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映画『サラの鍵』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『サラの鍵』の概要:1940年代、大戦下のパリ。ユダヤ人であるサラの一家は、警察に逮捕される。幼い弟は納戸に残されたまま。現代のパリでは、記者のジュリアがサラの消息を追っていた。過去の女性と現代の女性が不思議な縁で繋がり、一つの真実に行き着くまでの物語。

映画『サラの鍵』の作品情報

サラの鍵

製作年:2010年
上映時間:111分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:ジル・パケ=ブランネール
キャスト:クリスティン・スコット・トーマス、メリュジーヌ・マヤンス、ニエル・アレストリュプ、エイダン・クイン etc

映画『サラの鍵』の登場人物(キャスト)

ジュリア・ジャーモンド(クリスティン・スコット・トーマス)
記者の女性。夫と十代の娘の三人暮らし。2009年、リフォーム中のアパートの過去を知って、サラという少女に関心を持つ。サラの消息を調べるうち、自身の人生にも影響が及んでいく。
サラ・スタジンスキ(少女:メリシューヌ・マイヤンス / 大人:シャルロッテ・ポートレル)
ユダヤ人少女。パリのマレ地区のアパートに住んでいた。1942年ごろ、市警に家族と共に逮捕される。弟ミシェルを独りにしたことを後悔し、納戸の鍵を生涯持ち続ける。途中で収容所から脱走し、迫害の傷を負って生きていく。
スタジンスキ夫妻(夫:アーベン・バイラクタライ / 妻:ナターシャ・マシュケビッチ)
サラの両親。子どもも含め市警に逮捕され、収容所へ連行される。末子のミシェルを置いてきたことを悔やみ、それを実行したサラを厳しく責める。一家は強制収容所にて引き離され、永遠に別れる。
デュフォール夫妻(夫:ニエル・アレストリュプ / 妻:ドミニク・フロ)
収容所から脱走したサラを助けた老夫婦。身寄りのないサラを引き取り、養子として育てる。
ベルトラン・テザック(フレデリック・ピエロ)
ジュリアの夫で実業家。愛妻家で夫婦仲は良好だったが、サラの調査やジュリアの高齢妊娠を知って、心が離れていく。
エドゥアルド・テザック(ミシェル・デュショソワ)
ベルトランの父で、ジュリアの義父。自身の母は老齢のため、老人医療施設に入居している。サラとある縁で結ばれている。
ウィリアム・レインズファード(エイダン・クイン)
サラがアメリカで出会った夫・リチャードとの間に儲けた息子。サラの過去を知らないまま、9歳の時、母を事故で失う。アメリカで育ったが、現在はイタリアで料理家として生活している。

映画『サラの鍵』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『サラの鍵』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『サラの鍵』のあらすじ【起】

1942年7月16日。フランス・パリのマレ地区。市警に連行される直前、サラは弟ミシェルを納戸に隠し、出てこないよう言い聞かせる。訝しがる警察に、サラは、弟は療養のために遠くへ行っていると嘘をつく。そして、納戸の鍵を持ったまま、母と共に逮捕される。

2009年のパリ。ジュリアは家族と共に、マレ地区のあるアパートを下見していた。夫ベルトランの祖父母がかつて住んでいた部屋で、物件ごと買い取ったのだった。ジュリアの職業は記者で、フランスのユダヤ人迫害に関する記事を過去に書いていた。そして、歴史的に知られていない「ヴェルディヴ」という収容所に関心を持ち、調査を始める。

パリで逮捕されたユダヤ人たちは、市内の屋内競輪場―ヴェルディヴに収容されていた。そこはトイレもなく、日常的に人が殺されるという異様な光景が見られた。サラは残してきた弟が気にかかり、両親もサラのしたことを強く非難した。しばらく滞在した後、スタンジスキ一家は強制収容所行きの貨車に乗せられる。車中で出会った老人は、自害用の毒入りの指輪を着けていた。サラの心に、それが強烈に刻まれた。

2009年。ジュリアは、ヴェルティヴの調査をする一方、自身の妊娠に気付く。愛する夫にその事実を知らせるが、ベルトランはこれ以上の育児の負担はごめんだと言った。

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映画『サラの鍵』のあらすじ【承】

強制の一歩手前、臨時収容所に連行されたサラ。父とは引き離され、自身が対象区分ではないことから、母を「先に」連れて行かれてしまう。体調を崩したサラは卒倒する。しかし、その手には納戸の鍵がしっかり握られていた。

ジュリアはホロコーストの研究者を訪ねる。マレ地区がユダヤ人居住区だったことを知り、アパートには祖父母の前に誰が住んでいたのか知りたがる。研究者の分析によって、四人家族―サラの一家が暮らしていたことが判明する。

目を覚ましたサラは、一人の少女と出会う。サラは、収容所から逃亡しようと、彼女に提案する。二人は頃合いを見て脱出を図るが、警官ジャックに阻止されてしまう。ジャックは何かとサラと接触し、彼女に心が揺れていた。弟の話を聞くと、ジャックは鉄条項の網を開けて、サラたちを逃がした。

