映画『ノック・ノック』の概要:社会的に成功を収め理想の家庭も築いた男が、一夜の快楽に溺れたばかりに絶望の淵へと突き落されていく。キアヌ・リーヴス主演のサスペンススリラー。チリ・アメリカの共同制作、2015年公開。
映画『ノック・ノック』の作品情報
上映時間:99分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:イーライ・ロス
キャスト:キアヌ・リーヴス、ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス、アーロン・バーンズ etc
映画『ノック・ノック』の登場人物(キャスト)
- エヴァン(キアヌ・リーヴス)
- 人が良く紳士的な43歳、建築家。レコードが好きで若い頃はDJをやっていた。良き父であり良き夫。不満があるとすれば妻との夜の営みがしばらくない事。
- ジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)
- 黒髪の開放的な女性。どちらかというと理知的。
- ベル(アナ・デ・アルマス)
- 金髪でバルセロナ出身。性に奔放な女性。どちらかというと頭が悪そうな色情狂。
- ルイス(アーロン・バーンズ)
- カレンのマネージャー。喘息の為、常に吸入器を携帯している。誠実で紳士的。
- カレン(イグナシア・アラマンド)
- エヴァンの妻。才能ある芸術家でスペインのバルセロナ出身。良き母でもある。
- ヴィヴィアン(コリーン・キャンプ)
- 整体師。エヴァンの肩の治療をしている。エヴァン夫妻共通の知り合い。恰幅の良い女性。
映画『ノック・ノック』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ノック・ノック』のあらすじ【起】
建築家のエヴァンはハリウッドに住み、子供が二人と美しい妻の4人暮らし。絵に描いたような幸せな生活を送っていた。不満を言うなら夫婦の夜の営みが、満足に出来ていない事くらいだろうか。週末、妻は子供達を連れてビーチへ。エヴァンは仕事の為、留守番をする事になった。
その日の夜は生憎土砂降りの雨。エヴァンは自宅で仕事をしていたが、誰かが訪ねて来たようだ。玄関へ行くと2人の女性がずぶ濡れで立っていた。グレゴリーという人の家を探しているらしい。彼女達はタクシーから降りて20分、雨の中を探して歩いたらしいが、どこの家も休暇で留守。唯一、出て来たのがエヴァンだったというわけだ。雨のせいで2人の携帯は水没してしまい、連絡先も分からないと言う。エヴァンは2人を中へ入れタオルとiPadを渡した。女性の1人が調べてみると目的地は全く別の方角だという事が判明。気の毒に思ったエヴァンはタクシーを呼んだが、待ち時間は45分もある。彼女らが衣服を乾かしたいと言うので、エヴァンはバスローブを貸して暖かいお茶を出した。黒髪の子がジェネシス。金髪の子がベルと言った。
衣服を乾燥機へ。2人は勝手に別の部屋でレコードを聞きくつろいでいる。馴れ馴れしい2人に乗せられ彼は少しずつ打ち解けて行く。2人は客室乗務員と言うが、性に開放的な様子だ。タクシー到着まであと5分。ジェネシスはトイレへ。ベルはエヴァンにレコードをかけてもらう。ベルの誘惑に必死で抗うエヴァン。そしてタクシーが到着した。
乾いた服を持ってバスルームへ行くが、2人はなぜかシャワーを浴びている。ご無沙汰だったエヴァンはとうとう誘惑に負けてしまう。タクシーは去ってしまいエヴァンは2人と濃密な夜を過ごした。
映画『ノック・ノック』のあらすじ【承】
次の日、図々しい2人の女はキッチンを盛大に荒し、ここが自分達の家だと宣う。偉い事になってしまった。妻からの電話にいつも通り接しながら、窓の向こうでは2人が下品なアクションをしているのが見える。エヴァンは後悔と怒りに苛まれ女達を追い出そうとした。
だが、女達は好き勝手に家の中を滅茶苦茶にする。あまつさえ妻の製作途中の作品にすら手を出した。警察に通報すると言うと彼女達は未成年だと言う。口論しているとヴィヴィアンが訪ねて来る。エヴァンの肩の治療に来たのだがジェネシスが邪魔をした為、ヴィヴィアンはエヴァンの不貞に怒り出して去ってしまう。
2人は追い出されたくないが為にエヴァンを脅す。エヴァンは躊躇せず警察へ電話。観念したジェネシスは家へ送ってくれと言った。2人を乗せて自宅だという家の前で下ろす。エヴァンは何も言わず2人を下した後、車で走り去った。だが、女達は家には入らず別の方角へと歩き出す。そこが本当の家だったのかどうかも怪しい。
エヴァンは家の片づけをしてようやく仕事を再開。その日の夜、又しても家のどこからか物音がした為、不審に思いリビングへ。家族写真が床に落ちているのを拾おうとして、何者かに後頭部を強打され意識を失う。
ジェネシスはエヴァンの意識を奪うとベッドの柵に拘束。カレンの化粧品を使い入念にメイクする。意識を取り戻したエヴァンはジェネシスへ必死に言葉を掛けるが彼女は無視。そこへ娘の制服を来たベルが登場。エヴァンはズボンのポケットに入っている携帯をどうにか出して尻の下に隠した。
映画『ノック・ノック』のあらすじ【転】
ベルは下着を脱いでエヴァンの上に立つ。実の父親から性的虐待を受けていたようだ。彼女は復讐するかのように拘束されたエヴァンを平手で叩き続ける。ジェネシスは相変わらず鏡の前で平然とメイクを続けている。
