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映画『フィッシャー・キング』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『フィッシャー・キング』の概要:自分の軽率な発言が無差別射殺事件を引き起こし、罪の意識に苦しんでいた元人気DJと、その事件で心に傷を負い、ホームレスになってしまった元大学教授が出会い、不思議な友情で結ばれていく。ホームレス役のロビン・ウィリアムズが見事な演技を見せている。

映画『フィッシャー・キング』の作品情報

フィッシャー・キング

製作年:1991年
上映時間:137分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ、ファンタジー
監督:テリー・ギリアム
キャスト:ロビン・ウィリアムズ、ジェフ・ブリッジス、マーセデス・ルール、アマンダ・プラマー etc

映画『フィッシャー・キング』の登場人物(キャスト)

ジャック・ルーカス(ジェフ・ブリッジス)
型破りの毒舌で人気を博していたDJだったが、その発言を真に受けたリスナーが無差別射殺事件を起こし、一気に落ちぶれてしまう。不良少年たちに襲われているところをパリーに救われ、パリーを救う道を模索し始める。
パリー(ロビン・ウィリアムズ)
本名はヘンリー・セイガンという元大学教授。無差別射殺事件で妻を殺され、ショックで1年間失語症になっていた。ある日突然ホームレスのパリーとなって復活し、自由に生き始める。過去を思い出すとパニック状態になり、赤い騎士の幻覚が見える。
リディア(アマンダ・プラマー)
パリーが恋をしている女性。出版社で働く風代わりな女性で、人付き合いが苦手なため恋愛経験もない。不器用で失敗ばかりしているが、パリーにはそこが可愛い。
アン(マーセデス・ルール)
ジャックの恋人。レンタルビデオショップを経営しており、店の2階でジャックと同棲している。見た目は派手で口も悪いが、ヒモ状態のジャックを献身的に支えている。

映画『フィッシャー・キング』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『フィッシャー・キング』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『フィッシャー・キング』のあらすじ【起】

型破りの毒舌トークで人気を博しているラジオDJのジャック・ルーカスは、テレビのコメディ番組への出演も決まり、スターへの道を駆け上がっていた。ところが、ジャックが何気なく発した煽り文句が発端となり、常連リスナーが高級バーで無差別射殺事件を起こしてしまう。この事件で男女7人が犠牲となり、犯人も自殺した。マスコミはジャックの発言を問題視する報道を始め、ジャック自身も責任を感じる。

3年後、ジャックは酒浸りのアル中となり、レンタルビデオショップを経営するアンという女性のアパートに転がり込んでいた。ジャックは強迫観念や被害妄想に悩まされ、人嫌いになっていた。アンは毒づきながらも献身的にジャックを支えていた。

ある晩、へべれけの状態で夜の街へ出たジャックは、男の子からピノキオの人形をもらう。ジャックは生きることに絶望し、足にピノキオとセメントの塊をくくりつけ、埠頭から身を投げようとする。ところが、飛び込む前にホームレス襲撃を楽しむ不良少年たちに捕まり、ガソリンをかけられて燃やされそうになる。

そこへ、かなりイかれ気味のホームレスが現れ、仲間とともにジャックを救ってくれる。パリーと名乗るそのホームレスは、アパートのボイラー室で寝泊まりしており、意識を失ったジャックをそこへ泊めてくれる。

翌朝、目を覚ましたジャックに、パリーは「自分には1年前から妖精が見えるようになり、神のために働いている」と語り始める。パリーが言うには、ジャックは選ばれた「彼」であり、自分と一緒に神の聖杯を取り戻す使命があるらしい。その聖杯は、カーマイケルという億万長者の屋敷にあり、パリーはその写真を見せてくれる。しかしそれはどう見てもただのカップだった。

ジャックは気味が悪くなり、適当に相槌を打ってボイラー室を出る。すると、アパートの管理人に「客は困る」と苦情を言われる。実はパリーはあの無差別射殺事件で愛妻を殺され、それから精神に異常をきたすようになっていた。管理人はそんなパリーに同情し、彼がボイラー室に住むことを許していた。

