映画『しあわせ家族計画』の概要:川尻富士夫は食品メーカーに勤めていたが、ある日クビを言い渡される。妻の実家に居候することになるも、肩身の狭い思いをしていた。実家の駄菓子屋を手伝うも上手くいかず、元上司に誘われた会社の話しも嘘だったため、富士夫は途方に暮れていた。
映画『しあわせ家族計画』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:阿部勉
キャスト:三浦友和、渡辺えり子、平山綾、佐々木和徳 etc
映画『しあわせ家族計画』の登場人物(キャスト)
- 川尻富士夫(三浦友和)
- 食品メーカーの営業マンだったがクビになり、社宅を追い出され妻の実家に居候する。優柔不断で穏やかな性格。
- 川尻優子(渡辺えり)
- 富士夫の妻。ハキハキした性格。家計のために弁当屋を始める。
- 川尻陽子(平山あや)
- 富士夫と優子の娘。中学生。学校でいじめに遭い、不登校になる。
- 川尻由太郎(佐々木和徳)
- 富士夫と優子の息子。小学生。父親似で運動神経がない。
- 広瀬道男(片岡鶴太郎)
- 富士夫の元同僚。意地っ張りで頑固な性格。
- 広瀬喜美子(名取裕子)
- 道男の妻。専業主婦だったが、道男が会社から自宅待機を命じられたことから働きに出る。
- 広瀬章太(小栗旬)
- 道男と喜美子の息子。道男との喧嘩が絶えない。陽子の同級生。
- 高田義造(いかりや長介)
- 優子の父。和菓子屋を経営している。頑固者。
- 高田恒子(野際陽子)
- 優子の母。家族を優しく見守っている。
- 長谷川哲男(阿部寛)
- かつて義造の和菓子屋で職人として働いていた。ずっと前に辞めていたが、離婚を機に戻ってくる。
- 品川(小林稔侍)
- 富士夫の会社の元部長。定年前にリストラされる。新会社設立を目指すが、実際は富士夫に詐欺を働こうとしていた。
映画『しあわせ家族計画』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『しあわせ家族計画』のあらすじ【起】
川尻富士夫は食品メーカーに勤めており、商品を置いてもらうため、スーパーを営業して回っていた。その時、ちょっとしたリベートを渡していたのだが、それを理由に会社からクビを言い渡される。本部長も知っていたはずだという富士夫の言い分は、一切無視された。
次の日、富士夫は面と向かって妻の優子にクビになったことが言えず、外から電話を掛けて伝えた。その夜、同僚の広瀬道男達が送別会を開いてくれるが、富士夫は惨めな気持ちになるだけだった。上司の品川部長も定年まで後3年だったにも関わらずクビになってしまい、富士夫と共に送別会に静かに参加していた。だが、道男の失礼な言動に腹を立て、品川がお酒を道男の顔にかけたことで、送別会は騒然となってしまう。
富士夫達は社宅を追い出されることになり、妻の実家に引っ越した。義父の義造も義母の恒子も温かく向かい入れてくれたが、富士夫は不甲斐なさに落ち込んだ。長男の由太郎は小学校を転校することを気にしていなかったが、長女の陽子は顔を曇らせていた。
優子は実家の和菓子屋で店番の手伝いをするが、年始の客が昔より減っており、店の経営状況を心配した。富士夫も慣れない手つきで団子を作り働くが、義造から不器用だと呆れられる。その夜、優子は弁当屋を開業することを両親に提案する。帳簿で赤字が続いていることを確認し、和菓子屋の存続が危ういことが分かったのだ。そのため、弁当屋を開くことでお客さんを増やし、和菓子屋も繁盛させようという考えだった。だが、和菓子屋一筋でやってきた義造は気に入らず、優子と喧嘩して出て行ってしまう。後日、義造の反対を押し切り、優子は和菓子屋の横で弁当屋をオープンした。弁当屋にはお客さんが多く訪れ繁盛していたが、和菓子屋は閑古鳥が鳴いていた。
