この記事では、映画『ゴーン・ガール』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説し、この映画の疑問や謎をわかりやすく考察・解説しています。
映画『ゴーン・ガール』の作品情報
出典:U-NEXT
製作年 | 2014年 |
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上映時間 | 149分 |
ジャンル | ミステリー サスペンス ドラマ |
監督 | デヴィッド・フィンチャー |
キャスト | ベン・アフレック ロザムンド・パイク ニール・パトリック・ハリス タイラー・ペリー |
製作国 | アメリカ |
映画『ゴーン・ガール』の登場人物(キャスト)
- ニック(ベン・アフレック)
- 失業中で荒れている。妻のエイミーの罠にかかり、殺人犯に仕立てられてしまう。妹のマーゴと一緒に事件解決に乗り出す。
- エイミー(ロザムンド・パイク)
- 失踪したふりをして、夫のニックを罠にはめ殺人犯に仕立てようとする。恋人を自分の思い通りに操作しようとする。気に入らない男は犯罪者に仕立てる歪んだ心を持っている。
- マーゴ(キャリー・クーン)
- ニックの双子の妹、バーで働いている。なにがあっても兄のニックを信じ、事件解決に協力する。
- ボニー(キム・ディケンズ)
- 今回の事件の担当刑事。どんな状況でも冷静に行動する。証拠品の不自然さからエイミーに不信感を抱く。
- デジー(ニール・パトリック・ハリス)
- エイミーのストーカー。失踪したエイミーを匿うがエイミーによって殺される。
映画『ゴーン・ガール』のネタバレ・あらすじ(起承転結)
映画『ゴーン・ガール』のあらすじ【起】
ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は愛し合って結婚したはずだった。今の関係は冷めきっている。双子の妹のマーゴ(キャリー・クーン)が働いているバーで酒を飲む。家に帰ると部屋の様子がおかしい。エイミーが消えていた。
警官のボニー(キム・ディケンズ)が駆けつけた。家の中を見て周り、ふせんでマークをつける。ボニーは一冊の本を見つける。
彼女の母は作家で、娘のエイミーを題材にした物語「アメイジングエイミー」は大ヒット。しかし、現実のエイミーはそれに苦しんでいた。そんなエイミーを救ったのは恋人のニックだった。彼女にプロポーズして幸せの絶頂にいた。
エイミー失踪の記者会見を開く。エイミーの両親に罵倒され気分が悪い。母親は記者会見でも本の宣伝に利用しようとしていた。
両親は警察で、エイミーにストーカー行為をしていた男がいたと話した。ストーカー男デジー(ニール・パトリック・ハリス)はエイミーに振られて自殺未遂をはかっていた。
エイミーは日記を書いていた。愛し合っていた頃の毎日から、いかに自分たち夫婦が冷めて行ったのか。その日記に夫婦で失業したことが書いてある。ニックはどこにも出かけず、ゲームばかり、使わない新しいパソコンを買う。事態はどんどん悪い方向へ進んで行く。
映画『ゴーン・ガール』のあらすじ【承】
エイミーを探してくれているボランティア達に必死で笑顔を振りまくニック。彼の表情は笑顔と裏腹にやつれていた。写真を撮られSNSサイトにアップしようとする主婦もいた。疲れている、ほっといてほしい。
私は間違って運ばれた荷物。失業のタイミングでニックの田舎に引っ越したエイミー。私は必要とされているんだろうか。
ニックの家に不倫相手の女性がいきなり訪ねて来た。空気を読まない彼女にイラつくニックだが、彼女は服を脱ぎ始めた。慌てて電気を消す。
昨日は屈辱的なことがあった。最近ニックが頻繁に家をあける。子供が欲しいとつめよると、ニックに暴力をふるわれた。私を傷つけようとする彼が恐ろしい。
ボニーは薬の売買が行われている場所に踏み込んだ。売人はエイミーを見たという。彼女は薬ではなく銃を買いたがっていた。エイミーの化けの皮がはがれていく。
エイミーの集会で記者会見をする。近所の主婦がエイミーは妊娠していたと叫んだ。妊娠を聞かされていなかったニックは動揺する。
エイミーの保険金が失踪前に引き上げられていた。ニックのクレジットカードで大量の贅沢品が購入されていた。なにもかも自分は知らない。床から発見された血痕はエイミーのものだった。なにかがおかしい。消えたはずのエイミーがニックを追いつめて行く。
