアダムは、その日素直にDVDをレンタルして帰宅します。彼が選んだのは『道は開かれる』という映画。暇な時間をつぶす様に、何となく見始めた映画でしたが、その映画の中のベルボーイ役に、何と自分が写っていたのです。ですが勿論、アダムは映画に参加した経験はありません。エンドクレジットを見ると、そのベルボーイ役の男は名を「ダニエル・センクレア」と言いました。
アダムはダニエルの出演している映画に片っ端から目を通しましたが、やはり何度見ても自分に瓜二つのその外見に興味を惹かれます。そこでアダムは、ダニエルが所属しているエージェンシーを訪ねることにしました。
映画『複製された男』のあらすじ【承】
所属事務所を訪れたアダムでしたが、アンソニーと寸分違わぬその外見に、警備員がアダムをダニエルだと勘違いし、彼宛に届いていた書類を手渡してきます。その宛先にはダニエルの自宅の住所と思われるアドレスが記載されていました。アダムはその住所を頼りに、とある一件のマンションに辿り着きます。また、実はダニエル・センクレアは芸名で、彼の本当の名前はアンソニー・クレアである事も突き止めます。
彼はマンションの側の公衆電話から、アンソニーの家に電話をかけました。しかし電話に出たのはアンソニー本人ではなく、彼の妻、ヘレンでした。実はアンソニーとダニエルは声質も似ており、ヘレンはダニエルの事をアンソニーだと勘違いして話し始めます。その後再び電話をかけたダニエルに、今度こそアンソニーが応答します。
ダニエルはアンソニーとホテルで落ち合う約束を何とか取り付けました。そしてようやく対面した2人はやはり瓜二つ。そしてなんと、外見だけでなく誕生日や体に残った傷までも共通していたのです。
映画『複製された男』のあらすじ【転】
外見は見分けようがない2人でしたが、性格はまるで正反対でした。穏やかで平穏な生活を送っていたアダムとは異なり、アンソニーは熱しやすく、どちらかというと気が短い性格でした。当初自分と同じ外見をしている人間が現れたことに戸惑う2人でしたが、先に状況に慣れたアンソニーは『お互いの恋人と妻を交換しよう』と言い始めます。これだけそっくりなのだから、たとえパートナーと言え気付かないだろうというのです。
アンソニーはそのままアダムの車と家の鍵、そしてアダムが来ていた洋服を奪いその場を去ります。アダムとの関係にマンネリを覚えていたヘレンでしたが、いつもとはまるで別人の様な彼の様子に、アンソニーと気付かないうちに肉体関係を持ってしまうのでした。一方、残されたアダムは仕方なくヘレンの待つ家へと戻ります。そして、アダムも結果的に彼女と肉体関係を持ってしまうのです。
この事をきっかけに、アダムはもう1人の自分とも呼べるアンソニーに触発されて、少しずつ大胆な性格へと変貌していきます。
映画『複製された男』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある晩、メアリーとアンソニーはドライブデートをしていました。力強いアンソニーに惚れ惚れするメアリーでしたが、ハンドルを握るその手に違和感を覚えます。その手には、アダムにはないはずの結婚指輪の跡がありました。まるで別人の様になった彼氏が、実は本当に全くの赤の他人であった、とい事に気がついたのです。
恐怖を感じたメアリーはパニック状態に陥ります。アンソニーはそれに対して怒鳴り返し、2人は車中で喧嘩になります。そしてその口論の末、アンソニーが運転を失敗して事故に、2人は即死してしまいます。メアリーと一緒にいたことから、アンソニーはアダムとして死亡届が提出されました。
残されたアダムは仕方なくアンソニーとして生きていく決意をします。今や自分にとっても本当の自宅となったアンソニー宅でシャワーを浴びていたアダムは、ふと思い立ちヘレンの部屋に入ります。するとなんとそこには、ヘレンではなく、巨大な蜘蛛が部屋の中にいたのでした。
映画『複製された男』の感想・評価・レビュー
物凄く複雑で難解なストーリーなので、1回で理解するにはあまりにも難易度の高い映画でした。蜘蛛が世界を乗っ取ろうとして、人に擬態しているのか?と考えたりもしたけれど、どうやらそれは全くの見当違いだったようです。
「カオスとは未解読の秩序である。」という冒頭のメッセージは、とても意味深で、序盤からこの映画の独特な雰囲気を作り出していました。
現実か妄想かがはっきりせず、観ている側の解釈に委ねられているので、本映画の考察や解説を踏まえた上で、もう一度観てみたいと思いました。(女性 20代)
平凡な生活を送る歴史教師のアダムが、同僚に勧められた映画の中に自分と瓜二つの人物を発見し、その者と会う約束をするという話。
その邦題から、アダムのコピーが造られたのかと想像してしまうだろう。実際は、そのような単純な話ではない為、期待を裏切られて最後まで見入ってしまった。
もう一人の男アンソニーの提案でお互いの妻と彼女を取り換えた時に、その正体が本人でないことに気付くところに、人間同士のコミュニケーションの問題の複雑さが描かれていて良かった。
「敵」を意味する原題の『ENEMY』も意味深い。
難解な点もあり全てを理解しきれていないが、映画全体の色味や雰囲気、疑問を置いていくような終わり方も大変好みであった。(女性 20代)
かなり難解な映画で、おそらく映画だけでは理解しきれないから、考察を読んでスッキリするのをオススメする。つまりルイーズ・ブルジョワの復讐映画であるようだ。そもそも蜘蛛の心理学的な意味を知ってないと理解できないと思う。
男性ならもっとしっくりくる解釈できそうだ。とはいえ、ドッペルゲンガーが現れたという設定はサスペンス的に面白く、ジェイク・ギレンホールの怪演も見応えあるので十分楽しめる。(女性 20代)
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