映画『エンドレス・ポエトリー』の概要:詩と出会い、両親からの抑圧に耐えきれなくなった男は家を出ていく。彼は様々なアーティストと生活する中で、自分とは何かを模索し続ける。独特な世界観で語る、アレハンドロ・ホドロフスキー監督の自伝的映画。
映画『エンドレス・ポエトリー』の作品情報
上映時間:128分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
キャスト:アダン・ホドロフスキー、パメラ・フローレス、ブロンティス・ホドロフスキー、レアンドロ・タウブ etc
映画『エンドレス・ポエトリー』の登場人物(キャスト)
- アレハンドロ・ホドロフスキー(老人:アレハンドロ / 青年:アダンホドロフスキー/ 少年: イェレミアス・ハースコヴィッツ)
- 詩人。父親からの抑圧で、医者になるように育てられる。家を飛び出し、詩人としてアーティストたちと生活し始める。自分とは何かに苦しみ続け、パリへと旅立つことに決める。苦悩するアーティスト。
- ステラ(パメラ・フローレンス)
- 詩人。アレハンドロの初めての恋人。派手な格好をしていて、自信家。アレハンドロとの子供を孕み、処女でなくなったことで姿を消してしまう。
- エンリケ・リン(レアンドロ・ターブ)
- 詩人。情熱的で、詩は燃えるときに完成するとアレハンドロに説く。アレハンドロの親友でもある。
- ハイメ・ホドロフスキー(ブロンティス・ホドロフスキー)
- アレハンドロの父親。服を売って生計を立てている。アレハンドロには厳しい教育をし、医者になるように育てる。パリへと旅立つアレハンドロとぶつかり合うが、最後には父親としてそれを見送る。
映画『エンドレス・ポエトリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エンドレス・ポエトリー』のあらすじ【起】
故郷であるトコピージャからサンディエゴへと移住してきたホドロフスキー一家。彼らは、衣類を売って生計を立てている。お店で盗みを働こうとした男を捕まえた父のハイメは、息子のアレハンドロに犯人を蹴飛ばすよう命令する。ハイメは犯人をコテンパンにし、聴衆の面前で恥をかかせる。
ある日、アレハンドロは詩の本に出会う。その詩は、アレハンドロを魅了した。しかし、厳しいハイメはアレハンドロに医者になって欲しいと考えていたため、その本を没収してしまう。アレハンドロは、両親に隠れて詩を書くようになる。
母方の親戚を、家族と一緒に訪れたアレハンドロ。彼の母は、一生懸命に作ったケーキを砂糖が多いからという理由で姑に捨てられてしまう。落ち込む母を横目に、アレハンドロはそこで自分は詩人になると宣言する。しかし、ハイメに脅されて冗談だということにされてしまう。
庭に出たアレハンドロは、こんな家はクソだと叫びながら暴れる。そして、そのまま家を飛び出してしまう。
映画『エンドレス・ポエトリー』のあらすじ【承】
従兄のリカルドがアレハンドロを追いかけ、話しかける。彼はアレハンドロに、若いアーティストが集まって暮らしている家を紹介する。ダンサーのヴェロニカ、彫刻家のカルメンはすぐに詩人としてアレハンドロを受け入れる。
リカルドもまた、世間体に押しつぶされそうになっている青年の一人だった。彼は、アレハンドロを愛してしまっていたのだ。アレハンドロに告白するも断られてしまった彼は、涙を流しながら家を去っていく。
少年から青年へと成長したアレハンドロ。彼はある日、ヴェロニカに言われてアーティストの集まるバーへと足を運ぶ。そこでビールを飲んでいると、突然ド派手でふくよかな女が入ってくる。彼女はステラという名前の詩人だった。
店を出たステラを追いかけるアレハンドロ。芸術を語り合い、惹かれあった二人はその晩キスをする。そして翌日、彼らは体の関係を持つのだった。その頃。アレハンドロの母は息子の帰りをずっと待っていたのだった。
映画『エンドレス・ポエトリー』のあらすじ【転】
しばらくスランプを迎えていたアレハンドロ。彼がバーに行くと、そこには髪を切ったステラが立っていた。彼女は、アレハンドロとの子供を妊娠していた。処女ではなくなった彼女は、そのまま姿を消してしまう。
