映画『エル・トポ』の概要:チリ出身の鬼才、アレハンドロ・ホドロフスキーが、監督・脚本・主演・音楽を務めた伝説のカルト映画。ホドロスキー監督の表現世界はどこまでも独創的で、この映画を万人向けに評価すること自体がナンセンスだと思えてしまう作品。
映画『エル・トポ』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
キャスト:アレハンドロ・ホドロフスキー、ブロンティス・ホドロフスキー、デヴィッド・シルヴァ、ポーラ・ロモ etc
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映画『エル・トポ』の登場人物(キャスト)
- エル・トポ(アレハンドロ・ホドロフスキー)
- 幼い息子を連れて、砂漠を旅する凄腕のガンマン。女伝道師に誘惑され、息子を捨てて彼女と旅に出る。達人との決闘を終え、永い眠りにつくが、フリークスが暮らす洞窟の中で目覚め、別人のように生まれ変わる。
- ブロンティス(幼少期:ブロンティス・ホドロフスキー / 青年期:ロバート・ジョン)
- エル・トポの息子。7歳の時に、砂漠の中の伝道師の村で、エル・トポに捨てられた。成人してから、別人のようになった父親と再会する。
- マラ(マーラ・ロレンティオ)
- 砂漠の中の伝道師の村で、大佐の愛人にされていた女伝道師。強い男が好きで、エル・トポに他の達人を殺すようせがむ。エル・トポが聖書の一節をとって、彼女をマラと名付けた。
映画『エル・トポ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エル・トポ』のあらすじ【起】
黒づくめの服を着たガンマンのエル・トポは、幼い息子のブロンティスを連れ、砂漠を旅していた。エル・トポは、なぜか全裸のブロンティスに、大人になったのだから母親の写真とおもちゃを捨てるよう告げる。まだ7歳のブロンティスは、父親の言葉に従い、母親の写真とぬいぐるみを砂地に埋める。
ある集落にたどり着いたエル・トポは、無残な殺され方をした無数の死体を目にする。そこでは、大人も子供も家畜も、皆殺しにされていた。まだ息のあった男に、「苦しいので早く殺してくれ」と頼まれ、エル・トポはブロンティスにとどめを刺させる。
その先の荒地で、3人の荒くれ者に取り囲まれたエル・トポは、2人を早撃ちで殺し、残りの1人にボスが誰なのかを聞く。男は死ぬ間際、フランシスコ会の伝道村にいる大佐がボスで、仲間はあと5人いると白状する。
伝道師の村では、大佐とその子分たちが村人たちを虐殺し、伝道師を犯していた。唯一の女伝道師は大佐の愛人にされ、彼の言いなりになっていた。エル・トポはその村に奇襲攻撃を仕掛け、「俺は神だ」と宣言して、極悪非道な大佐のイチモツを切ってしまう。大佐はこの屈辱に耐えきれず自殺し、子分たちは死刑にされる。
無敵のエル・トポに惚れ込んだ女伝道師は、彼の旅に同行したがる。エル・トポは幼い息子を村に残し、女伝道師を連れて旅立っていく。モーゼが砂漠で見つけた苦い水を「マラ」と呼んだという話から、エル・トポは女をマラと名付ける。エル・トポは、肉欲的なマラの虜になっていく。
映画『エル・トポ』のあらすじ【承】
マラは、自分の男が1番であることを望み、「砂漠にいる4人の達人を見つけて、全員殺して欲しい」と言い出す。エル・トポは、なぜか彼女に逆らえず、最初の達人を探し始める。