ボニーはエイミーの日記を見つけた。その日記にはニックとエイミーが出会ってから、夫婦関係が冷めて行くまでの物語が克明に描かれていた。日記の最後に、ニックに殺されるかもしれないと書かれていた。
映画『ゴーン・ガール』のあらすじ【転】
いろんなしがらみから開放され、自由になったエイミー。車の窓から証拠品を捨てていた。私は自由になる為に、自分を殺させ、夫を殺人犯に仕立て上げた。すべては自分の思い通りに進んでいる。
安い車を買い、近所の主婦に妊娠したと嘘をつく。血を大量に採取し、床にばらまく。凶器を隠す。日記は前もって書いておいた。そのあとでっちあげる。日記を少し燃やす。
美しい金髪を染めて、汚い服に着替える。勝ち逃げはさせない、ニックもろとも殺してやる。
小屋の中にニックのカードで買った贅沢品が並べられていた。その中にプレゼントと手紙が入っていた。ニックを殺人犯に仕立て上げた事を暗示するような文章が書かれている。エイミーはじわじわとニックを罠にはめ、刑務所送りにしようとしている。
隠れ家に小さな小屋を選んだ。隣に若い女が泊まっていて、仲良くなる。身分を偽る証拠に自分の顔に傷を作っていた。彼女も男には苦労していたのか、話を聞いてくれた。
有能な弁護士を雇った。エイミーの偽装は完璧でそれに勝つにはどうしても必要だったのだ。体が大きくて頭の回転が速い。弁護士の指示で男に会いに行く。そこにはエイミーに人生を狂わせた男がいた。エイミーは男を操作しようとする。そこから逃げようとした男はレイプを偽装され捕まった。今のニックと同じ状態だ。
映画『ゴーン・ガール』の結末・ラスト(ネタバレ)
お金を奪われてしまったエイミーは作戦を変えた。ストーカー男のデジーに連絡して迎えに来てもらう。資産家のデジーの別荘は便利で綺麗だった。
一方ニックも弁護士と大胆な作戦に出た。ニックに批判的なニュース番組に出演してテレビで無実を訴えた。インタビューは大成功で、かなり有利になるはずだ。
デジーが食料を持って彼女を驚かせた。洋服屋、ヘアカラー、化粧品も入っている。エイミーを自分のものにしたデジーは彼女になんでも与えた。ニックのインタビューをふたりで見ている。釘付けで見ている彼女の様子が気に入らない。ニックの愛しているという言葉にニヤリと笑った。
長い髪を短く切ったエイミーが行動を起こした。白いランジェリーにワインをしみ込ませ防犯カメラに向かって悲鳴を上げる。腕に縛られたあとを作り、暴行の証拠を体に刻んで行く。帰って来たデジーを誘惑し、ベッドに誘った。油断したダニーをカッターで刺す。
血だらけのエイミーが帰って来た。ダニーに罪を着せ、自分の凶行をなかった事にする。
血だらけのエイミーがシャワーで体を流す。ニックは騒ぎがおさまったら出て行くと言った。エイミーはそんなことをしたら破滅に追い込むという。不気味に笑う女が目の前にいた。
人殺しのサイコ女、アメイジングエイミーは妊娠している。彼女を決して怒らせてはならない。
映画『ゴーン・ガール』の考察・解説(ネタバレ)
映画『ゴーン・ガール』のモデルである実話「スコット・ピーターソン事件」との関連性は?
映画『ゴーン・ガール』は、フィクションの物語ですが、2002年にカリフォルニアで起きた「スコット・ピーターソン事件」といくつかの類似点を持っています。この事件では、スコット・ピーターソンが妊娠中の妻レイシー・ピーターソンを殺害したとして有罪判決を受けました。妻の失踪後、スコットの不倫が明るみに出て、メディアや世間から激しい批判を浴びました。最終的に、彼が犯人であることが立証されたのです。
『ゴーン・ガール』においても、主人公ニックの妻エイミーが突如として姿を消し、メディアや世間がニックに疑いの目を向ける様子が描かれます。ニックの浮気が発覚したことで、疑惑はさらに深まります。この展開は、スコット・ピーターソン事件との関連性を感じさせる部分だと言えるでしょう。
しかし、映画後半で明らかになるエイミーの周到な計画や、彼女自身が失踪を演出していた事実は、スコット・ピーターソン事件とは異なるフィクション的な要素です。『ゴーン・ガール』は、この事件からインスピレーションを得ながらも、サスペンス映画としてのオリジナリティを打ち出しているのです。
映画『ゴーン・ガール』の最後のニックのセリフの意味とは?