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映画『フィッシャー・キング』のあらすじ【承】

ジャックは責任を感じ、再びボイラー室を訪ねる。パリーは留守だったが、管理人が詳しい事情を聞かせてくれる。パリーの本名はヘンリー・セイガンで、以前はハンター大学の教授だった。パリーは美人の奥さんと幸せな日々を送っていたが、目の前で妻を射殺され、そのショックで失語症になる。ところが、ある日突然しゃべり始め、自分のことをパリーと名乗るようになっていた。

ジャックは自分の罪深さを改めて感じ、罪の償い方を模索し始める。しかし一体どうすればこの罪を償えるのか、ジャックにはわからなかった。

ジャックは街へ出てパリーを捜す。パリーはとあるオフィスビルの前で、1人の女性を見ていた。パリーはその女性に恋をしており、女性の行動を全て把握していた。ジャックは先日のお礼にとパリーに金を渡し、すぐ帰ろうとする。ところが、パリーが別のホームレスにその金をあげてしまうのを見て、「俺は君を助けたいんだ」と怒る。

パリーは、親身になって自分のことを心配してくれるジャックの優しさに感動し、彼をカーマインの屋敷前まで連れていく。ジャックは、聖杯などないことをパリーに伝えようとするが、パリーは聞く耳を持たない。ジャックはパリーを正気に戻し、社会復帰させたかった。しかしジャックが「君は大学教授だ」と言うと、パリーは急に苦しみ始め、何かを追いかけて何処かへ行ってしまう。パリーには馬に乗った真っ赤な騎士の姿が見えており、それがパリーの敵だった。

ジャックもパリーを追いかけ、大きな公園へ行き着く。赤い騎士の幻覚が消えるとパリーも落ち着きを取り戻す。その公園には、ケガをした元シンガーのおかまのホームレスがいて、ジャックは彼を病院に運んでやる。病院内は、社会から見捨てられたホームレスや貧困者で溢れていた。

あの女性が帰宅する時間、パリーは駅で彼女を捜す。女性の姿を見ると、駅の構内がダンスホールになり、パリーは幸せな妄想に浸る。ジャックは、駅で物乞いをする傷痍軍人とも話をして、様々な人生を垣間見る。

その夜、パリーは公園で全裸になり、寝転がって空を見上げる。そしてジャックに「フィッシャー・キング」という聖杯伝説の話をする。それは、精霊から神の慈悲の象徴である聖杯を託された王子の物語で、パリーの妄想のもとになっていた。

映画『フィッシャー・キング』のあらすじ【転】

パリーには救いとなる女性が必要だと感じたジャックは、パリーが恋するあの女性のことを調べ始める。彼女はリディアという名前で、出版社に勤務していた。

アンは、無断外泊をしたジャックの浮気を疑っていた。今のジャックはどうしようもない男だったが、アンは彼のことを本気で愛している。ジャックはパリーとリディアのことを説明し、アンに協力を依頼する。アンも、それでジャックが救われるならと考え、協力を約束してくれる。

ジャックはリディアを店に呼び出すため、ビデオショップのクジが当たったと嘘の電話をかける。しかしリディアが信じないので、おかまの元シンガーをリディアのオフィスに送り込み、ミュージカル仕立てでクジが当たったことを伝えてもらう。リディアは驚いていたが、一応その話を信じてくれる。

ジャックはパリーに店員のフリをさせ、リディアを迎える。パリーは失敗ばかりしていたが、アンがリディアにネイルをする約束を取り付けてくれ、リディアがジャックのアパートに来ることになる。

アンはリディアから、うまく話を聞き出す。不器用なリディアは、男性とまともにデートしたこともないウブな女性だった。ジャックはパリーにスーツを着せ、4人で食事に向かう。

中華料理屋で、4人は楽しいひと時を過ごす。リディアとパリーの相性は怖いくらいぴったりで、ジャックとアンもひと安心する。ジャックとアンは幸せな気持ちになって帰路につき、パリーはリディアを送っていく。

パリーとリディアはすっかりいい雰囲気になっていたが、リディアはこれ以上深入りして傷つくことが怖くなる。パリーは悲観的な彼女に、自分が以前からリディアを見てきたことを打ち明け、愛を告白する。リディアはパリーの話に感動し、2人はキスをして別れる。

