映画『ハラがコレなんで』の概要:妊娠9か月の光子は粋に生きるのがモットーで、どんなに苦境に陥っても決して折れない。人情に厚い彼女が昔住んでいた長屋へ帰ったことから、周囲が賑やかに変わり始める。粋で人情に厚い、古き良き時代を思い出させる作品。
映画『ハラがコレなんで』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:石井裕也
キャスト:仲里依紗、中村蒼、稲川実代子、並樹史朗 etc
映画『ハラがコレなんで』の登場人物(キャスト)
- 原光子(成人:仲里依紗 / 小学生:大野百花)
- 人見知りも物怖じもしない性質で、やや強引な面がある。竹を割ったような性格。粋に生きるのがモットー。浮雲気質。
- 児玉陽一(成人:中村蒼 / 小学生:鈴木励和)
- 光子の幼馴染。幼い頃から光子に惚れており、プロポーズするも相手にされない。清の江戸っ子気質を受け継ぎ、漢らしい性格。
- 児玉次郎(石橋凌)
- 陽一の叔父。無口で不器用だが、優しい。陽一を引き取って育て上げる。奥手で容易に告白ができず、15年も片思いをしている。
- 清(稲川実代子)
- 長屋の大家。江戸っ子気質で口は悪いが人情に厚い。
映画『ハラがコレなんで』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ハラがコレなんで』のあらすじ【起】
妊娠9か月の原光子は、パチンコ屋経営している両親にカリフォルニアにいると嘘をついて、実は日本にいる。光子は物怖じも人見知りもしない性質で、やや強引な面がある。子供の父親に捨てられ、アパートも引き払った光子。モットーは粋に生きること。どんなに窮地に陥ったとしても、落ち込んだりせず大きく構えている。良い風が吹いていない時は昼寝が一番と言い、公園のベンチで昼寝する始末。どうにかなる。大丈夫。これが彼女の口癖だった。
昼寝後に風向きが変わったと光子は突然、立ち上がって歩き出す。雲の行方を追いかけて、風に吹かれるままに移動を開始。そうして、昔住んでいた長屋へと辿り着いた。
長屋に住む清と15年ぶりに会った光子。高齢な清からタクシー代を借りた。その後は、とある定食屋へ。味は良いのに客が全くいない。そこは、幼馴染である陽一と叔父の次郎が経営する定食屋だった。
光子の人生は、ほとんどが流れで決まる。粋か粋じゃないか。ただそれだけで、確固たる意志も感じないが、粋であればそれで良いらしい。彼女は清の長屋に居候させもらい、出産もここですることにした。
映画『ハラがコレなんで』のあらすじ【承】
15年前、光子の家族は夜逃げ同然で長屋へやって来た。当時、この長屋を仕切っていたのは大家の清。長屋に住む住人達は光子らを大歓迎した。江戸っ子気質の清の方針で、長屋の住民達はとにかく密接な関係にあった。喧嘩したり物々交換したり、互いに助け合うことも多かった。
それが、現在。長屋にはほとんど住人がいない。清も加齢のため、寝込むことが多くなっているようだった。光子が粋に生きようとしているのは、大いに清の影響が大きい。ただ、光子には信念がなく、浮雲のような子だった。
陽一と叔父の次郎も同じ長屋に住んでいた。陽一も清の影響を受け、幼い頃から自然と粋な真似をする。次郎は喫茶店のママに恋をしていたが、彼は奥手で一向に告白できずにいた。
陽一と次郎は毎日交代で、仕事終わりに清の介護をしているようだ。
その昔、光子が長屋を出る際、陽一は彼女にプロポーズしていた。故に、彼は未だに約束を守り、光子の子供の父親になると決心したようだった。光子はそんな陽一に心を打たれ、彼の定食屋をどうにか盛り返そうと決心する。
映画『ハラがコレなんで』のあらすじ【転】
翌日、光子は定期検診へ行った後、定食屋へ。彼女は無言で、店へと客を連れ込み始める。そうして、1日目が終わった。
次郎は未だに喫茶店のママへ恋をし続けているらしい。そんな次郎の気持ちを何となく察して、ずっと待っているママだったが、次郎は昔気質で寡黙な性質だった。
光子がレストランで働くようになって、なぜか繁盛し始める定食屋。彼女は客の人生相談を延々聞き続け、励ましているだけであった。客たちはそんな光子を頼りに、やって来るのかもしれない。
長屋にも住民が入り始めた。それもこれも、光子が密かに頑張っているお陰である。彼女は身重の身体を抱え、不調を堪えながらも空き部屋の掃除をしているのだった。
そんな光子を心配している陽一。彼女に告白しようとするも、軽く拒否されてしまう。彼は光子と結婚して子供の面倒をみたいと思っていたが、彼女は何を思ったか陽一の結婚相手を探しに行こうとする。
映画『ハラがコレなんで』の結末・ラスト(ネタバレ)
陽一と共に喫茶店のママへ会いに来た光子。事情を聞いて突如、ママの実家へ帰郷しようと言い始める。急遽、引っ越し準備が行われ出発。その途中で光子に異変が。産まれるのか。
そんな折、光子の両親がパチンコ屋を畳んで、長屋へ戻って来る。そこへ、喫茶店のママを連れて清の家へ来た一行。それぞれに言い分を話し始め大混乱。光子がなぜ日本にいるのかを聞きたい両親。結婚せずに清の面倒をみると言い張る次郎。突然、喫茶店のママと結婚すると言い出す陽一。病院へ行けと言う喫茶店のママ。
とにかく大混乱である。光子は一旦、落ち着こうと叫び、昼寝を始める。一行も促されて横になった。
その時、清が横たわっている蒲団の下で、東京大空襲時代の不発弾が爆発。驚愕のあまり、それまで歩けなくなっていた清が立ち上がる。それを機に光子は一行を連れて、喫茶店のママの実家へと車を走らせた。
ママの実家に到着。次郎はとうとう決心し、ママにプロポーズ。だが、ママはすぐに返事をくれない。
次郎の恋の行方を見届けた光子。外の空気を吸いに行くと言い、外へ出るも突如、産気づく。大慌ての一行だったが、光子はこのまま出産する心積もりのようだ。
陽一は光子の全てを背負うことを決め、ママは次郎との結婚を許す。
そうして、光子は子供を産むのだった。
映画『ハラがコレなんで』の感想・評価・レビュー
自分の薄幸をよそに、人のためにばかり奮闘するヒロインを仲里依紗が演じ、彼女に思いを寄せ支えようと必死になる幼馴染役を中村蒼が演じている。
ヒロインが不安を一切、表に出さない気質と竹を割ったような性格だからこそ、人が集まるのだろう。いつだって余裕があるように見えるのは、彼女自身の性格が成せる技でもある。非常に魅力的な存在だ。故に、そんな彼女を心配する幼馴染の存在がより大切に感じる。とにかく展開が面白い。ハチャメチャでありながら、義理人情を大切にする心の持ちようと行動を描いた心温まるコメディヒューマンドラマである。(女性 40代)
基本的には、なんでやねんと突っ込みたくなるようなおもしろい物語だった。だが、登場人物達の優しくて温かい言葉に、いつの間にかほろりと泣いてしまっていた。
原光子のドシッと構えているキャラクターが素適だった。妊娠9か月。夫もお金もない状況で、自分だったら彼女のようにはいられないなと思った。憧れるし、彼女みたいな友人が欲しいなと思った。光子を演じたのが仲里依紗さんなのも良かった。キャラクターと仲里依紗さんの雰囲気が合っていた。嵌まり役だと思う。(女性 30代)
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