映画『二十日鼠と人間』の概要:ジョン・スタインベッグの代表作の映画化作品。大恐慌時代のカリフォルニア。季節労働者のジョージとレニーは、片田舎の農場で職を得る。いつか自分達の農園を持つという二人の夢は、レニーが起こした悲劇によって打ち砕かれる。
映画『二十日鼠と人間』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ゲイリー・シニーズ
キャスト:ジョン・マルコヴィッチ、ゲイリー・シニーズ、レイ・ウォルストン、ケイシー・シマーシュコ etc
映画『二十日鼠と人間』の登場人物(キャスト)
- ジョージ・ミルトン(ゲイリー・シニーズ)
- カリフォルニアの季節労働者。冷静沈着な頭の良い青年。今は亡きレニーの叔母から、親友レニーの面倒を見るよう頼まれ、手を焼きながらも共に行動している。いつかレニーと自分達の農場を持つという夢を抱いている。
- レニー・スモール(ジョン・マルコヴィッチ)
- ジョージの親友の季節労働者。軽度の知的障害を持つ純粋な大男。ジョージを心から信頼している。小動物など柔らかいものを撫でるのが好きだが、怪力のため、いつも力余って殺してしまう。ジョージと同じ夢を抱いている。
- キャンディー(レイ・ウォルストン)
- 季節労働者の老人。事故で左手を失い、その代償に多額の財産を得た。長年連れ添った老犬と常に一緒にいる。
- スリム(ジョン・テリー)
- ジョージ達が働く農場の労働者のリーダー的存在。分別と落ち着きを兼ね備えた美男。ジョージと気が合う。
- カーリー(ケイシー・シマツコ)
- 農場のボスの息子。元ボクサー。短気で卑屈。身長が低いことにコンプレックスを抱いており、巨体のレニーを敵視している。奔放な妻の気を引こうと努力している。
- カーリーの妻(シェリリン・フェン)
- カーリーの新妻。若く魅力的な美人。女優に憧れていたがチャンスが無く、故郷を出たいがためにカーリーと結婚した。話し相手もおらず、牧場での退屈な生活に嫌気が差している。
- クルックス(ジョー・モートン)
- 黒人の労働者。幼少期の怪我が原因で腰が曲がっている。教養ある人物だが、農場のボスに手酷く扱われている。友人がおらず、孤独を抱えている。
- カールソン(リチャード・リール)
- 労働者の一人。スリムと仲が良い。キャンディーの老犬を疎ましく思っている。
- ボス(ノーブル・ウィリンガム)
- 農場のオーナー。カーリーの父親。労働者達に乱暴に接する。
映画『二十日鼠と人間』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『二十日鼠と人間』のあらすじ【起】
1930年代、大恐慌時代の真っ只中のカリフォルニア。季節労働者のジョージとレニーは、レニーが起こしたトラブルから農場を追われる。大きな体に子供並みの知能しかないレニーは、行く先々で問題を起こし、その度ごとにジョージは、新しい仕事を求めてレニーと共に旅に出る。
ジョージは、レニーの亡き叔母からレニーの面倒を見るよう頼まれ、以降、レニーと常に行動を共にしてきた。レニーが我儘を言ってジョージが怒り、二人が仲直りするのは日常茶飯事である。ジョージは、時にレニーを疎ましく思うが、純粋なレニーを捨てられないでいる。
いつものようにジョージがトラブルを起こし、二人は追われる身となる。ジョージとレニーは、川に逃げ込んで追っ手をやり過ごす。ジョージ達は列車に乗り込み、新しい仕事を探すため都会に向かう。
職業紹介所で働き口を得たジョージ達は、乗り合いバスでノースダッドのタイラー牧場を目指す。二人はバス運転手に騙され、牧場から遠く離れた場所で降ろす。徒歩で牧場へ向かう道中、ジョージはレニーがネズミの死体を隠し持っていることに気付き、取り上げて投げ捨てる。
二人は川辺で野宿する。いつものように、ジョージはレニーに苛立つ。悪気の無いレニーに頼まれ、ジョージは二人の将来の夢について語り出す。ジョージは、いつか自分達の農場を持ちたいと望んでおり、ジョージも、その農場でウサギを飼うことを夢見ている。ジョージは、もし何か起こった際にはここへ隠れるよう、レニーに教える。
翌日、ジョージ達は牧場へ辿り着く。ボスに到着が遅れたことを詫びた後、ジョージ達は労働者の老人キャンディーに案内され、宿舎に入る。ボスの息子カーリーは、レニーを見るなり絡む。ジョージは、扇情的なカーリーの妻に興味を持たないよう、レニーに厳しく言い付ける。
