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映画『嗤う伊右衛門』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『嗤う伊右衛門』の概要:貧乏浪人の伊右衛門は、病で顔が崩れた民谷の娘、岩を嫁に貰い民谷家を継ぐ事になった。以前より岩を狙っていた伊藤は、策を弄して夫婦を離縁させる。四谷怪談をベースに、深い愛と復讐を描いた愛憎劇。

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映画『嗤う伊右衛門』の作品情報

嗤う伊右衛門

製作年:2003年
上映時間:128分
ジャンル:ラブストーリー
監督:蜷川幸雄
キャスト:唐沢寿明、小雪、香川照之、池内博之 etc

映画『嗤う伊右衛門』の登場人物(キャスト)

民谷伊右衛門(唐沢寿明)
落ちぶれた武士の家柄で浪人。貧乏であばら家住まい。心意気は武士。今までに一度も笑った事がない。無口で不愛想。民谷家へ婿に入る。
民谷岩(小雪)
疱瘡のせいで、右側の顔に醜い痕が残っている。左側は美しい女。民谷家の1人娘。武士の娘らしく気丈で清廉。
又市(香川照之)
鈴を鳴らし魔よけの札などを売り歩く御行。民谷家に伊右衛門を紹介する。
民谷梅(松尾玲央)
薬種問屋の娘。民谷家に養女として迎えられ、岩の代わりに喜兵衛に輿入れさせられた。
伊藤喜兵衛(椎名桔平)
四谷左門殿町の御先手鉄砲組与力。町娘を攫っては手籠めにする色狂い。

映画『嗤う伊右衛門』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『嗤う伊右衛門』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『嗤う伊右衛門』のあらすじ【起】

伊右衛門は元々、武士の家柄の出であったが、没落後はあばら家に住む貧乏浪人である。
心意気だけは未だ、武士然としているが、過去の出来事により今まで一度も笑った事がない、憮然とした男だった。

そんな伊右衛門の元に、御行の又市から婚姻の話が舞い込む。
四谷左門町の御先手御鉄砲組の同心、民谷家の1人娘に婿を取らせたいという話だった。民谷家の1人娘、岩は疱瘡の病で右側が爛れ、崩れている醜い顔をしていたが、伊右衛門はそれでも良いと婿へ入る。民谷家当主は岩と結婚して婿に入るならば、家名を譲ると断言した。

画して、伊右衛門は岩を嫁に迎え、民谷家の家名を継いだ。
岩は気丈で清廉な娘だった。顔の崩れがなければ、若く美しく器量の良い女。
対して、不器用で不愛想な伊右衛門は言葉少なに、ただただ謝るばかり。岩にはその謝罪が気に食わない。醜い顔を見て申し訳ないと、言われているような気になるのだった。

そんな折、民谷家当主である岩の父親が倒れる。父親は亡くなる前に、伊右衛門へ注意を促した。御先手鉄砲組与力の伊藤喜兵衛が、以前より岩を狙っていると言う。伊藤喜兵衛には良い噂が無く、町の女を攫っては手籠めにしているという話だった。

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映画『嗤う伊右衛門』のあらすじ【承】

父親亡き後、夫婦は黙々と暮らしていたが、互いの不満をぶつけあい口論となる。伊右衛門は思わず妻を平手打ちしてしまうが、彼女の言葉を聞いて心を入れ替える事にした。

ある日、伊藤喜兵衛の命により屋敷を訪れた伊右衛門。彼は喜兵衛に妻の岩が、噂通りの悪妻かどうかを質される。しかし、伊右衛門は自分が至らぬせいだと語った。
そこへ、梅という娘が茶を運んで来る。喜兵衛の話では、梅は岩の義理の妹だと言う。薬種問屋の娘を岩の父親が養女として迎え入れ、岩の代わりとして喜兵衛に輿入れさせたらしい。その事は娘の岩にも知らされていなかった。

喜兵衛の屋敷で酒を馳走になった伊右衛門は、梅の誘いを断って帰宅。
名残惜し気に伊右衛門を見送る梅だったが、喜兵衛に嘲られて組み敷かれる。彼女は喜兵衛の子供を腹に宿していたが、望んで男の元にいるわけではなかった。

そんなある日、伊右衛門が仕事でしばらく家を空ける事になった。夫は妻に優しい言葉をかけ出掛けて行った。
ひと月後、喜兵衛に呼び出されて屋敷を訪れた岩。そこで喜兵衛に伊右衛門が、別の女の所にいるという話を聞かされる。女に夢中となり、仕事も疎かになっているらしい。
俄かには信じられない岩だったが、彼女は真面目な夫が別の女に夢中になるのは、自分が至らぬからだと言った。
喜兵衛は岩に夫と別れるよう促す。すると彼女は、伊右衛門の元の名前、境野を名乗らせ今の家と仕事を、夫に残して欲しいと言う。そうしてくれるならば、夫と別れると話した。

映画『嗤う伊右衛門』のあらすじ【転】

半年後、堀で夜釣りをしていた伊右衛門。そこで、以前住んでいた家の隣人と出会う。彼は妹亡き後、姿を消していたのだ。伊右衛門は春に生まれたという、赤ん坊を腕に抱いていた。赤ん坊を自分の子供だと言う。
隣人は自分の雇い主だった医者を刺殺して来たらしい。妹の仇を晴らしたのだと言う。だが、まだもう1人、仇が残っている。伊右衛門は一先ず、隣人を自分の屋敷で匿う事にした。