しかしそこへ携帯に着信が。妻からの定期連絡だ。電話を理由に脅され彼は2人の言う事を聞く事にした。ベルに犯されながら動画を撮られる。ジェネシスはそこから一旦離れた。
エヴァンは行為の最中どうにか左手の拘束を外す。全ての拘束を外して別室へ。そこではジェネシスが父の日の為に子供達がプレゼントしてくれたケーキを食べていた。エヴァンはジェネシスに掴み掛るが、まだ完治していない左肩をフォークで刺されて抉られる。エヴァンは強い痛みにより失神した。
再び拘束されたエヴァンは女達によるゲームへ強制的に付き合わされる。その途中、ルイスが訪ねて来た。姪と偽りジェネシスが対応。エヴァンは布を被せられ別室へ。ルイスはカレンの作品を取りに来たのだが、落書きされた作品に愕然とする。落書きは女達がやったものだ。不審を察したルイスは物音を立てたエヴァンを発見するも、女達がカレンの作品を壊し始める。喘息薬を奪われたルイスは、右往左往している間に転んでしまい頭を強打。動かなくなった。女達は笑い転げる。
必死に救急車を要請するエヴァンを詰りつつも別室へ。女達はルイスを濡らした新聞で包み、絵の具を塗って乾かして行く。それを彼の車へ乗せた。ルイスを犯人に仕立てようとしているのだ。
映画『ノック・ノック』の結末・ラスト(ネタバレ)
その頃、エヴァンは棚の置物を揺らしていた。戻って来た2人はゲームを再開させる。時刻はもうじき午前2時。夜明けには処刑すると言う。女達は庭に穴を掘り始めた。エヴァンはテーブルの上にあったiPadをこっそり床に下ろし妻に電話を掛けるが失敗。2人の女はエヴァンに怪物の話をする。それは父の日の朝、エヴァンが子供達に怪物の振りをして楽しませたものだった。女達はこの家を盗聴し、エヴァンを標的に計画を練っていたのだった。
時間は刻々と過ぎる。庭に置いたカレンの作品達が粉々にされ家の中を滅茶苦茶にされて行く。エヴァンは彼女らに髪を切られ、その後更に大暴れする女達。ぶつかった拍子に棚の上の置物が落ちる。中には銃が隠してあった。銃口を向けた2人はエヴァンの拘束を解き30秒以内に室内へ隠れろと言った。夜明けまで持ちこたえたら解放。見つかれば即処刑だ。
エヴァンはキッチンからナイフと鍋を持ち出しテーブルの下へ隠れる。捜索開始。女達の目をかい潜り外へ出て助けを呼ぶも、近所は休暇の為どこも留守だった。助けを乞う声が虚しく響く。
そして夜が明ける。再び拘束されたエヴァンは庭へ投げ出される。掘った墓穴へ落とされ首だけを出したまま土に埋められた。女達とした事を家族へ話すと約束し、妻の留守電へと助けを吹き込もうとしたがそれも功を成さず。
ノック、ノック。どちら様。エヴァンだ。どこのエヴァン。処刑寸前のエヴァンだ。
あわや石板で殺されそうになる。彼女達の狙いは誘惑に負けた男へ制裁を下す事だった。未成年というのも嘘。ジェネシスは最後にベルとの情事動画をSNSへアップする。これに懲りたらもう誘惑に乗って家族を不幸にするなという事だろう。
女達はエヴァンの犬を連れて意気揚々と家を出て行く。
休暇から帰って来た家族は、凄惨な自宅の有様に茫然とした。
映画『ノック・ノック』の感想・評価・レビュー
本作は成功者に対する警告を発している作品だと言える。
主人公は建築家として成功し、家族とも仲良く暮らしている。まさに人生の成功者であるが、二人の女の子を家に泊めた事で人生が大きく崩壊してしまう。
成功者の余裕なのか、雨に濡れた二人の若い娘を警戒せずに家へ招き入れますが、その行動が過ちの始まりとなってしまいます。
人間は一度や二度のミスはあっても、人生が崩壊するまでのミスはどれだけのダメージなのか、本作から如実に伝わってきます。
だからこそ二人の女の子には制裁がなく、主人公だけが一方的に人生を壊される展開は成功者に対する警鐘を鳴らしたメッセージ性を込めた作品である。(男性 30代)
男の身勝手な欲望が破滅を招くのは映画の常ではあるが、今回の場合は欲望側も厳しい判定を下しすぎではないかと怖気を感じる。通常なら不幸になっていく様を面白がれるように作られているはずが、多少同情の余地を持たせるだけで斬新な映画に変わったのは興味深い発見といえるだろう。ともかく男は自業自得ではあるが、さすがにあの状況なら自分もゴニョニョ。(男性 30代)
1977年に制作された映画『メイク・アップ』をリメイクした作品で、主人公を演じたキアヌ・リーブスが一夜の過ちによりただ、ひたすら2人の若い女の子に制裁されるという内容。
理想的な生活を送る主人公が誘惑に負けてしまい、一夜の過ちを犯す。ここまではまぁ、ありきたりだし良くあることだろう。ところが、今作はその後の展開がとにかく酷い。2人の女の子の目的は家族を不幸にする男に制裁を加えるというもので、主人公が誘惑に負けず家から2人を追い出していれば何もなかった。そもそも、彼女らも恐らくそういった環境で不幸な生い立ちを持つのだろうと思う。作中でちらりと明かされるが、詳細は分からない。故の不気味さもある。制裁はこれでもかと言わんばかりに徹底していて、観ているこちらも引くほど。ここまでやられたら、二度と浮気などしない。つまり、2人はある意味世直しをしているのであって、飽くまでも悪いのは男の方なのだ。しかしながら、やりすぎな感じは否めない。怖い映画だ。(女性 40代)
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