映画『二十日鼠と人間』のあらすじ【承】
ジョージとレニーは、他の労働者と共に農場の大麦を刈り入れる。力持ちのレニーの働きに、皆は驚く。リーダー格のスリムが二人に声をかける。スリムの飼っている雌犬が多数の子犬を産み、レニーはその中の一匹を譲り受ける。
ある日、ジョージは納屋でカーリーの妻と会う。話し相手が欲しいカーリーの妻は、労働者達に思わせ振りな態度を取っている。妻を探して納屋へやってきたカーリーは、ジョージに嫉妬して突っかかる。
労働者のカールソンは、キャンディーの老犬を疎ましく思い、楽にさせてやると言って老犬を撃ち殺す。キャンディーは、自分の手で犬を殺さなかったことを後悔する。
スリムは、利口なジョージが、何故レニーと一緒にいるのか不思議に思っている。ジョージは、子供の時にふとしたことでレニーの底抜けの純粋さに心打たれ、それ以降つきあい始めたことを、スリムに語る。ジョージは、以前いた農場で、ある女性のドレスに興味を持ったレニーが、女性に触れようとした際に騒ぎになり、問題になって農場を追い出されたことをスリムに明かす。
映画『二十日鼠と人間』のあらすじ【転】
ある夜、カーリーの妻の姿が見えず、カーリーはスリムが妻と納屋で逢い引きしているのではないかと勘違いして騒ぎ立てる。他の労働者が納屋へ向かった後、ジョージとレニーは宿舎に残り、将来の夢について語り合う。ジョージは、近郊のある農場に目を付けている。
話を聞いていたキャンディーは、ジョージ達に多額の財産を差し出すと共に計画への参加を申し出る。老犬を失って余生に絶望したキャンディーは、ジョージ達と農場を持ちたいと望んでいる。ジョージとレニーはキャンディーを受け入れ、三人は、一ヶ月後に計画の実行を決定する。
スリムとカーリーが、口論しながら宿舎へ戻ってくる。カーリーは、その様子を見て笑ったレニーに腹を立て、レニーを激しく殴りつける。怒ったレニーは、怪力でカーリーの右手を握り潰す。スリムは、ジョージとレニーが解雇されないよう、カーリーを脅して口止めする。レニーは、トラブルを起こしたことを深く後悔する。
ある夜、ジョージは仲間達と町へ出かける。レニーはクルックスの小屋を訪れ、クルックスはレニーを嫌々迎え入れる。レニーに心を許したクルックスは、誰にも相手にされず孤独感に苛まれていることをレニーに語る。戻ってきたジョージが、クルックスの小屋までレニーを迎えにやってくる。
カーリーの妻が、ジョージとレニーに声をかける。カーリーの妻は、夫が留守にしていることをアピールするが、ジョージ達は無視する、ふてくされた妻は、今の生活への不満を涙ながらにぶちまけてその場を去る。
映画『二十日鼠と人間』の結末・ラスト(ネタバレ)
ある日、レニーの子犬が死ぬ。ジョージが仲間達と蹄鉄投げゲームに没頭している間、カーリーの妻は納屋へ行き、子犬の死体を抱えて悲しんでいるレニーに近づく。レニーを信用したカーリーの妻は、レニーに身の上話を語る。レニーが柔らかいものが好きだと知ったカーリーの妻は、自分の髪をレニーに撫でさせる。
髪の手触りの良さに興奮したレニーの手つきが次第に乱暴になり、カーリーの妻は恐怖感を覚えて叫び声を上げる。慌てたレニーは力任せにカーリーの妻の口を塞ぎ、窒息死させてしまう。レニーは、納屋を飛び出し、走って逃げ出す。
納屋へレニーを迎えにきたキャンディーは、カーリーの妻の遺体を発見する。キャンディーはジョージに報告し、二人はレニーが遠くまで逃げられるよう話を合わせる。しばらくした後、キャンディーは労働者達に事件を報告する。
カーリーの妻の遺体の近くにレニーの帽子が落ちており、カーリーは、レニーを犯人と断定する。カーリーは犬を放ち、労働者達と共にレニーの捜索を始める。カーリー達より先にレニーを見つけ出すため、ジョージは単身森へ向かう。
ジョージは、以前に野宿をした川辺で、レニーを発見する。レニーは自分のしたことを悪いと全く思っておらず、いつものようにジョージから将来の夢の話を聞きたがる。レニーとの暮らしに疲れたジョージは、隠し持っていた銃でレニーの頭を撃ち抜く。
その後、ジョージは牧場を去り、レニーとの思い出を胸に新天地を目指す。
みんなの感想・レビュー
レニー役を演じたジョン・マルコビッチに比べて、ジョージ役のゲイリー・シニーズの演技がいまいちの感がある。ラストシーンなんか悲しそうな表情を浮かべているだけで胸に迫ってくるものがない。監督だけに専念して、演技は他の俳優でもよかったのでは。