映画『有りがたうさん』の概要:ありがとうさんと呼ばれて親しまれているバスの運転手は、今日も様々な訳ありの乗客を乗せて三島へと向かう。すれ違う人達や乗客とのユーモラスな関係を描いた一作。原作は川端康成。
映画『有りがたうさん』の作品情報
上映時間:78分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:清水宏
キャスト:上原謙、桑野通子、築地まゆみ、二葉かほる etc
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映画『有りがたうさん』の登場人物(キャスト)
- 運転手(上原謙)
- バスの運転手。通り過ぎる人達に毎回ありがとうと言うことから、「ありがとうさん」というあだ名がつけられている。村の人達皆に慕われている。奉公へ行く娘が気になり、恋心を抱く。優しい男。
- 黒襟の女(桑野通子)
- 東京へと向かう乗客。バスの一番先頭に座り、運転手や他の乗客と話す。気が強く、髭の紳士とは何度も口論になる。運転手の娘に対する気持ちにいち早く気づくなど、繊細で優しい部分を持ち合わせている女。
- 奉公へ行く娘(築地まゆみ)
- 家が貧しく、奉公のために東京へと向かう娘。売られて行くことを恥じており、バスの中でも身を隠そうとする。終始落ち込んだ表情を見せている。最終的に東京行きを断念する。
- 娘の母(二葉かほる)
- 家が乏しく、娘の東京行きに付き添う母。娘と同様に悲しい表情を浮かべている。お節介焼きで、他の乗客に食べ物を配ったりする。娘に頼まれ、村の人には知り合いを訪ねに行くだけだと説明する。
- 髭の紳士(石山寵児)
- 東京へと向かう乗客。黒襟の女と何度も口論し、運転手にも文句を言う。自己中心的な性格の男。
映画『有りがたうさん』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『有りがたうさん』のあらすじ【起】
伊豆の下田を発ち、三島行きのバスは天城街道を走っている。片側は崖の深い谷で、天城峠の山並みが素晴らしい景色を描いている。狭くて未舗装の道には、荷車を引いている人や、荷馬車や薪を背負った人達が歩いている。バスの運転手は彼らを追い抜くたびに、ありがとうと声をかける。鳩にまで丁寧にありがとうと言うほどの男なのだ。
三島行きのバスの始発駅には東京へと向かう人達がバスを待っている。東京へと奉公しに行く娘と母親、それと髭の紳士に黒襟の女。彼らは運転手の男がバスへと乗り込むと、一緒にバスに乗り込む。奉公に行く娘の母親は運転手に、ありがとうさんが運転手ならば娘は幸せだと言う。運転手の男はこの地域の名物ドライバーなのだ。
運転手は娘の母親に、前の方に乗車するように指示する。それは前の方が揺れないからという運転手の親切心からだった。
海沿いを走るバス。運転手は相変わらず通り過ぎる人達みんなにありがとうと声をかける。車中では娘と母が他の乗客と話をしている。
映画『有りがたうさん』のあらすじ【承】
バスとすれ違った家族にありがとうと言った後、運転手は乗客に、彼らは失業してこちらに帰ってきたのだと言う。最近になって失業者が多いのだと言う。それでも帰る家があるのは幸せだと、黒襟の女が言い返す。
海沿いを走るバス。一台の車がブザーを何度も鳴らし、バスを追い抜いていく。黒襟の女は、ありがとうぐらい言えとその車に対して怒る。次に通りかかった車に黒襟の女は、ありがとうを大きな声で叫ぶ。
娘の母親が、停車したバスの外にいた知人と話をする。知人は、最近は危ない運転をする車ばかりだと嘆き、ありがとうさんみたいな運転手なら安心だと言う。知人にどこに行くのかと尋ねられた娘の母親が厳しい表情を浮かべる。娘を東京に働かせに行くとは言いたくないのだ。娘は、恥ずかしいからこれからは親類の家に行くと言って欲しいと母親に頼む。
髭の紳士と黒襟の女が言い争いを始める。バスは海を越えて、峠も一つ越えたところまできていた。
映画『有りがたうさん』のあらすじ【転】
停車したバス。運転手がタバコを吸い始めると、黒襟の女がタバコを一本ねだる。一服して出発する直前、また別の知人に会った娘の母親。再びどこへ行くのかと尋ねられると、今度は親類のところだと母親が答える。
出発したバス。再びバスを抜き去る車に、黒襟の女は怒りをあらわにする。運転手は通行人に止められ、後ろにいる連れに伝言を頼まれる。大変な仕事ねと、黒襟の女は言う。
今度は村の人に買い物を頼まれる運転手。髭の紳士は、いろいろと頼まれて遅れるなよと文句を言う。
走行中、奉公へと行く娘が泣き出してしまう。母親はそれを慰め、運転手はフロントミラーでその様子を見ている。運転手はどうもこの娘が気になるのだ。ついついよそ見をして、崖から落ちそうになってしまう。
再び山道を行くバス。ハイキングをする人達がたくさん通り過ぎる。そしていつものように、ありがとうと運転手は言う。
黒襟の女がお酒を取り出し、他の客にお酒を勧める。髭の紳士にはお酒を渡さない女。乗客達は陽気になり、歌を歌い始める。
映画『有りがたうさん』の結末・ラスト(ネタバレ)
休憩所についたバス。乗客達はバスを降り、それぞれ時間を潰す。運転手は奉公に行く娘に、ちゃんと母親に手紙を書きなさいと声をかける。娘は、運転手にも手紙を書きたいと答える。運転手はそれを喜び、返事書きますと伝える。
秋になってから8人の娘が峠を越えて奉公などに向かったと語る運転手。送迎の運転手になった気分だと運転手は言う。
祝言やお通夜に向かう人達が乗ってきては降りていく。そうこうしているうちに、バスはどんどんと三島へと近づいていた。奉公に行く娘が再び悲しい表情を浮かべる。運転手は娘が気になる。その様子に気づいた黒襟の女。峠を越えた女は帰ってこない、その娘も滅多に帰ってこれないけれどいいのかと黒襟の女は運転手に語る。
翌日、下りのバスには奉公へと向かうはずだった娘と母が乗車していた。車中にはもう黒襟の女の姿はない。帰ったら黒襟の女に手紙を書こうと運転手に言う娘。どこへ行ったかわからないと運転手は答える。あの人はいい人だったと娘が言い、バスは下田方面へと出発するのだった。
映画『有りがたうさん』の感想・評価・レビュー
川端康成の小説を映画化したこの作品。なんとも不思議で、味のあるお話でした。主人公はバスの運転手。誰にでも「ありがとうー!」と言い、知らない人の頼みも聞いてしまう、通称「ありがとうさん」。女性からモテモテで、今日このバスに乗ってきた娘も「ありがとうさん」のファンのよう。
こんなほっこりするようなストーリーですが、娘は身売りされるためにこのバスに乗っています。軽快な音楽とは対称的な娘の「地獄」へ向かう道のり。なんとも不思議でした。(女性 30代)
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