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映画『草原の実験』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『草原の実験』の概要:1950年代、ソ連に属するある国の辺境。美しい少女は、父親と共に草原の中の一軒家で暮らしている。少女の心が緩やかに成長すると共に、家の周囲では不穏な空気が漂い始める。実際に起きた恐ろしい事件を、壮大な自然と共に淡々と描く。

映画『草原の実験』の作品情報

草原の実験

製作年:2014年
上映時間:97分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:クサンドル・コット
キャスト:エレーナ・アン、ダニーラ・ラッソマーヒン、カリーム・パカチャコフ etc

映画『草原の実験』の登場人物(キャスト)

ジーナ(エレナ・アン)
ソ連のとある国の草原地帯の一軒家で暮らしている美少女。家事と父親の世話をこなしながら、美しい自然に囲まれて穏やかな日々を送っている。世界に興味を持ち始めており、自分が住んでいる環境以外の場所に想いを馳せる。
タルガート(カリム・パカチャコフ)
ジーナの父親。元戦闘機パイロット。パイロットゴーグルを愛用し、現在でも軍部関係者の知人の好意で、時々飛行機を操縦している。一人娘のジーナを、何よりも大切に想っている。
マクス(ダニラ・ラスマキン)
ジーナの暮らす地域一帯を調査する一団のロシア人青年。ジーナに一目惚れし、気を引くために様々な方法でジーナを笑わせる。
カイスゥィン(ナリンマン・ベクルラトフ・アレシェフ)
ジーナが暮らす地域の原住民の青年。勇敢で誠実。ジーナに想いを寄せており、妻に迎えたいと考えている。

映画『草原の実験』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『草原の実験』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『草原の実験』のあらすじ【起】

1950年代。ソ連のとある国の辺境。美しい少女ジーナは、伝統的な一軒家で、父親タルガートと二人で暮らしている。家の周辺にはジーナ達以外は住んでおらず、見渡す限り草原が続いている。ジーナは家事をこなし、父親の世話をしながら平穏な日々を送っている。

元パイロットのタルガートは、今でも飛行機への愛着を持っている。タルガートは軍部関係者の友人に頼み、時々小型飛行機を操縦している。普段は無表情のタルガートだが、飛行機に乗るときは満面の笑みを見せる。

ジーナは、寝室に貼った世界地図を眺め、ラジオで外国の音楽を聴いて、まだ見ぬ世界に想いを馳せる。ジーナは父親をよく労わり、細かいところにまで気配りしている。

タルガートは、毎朝トラックに乗り込み、仕事で何処かへ出かけていく。通勤時、タルガートはジーナにトラックの運転を教えている。家から伸びた道の分岐点までジーナが運転し、その先はタルガートが一人で車に乗って仕事へ向かう。ジーナは、分岐点から徒歩で帰宅する。

原住民の青年カイスゥィンは、毎朝馬に乗ってジーナを迎えに行き、後ろに乗せて家へと送る。その度にジーナはカイスゥィンに水を振る舞い、飲み干したカイスゥィンは帰っていく。

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映画『草原の実験』のあらすじ【承】

ジーナの家の近くで、ロシア人の一団が乗った車が故障する。ロシア人青年マクスは、水を求めてジーナの家を訪れるが、ジーナは家の中に姿を隠している。マクスは自分で井戸から水を組もうとするが、井戸の蓋には鍵が掛けられている。ジーナは家から出て井戸を開放し、マクスに水を与える。ジーナとマクスは、お互いに一目で惹かれ合う。マクスはジーナの写真を撮り、車へ戻っていく。

タルガートは、毎日日没前に帰宅する。その夜、眠っているジーナのもとへ、マクスがやってくる。マクスはジーナを家の外に呼び出し、昼間に撮ったジーナの写真を映写機で外壁に投影する。マクスはジーナに写真を贈り、闇の中をライターの灯りを頼りに帰っていく。

翌朝、ジーナはにこやかな表情を浮かべている。いつものように、ジーナはタルガートを助手席に乗せてトラックを運転する。いつのまにか荷台に乗っていたマクスは、ミラー越しにジーナに合図を送る。分岐点でジーナが下車した後、マクスはタルガートが運転するトラックに乗ってそのまま運ばれていく。マクスは楽しげにジーナを眺めている。

徒歩で家へと向かうジーナを迎えに、カイスゥィンがやってくる。ジーナはいつも通りにカイスゥィンに水を振る舞い、カイスゥィンは去っていく。

映画『草原の実験』のあらすじ【転】

ジーナの家の近くを、何十台ものトラックが通過する。ある日の夕刻、タルガートは普段よりも遅く帰宅する。タルガートは謎の病に冒されており、高熱を発して錯乱している。ジーナはタルガートを着替えさせ、寝台に寝かせる。

