映画『悲夢(ヒム)』の概要:自分が夢に見たことが、現実に起こっていると知ったジン。彼は夢遊病のランという女性と出会う。自分が見た夢の通りに、ランが行動していると知ったジンは、互いに夢を見ないよう眠らないことに決めるが、夢はどんどんエスカレートしていき、大変な事件を起こしてしまう。
映画『悲夢(ヒム)』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:キム・ギドク
キャスト:オダギリジョー、イ・ナヨン、パク・チア、キム・テヒョン etc
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映画『悲夢(ヒム)』の登場人物(キャスト)
- ジン(オダギリジョー)
- 恋人に捨てられた経歴を持つ。まだ未練があり、恋人へ会いに行く夢を見る。判子職人で1人暮らし。
- ラン(イ・ナヨン)
- 恋人を捨てた経歴を持つ。別れた男を憎んでいる。眠っている間、ジンの夢を現実にしてしまう。針子で衣装を作成している。
映画『悲夢(ヒム)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『悲夢(ヒム)』のあらすじ【起】
夜間、恋人の車を追って運転していたジンは、路地から突然出て来た他の車と衝突。助けを求める相手の運転手をそのままに、恋人の車を見失いそうになってそこから走り去る。その後、道路を横断する人を轢きそうになり、ハンドルを切ると同時に悲鳴を上げた。
飛び起きたジン。夢を見ていたようだ。彼は胸騒ぎを覚え、自宅から車に乗って外へ出かける。すると、今しがた夢で見た事故の光景が、進む先の道路で展開されていた。
ジンは警察の後を追って車を走らせた。朝の5時、辿り着いた先で逮捕された女性は、寝ていて覚えがないと言うのだった。
警察に連行された女性は昨夜12時に就寝し、朝の5時に起こされ事故の記憶はないと言い張る。しかし、交差点には監視カメラが設置されており、その映像には確かに彼女の車と姿を捉えている。
ジンは警察署で自分が犯人だと名乗り出た。証拠はないが、彼は夢で見た光景をつぶさに説明する。当然、警察は彼の言葉を信じない。ジンは事故現場の詳細を語った。話は確かに一致する。つまり、ジンが夢で見たことを、逮捕された女性が代わりに行動したということだ。
警官とジンは女性ランが通っている医師の元を訪ねた。ランは夢遊病だった。ジンは自分の夢の話をした。以前は夢を見ても全く覚えていなかったが、近頃は鮮明に覚えていると言う。しかも、夢で見たことが現実に起きている。それは1週間前から始まった。どうやら女性の夢遊病発症も同じ頃らしい。医師は次に来る時は、ランと一緒に来なさいと言った。
ある夜、恋人の仲を邪魔して殴られる夢を見たジン。彼は急いでランの元へ向かった。やはり、彼女は頬に傷を作っている。ジンは夢で見た場所を知っていたため、ランを連れて現場に行ってみた。だが、ランは逃げるように現場から去ってしまう。
翌日、ジンとランは医師の元へ。診察の結果、2人は正反対の事情を抱えていることが分かった。ジンは恋人に捨てられ、ランは恋人を捨てている。ジンが幸せなら、ランは不幸になる。2人は1人なのだと医師が言う。2人が愛し合えば、解決する問題だった。
映画『悲夢(ヒム)』のあらすじ【承】
その晩、恋人と熱烈なキスを交わし、ベッドになだれ込んだところを邪魔される夢を見たジン。彼は再び眠りに入り続きを見たが、ベッド上にはすでに誰もいなかった。
彼はランの元へ。ちょうど帰って来たところのようだった。ジンはランの後を追うが、彼女はすでにベッドへと横になり、熟睡していた。
翌日、ランを訪ねたジンは、問われて正直に夢を話す。夢と現実で口論になる2人。夢を見たくて見ているわけではないジン。ランも嫌いな男に好かれたくて行動しているわけではないだろう。堂々巡りである。
ランに眠るなと言われたジンだったが、夜半を過ぎてどうにも、強い眠気に襲われる。彼はランの自宅を訪ね、眠らないよう互いに奮闘し合う。だが、ジンは先にダウン。ランはジンが起きるまで必死に起きていた。
互い違いに起きて眠れば良いのだと、解決法を発見した2人だったが、何を思ったかランが元彼の家へ。ジンは夢を見ていなかったのに、彼女はなぜ彼の自宅を訪ねたのか。理由を問うもランは答えない。その後、ジンの家へ2人で向かった。ランはジンと元彼女が映った写真を発見。彼が未練を残しているから、夢を見るのだと責める。
2人は又も、喧嘩別れ。個々に眠らないよう努力を続けるも、強い眠気は2人を絶えず襲い続ける。どうにも耐えられなくなったジンは、元彼女との写真をランの目の前で破り捨てた。
それを見た彼女は、即座に寝入ってしまう。
映画『悲夢(ヒム)』のあらすじ【転】