伊右衛門の屋敷には梅がいた。屋敷で一息ついた隣人は、訥々と事情を話し始める。
喜兵衛は医者と画策し、隣人の妹を手籠めにしたのだった。武家に逆らうなかれと手紙を添えて。隣人は仇を打つべく、顔の皮を剥ぎ伊右衛門の下男として働く事になった。

伊右衛門と別れた岩は、1人寂しく内職をしつつ暮らしていた。
雪の降る日、岩の元に又市が訪ねて来る。彼は彼女を憐れに思い、元夫が後添えを迎え幸せに暮らしている事を知らせるが、岩は笑顔でそれを祝福。しかし、彼女は笑顔の下で悲しみと寂しさを抱える。

冬が過ぎて夏。岩は伊右衛門の家をこっそりと覗きに行った。幼い赤子をあやす梅に見つかり、隠れるように逃げる岩。突然の雷で土砂降りになる中、逃げる岩を下男が止めて声をかけた。そこで岩は、伊藤喜兵衛の策略を知る。

その後更に、下男によって梅との関係を知らされる岩。喜兵衛の策略が明らかになった。岩と伊右衛門は喜兵衛に騙されていたのだ。岩は伊右衛門の苦難に憤る。しかも、伊右衛門は民谷の血筋を絶やすまいと、その苦難に耐えている。岩の幸せは伊右衛門の幸せ。だが、岩に捨てられた伊右衛門は幸せに見えて、実は幸せではなかったのだ。
岩は乱心し、叫びながら家を飛び出した。

映画『嗤う伊右衛門』の結末・ラスト(ネタバレ)

堀で赤子をあやしつつ、夜釣りをしていた伊右衛門。そこで、岩の姿を見たような気がして彼女を探す。姿を現した岩は恨めしやと呟きながら、伊右衛門と抱き合う。2人は心から互いを愛していた。愛していたが、別れざるを得なかった。短い逢瀬の中、伊右衛門は岩に1人では逝かせぬと呟く。

ある日の朝、民谷家の赤ん坊が死体となって発見された。赤子を抱いて、涙を見せる伊右衛門の前に喜兵衛が現れる。奴は伊右衛門に岩を殺せと命じていた。伊右衛門は子供の弔いを終えたら、決着をつけると宣言した。

蚊帳の中に大きな衣装箱が置いてある。伊右衛門はその上に座して瞑想。顔色は青白く、死人のようだった。梅は伊右衛門の元に残りたいと言い、岩が羨ましいと泣く。
そこへ、喜兵衛がやって来た。伊右衛門と問答の末、踵を返した喜兵衛に下男が襲い掛かるが、下男は騎兵に斬られ命を落とす。

何があっても蚊帳から外へ出ない伊右衛門だったが、その中から梅を刺殺。赤子を殺したのが梅だったからだ。そこで、初めて蚊帳の外へ出て来た伊右衛門は、一瞬にして喜兵衛を斬る。そうして、息も絶え絶えの男を介錯した。
血塗れの伊右衛門は、民谷の亡父に語り掛ける。岩は俺が貰った。
伊右衛門はそう呟いて不気味に嗤った。

1年後、荒れ果てた民谷の家に若者が訪れる。若者は民谷の遠縁だと言う。弔いに来ていた又市は青年を連れて中へ。そこには、伊右衛門が決して離れず、座していた衣装箱があった。又市と青年は衣装箱を開けた。中には蛇と鼠が溢れんばかりに入っている。その途端、男女の笑い声が屋敷中に響き渡る。
蛇と鼠が逃げ出した後には、寄り添う伊右衛門と岩の亡骸が入っていた。こうする事で、2人の愛は永遠となったのだった。

映画『嗤う伊右衛門』の感想・評価・レビュー

ジャパニーズ・ホラーが十分に認知された少し後の映画で、当時の流行の作り方ではなく、古くからの恐怖映画の流れを汲んだ作品。こうした経緯からか当時でもあまり話題にならなかった作品ではあるが、流行り廃りに流されない確かな面白さがある。物語のベースはお岩物語であるが、ドラマ部分の作りこみと達者な俳優陣によって十分な新鮮味があった。今の時代ならば、案外当時流行ったホラー映画よりも、目新しさがあって受けるのではないだろうか。(男性 30代)


四谷怪談を下敷きに京極夏彦が執筆した江戸会談シリーズ第1弾の同名作品を映画化。しかくの作画で漫画化もされている。

京極夏彦独自の解釈とアレンジで大まかな設定を覗くと全くの別物となっている今作。主演を唐沢寿明が演じ、岩役を小雪が演じており夫婦の切っても切れない深い愛情が描かれている。監督に蜷川幸雄が務めているだけあって、作品に深みが加わりより愛憎とホラー演出が倍増。終盤の伊右衛門の不気味さは異様とも言え、復讐を遂げる様子に恐怖を覚える。ラストシーンで衣装箱を開けた際の笑い声を不気味に感じると共に少しの切なさも覚えた。時代を感じさせない隠れた名作なのではないかと思う。(女性 40代)

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