映画『しあわせ家族計画』のあらすじ【承】
道男は会社から自宅待機を命じられる。営業成績も悪くなかったので納得がいかなかったが、会社からの命令が覆ることはなかった。その頃、富士夫は品川から新会社設立に誘われていた。最初は株の一部を購入するため200万の出資金が必要だと言われ、富士夫は即決することができなかった。
和菓子屋に長谷川哲男が突然顔を出した。哲男は義造の店でかつて職人として働いていた人物だった。だが、優子が富士夫と結婚することにショックを受け、店を辞めてしまったのだ。だが、哲男自身が離婚を経験したことで、一から人生をやり直すため義造の店に戻ってきたのだ。義造や優子は哲男が帰ってきたことに喜び、富士夫は益々居場所をなくした。
哲男が作った新商品がヒットし、客が大勢押し寄せた。優子も哲男に気に入られようと積極的に和菓子屋を手伝った。その様子を見た富士夫は、1人でこっそりと新会社で頑張ることを決意する。
陽子は友達と遊ぶため待ち合わせ場所で待っていたが、友人達が現れることはなかった。その時、友人達は別の店で陽子の様子を見ており、ずっと待っている陽子を馬鹿にして笑っていた。次の日、陽子は学校で友人達に文句を言って喧嘩になるが、同じクラスの広瀬章太に止められ助けられる。
富士夫が家にいると、女の子から「陽子と広瀬章太がラブラブなので何とかして欲しい」といういたずら電話が掛かってくる。富士夫は広瀬という名字から、道男の息子だと気付き家を訪ねた。家の中で激しい物音が聞こえたので慌てて中に入ると、道男と章太が喧嘩しており、富士夫が止める間もなく章太が家を出て行ってしまう。しかも、仕事から帰ってきた道男の妻の喜美子まで、道男を罵倒して出て行ってしまう。富士夫は道男に掛ける言葉がなかった。
映画『しあわせ家族計画』のあらすじ【転】
由太郎が応募したテレビ企画、「しあわせ家族計画」から書類審査合格の通知が届く。あるお題に父親が挑戦して成功することで、300万円相当の商品が貰えるのだ。富士夫はテレビ出演を嫌がるが、家族に押し切られるまま面接に向かうことになる。面接では道男の新会社の話が飛び出したり、陽子が学校に行きたくないと言い出したりで、めちゃめちゃだった。
富士夫は雇用契約に判子を押し、200万円を品川に渡した。だが、富士夫が喜んでいると、品川から始めから嘘だったと謝られる。品川は妻が事業に失敗したことで夜逃げ寸前まで追い込まれていたことを説明した。富士夫は家に帰ると、優子に品川の話は出さずに新会社の話がなくなったことを説明した。そして、200万円を落としたと謝罪した。
次の朝、哲男が和菓子屋の金庫から金を奪い逃げていた。優子達が動揺していると、「しあわせ家族計画」のテレビクルーが店を訪れる。富士夫は出演を嫌がるが、普段何事にも興味を示さない陽子まで、アメリカ旅行に行きたいと呟いたことで出演することを決める。富士夫の課題は、ピアノで「ホーム・スイート・ホーム」を間違えずに演奏することだった。練習期間は1週間しかなく、富士夫達は不安そうに顔を見合わせた。
本番4日前。富士夫はお手本のビデオを見ながら一生懸命練習した。だが、上手くいかずにイライラしてしまい、散歩に出掛けてやけ食いをした。夜フラフラと歩いていると、工事現場で警備をしている道男と出会う。富士夫は道男に誘われるまま、おでんの屋台に入った。道男は愚痴を零し、来週長万部の工場に転勤になることを話した。会社は道男に嫌がらせをして自主退社を促しているのだ。道男は会社の魂胆が気に食わず、必死に耐えていた。家族の中もうまくいっておらず、テレビに出演する富士夫をやっかんだ。だが、富士夫はテレビに出演するのも嫌で、ピアノも上手く弾けないのだと珍しく声を荒げて飲めない酒を飲んだ。
映画『しあわせ家族計画』の結末・ラスト(ネタバレ)