『ゴーン・ガール』の最後のシーンで、ニックは妻エイミーに「君はひどい妻だ」と言います。このセリフには、ニックがエイミーの本質を完全に見抜き、彼女の操作的な性格と暴力的な行為に対する失望と怒りが込められています。
エイミーは、ニックを陥れて殺人犯に仕立て上げ、綿密な計画を巧みに実行し、最終的には自分の思い通りにニックを支配することに成功します。ニックはこの時点で、エイミーの狂気じみた企みを理解しつつも、彼女から逃れることができません。エイミーがすでに妊娠しており、彼女と子供を守るためには、ニックは彼女とともに生きていくしかないと悟るのです。このセリフは、ニックの絶望感と無力感、そしてエイミーに対する複雑な感情を端的に表現しています。
結局、ニックは自分がエイミーの策略に絡めとられ、彼女の操り人形と化したことを認めざるを得ない状況に陥ります。それでも彼女と共に生きる道を選ぶという、苦渋に満ちた結末を迎えるのです。
映画『ゴーン・ガール』に気まずいシーンはあるか?
『ゴーン・ガール』には、いくつかの気まずいシーンが登場しますが、中でも特に衝撃的なのは、エイミーが自らを誘拐被害者に見せかけ、デジーを殺害するシーンです。エイミーは計画的にデジーに接近し、誘惑的な態度で彼を惑わせます。そして、ベッドに誘い込んだ瞬間、突如として凄惨な暴力を振るい、デジーを殺害するのです。残虐かつショッキングなこのシーンは、非常に生々しく、視覚的にも不快感を煽ります。
また、エイミーが自分の失踪計画を語る回想シーンも、ニックの視点から見ると非常に気まずいものです。妻に対して抱いていた疑念や不信感が的中していたことが明らかになり、観客はニックの絶望感に共感せずにはいられません。これらのシーンは、物語の緊張感を高める上で重要な役割を果たしており、観客の心理に不安と不快感を呼び起こします。
映画『ゴーン・ガール』で双子の妹が泣いたシーンのネタバレは?
『ゴーン・ガール』では、ニックの双子の妹マーゴが、常に彼の味方として寄り添い、支え続けます。彼女は、ニックの浮気やエイミーの失踪に際しても、感情的に反応を示します。
マーゴが涙を流す印象的なシーンの一つは、物語の終盤、エイミーが家に戻ってきた直後の場面です。エイミーは奇跡的に生還したかのように振る舞い、メディアや世間から称賛を浴びます。しかしマーゴは、エイミーの裏の顔を知っており、その偽りの姿に怒りと絶望を感じるのです。特に、エイミーがニックを完全に支配しようとする様子に、マーゴは怒りを抑えきれず、涙を流します。
この涙は、ニックが再びエイミーの虜となってしまったことへの失望と、兄を救えない無力感から来ています。また、マーゴ自身の人生にも大きな影響を及ぼすエイミーの存在が、ニックを苦しめ続けることへの悲しみも表れているのです。
映画『ゴーン・ガール』のタイトルの意味とは?
映画『ゴーン・ガール』のタイトル「Gone Girl」を直訳すると、「いなくなった女」という意味になります。これは、物語の中心となるエイミーの失踪を指しており、彼女が突如として姿を消したことから物語が始まることを表しています。
しかしこのタイトルには、もう一つの深い意味が込められています。それは、エイミーが失踪することで、彼女の表向きの人格が消え去り、真の姿が明らかになるという点です。物語の前半、エイミーは完璧な妻として描かれますが、失踪後、彼女の裏の顔や陰謀が次第に明らかになっていきます。エイミーは、魅力的で優れた女性という表面的なイメージを捨て去り、本性である計算高く冷酷な人物として生まれ変わるのです。
このように「Gone Girl」というタイトルは、単にエイミーが物理的に姿を消したことを示すだけでなく、彼女の表面的な人格が消え去り、真実の姿が現れるという象徴的な意味を持っているのです。
映画『ゴーン・ガール』のマーゴとニックの関係は?