ジュリアはサラの消息を追い始める。しかし、アパートの前持主であるテザックからの連絡は拒んでいた。

一目散に逃げ、サラたちは小さな村にたどり着く。友達は体調を崩し、サラは老夫婦の家に助けを求める。老人―デュフォール氏は最初二人を拒むが、受け入れる。ほっとするのも束の間、友達の体調は悪化し、感染症によって命を落としてしまう。デュフォール夫人は独りぼっちのサラを憐れみ、養子として引き取る。

映画『サラの鍵』のあらすじ【転】

予想通り、ジュリアは義父のテザック氏から、アパートの過去を嗅ぎ回らないよう止められる。しかし、ジュリアがサラの話をした途端、テザック氏は目を泳がせる。テザック氏は少年の頃、ミシェルを求めて家に来たサラに会っていた。

サラがデュフォール夫妻とマレ地区に来た時、アパートにはテザック一家が越して来ていた。テザック少年を押し切り、サラは納戸のある部屋へ急ぐ。納戸の扉を開けた時、サラが目にしたのは弟の腐敗した遺体だった。

ジュリアは、銀行の貸金庫からサラの身辺書類を入手する。その中には、テザック氏の父親宛に、デュフォール氏からの手紙があった。テザック氏の父親は、スタンジスキ一家の存在を秘密にする一方、デュフォール家に支援金を送り続けていた。手紙には、成長したサラはいつも「遠い国」を求めていて掴めない、と書いてあった。

ベルトランから強い反対を受け、ミシェルは堕胎手術を受けることにした。後悔の念に苛まれる中、デュフォール氏のひ孫を名乗る女性から、連絡が入る。ミシェルは手術を中断してその女性に会いに行く。ひ孫曰く、1953年に、サラはデュフォール家から突然姿を消した。その2年後、アメリカ・ブルックリンで「リチャード・レインズファード」という男性と結婚したという。

ジュリアはアメリカに渡る。現地に暮らす姉に手伝ってもらって、ブルックリン市内の「レインズファード」を訪ね歩く。サラと思しき女性の家に行き着くが、それはリチャードの後妻だった。1966年、サラは当時9歳になる息子ウィリアムを残して、事故死―自殺していた。そのウィリアムは、現在イタリアで生活しているという。

映画『サラの鍵』の結末・ラスト(ネタバレ)

ジュリアは、イタリアに渡ってウィリアムと対面する。何と、ウィリアムはサラの少女時代を知らなかった。ジュリアがサラの子どもの頃の写真を見せると、彼は「母はユダヤ人ではない」と否定する。そして、ジュリアにこれ以上踏み込んで来ないようきつく言った。

パリに戻ったジュリアは、ベルトランに子どもを産むつもりだと話す。ベルトランはマレ地区のアパートを売る予定だと話し、夫婦の心の距離はすっかり離れてしまっていた。

ウィリアムはアメリカのリチャードを見舞っていた。リチャードは重篤な状態にあるものの、サラとの思い出は鮮明に記憶していた。サラとはダンスホールで知り合い、リチャードは彼女の美貌に惹かれ、同時に秘められた悲しみも見抜く。サラを癒そうと努力していたが、妻は晩年に調子を崩してしまった。初めて母の過去を聞いたウィリアムは、父からサラの日記を受け取る。そこには、納戸の鍵が挟まれてあった。

2年後。ジュリアはベルトランと離婚し、娘を連れてアメリカに移住していた。女の子を産み、彼女にサラと名付けた。ある日、アメリカに来たとウィリアムから連絡が入り、ジュリアはサラを連れて会う。ウィリアムは2年の間、デュフォール家を訪ねていた。ジュリアとウィリアムは和解し、小さなサラの背中を見つめる。小さな命には、大きな希望が宿っていた。

映画『サラの鍵』の感想・評価・レビュー

ユダヤ人迫害に関する映画です。とはいっても、フィクションよりなので辛辣なシーンが多いわけではありませんでした。

ただ、収容所から逃げ出したサラが、面倒を見てくれた夫妻の力をかりて元居たアパートに弟を助けに来るシーンは悲痛です。サラたちがいなくなった部屋には、新たな家族が住んでおり、ミシェルがいるはずの戸棚を開けると、変わり果てた姿の弟がいるのです。

そのシーンのサラの表情と、亡骸となっている弟のことを思うとぞっとするし、この映画で何よりも印象に残りました。(女性 20代)


サラの幸せな表情で笑っていた顔と、迫害に苦しみ怯えた表情が忘れられない。納戸に一人で閉じ込められたミシェルと、生涯に渡って納戸の鍵を手放さなかったサラの気持ちを思うと、悲しい気持ちが込み上げてくる。ユダヤ人迫害がなければ、そう思わずにはいられない作品。ウィリアムが息子として母の真実の姿を理解し、受け入れてくれたのは良かったと思う。ジュリアが娘にサラと名付けたことを明かしたところは、自分もうるっとしてしまった。(女性 30代)


好奇心旺盛な女性が大嫌いな私は、今作のジュリアの行動に全く共感できませんでした。今回はたまたま勝手に調べだしたことの真実が分かり、サラの息子にも理解して貰えたから良かっただけで、こういう過去の記憶や傷跡は放っておいて欲しいと思う人も居るはず。しかも、全く関係の無い赤の他人に根掘り葉掘り詮索されても不快に思うだけでした。
自分の家庭を犠牲にしてまでサラの真実を突き止めたジュリアですが、私には理解できませんでした。(女性 30代)

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