何ヶ月も旅を続け、ようやく最初の達人と出会う。それは盲目のヨガの達人で、両腕のない男と両足のない男が一心同体となった従者を連れていた。ヨガの達人と対面したエル・トポは、向こうの方が自分より上だと悟る。しかしマラは納得せず、どんな手段を使ってでも彼を殺すよう迫る。エル・トポは、決闘場所に落とし穴を掘り、そこへ落ちた達人の頭を撃ち抜く。達人の従者は、マラが殺してしまう。
その様子を見ていた女ガンマンは、2人目の達人への案内役を申し出る。マラは女ガンマンから手鏡をもらい、自分の姿ばかり見るようになる。エル・トポは鏡を銃で破壊し、破片を持っておく。
2人目の達人は、占い師の母親と暮らす早撃ちの名人だった。ここでもエル・トポは、彼の方が凄腕だと悟り、事前に罠を仕掛けておく。決闘の場で、母親がエル・トポの仕込んだ鏡の破片で足を負傷し、それに動揺した達人をエル・トポが撃ち殺す。母親は、愛する息子の死を嘆き悲しんでいた。
マラと女ガンマンはエル・トポを奪い合い、激しい喧嘩をする。女ガンマンにムチで打たれたマラは、血まみれになってしまう。女ガンマンはマラの傷を優しく舐め回し、2人はいつの間にかレズビアンの関係になる。
3人目の達人は、人の心が読める銃の達人だった。その男は、なぜか大量のウサギを飼っていたが、エル・トポが来てからウサギが次々と死に始め、ほぼ全滅していた。腕に自信のある達人は、銃に一発だけ弾をこめ、決闘に挑む。エル・トポは、彼なら完璧に自分の心臓を撃ち抜くと予想し、そこに鉄板を仕込んでおく。予想は的中し、一発で死ななかったエル・トポは、達人を撃ち殺す。
最後の達人は、武器を持たない達観者で、闘いに応じてくれない。エル・トポは仕方なく、素手で襲いかかるが、彼の体に触れることさえできない。しかも達人は、銃の弾も虫取り網ではね返してしまう。それでも闘いたがるエル・トポに、達人は「命なんて何の価値もない」と言って、自ら命を絶つ。死ぬ間際、達人は「君の負けじゃ」と宣言する。
自分のしてきたことの無意味さを悟ったエル・トポは、どうしようもない敗北感に打ちのめされる。神に見捨てられたと感じ、絶望しているエル・トポを、女ガンマンが撃つ。最後はマラにも裏切られ、倒れ込んだエル・トポを、地元のフリークスたちがどこかへ引きずっていく。
映画『エル・トポ』のあらすじ【転】
それから長い時を経て、エル・トポはフリークスたちが暮らす洞窟で目覚める。彼は神のように崇められ、小人症の女性に世話をしてもらっていた。その女性は、なぜかエル・トポを自分たちの救世主だと信じていた。
高所に一箇所だけ狭い出口のあるこの洞窟には、町で迫害されたフリークスが閉じ込められていた。長年の近親相関で、洞窟内には奇形の子供が増え続けていたが、誰も彼らを助けようとはしてくれない。女性は、自分たちの苦しみを、エル・トポに訴える。
事情を聞いたエル・トポは、頭髪を剃って僧侶の姿となり、洞窟と町をつなぐトンネルを掘ろうと決意する。そのトンネルが完成したら、ここにいる人々が自由になれると考えたのだ。エル・トポはトンネル掘りの資金を稼ぐため、小人症の女性と町へ出る。
町では、奴隷たちが住民に迫害され、ひどい虐待を受けていた。町のいたるところで殺戮や虐待が繰り返され、人々の心も荒みきっていた。エル・トポと女性は、そんな町の一角で芸を披露して、見物料を稼ぐ。町の様子を見た女性は、この町は洞窟よりもひどい場所だと感じる。それでもエル・トポは、トンネル掘りをやめようとしない。
町の教会では、インチキ牧師が町の人々を集め、空砲の入った銃でロシアン・ルーレットをしていた。牧師は「信仰心の強いものは救われる」と謳っており、ルーレットに参加して助かった人々は、それを奇跡だと信じていた。このインチキを見抜いた若い伝道師は、本物の銃弾を込めて、ロシアン・ルーレットをやってみる。伝道師は無事だったが、彼を真似て引き金を引いた子供が、自ら頭を撃ち抜いて死んでしまう。インチキ牧師は、すごすごと町を逃げ出していく。