『ゴーン・ガール』において、マーゴはニックの双子の妹であり、物語全体を通じて彼の最も頼れる味方として描かれています。二人は非常に仲が良く、エイミーの失踪事件でニックがメディアや警察から疑われる中、マーゴは一貫して兄を支え続けます。彼女の存在はニックにとって心の支えとなっており、マーゴもまた兄に対して強い信頼と愛情を抱いているのです。
二人の絆は幼少期から培われたものであり、双子という特別な関係性が、その絆をより強固なものにしています。物語の中で、マーゴはエイミーに対して強い不信感を抱いており、兄を守りたいという思いから、エイミーへの嫌悪感を隠そうとはしません。エイミーの失踪とニックへの疑惑が深まるにつれ、マーゴは兄の無実を信じ、励まし続けるのです。
特に、物語の後半、エイミーが帰宅しニックをさらに複雑な状況に追い込んだ時、マーゴは自分の無力さに絶望し、兄がエイミーの策略から逃れられない現実に涙します。彼女の兄を思う気持ちとエイミーへの嫌悪感は、物語の中で強調されており、マーゴはニックにとってかけがえのない存在として描かれているのです。
映画『ゴーン・ガール』で描かれるどんでん返しとは?
『ゴーン・ガール』における最大のどんでん返しは、物語の中盤で明らかになる、エイミーが自ら失踪を演じていたという事実です。当初、観客はニックの浮気や不自然な行動から、彼がエイミーの失踪に関与していると疑います。しかし物語が進むにつれ、エイミーがすべてを綿密に計画し、自分を誘拐された被害者に見せかける陰謀を企てていたことが明らかになるのです。
エイミーは日記を書きながら、ニックを冷酷な夫として描き、彼を犯罪者に仕立て上げるための証拠を偽造します。さらに、他人を欺くために自分の体に暴力の痕をつけたり、血を撒き散らすなど、徹底的な演技を行います。この真相が明らかになった瞬間、物語は一変し、エイミーが主導権を握っていたことが判明します。
このどんでん返しは観客にとって衝撃的であり、エイミーの計算高く冷酷な性格を如実に示す重要な展開です。この計画によって、ニックは絶望的な状況に追い込まれ、エイミーの思うがままに操られることになるのです。
映画『ゴーン・ガール』でニックの浮気相手を演じた俳優は誰?
『ゴーン・ガール』でニックの浮気相手を演じたのは、女優のエミリー・ラタコウスキーです。彼女が演じるアンドリア・”アンディ”・フィッツジェラルドは、ニックが教える大学の学生で、ニックとの不倫関係にあります。アンディは、ニックがエイミーとの問題を抱えている間、彼と関係を持っているのです。
アンディは若くて美しく、ニックにとってエイミーとの複雑でストレスの多い結婚生活から逃れる場所のような存在です。彼女はニックを本気で愛しているように見えますが、ニックにとっては一時的な感情の発散先にすぎません。この不倫関係が、エイミーの失踪後に明るみに出ることで、ニックへの疑惑がさらに深まることになります。
エミリー・ラタコウスキーは、アンディ役を通じてニックとの不倫関係を演じ、物語のサスペンス要素を強化しています。彼女の存在によって、ニックの道徳的な欠点が浮き彫りになり、物語により一層の複雑さが加わるのです。
映画『ゴーン・ガール』はどこで見れる?フルで無料視聴する方法は?