お客の紹介で、アレハンドロは自分のアトリエを持つことになる。創作意欲が増すなか、彼はお気に入りの詩人を訪ねる。
その詩人の名前はエンリケ・リンといい、彼の部屋には言葉がぎっしりと書かれていた。意気投合した二人は詩について語り合い、派手なパフォーマンスをするようになる。
仲間たちと訪れた占い師の家でアレハンドロは、自分の闇の部分を見つめて創作することと、理想の女性を見つけることを言われる。死を恐れるアレハンドロは、未来の自分から生きろと告げられる。
エンリケに捨てられたと言って泣きじゃくる女性を慰めるアレハンドロ。人生の素晴らしさを説き、生きろと言うアレハンドロに、彼女は慰められる。お礼に彼女はアレハンドロを抱く。そこへ、酔っ払ったエンリケが帰ってくる。エンリケは暴れ、家を出ていく。
映画『エンドレス・ポエトリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
自分とは何かを悩み始めたアレハンドロ。そんな時、彼はサーカス団でピエロをやっているキャロットと出会う。彼はアレハンドロに、もしまだ子供の心を持っているなら、かつて自分がいた場所に戻れるはずだと語る。
キャッロットと共にサーカスに出演したアレハンドロ。彼はそこでピエロを演じるが、最後には観客の前で裸になり、自分は詩人だと叫ぶ。
アレハンドロが、自分を見失ってしまったエンリケを励ましにバーを訪れる。そこへ、アレハンドロの両親が現れ、家が全焼してしまったと言う。両親はアレハンドロを責め、その場を去る。アレハンドロはそれを知り、その場にいた仲間たちと喜び合う。
全焼した家の前で泣き出してしまうアレハンドロ。今度はエンリケと仲間たちが、アレハンドロを励ます。
大好きな詩人のニカノール・パラを訪れたアレハンドロ。詩に情熱を燃やすアレハンドロにパラは、詩をやっても食えないから自分みたいに教師をするべきだと語る。
アレハンドロは、仲間に別れを告げてパリへと旅立つ決意をする。旅立ちの日、港にはハイメが姿を現す。言い争いをする二人だが、最後にハイメを許したアレハンドロは、ハイメに見送られながらパリへと旅立つのだった。
映画『エンドレス・ポエトリー』の感想・評価・レビュー
リアリティーのダンスの続編で、幼いホドロフスキー監督を演じた少年が、成長した姿で登場します。前作では、演技も上手で可愛かったのに、背が伸びてヒョロヒョロになったせいか可愛さが減りました。
映画のメインは、詩人を志す30歳手前くらいの青年時代で、自分を探すためありとあらゆることします。その表現方法がまた独特で、どこからイマジネーションを得ているのか不思議に思います。
劇中では、これまで見た映画の比じゃないくらい全裸の男性が出てきますし、良い作品ですがクセが強すぎて人におすすめすることに若干の躊躇いを感じます。(女性 20代)
アレハンドロ・ホドロフスキー監督が88歳で制作した自伝的作品。
本作は『リアリティのダンス』の続編でもある。
終始活力に溢れていて、胸に響く台詞が多く、また色彩や衣装といった完成度の高い美術に引き込まれ、一気にアレハンドロ・ホドロフスキーの世界観に圧倒された。
過激なシーンも多いが、生きることの意味を問いただす上で必要な要素だと言えよう。
濃厚な内容に、制作意欲を掻き立てられた。体の底から力が湧いてくる作品。(女性 20代)
芸術に全く興味の無い私は絵を見て感動することも無く、音楽やダンスで心を揺さぶられることも滅多にありません。そんな無関心な私は、この作品を「ピカソの絵」のようだと感じました。
とても芸術的で、評価が高い作品なのかも知れません。しかし、価値が分かる人には素晴らしい物でも分からない人には何の興味も感動も湧かない。「ピカソの絵」に対して「どこが凄いんだろう」なんて思ってしまう私には、この作品の良さはまだ分かりませんでした。(女性 30代)
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