映画『ブラック・シー』の概要:黒海に沈むUボートの金塊を手に入れるため、旧式の潜水艦に乗り込んだ12人の男たち。しかし国籍の違う乗組員達の間に、取り分をめぐって不和が広がり始め……。ジュード・ロウ主演のアドベンチャー映画。
映画『ブラック・シー』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:アクション、サスペンス、アドベンチャー
監督:ケヴィン・マクドナルド
キャスト:ジュード・ロウ、スクート・マクネイリー、ベン・メンデルソーン、デヴィッド・スレルフォール etc
映画『ブラック・シー』の登場人物(キャスト)
- ロビンソン(ジュード・ロウ)
- 長年務めたサルベージ専門の会社アゴラ社から突然解雇を言い渡された男。仕事に身をささげた結果、妻と息子に去られている。アゴラ社の裏をかいて金塊を手に入れようとする。
- ダニエルズ(スクート・マクネイリー)
- 今回の金塊サルベージ計画の出資者の部下。閉所恐怖症だが、出資者に命じられ潜水艦に同乗することになる。自分が助かるためには、他のクルーの命は何とも思っていない。
- フレイザー(ベン・メンデルソーン)
- イギリス人乗組員。性格に難ありだが、潜水の腕を買われてクルーに選ばれる。ロシア人乗組員たちと同額の取り分というロビンソンの決定に、強く不満を持つ。
- ブラッキー(コンスタンチン・ハベンスキー)
- ロビンソンの友人で元同僚のロシア人。ロビンソンと共に今回の計画を主導する。英語とロシア語が話せるため、艦内での通訳もこなす。
- トビン(ボビー・スコフィールド)
- カーストンの友人の貧しい青年。カーストンの自殺をロビンソンに伝えにきて、人数合わせとして計画に誘われる。スキューバ程度の経験しかない。もうすぐ子供が生まれる。
- モロゾフ(グリゴリー・ドブリギン)
- ロシア人乗組員。海図を担当。初めのうち一言も発さずにいたが、実は英語を話せることがのちに発覚する。寡黙で常に冷静。
- ザイツェフ(セルゲイ・プスケパリス)
- ロシア人乗組員。エンジン室を担当する。仕事熱心で、荒々しい性格。
- ピータース(デヴィッド・スレスフォール)
- イギリス人乗組員。海軍出身で、フレイザーと同じく潜水を担当。
- レフチェンコ(セルゲイ・コレスニコフ)
- ロシア人乗組員。電気系統が専門で、料理も担当。
- ババ(セルゲイ・ヴェクセル)
- ロシア人乗組員。ソナー(音波の返りを聞いて障害物や船の位置を探知する)のスペシャリスト。
- レイノルズ(マイケル・スマイリー)
- イギリス人乗組員。海軍出身。
- ギッテンズ(ブランウェル・ドナヒー)
- ロシア人乗組員。潜水を担当。ブラッキーが殺された時の事故で亡くなってしまう。
- カーストン(ダニエル・ライアン)
- ロビンソンの元同僚。ロビンソンにUボートの金塊の話を持ちかけた。うつ病を患っている。ロビンソンの出発前に、ロビンソンへの謝罪の言葉を残し自殺。
映画『ブラック・シー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブラック・シー』のあらすじ【起】
サルベージを専門とするアゴラ社に勤めるロビンソンは、突然解雇を言い渡される。彼は妻子に去られてまで尽くした会社に解雇され、全てを失った。ロビンソンは元同僚ですでに解雇されているブラッキー、カーストンと飲んでいた。するとカーストンが、一獲千金の話をロビンソンに持ちかける。
ロビンソンとブラッキーは、カーストンに紹介された出資者のもとを訪れる。一獲千金の話とは、黒海に沈む、金塊を積んだUボートをサルベージしようというものだった。カーストンはアゴラ社在籍時にUボート発見に立ち会っていたのだ。この金塊は、第二次世界大戦時ナチスがソ連に要求した出資金(当時で8000万マルクの価値)で、存在しないと言われていた。Uボートを発見したアゴラ社は領海国のグルジアと取引をしたが、ロシアとの紛争が起こり手を出せなくなったのだ。ロシアはその取引を知らず、グルジアはUボートの場所を知らない。そこで両国とアゴラ社にばれないように、金塊を奪ってしまおうと言うのだ。出資者は4割の儲けを条件に、潜水艦を用意してくれることになった。
ロビンソンは自分とブラッキー、カーストンを含め、イギリス人とロシア人計11名の乗組員を集め、出資者の部下であるダニエルズも加わることになった。しかし、カーストンの友人という青年トビンから、カーストンが自殺したこと、ロビンソンに謝罪の言葉を残していたことを聞かされる。カーストンの代わりに、ロビンソンは金のないトビンをメンバーに引き入れる。
映画『ブラック・シー』のあらすじ【承】
出資者が用意した潜水艦はとてもおんぼろだったため、ロビンソンたちはまず艦のメンテナンスから始める。燃料は7割ほどしか入らず、脱出用スーツはなし、無線も1回線しか通じない。ロビンソンは脱出用スーツを3着だけ見つけたが、秘密にしておくことにする。
