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映画『フィッシュマンの涙』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『フィッシュマンの涙』の概要:新薬の臨床試験で魚人間に突然変異した男を巡り、巻き起こる社会現象を見事に描いた作品。精巧に作られた魚の面とイ・グァンスの演技が相まって、無表情にも関わらず絶妙な悲哀感が漂う。

映画『フィッシュマンの涙』の作品情報

フィッシュマンの涙

製作年:2015年
上映時間:92分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:クォン・オグァン
キャスト:イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン、チャン・グァン etc

映画『フィッシュマンの涙』の登場人物(キャスト)

パク・グ(イ・グァンス)
平凡を極めたような男性。29歳、無口。平凡すぎて就職出来ず、公務員試験を目指していた。サンミ製薬の臨床試験のバイトで唯一、魚に突然変異してしまう。夢は平凡な人。
ジン(パク・ボヨン)
パク・グと一夜の過ちをした事がある。性に奔放だったが、パク・グに助けを求められ、協力するようになる。気の強い女性で守銭奴のような面もある。試験に合格し、公務員となる。
サンウォン(イ・チョニ)
報道記者の面接試験として、正体を隠してパク・グを取材。採用となった後も継続して、密着取材をする事になる。夢は弱きを助け、強きを挫く真の報道記者。

映画『フィッシュマンの涙』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『フィッシュマンの涙』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『フィッシュマンの涙』のあらすじ【起】

韓国のABSテレビ局員のサンウォンは、今から5年前に一世を風靡した魚人間の取材をした。それは入局試験の一環でもあり彼自身、初の取材で思い入れも強かった。故に、未だ彼を中心とした事件を忘れられずにいる。

そんなある日、サンウォンの元にパク・グとも関係の深い、ジンという女性が訪ねて来る。彼女は1枚の写真をサンウォンに渡し、パク・グの事を覚えていて欲しいと言い残して去って行く。

サンウォンが彼女と初めて会ったのは5年前の冬。入局試験で現上司から取材をして来いと言われ、会ったのがきっかけだった。
資料には魚人間の恋人となっていたが、実際に話を聞いてみるとパク・グとは、恋人同士ではなく一回寝ただけの友人だった。ある日の夜、突然パク・グが魚人間となって彼女の元へ助けを求めに来たと言う。ジンは彼を自宅に匿った。

パク・グはサンミ製薬の臨床試験のバイトに参加。参加者は1000人いたが、パク・グだけが薬の副作用で突然変異を起こし、魚へと変貌したのだった。
彼はサンミ製薬で拘束され、妙な実験をされそうになり逃げて来たと言う。
事情を聞いたジンは、こっそりとサンミ製薬に通報。パク・グはサンミ製薬に連れて行かれた。

サンウォンはジンと共に、パク・グへ会いにサンミ製薬へ潜入。探し回った結果、パク・グは研究開発室で監禁され、様々な実験をされていた。
サンウォンの取材した魚人間の報道は、瞬く間に世間を混乱の渦へと落とした。
結果、サンウォンは試験に合格して入局を許され、正体を隠したまま取材を続ける事になる。

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映画『フィッシュマンの涙』のあらすじ【承】

ピョン博士は体内で増殖を続けるタンパク質を開発。サンミ製薬と提携した後、その製品化を進める為に臨床試験を行っていた。実験が成功すれば、3日間は何も食べずに過ごす事が出来て、しかも寿命も延びるという画期的なものだった。

時間が経つにつれ、パク・グは注目を浴びるようになる。サンミ製薬は避難の対象となり、彼は危機に陥った若者の象徴となった。魚人間のパク・グは世間から愛されるようになり
そして、とうとう訴訟を起こすまでになる。パク・グの弁護士は人権擁護を声高に叫ぶ人物だった。

パク・グと彼の父親、ジンとサンウォンは弁護士事務所にいた。弁護士は今後の方針として、パク・グに笑えと指示するも、魚が笑顔を作れるはずもなく。パク・グはひたすら水を飲む。パク・グの父親とジンは補償金について口論となる。どうも、この2人は相性が悪いらしい。

パク・グの体はだんだん魚化していった。進行を止められる者は誰もおらず、積極的に治療しようと言う者もいなかった。何人もの医者が彼を診察したが、医学界は治療不可能を宣言。他の分野の専門家でも匙を投げる始末。

パク・グ一行は藁にもすがる思いで、新興宗教一団の元へ向かう。悪魔祓いと称してパク・グを殴り始める教祖。我慢ならなくなった父親が殴り返してしまい、その場は乱闘となる。帰り道、ジンと父親の口論が再び勃発。父親とジンで意見が割れ、2人に詰め寄られたパク・グは父親を選んだ。

映画『フィッシュマンの涙』のあらすじ【転】

各国が博士の実験を称賛した事により事態は一変する。そして、形勢を覆す強力な一発が放たれる。パク・グのセクハラが暴露されたのだ。試験中、看護師に対して自慰行為を行ったとの事だが、証拠としては2枚の写真だけで真相は怪しいものだ。