ジンは必死に眠らないよう、自傷行為に出た。朝になりランを起こそうとするも、彼女は一向に起きない。ジンも限界だった。結局、2人は起きられず、仲良く同じベッドで眠ってしまう。
やがて、ランが起き上がる。ジンは元彼女と激しく抱き合う夢を見た。誰かが警告を発して、ドアを激しく叩いてる。ジンははっとして飛び起きた。隣を見るとランがいない。ドアへ向かうと、ちょうど彼女が戻って来るところだった。
ジンは元彼の家へ向かう。男はやけにすっきりとした表情で、ジンがランにあげたペンダントを軒先にぶら下げる。彼女はやはり、元彼のところへ来たのだ。ジンはペンダントを持ち帰り、ランに返した。
驚いて起きたラン。彼女は乱れた衣服を目にして叫び声をあげる。ジンが起こした時に起きていれば、彼女が傷つくことは無かった。元彼のところへ飛び出して行くラン。彼女の行動が理解できない元彼。ランは後をついて歩くジンを追い返した。
男は女を愛していた。だが、愛しすぎて束縛が激しかった。いない相手を想像して、女を酷く責め立てては、また強く縛り上げる。女からしてみれば、男の精神状態は正常とは言えなかった。束縛に疲れ果てた女は、彼と別れる決意をする。ランは女の姿に自分を重ね、ジンは男の姿に自分を重ねる。全ては愛ゆえに、狂ってしまったのだった。
気持ちが落ち着いた頃、ジンの元へランが訪ねて来る。次は人を殺す夢でも見るのだろうか。いつか医師が言っていた。黒と白は同じ色なのだと。2人はジンのベッドへ仲良く入る。先にランが眠りについた。ジンはランと自分の手首に手錠をかける。こうしておけば、2人同時に眠っても、きっと大丈夫。
ふと、目を覚ましたラン。隣ではジンが泣きながら眠っていた。そんな彼を慰めるように抱き締めると、彼は落ち着きを取り戻して眠りに戻った。そして、夢を見る。恋人へ会いに行く夢だった。ランが動き出したと同時に、手錠で目覚めたジン。行動は未然に防がれた。
映画『悲夢(ヒム)』の結末・ラスト(ネタバレ)
互いに理解を示し和解したジンとラン。仲良くお寺へやって来た。鐘の音を聞き、石積みをして願いごとを願う。一心に願いを祈っていたジンが目を開くと、そこにいたはずのランが姿を消していた。辺りを捜しまわるも結局、見つからず。ジンは車で待つことにした。
夜になり転寝を始めた頃、ようやくランが戻って来る。彼女は蝶を追っていたと話した。
車内で手錠をして眠りについた2人。ジンはまたも夢を見る。そこはランの元彼の家。だが、進もうとして手錠が邪魔をする。ランは手錠の鍵を外して車を運転し、男の家へ向かった。
ジンは家の中に入る。2人はお楽しみ中だった。男を力づくでどけ、女の上にまたがる。彼は女を殴り続けた。
女の悲鳴で目覚めたジン。手錠が外れている上に、場所まで変わっている。そこはランの元彼の家の前だった。急いで中へ入ると、血塗れの元彼の横でランが眠っていた。彼女を起こして立ち上がらせようとするも、惨状を目にしたランが半狂乱になる。
やがて、警察がやって来て2人は逮捕された。
ジンは自分が夢を見て殺したと言う。ランはランで自分が殺したと言う。凶器はランが持っていたため、犯人は彼女の方である。だが、ジンは自分が夢を見たせいだと必死に弁明。しかし、彼の言い分は信じてもらえず、ランは精神鑑定後に逮捕された。
ジンはランのために、もう2度と眠らないと誓う。自宅で眠らないよう自傷行為を続けた。頭に鑿を刺し、足を金槌で叩き続ける。そうして、追い詰められ血塗れになりながらも、ランとの面会へ向かう。
酷い姿のジンを見たランは涙を流し、どんな夢を見ても彼を恨まないと許す。そして、ジンの目を閉じ、彼に愛を囁いた。
ランはジンから貰った蝶のペンダントを飲み込む。
自宅へ戻ったジンは、身支度を整え鉄橋の上へ。これ以上、ランを苦しめたくない彼は、そのまま投身自殺を図った。
その頃、精神房の中にいるランは、同室者の協力を得て首を吊る。彼女は蝶へと姿を変え、自殺を図ったジンの元へと帰った。
映画『悲夢(ヒム)』の感想・評価・レビュー
世界中で高い評価を受ける韓国の鬼才キム・ギドクが主演にオダギリジョーを迎え、夢を介して出会った男女の切なくも不思議な愛の行方を描いている。
恋人を捨てた女と恋人に捨てられた男が、夢で繋がり互いに行動を共にする。一見、正反対ではあるが、2人はどこか似通っているようにも思えた。とても不思議な現象で、相手を思うが故に眠らないよう必死に耐える男の姿がとても切なく辛い。対して、逮捕された女も男を思い、深い悲しみを抱き続ける。互いに思い合う姿が悲しくも辛い。固く結ばれながらも悲恋にしかならなかった結果が少し残念だった。(女性 40代)
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