出発のめどがたち、ロビンソンは金塊の事を乗組員たちに話す。ロビンソンは、出資者に金塊の4割を渡し、残りは乗組員で平等に山分けだと勝手に決めてしまう。潜水艦が出港したが、すでに艦内にはいざこざが起こり始めていた。イギリス人の乗組員、特に潜水担当のフレイザーが、通貨価値の違うロシア人乗組員も同じ取り分であることに不満を持っていたのだ。
潜水艦の経験がないトビンは、エンジン室担当のザイツェフの手伝いをすることになる。トビンにはもうすぐ子供が生まれることが判明する。彼には子供のためにも金が必要だった。艦はロシアの船に見つからないよう進む。
乗組員が無線を勝手に使い、宝くじの当たりくじを手にもめ始める。ロビンソンは無線を壊し、乗組員の不満を無理やり抑えつけた。しかしフレイザーはまだ不満げだ。トビンのミスをロシア人のブラッキーが責めたことをきっかけに、フレイザーはブラッキーと言い合いになり、彼を刺し殺す。ブラッキーは倒れ、そこにあったエンジンオイルが引火、爆発してしまう。潜水艦は大きく傾き海底へ沈んでしまった。
映画『ブラック・シー』のあらすじ【転】
ロビンソンは事故で気を失っていた。妻子の夢を見たロビンソンが目覚めると、ブラッキーと潜水担当のギッテンズが死亡、イギリス人とロシア人が艦の両端に別れ対立している状態だった。船はドライブシャフトがやられ、動きそうにない。ロビンソンは片言のロシア語でロシア人側に語りかける。生きて脱出するため、英語を話せるモロゾフをかけはしに、ロシア人乗組員とイギリス人乗組員は再び協力する。
ロビンソンは、Uボートのドライブシャフトを自艦にとりつけて浮上させるという計画を立てる。ソナー担当のババが100m先に何かを見つけた。一か八か、潜水担当がUボートまで行くことにする。しかしギッテンズが死んで潜水担当が1人足りない。スキューバ経験のあるトビンが、フレイザーとピータースについていくことになった。
3人はUボートにたどり着いた。沈没した船内には死を目前にした人々の狂気、そして大量の金塊があった。3人はドライブシャフトと金塊を台車で運ぶが、金塊が重く苦戦する。それでもロビンソンは金塊にこだわる。落ちた金塊を拾おうとして、ピータースが崖から落ちてしまった。
仲間が航行に必要な最低人数になり、ダニエルズも作業をせざるを得ない状況になる。嫌がったダニエルズは、真実を白状した。出資者はアゴラ社が用意した偽物で、カーストンの話はアゴラ社による罠だったのだ。潜水艦が浮上したところでロビンソンたちは逮捕され、アゴラ社が金塊を全て奪う手筈になっていた。ロビンソンは真実を知り、なおも金塊を積み込み、アゴラ社が待ち構えている場所を避けて南下することを独断する。しかし進路がそれ、岩の多い浅瀬に入ってしまう。ロビンソンは細い峡谷を通るという無茶な決断をする。
映画『ブラック・シー』の結末・ラスト(ネタバレ)
金塊にこだわり、無茶な航行をしようとするロビンソンに、フレイザーは反対していた。ダニエルズはその不満につけ入り、フレイザーにエンジン担当のザイツェフを殺すようけしかける。ザイツェフが死ねば、事実上航行は不可能になり、浮上せざるを得なくなるからだ。艦が岩にぶつかったタイミングで、フレイザーはザイツェフを撲殺してしまう。
ザイツェフの死により、船は推進力を失い停止。ロビンソンはダニエルズの企みに激怒するが、爆発が起こり浸水、艦が沈み始める。ロビンソンたちはエンジン室の浸水を止めようとするが、水の勢いは強く、トビンが流され意識を失う。ロビンソンは若く子供のいるトビンを連れてきてしまったことに罪悪感を持ち、その場を離れてトビンの人工呼吸をする。トビンは息を吹き返したが、その間にダニエルズがハッチを閉め、エンジン室の乗組員達を閉じ込めてしまった。彼らは水と火に挟まれ死んでしまう。
なおも浸水は続き、ダニエルズは次のハッチを閉める。しかし服がハッチに挟まり、エンジン室にいなかったモロゾフから見捨てられ、そのままおぼれ死んだ。
生き残ったのはロビンソン、トビン、モロゾフだけだ。ロビンソンは隠していた脱出スーツを取り出した。モロゾフはロビンソンを涙ながらに責める。ロビンソンはトビンとモロゾフを先に脱出させる。トビンは金塊を持って行きたがるが、ロビンソンは「家族のそばにいることが大事」とあきらめさせた。
海上に出たトビンは、最後に残ったロビンソンに脱出する手立てはないことを知らされる。水が迫る中、ロビンソンは妻子の事を考えていた。海上に最後の脱出スーツが浮かび上がる。ロビンソンかと思ってスーツに近づいたトビンとモロゾフが見たのは、スーツいっぱいに詰まった金塊と、ロビンソンの妻子の写真だった。
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