この記事では、映画『ブギーナイツ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ブギーナイツ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ブギーナイツ』の作品情報
上映時間:155分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
キャスト:マーク・ウォールバーグ、バート・レイノルズ、ジュリアン・ムーア、ヘザー・グレアム etc
映画『ブギーナイツ』の登場人物(キャスト)
- エディ・アダムス(マーク・ウォルバーグ)
- ポルノ俳優。人よりも大きな男性器を持ち、一気にスターになる。ドラッグに溺れ、新人俳優への嫉妬もあってポルノ界から離れる。ボロボロになり、ジャックのもとへと帰る。有名になりたいという思いが強く、家族とは上手くいっていない。
- ジャック・ホナー(バート・レイノルズ)
- ポルノ映画の監督。エディを見出し、立派な俳優に育て上げる。映画監督としてのプライドが高く、ポルノ界を高尚なものにしたいという思いがある。ビデオ産業の波に飲まれ、上手くいかなくなっていく。
- アンバー・ウェーブス(ジュリアン・ムーア)
- ポルノ女優。元夫と親権の争いをしている。人気女優で、共演したエディに惹かれる。環境の影響もあり、ドラッグに溺れる。
- ローラーガール(ヘザー・グラハム)
- ポルノ女優。アンバーを母親のように慕っている。将来への不安もあり、高卒認定を取得しようとしている。
- リード(ジョン・C・ライリー)
- ポルノ男優。エディの相方で、共にスターダムにのし上がる。エディと共にジャックのもとを離れ、落ちぶれていく。手品の腕前があり、マジシャンになる。
- リトル・ビル(ウィリアム・H・メイシー)
- ジャックの映画会社のプロダクション・マネージャー。真面目な男。妻がドラッグをし、見知らぬ男と何度も関係を持つ。それに耐えきれなくなり、妻を銃殺して自殺する。
映画『ブギーナイツ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ブギーナイツ』のあらすじ【起】
ジャックとアンバーが、知り合いの経営するディスコへとやってくる。そこにいたリトル・ビルと、撮影についての話をするジャック。彼の職業は、ポルノ映画監督だったのだ。
そのディスコで働いていたエディという少年。彼は、ファラ・フォーセットとブルース・リーに憧れる普通の高校生だった。ジャックは彼を見かけると、厨房まで追いかけていって話しかける。
エディが、彼女と部屋で抱き合っている。エディの唯一の自慢は、その巨大な男性器だった。彼女はそれにゾッコンだった。ディスコで働くローラーガールも、それに魅了されていた。
ジャックが、エディとローラーガールを食事に誘う。ジャックはそこで、自分の夢は自分のアイデアを存分に盛り込んだ最高の映画を撮ることだと語る。そして、ジャックとローラーガールで映画を撮りたいと話し始める。まんざらでもないエディ。すると突然、ジャックの前で二人のオーディションが始まる。
家に帰ったエディ。そこには母親がいて、彼女は帰りの遅くなったエディのことを非難する。さらに、エディの彼女のことや成績のことなども責め始め、家を出て行けと言い出す。ショックを受けたエディは、そのまま家を出て行く。

映画『ブギーナイツ』のあらすじ【承】
早速エディは、ジャックの家に招待される。そこで、男優のバックやリード達に紹介される。その数日後、ジャックの家でパーティーが行われる。様々な人が訪れるこのパーティーでは、ドラッグで楽しむ人が至る所にいる。
プロダクション・マネージャーのビルは、自分の妻がいろんな男と性行為をすることに困り果てていた。そのパーティーでも、妻は見知らぬ男と楽しんでいる。
エディの初めての撮影が始まる。映画スターになることが夢だったエディは、撮影の寸前まで集中力を高めていく。
エディの初めての撮影は、アンバーとの絡みだった。撮影は無事に終了し、エディの名演に周りは拍手を送る。
その後も順調に撮影をこなしていくエディ。ポルノ界の様々な新人賞を総ナメにした彼は、いつのまにかポルノ界のスターダムにのし上がっていた。
低俗なイメージのあるポルノ界のイメージを変えたいと、エディは必死に仕事にのめり込む。自らもアイデアを出し、撮影へと挑むようになる。
映画『ブギーナイツ』のあらすじ【転】
70年代から80年代へと突入しようとしていた夜。新年を祝うパーティーがジャックの家で行われる。エディはそこでアンバーに告白され、初めてドラッグに手を染める。
そのパーティーでは、またもやビルの妻が見知らぬ男と関係を持っていた。それを見たビルは我慢できず、妻を銃殺した後に自殺する。こうして、80年代が幕を開ける。