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みんなの感想・レビュー
出てくるキャラクターたちがみんなヤバい作品でした。仲良し夫婦と思われたニックとエイミーのかなり衝撃的な物語はエイミーのサイコパスな行動に目が行きがちですが、浮気をしていたニックもかなりバカだし、ニックの双子の妹も、エイミーの両親もかなり狂っています。狂った人間の周りには狂った人しか居ないのかなと思ってしまうほどです。
エイミーが元彼に犯されたよう偽装工作するシーンは思わず声が出てしまうほど痛いシーンでした。
このまま終わるの!?と思ってしまうラストでしたが、きっとこれが正解なのでしょう。
ハラハラしすぎてあっという間の149分だった。個人的にはめちゃくちゃ面白かったが、もしかしたら人を選ぶ作品かもしれない。
エイミーの狂気ばかりがフィーチャーされがちだが、個人的には先に浮気をしていたニックもなかなかのクズなので、いくら追い詰められようとあまり同情は出来なかった。むしろたった一人で計画をやり遂げたエイミーは素直に凄いと思う。黙々と自分の血を抜き取って床にばら撒いたと思ったら、テレビを観ながらソファに座ってだらしなくお菓子を食べる、その絶妙なギャップにやられてしまったのかもしれない。
妻が失踪した男性が、殺人の容疑をかけられ、それを晴らすために妻を探す過程で、妻の知らざる一面を知ることになる…というストーリーです。常に二転三転し、次々と明らかになる事実が非常に恐ろしく、一瞬の気も抜けない映画です。
最終的に明らかになる事実は、本当に恐ろしいものです。ですが、かなり凝ったストーリーが他にはなく、きっと楽しめると思います。
でも、こちらの映画はカップルで見るのはおすすめしません。一人か、友達と見るようにしてくださいね。
映画を見ていた史上、映画の途中で180度見方を変えられる映画は初めてで衝撃です。
前半はニックに対して、妹以外の他の登場人物と同じように疑いをかけていたのに、ある1シーン、1シークエンスを経て、そんな感情が真反対の方向に引っ張られていく、という経験をしました。夫ニックの物語から、妻エイミーに“作られた”夫ニックの物語へ。
圧倒的なストーリーテリングのうまさと、淡々とした演技の全て。エイミー役のロザムンド・パイクは完璧な当たり役というか、“エイミー”という役を全うしていて怖くなる。途中から目が覚めたような感覚は一生消えません。傑作です。
とても見応えある作品。最初の数分間を見始めたら、映画のペースに飲まれて最後まで一気に見終えてしまうと思う。徐々に明かされる、美しいエイミーの狡猾でサイコパスな一面にゾッとするも、夫を陥れていくトリックは見事で、どんどん引き込まれてしまう。
様々なトラブルが起こる中で、次はどうするんだろう?とエイミーの表情や一挙一動に釘付けになる。シャワー室での不気味なラストも最高で、後味最悪なはずなのに、その完全犯罪ぶりに圧巻されて不思議な爽快感すら感じる作品。
先に言っておきますけど、本作は大傑作です。デヴィッド・フィンチャーの最高傑作が『セブン』か『ファイト・クラブ』だと思っている人は今すぐ見ること。
映画を見ていると、心境に様々な変化が生じます。悪者が悪事の限りを尽くせば胸くそ悪くなるし、悲しい物語が綴られれば感動する。本作では、心を奥底をエグられます。深く、深くエグられてしまいます。その結果、信頼できる人さえ信じられなくなる。マジですよ。
エイミーとニックの仲は上手く行っていなくて、ニックには愛人がいる。当然エイミーはニックに対し不満を抱き、全身全霊をかけて彼に復讐する。というストーリーです。まず思い出さないといけないのは、エイミーは自らを徹底的に美化した小説を出版しているということ。全米にファンがいるということです。驚くほどのサイコパス。エイミーは都合が悪くなると嘘をついて男を地獄に叩き落とす人間のクズです。しかも、血の池地獄の被害者を自称する、世間の同情を買う。ニックはどんどん身動きがとれなくなり、史上最悪のラストシーンを迎えるわけです。人生の終わりです。最悪です。
もともとデヴィッド・フィンチャーは人間の汚い部分をあぶり出すのが特異な監督です。『セブン』とかね。それにしても、それにしても本作は凄い。エイミーという凶悪なキャラクターが物語を引っ張り続け、ニックの心を殺す。こんな脚本は考えられないですよ!どんだけ人間が好きで、かつ嫌いなのか。原作者にして脚本家のギリアン・フリンは悪魔です!もう嫌です、私は布団にくるまって、老衰する時をただ待ち続けたいです。
ニックの妹マーゴを演じるキャリー・クーン。彼女は最高ですね。冷め切ったメガネ美女。感情表現も巧みですし、俳優として文句なしでしたよ。彼女は33歳にして、映画初出演なんだそうです。もったいない、なぜ彼女のような逸材が埋もれていたのでしょう。クリストフ・ヴァルツといいキャリーといい……。それにしても、マーゴは良いキャラクターでした。彼女が主人公のオムニバスを見たい。あと、ニュース番組のブロンド司会者を演じていたミッシー・パイルも嫌な女でしたねー。あのキャスティングは素晴らしいですよ。