その夜、一帯は暴風雨に襲われ、ジーナは不安なまま眠れず過ごしている。突如、防護服に身を包んだ一団の乗った車が家の前に停まる。防護服の男達は、タルガートを家の外に連れ出し、トラックや家畜、庭の物全てに検知器を近づけ、放射線量を測定する。

タルガートのトラックの積荷から、高度の放射能が検出される。男達はタルガートに裸になるよう指示し、検知器を近づける。タルガートの体から、高濃度の放射線が感知される。男達は家の中に入り、検査を続ける。ジーナは布団に隠れてその様子を見ている。家の中からは放射能は検知されず、男達は、豪雨の中に裸のタルガートを残したまま去っていく。

翌日、タルガートの容体が悪化する。ジーナはカイスゥィンに助けを求めるため、空に向けてライフルを撃つ。事態を把握したカイスゥィンは、ロシア人の軍医と軍人を連れて戻ってくる。診察後、軍医達は重症のタルガートを車に乗せて何処かへと連れていく。

映画『草原の実験』の結末・ラスト(ネタバレ)

カイスゥィンは、一人家に取り残されたジーナに愛を告げる。ちょうど、マクスがその場にやってくる。カイスゥィンとマクスは、ジーナを巡って殴り合いを始めるが、ジーナは二人に水を浴びせかけて喧嘩を終わらせる。

ある夜明け前、タルガートが帰宅する。タルガートは体を清めて正装し、家の外に出した寝台に腰掛け、日の出を眺めながら絶命する。

ジーナは一人でタルガートの遺体を埋葬した後、荷物を纏めてトラックに乗って家を出る。途中でガソリンが切れたため、ジーナは徒歩で進み続ける。突如、広範囲にわたって張り巡らされた有刺鉄線が目の前に現れ、ジーナは行く手を阻まれる。

ジーナが自宅に戻ると、カイスゥィンとその家族によって、家中にタルガートへの弔いの装飾が施されている。カイスゥィンは、伝統に則って家族の前でジーナに求婚し、二人の結婚は認められる。

ジーナは、長く美しい髪を自分で短く切り、結婚への抵抗を示す。偶然、その場にやってきたマクスは、カイスゥィンに決闘を申し込む。カイスゥィンは、ジーナの家から離れた野原にバイクでマクスを連れて行き、二人はジーナへの愛を懸けて戦う。

マクスが本気であることを知ったカイスゥィンは、負けを認めて去っていく。マクスは何時間もかけて草原を歩き、ジーナの家に戻る。ジーナは家の前で倒れたマクスを助け、自宅に招き入れる。嵐が吹きすさぶ中、二人は一夜を共にする。

翌朝、青空の下、二人は家の外の寝台に腰掛け、たわいもなくあやとりで遊んでいる。突如、轟音が響き、閃光と共に巨大なキノコ雲が沸き起こる。地面が割れて爆風が巻き起こり、一帯は瞬く間に吹き飛んでいく。カイスゥィンは、雄叫びを上げながらバイクでキノコ雲に突進する。砂塵に巻き込まれ、ジーナとマクスは手を繋いで死を迎える。

映画『草原の実験』の感想・評価・レビュー

台詞無しにもかかわらず、主人公の少女が見せる視線や繊細な表情、美しさに魅了され、内容もほとんど理解できた気がする。
特に、光の反射が綺麗に映し出されていて、フレーミングや映像の美しさを堪能できるのも本作の見どころである。
厳格な父と美しく優しい娘と、彼女に想いを寄せる2人の少年のささやかな日常を詩的に描いているが、ラストは急に現実が襲い掛かり、まさにタイトル通りのショッキングなものだった。
事前詮索なしで観ることをおすすめしたい作品。無声なので映像を充分に堪能でき、記憶に焼き付くに違いない。(女性 20代)


セリフがないからこそ、色々と想像が掻き立てられる作品だった。風景や息遣いなど、普段の映画では気にならない細部まで注目しながら見ることができた。
役者の方達はセリフがない方が、演じるのが難しいのかもしれない。だが、変なところはどこにもなく、視線や表情などでそれぞれの役を見事に演じていたと思う。
ジーナ、マクス、カイスゥィンの三角関係が甘酸っぱくて、どうなっていくのかドキドキしながら見ていた。その気持ちのままラストを迎えたので、衝撃が凄かった。ジーナとマクスの幸せな未来が想像できたからこそ、余計に最後が悲しく感じた。(女性 30代)


セリフが一切無い今作。映像だけで伝わるのかと心配でしたが、むしろセリフがないほうが観客に考える余裕を与えてくれるので、物凄く作品の世界観に入り込むことができました。
美しい自然の中で描かれる、男女の三角関係。純粋だからこそぎこちなくて、心が表情に現れてしまうのがとても微笑ましかったです。
しかし、ラストでこれまで見てきた全てが無意味に感じられました。どれだけ大切にしていても、どれだけ愛していても、人間が犯した愚かな過ちのせいで全てが無かったことになってしまう。虚しさが残る作品です。(女性 30代)

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