ジャックの映画にお金を投資していた金持ちの男が逮捕されてしまう。彼は未成年にドラッグを使用させて病院送りにし、家宅捜査で未成年のいかがわしいビデオが見つかってしまったのだ。
ドラッグに溺れ始めたエディ。撮影にも影響が出始め、さらに新人への嫉妬もあってジャックとぶつかってしまう。
エディとリードは、ジャックから離れて活動し始める。ジャックは新人俳優と共に、新たなタニマチを得て映画を撮り続ける。アンバーとローラーガールは、完全にドラッグ中毒になってしまう。
歌手活動を始めたエディとリードだったが、上手くいかないでいる。その憂さ晴らしもあって、エディは益々ドラッグに溺れていく。
映画『ブギーナイツ』の結末・ラスト(ネタバレ)
元夫と親権の争いをしていたアンバーだったが、自らの素行などが原因で敗北してしまう。アンバーはその場で泣き崩れる。
ビデオが流行し、映画産業が急激に冷え込んでいく。ジャックも新しい試みをするが、上手くいかない。
お金に困ったエディ達は、重曹をドラッグに見せかけて詐欺をしようとしていた。しかし、狂っている交渉相手を前にして、仲間の一人が暴走してしまう。どうにか逃げ出したエディだが、お金を得ることはできなかった。
助けを求め、エディはジャックのもとを訪れる。謝るエディを、ジャックやアンバーが優しく抱きしめる。
ポルノ業界にいたメンバーは、それぞれの道を歩み始める。撮影班は様々な記録動画を撮り始め、リードはマジシャンになった。
そんな彼らがジャックの家に集まる。過去に多くの人が集ったその場所には、かつての賑わいはなかった。そして今、エディを主演にしたポルノ映画の撮影が始まろうとしていた。エディは、初主演の時のように集中力を高めて本番へと準備をするのだった。
映画『ブギーナイツ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
普段の生活をしていく中で、絶対に観ることのないポルノ業界の世界を見ることが出来る貴重な作品だった。内容としてはR指定されるくらいのものなので苦手な方には全くおすすめできないが、映画としては70年代や80年代のファッションや雰囲気がとても素敵だったため、楽しんで最後まで観ることができて良かったと思った。長回しで撮影しているシーンが多いので、その場に自分がいる感覚になり楽しかった。
音楽の選曲がとても良く、この作品が評価される理由になっていると思った。(女性 20代)
それにしてもポルノ映画業界の話というのは大胆な設定だと思う。劇中でも当然そのようなシーンに触れないわけにはいかない。一歩間違えばこの映画自体が「ポルノ」になりかねない。しかしこの映画はある種の馬鹿々々しさと、どんな仕事にせよ働いて食っていかねばならないという多くの人に共通する切実さでそれを回避している。
ポルノ役者の話と侮るなかれ、最後には人々の中にある生き抜く力の賛歌のような気がして、このご時世の中、ちょっとだけ勇気づけられたりもした。(男性 40代)
ポルノ業界という特殊な舞台を描きながらも、人間の欲望、孤独、愛情、成功と転落を圧倒的なスケールで描いた名作。特にディグラーが頂点から奈落へ落ちていく姿がリアルで、彼を見守るジャックとの関係が父と息子のようで切なかった。時代の変化に取り残されていくキャラクターたちの描写が胸に刺さる。ラストでの再起の兆しには、救いがあって良かった。(30代 男性)
ジュリアン・ムーア演じるアンバーの哀しさに心が締め付けられました。母性と依存、過去の失敗と更生への願いが複雑に絡み合い、彼女の孤独がとてもリアル。業界内の家族のようなつながりが壊れていく過程は見ていて辛かったけれど、全員に少しずつ光が差すような終わり方に希望を感じました。音楽と映像のセンスも抜群で、P.T.アンダーソンの世界観に引き込まれます。(40代 女性)
最初は華やかで明るい雰囲気に乗せられて観ていましたが、途中から完全に地獄。特にディグラーが麻薬と暴力に染まっていく後半は、もう目が離せませんでした。80年代に入り、業界が変質していく様子もリアルに描かれていて、ビデオ化の影響の大きさに驚きました。ラスト、再び撮影に臨むディグラーの姿には、どこか安心と寂しさの両方がありました。(20代 男性)
映画としての完成度がとにかく高い。群像劇としてのバランス、時代の空気感、音楽、演出、全てが一体となっていて、見終わったあと「これが映画だ」と思わされた作品です。個人的にはウィリアム・H・メイシー演じる夫の悲惨な結末が印象に残りました。みんな自分の場所を求めてさまよっている。ポルノ業界を描きながら、普遍的な人間ドラマとして胸に響きます。(50代 男性)