帰り道、妻のことを思い出したパリーは、あの忌まわしい事件の記憶に苦しみ始める。パリーは妄想の中で赤い騎士に追われ、気が狂ったように走り始める。そして埠頭に行き着き、以前にジャックを襲った不良少年たちに襲撃される。パリーは腹をナイフで切られ、バットで袋叩きにされる。

映画『フィッシャー・キング』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌日、ジャックは急に前向きになり、仕事復帰の段取りを進めていた。アンはジャックの変化を心から喜び、2人の将来について嬉しそうに話し始める。ところがジャックは「1人になりたい」と言い出し、アンを失望させる。そこへ病院から連絡がある。

昨晩、ジャックは自分の財布をパリーに渡していたので、病院はそれを頼りにジャックへ連絡してきた。パリーは一命を取り留めていたが、ショックで失語症が再発し、言葉を発しなくなっていた。身内であれば引き取ることもできるが、医師は以前と同じ施設に送ることを勧める。アンも去っていき、ジャックは自分の無力さを痛感する。

その後、ジャックはDJに復帰し、再び売れっ子になる。テレビ出演も決まり、仕事の方は順調だった。しかしジャックの心は満たされず、久しぶりにパリーのボイラー室へ行ってみる。

ジャックはボイラー室にあったピノキオを持って、パリーの見舞いに行く。パリーはずっとあのままで、話しかけても何の反応も示さない。リディアは施設に通い詰め、献身的にパリーの介護をしていた。ジャックはパリーのために、聖杯を盗む決意をする。

ジャックは苦労してカーマインの屋敷に忍び込み、パリーが聖杯だと言い張っていたカップを手にする。長椅子で眠っていると思っていたカーマインは、薬の誤飲で意識不明に陥っていた。ジャックはわざと玄関から出て警報を鳴らし、そのまま逃亡する。そのおかげで、カーマインの命は救われる。

ジャックはカップを持ってパリーのところへ行き、それを握らせる。そのまま眠り込んでしまったジャックは、パリーの声で目を覚ます。パリーは美しい妻のいる幸せな夢を見ていたらしく、穏やかに微笑んでいた。そしてカップを握りしめ、ジャックにお礼を言う。ジャックは眠ったふりをして涙をこぼす。

いつものように見舞いにきたリディアは、施設の患者を集めて大声で歌っているパリーとジャックの姿を目にする。涙を流すリディアに、パリーは「俺の恋人だろう」と声をかけ、2人はキスをする。ジャックもアンへの愛にやっと気づき、彼女と復縁する。

パリーとジャックは夜の公園で寝転び、雲がちぎれていくのを見ていた。以前は全裸になることを恥ずかしがったジャックも、今日は晴れ晴れとした顔で全裸になっていた。幸せそうに空を見上げる2人の真ん中で、ピノキオが微笑んでいた。

映画『フィッシャー・キング』の感想・評価・レビュー

テリー・ギリアム監督の作品の中で一番好きな作品。
コメディー色の強いロビン・ウィリアムズですが、この映画では目の前で大切な人を失って心を病んでしまった元大学教授のホームレスを演じています。
数年前に自分で命を絶ったロビン・ウィリアムズ、本当にこういう人だったのではないかと勝手に重ねてしまいます。
胸がキューッと締め付けられるような映画。
オススメです。

オススメの理由はもう一つ、ジェフ・ブリッジスです。
この映画のジェフ・ブリッジス最高です。あと「ビッグ・リボウスキ」の彼も。(女性 40代)


万人受けではなくかなりクセのある作風になっているので好き嫌いが分かれてしまう作品だなという印象だったが、序盤を我慢強く観ると中盤からはかなり入り込めるようなストーリーになっていたので、私はとても好きな作品だった。鑑賞後はすっきり出来て幸せな気持ちにもなれるのでよかった。

ロビン・ウィリアムスの演技は、人を惹きつける何かを持っていて目が離せなくなった。また、体を張った演技が多く役者としての気持ちの強さを感じた。(女性 20代)

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