更に、大企業がサンミ製薬を買収し、博士に多額の実験費を投資するという事態へ。父親と弁護士が騒ぐ中、サンウォンだけがパク・グの本音を聞く。パク・グはセクハラなどしていなかった。

大勢の記者と中小誹謗に晒され、何をしたわけでもない、ただ被害に遭っただけのパク・グは追い詰められていく。支援の輪が広がれば、反対勢力も増大。過激なデモを武力で鎮圧する事態にまで陥る。こうして、相反する2つの勢力が誕生し衝突を繰り返した。

ある日、パク・グは忽然と姿を消す。サンウォンは上司の制止を振り切って、取材を続けていた。サンウォンはいなくなった彼について疑問を抱く。無口なパク・グは何を思い、どこへ行ったのか。

サンウォンは取材のデータと資料を持って、局へ向かっていた。しかし、そこで別の取材陣に詰め寄られ、資料とデータを奪われてしまう。
肩を落として帰宅したサンウォンだったが、誰かが自宅へ侵入した痕跡を見つける。風呂場にはなんと、パク・グがいた。彼には行く宛てが無く、行く場所もない。

映画『フィッシュマンの涙』の結末・ラスト(ネタバレ)

パク・グと互いの夢を語り合った後、サンウォンは真の報道人となる為に立ち上がる。そうして、弁護士と博士側が交渉している場を目撃。
その後、自宅へ帰ると、パク・グが首を括り自殺しようとしていた。だが、ロープは首ではなく鰓にひっかかっていた為、命に別状は無かった。
病院に駆け付けた弁護士は、自分達に勝ち目がない事を告げる。父親は息子が人間らしく暮らせるだけの補償金をと言うが、サンウォンは納得出来なかった。

そんなある日、サンウォンは会社のテレビでパク・グがサンミ製薬へ向かった事を知る。現状のままでは命に危険が及ぶとの事で、協力するという話だった。サンウォンが見たパク・グの姿は、それが最後だった。

パク・グはありとあらゆる実験を繰り返されていた。苦痛と危険を伴う実験に晒され、非人道的な事を行われる。博士は彼も人間だと、丁重に扱うよう部下達に厳命。パク・グの犠牲により新薬が誕生したが、博士の夢は叶わなかった。
その新薬は高額で、富裕層にしか購入出来ない。博士は大企業の会長に異議を唱えるも、取り合ってもらえず。パク・グはその後すぐ、この世を去った。

サンウォンは葬式で初めて、彼の本当の姿を目にした。
パク・グの遺灰は海へ撒かれた。そこには、サンウォンとジンも一緒にいた。

その後、弁護士の発言により事態は新局面へ。パク・グを人間に戻せる技術があったにも関わらず、それをしなかったとして博士は殺人ほう助罪で7年の実刑判決を受ける。弁護士は議員になった。パク・グの父親は若返ったように奉仕活動へ参加し、ジンは公務員になった。そして、サンウォンは正社員となったが、まだ真の記者ではない。

ジンから貰った写真を持って、サンウォンは博士と面会。写真には遺灰を撒いた時の景色が映っていたが、右下にはパク・グと思われる左手が映り込んでいた。パク・グは人間に戻れる事を知っていた。だが、彼は魚人間のままでいると言ったらしい。だから、博士はパク・グを死んだ事にして、海へと逃がしたのだった。
パク・グは万が一、サンウォンが訪ねて来たら、事の真相を全て明かして欲しいと博士に頼んでいたようだ。真の記者ならば、真実を知りたがるはずだからと。

泣きながら会社へ戻ったサンウォンに、再び現れたジンが1本の画像テープを渡す。画像の中にはパク・グと思われる姿が映されていた。サンウォンはカメラを手に、会社を飛び出した。

映画『フィッシュマンの涙』の感想・評価・レビュー

見た目のインパクトが強くも、平凡さを求める寡黙な性格のフィッシュマンが可愛いが、段々身体も魚に近づいていく姿がシュール。
フィッシュマンの物語というよりも、彼を取り巻く周りの人々の物語という印象だった。
韓国の若者の就職難や学歴社会に対しての問題提起をしていて、見ていて辛くなる部分もあった。みんな自分たちのことばかりで、でもそれには心当たる節があり、自分自身に突き刺さった。
途中自殺に失敗するも、結局パク・グは魚として人生を続けることを決めて、切ないけれど少し救われた気持ちになった。(女性 20代)


主人公がフィッシュマンという外見が魚になってしまう設定がかなり特殊なので、感情移入できず慣れるまで映画に集中できなかった。しかし、ストーリーは人々の貧困や雇用などの様々な問題を入れ込んだ社会派映画になっているので、主人公と同世代だった私はかなり心に響いた。鑑賞後色々なことを考えさせられる作品だったと思う。

結末は救いのある終わり方だったので、すっきりと終わることが出来てよかった。(女性 20代)

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