女性の視点から見ると、あの世界で生きることの苦しさがよく描かれていたと思います。リトル・ビルの妻の奔放さや、アンバーの母性と悲しみは、自立と依存の間でもがく女性たちの象徴。ポルノ女優としての顔と、家庭を持ちたいという願望の間で苦しむ描写に共感しました。単なる“性の映画”じゃなく、生きづらさを抱えた人間たちの群像劇でした。(30代 女性)
若者の成り上がりと転落を描いた物語として、非常に見応えがありました。才能とルックスを持っていても、環境と人間関係によってこんなにも変わってしまうという怖さを感じました。ディグラーが家族のように思っていた仲間たちとの関係が崩れていくのが辛かった。けど、ラストでなんとなくみんなが自分の居場所を見つけ直していく流れは、ちょっと救われました。(20代 男性)
音楽と映像の融合が最高でした。ディスコミュージックに乗せて進んでいく70年代の煌びやかな業界の裏で、キャラそれぞれの孤独や闇が浮かび上がってくる。バート・レイノルズのジャックは父性的でありながら、どこかで夢を見続けているようで、その虚しさが胸に残ります。ラストの“鏡の前の自分”という演出がとても象徴的で、言葉以上に語っていました。(40代 男性)
初めて観たときは衝撃的すぎて言葉を失いました。でも2回目で、それぞれのキャラクターの繊細な感情の動きに気づいて、より深く作品を理解できました。『ブギーナイツ』はただのポルノ業界映画じゃなくて、家族の不在や自己承認欲求、時代の流れに置き去りにされる人たちの話なんですね。女性としても、アンバーやローラーガールの描き方には共感する部分が多かったです。(20代 女性)
映画『ブギーナイツ』を見た人におすすめの映画5選
マグノリア(1999)
この映画を一言で表すと?
人生の断片が繋がり、奇跡が降る──魂を揺さぶる群像ドラマ。
どんな話?
ロサンゼルスを舞台に、複数の人間の人生が交錯しながら進む群像劇。親子の確執、過去のトラウマ、喪失と赦しなど、さまざまなドラマが同時進行し、やがてある“奇跡”によって一つに結びついていきます。
ここがおすすめ!
『ブギーナイツ』と同じポール・トーマス・アンダーソン監督作で、キャストやテーマも重なる部分が多くあります。感情の起伏と映像の美しさが融合した傑作で、人生の複雑さと再生への希望を描いた名作です。
トレインスポッティング(1996)
この映画を一言で表すと?
疾走感と破滅が交錯する、若者たちの狂騒と再生の物語!
どんな話?
ドラッグに溺れ、社会のアウトサイダーとして生きる若者たちの姿を、鋭く、そして時にユーモラスに描いた作品。主人公レントンは仲間との関係や自身の生き方に悩みながら、抜け出す道を模索していきます。
ここがおすすめ!
『ブギーナイツ』と同じく、栄光から転落し、そこから這い上がろうとする人間の姿を描いています。スピーディーな演出と音楽のセンス、そして英国らしいブラックユーモアが光る、衝撃的かつ美しい作品です。
レクイエム・フォー・ドリーム(2000)
この映画を一言で表すと?
夢を見た人間の末路──残酷すぎるまでに美しい悪夢。
どんな話?
4人の人物が夢や希望を追いながらも、ドラッグ依存によって次第に破滅していく姿を描いた衝撃作。加速する編集と音楽によって、観る者も精神的に追い込まれていくような圧倒的な体験が待っています。
ここがおすすめ!
『ブギーナイツ』の後半、ディグラーの転落を重苦しく観ていた人にこそ刺さる作品。光と闇のコントラスト、狂気と静寂の演出が極限まで高められた映像体験です。人間の弱さと依存の怖さを突きつけられます。
ナイトクローラー(2014)
この映画を一言で表すと?
成功に飢えた男が暴走する、現代型モンスターの誕生。
どんな話?
職にあぶれた主人公が、犯罪現場を撮影するパパラッチという仕事に手を出し、次第に倫理を無視して過激な映像を追い求めていく姿を描くサイコサスペンス。報道の闇と現代社会の病理を鋭くえぐる。
ここがおすすめ!
ディグラーの“スターになりたい”という欲望とどこか通じる主人公の狂気。『ブギーナイツ』のように、社会の裏側を覗きたい人や、野心とモラルのせめぎ合いに魅力を感じる方に強くおすすめしたい一作です。
グッドフェローズ(1990)
この映画を一言で表すと?
華やかな裏社会とその転落を、スタイリッシュに描き切った傑作!
どんな話?
マフィアの世界に憧れた少年ヘンリーが、成長とともに組織の中でのし上がり、やがてその暴力と裏切りの世界に飲み込まれていく。実話を元にした、スコセッシ監督の代表的な犯罪映画。
ここがおすすめ!
『ブギーナイツ』と同様に、“成功→狂気→転落”という流れをエンタメ性を保ちながら描いています。カメラワーク、演出、音楽のセンスも抜群。一見過激な内容の裏に、深い人間ドラマがある名作です。
みんなの感想・レビュー