エル・トポと小人症の女性は酒場の地下で行われている乱交パーティに呼ばれ、みんなの前で性行為を強要される。エル・トポは女性を気遣って躊躇するが、女性が「2人きりだと思って抱いて」と言ってくれたので、そこで彼女を抱く。
映画『エル・トポ』の結末・ラスト(ネタバレ)
エル・トポは彼女を愛していたから抱いたのだが、女性の方は、あんなことをして彼に嫌われたのではないかとふさぎ込んでいた。エル・トポは彼女を抱き上げて教会へ行き、そこで彼女にプロポーズする。女性は喜び、若い伝道師に結婚の立ち会いを頼む。頼まれた伝道師はエル・トポを見て、いきなり彼に殴りかかる。その伝道師は、エル・トポがかつて置き去りにした息子のブロンティスだった。
ブロンティスは薄情な父親を憎んでおり、エル・トポを殺そうとする。しかし女性に「殺さないで」と懇願され、トンネルが完成するまで、殺すのを待つことにする。ブロンティスはエル・トポを監視しながら、2人の仕事ぶりを見る。あれほど冷酷だった父親は、別人のように優しい人間になっていた。
トンネルが完成する前に女性が妊娠してしまい、いつの間にかブロンティスも、エル・トポを手伝うようになる。エル・トポは、大ケガをしてもあきらめずに穴を掘り続け、ついにトンネルを開通させる。その頃には親子の絆も深まり、ブロンティスは「師は殺せない」と言って、銃を捨てる。
開通した穴から、洞窟内のフリークスたちが一斉に出てくる。集団で押し寄せてきた奇形の人々を見て、町の人々は銃を構える。そして町へ入ろうとした彼らを、皆殺しにしてしまう。後からやってきたエル・トポは、この惨劇を見て泣き叫ぶ。そして、町の人々に向かっていき、彼もまた銃で撃たれる。しかしエル・トポはなかなか倒れず、町に入って悪党を次々と撃ち殺す。恐れをなした人々は、大急ぎで町から逃げ出していく。
その後、エル・トポはランプの油を頭からかぶり、町の真ん中で焼身自殺を遂げる。出産したばかりの赤ん坊を抱え、ブロンティスと町へ駆けつけた女性は、エル・トポの墓を作り、彼を丁重に埋葬する。そして、ブロンティスとともに何処かへ旅立っていく。残されたエル・トポの墓には、巣を作ったミツバチが群がっていた。
映画『エル・トポ』の感想・評価・レビュー
本作には最初、まとまりのない散らばった印象を持った。
ところが物語が進むにつれて、そこには人間の心理がありありと、際限なく描かれていることに気付いた。
しかし、それは捕まえたと思ったら手の中をするりと抜けていくような、言葉という概念で上手く捉えられるものではなかった。それでいて、強烈に記憶に残る作品なのだ。
今まで散々悪事を働いた主人公も、最後は絶望の中自ら命を絶つ。
そんなどんよりとした余韻を残すラストだが、結局のところ、人間は昔から何一つ進化していないということを示唆しているのではないだろうか。(女性 20代)
始まった瞬間から「え、ちょっと待って。」と思わず口にしてしまう展開で、内容を全く知らなかった私はかなり驚きました。
この作品の主人公は、全裸の息子を後ろに乗せて馬で旅をする男、エル・トポ。息子はどう見てもまだ幼い子供なのに「大人なんだから」と母親の写真や玩具を捨てさせ、死にたがっている人にトドメを刺させるなどかなり過激な父親でした。
ストーリーが進むと更に衝撃的な展開が待っています。評価は分かれると思いますが、とても個性的な作品で私は好きでした。(女性 30代)
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