本番3日前。富士夫は外で寝てしまい、二日酔いでフラフラになりながら家に帰った。優子はピアノの練習をさぼる富士夫に腹を立て、200万のことを持ち出して攻め立てた。それを傍で聞いていた陽子が、不器用な父に押し付けるのは間違っていると母を怒った。だが、富士夫が優子を庇ったため、嫌なものを嫌とはっきり言わない父の優柔不断さに腹を立て、陽子は家を飛び出してしまう。
富士夫は陽子に謝罪して、庇ってくれて嬉しかったと微笑んだ。陽子は父に少しだけ期待していたことを教えた。アメリカに行って自分の英語が通じるか試したかったのだと冗談めかして笑うが、富士夫は陽子の本当の気持ちを理解した。
夜、閉店後の和菓子屋に品川夫妻が訪ねてくる。優子はそこで初めて、富士夫が200万円を品川に貸していたことを知る。品川は就職先が決まり、富士夫に少しずつ返済できる目途が立ったことを話した。優子は富士夫に嘘を吐かれたことと、自分がひどい言葉を言ってしまったことにショックを受けた。その頃、富士夫は町で偶然喜美子に出会い、押し切られるまま学校の音楽室に侵入していた。喜美子は富士夫から「ホーム・スイート・ホーム」の楽譜を借りると、富士夫を指導した。富士夫は練習しながら、道男が悩んでいることを話した。喜美子は意地っ張りで頑固だと道男を非難するが、最後の方は淋しそうな声だった。
富士夫が家に向かって歩いていると、優子が待っていた。優子は品川が家に来たことを話して、人を助けている余裕はあるのか富士夫を責めた。だが、富士夫が謝罪すると、笑顔を見せて富士夫におぶってもらいながら一緒に帰った。
本番2日前。優子は富士夫がピアノの練習を頑張っている姿を見て、客足が遠のいた弁当屋を立て直すため、出前を始める。陽子は久しぶりに学校に登校するが、いじめは続いており教室を飛びだした。だが、章太が後を追いかけ、気にするなと陽子を励ました。
本番1日前。富士夫はなんとか弾けるようになるが、由太郎とのキャッチボールの途中でボールが当たり、手を痛めてしまう。本番当日。観客席には広瀬一家の姿があった。富士夫は手の痛みを隠し、本番に挑んだ。最後まで無事に弾き終わり、アメリカ旅行を獲得した。富士夫達家族は抱きしめ合って喜んだ。
映画『しあわせ家族計画』の感想・評価・レビュー
それぞれの家族の在り方や、一人一人の気持ちがぶつかり合いながらも、解決していく所が心に刺さった。穏やかな性格の富士夫と、てきぱきしている優子、学校でいじめられている長女の陽子、父親似でゆったりしている由太郎の、一般的な四人家族が巻き起こす感動ストーリーであり、広瀬家や高田家など、違う家族の話も出て来て、親近感を得た。しあわせ家族計画の応募をしたことで、家族が一致団結し、それぞれの悩みや想いを理解していくシーンが見所である。(女性 20代)
物語の前半の主人公・川尻富士夫は本当にツイていないというか、心配になるほど散々な目に遭っている。富士夫の性格が穏やかで良い人そうだからというのもあり、余計に可愛そうに感じた。そんな時、テレビに出ることになる。自分のためだけではなく、家族のために一生懸命頑張る富士夫の姿は頼もしく、カッコ良く感じた。こんな父親がいて、子供達は幸せだと思う。家族の絆が感じられる物語で、見終わった後は心が温かくなった。(女性 30代)
良い人だったり、一生懸命頑張ってる人が嫌な思いとか苦しい思いをするストーリーが本当に嫌いなので、今作も序盤の富士夫の不幸の連続が可哀想で仕方なかったです。しかし、富士夫の性格だからこそ優子のような妻がいて、はちゃめちゃだけど温かい家庭が築けたのだろうと思いました。
小栗旬が中学生役で登場するのには驚きましたが、昔から演技力の優れた俳優だなと感じました。
優子を演じた渡辺えりのさばさば肝っ玉母ちゃんみたいなキャラクターがすごく好きです。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー