映画『三文オペラ(1989)』の概要:ドイツの劇作家、ベルトルト・ブレヒトが、作曲家のクルト・ヴァイルと共に、ジョン・ゲイの『乞食オペラ』を基にして執筆した1928年の戯曲。映画化されるのは本作で4度目。主人公のマッキースを、『アダムス・ファミリー』(91)のゴメズ役で知られるラウル・ジュリアが演じている。
映画『三文オペラ』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ミュージカル、コメディ
監督:メナハム・ゴーラン
キャスト:ラウル・ジュリア、リチャード・ハリス、ロジャー・ダルトリー、ジュリア・ミゲネス etc
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映画『三文オペラ』の登場人物(キャスト)
- マッキース(ラウル・ジュリア)
- 「ソーホーの王」と呼ばれるロンドンの大泥棒。多くの手下を抱え、あちこちで悪事を働いている。大変な女好きで、ポリー、ルーシー、スーキーという3人の妻に加えて、ジェニーという愛人までいる。悪党だが、不思議な魅力を持つ人物。
- ピーチャム(リチャード・ハリス)
- 「物乞いの王」と呼ばれるロンドンの物乞いたちの元締め。「物乞い商会」という会社を立ち上げ、手下の物乞いから稼ぎの一部を搾取している。娘のポリーをマッキースに寝取られ、彼の逮捕を警察に訴える。
- ポリー(レイチェル・ロバートソン)
- 美人で有名なピーチャムの娘。まだ未成年だが、マッキースに猛アタックされ、彼の妻になる。なかなか気の強い娘で、マッキースの手下を手懐けてしまう。
- ジェニー(ジュリア・ミゲス)
- ロンドンの売春宿で働いている娼婦。マッキースが貧乏だった時代から、彼の愛人だった。毎週木曜日にジェニーの売春宿へ通うのが、マッキースの習慣になっている。
- タイガー・ブラウン(ビル・ナイ)
- ロンドン警視庁の警視総監。マッキースとはインドの進駐軍で知り合い、親友になる。マッキースから賄賂を受け取り、彼の犯罪をもみ消している。
- ルーシー(エリン・ドニヴァン)
- ブラウンの娘。マッキースと結婚しており、彼の子供を妊娠中。
- シーリア(ジュリー・ウォルターズ)
- ピーチャムの妻。朝から酒を飲んでいるアル中。夫に負けず劣らず腹黒い。
映画『三文オペラ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『三文オペラ』のあらすじ【起】
ロンドンの街角では、物乞いや娼婦たちが大勢集まり、大泥棒のマッキースの噂をしている。マッキースは、別名『マック・ザ・ナイフ』と呼ばれる泥棒たちのボスで、人殺しも厭わない大悪党として知られていた。
マッキースは女好きの色男としても有名で、狙った獲物は逃がさない。街一番の美人と評判のポリーに目をつけたマッキースは、夜中に口笛を吹いてポリーを呼び出し、馬車でどこかへ連れ去る。
ポリーの父親のピーチャムは、ロンドンの物乞いたちの元締めで、「物乞い商会」という会社を立ち上げていた。ピーチャムは、物乞い志望者に営業許可証を売りつけ、稼ぎの一部をピンハネしていた。朝になって、ポリーがいないことに気づいたピーチャム夫婦は、娘がマッキースに奪われたのではないかと心配する。
ピーチャムの予想通り、ポリーは強引なマッキースの虜になり、装飾した馬小屋で結婚式を挙げていた。結婚式の途中で、ロンドン警視総監のタイガー・ブラウンが姿を現したので、マッキースの手下たちは慌てて身を隠す。しかし、マッキースとブラウンはインドの進駐軍で知り合った時からの親友だった。マッキースはブラウンにせっせと賄賂を渡し、数々の犯罪歴をもみ消してもらっていた。そのおかげで、マッキースは未だに逮捕されたことがない。
マッキースとの結婚を報告するため、一旦家に戻ったポリーは、ピーチャムから厳しく叱責される。ピーチャムは、娘が娼婦に成り下がったと嘆いていた。母親のシーリアは、マッキースに弄ばれているのだと娘を諭すが、ポリーは聞く耳を持たない。ピーチャムは、マッキースを逮捕してもらうため、警視庁へ向かう。シーリアは、マッキースが出入りしている売春宿へ向かう。
みんな幸せに暮らしたいが、世の中は最低で、なかなか思うようにはいかない。みんなで世の中の不条理を嘆きながら、三文オペラの第一幕はフィナーレを迎える。
映画『三文オペラ』のあらすじ【承】
ピーチャムは、嫌がるポリーを連れて警視庁へ行き、マッキースを逮捕するよう訴える。事態は、「ソーホーの王」と「物乞いの王」の戦いへと発展しており、警察もピーチャムの訴えを無視できない。ブラウンは、マッキースの犯罪記録は残っていないと言っていたが、警視庁にはちゃんと彼の犯罪記録が保管されていた。
マッキースの犯罪歴は、2人の商人殺し、30件以上の夜盗、23件以上のかっぱらいに加えて、放火や偽造や偽証など、とんでもない数に上っていた。ポリーはマッキースに犯罪記録を突きつけ、怒りをぶつける。ピーチャムは、未成年の娘を誘惑した罪でマッキースを告発し、ポリーを証言台に立たせるつもりにしていた。起訴されてしまえば、マッキースが縛り首になることは確実だった。
ポリーはマッキースを救うため、彼を逃がす。マッキースは、金と手下の管理をポリーに任せ、家を出ていく。ピーチャムの娘だけあって、ポリーはなかなか肝が座っており、マッキースの手下たちもすぐに手懐けてしまう。
シーリアは売春宿を訪ね、娼婦のジェニーを呼び出す。ジェニーは、マッキースの長年の愛人で、昔は彼と暮らしていた。いろいろあって結婚はしなかったが、2人の関係は今でも続いており、マッキースは毎週木曜日に彼女のところへ通ってくる。シーリアはジェニーを金で買収し、警察にマッキースを売るよう頼む。ジェニーは、その取引に応じる。
今日はちょうど木曜日だったが、こんな時なので、マッキースは来ないだろうとジェニーは思っていた。しかし、習慣を変えることを嫌うマッキースは、いつも通り売春宿に姿を現す。ジェニーは複雑な想いを抱え、警察へそれを知らせに行く。
ジェニーの通報により、売春宿に警官が踏み込んでくる。マッキースはできる限り戦い、馬車で逃走を図るが、最終的に逮捕されてしまう。
映画『三文オペラ』のあらすじ【転】
牢屋に収監されたマッキースは、看守に賄賂を渡し、鎖での拘束を免除してもらう。マッキースは、他の貧しい受刑者たちに、この世は金次第であることを教えてやる。
マッキースの逮捕を知り、ブラウンが面会に来る。ブラウンは「止めようとした」と言い訳するが、マッキースは彼の裏切りを許さない。
次にマッキースの面会に訪れたのは、ブラウンの娘のルーシーだった。なんとルーシーはマッキースと結婚しており、彼の子供を妊娠中だった。ルーシーは、4ヶ月も行方不明になっていたマッキースに激怒していたが、彼にキスされると、すぐに許してしまう。
今度はそこへポリーがやって来る。牢屋で鉢合わせしたルーシーとポリーは、嫉妬心をむき出しにして大喧嘩を始め、マッキースは頭を抱える。最終的に、ルーシーがブラウンの娘だと知ったポリーが怒って帰ってしまい、一応2人の喧嘩は収束する。
マッキースの指示で、ルーシーは看守から牢屋の鍵を盗み、彼を脱獄させる。マッキースは、「起訴が取り下げられたら戻る」と約束して、ルーシーと別れる。
その後、マッキースはジェニーの売春宿を訪れ、ロンドンの隠れ場所へ移動すると伝える。ロンドンの隠れ場所とは、波止場にあるチャイナタウンのことだった。そこには、マッキースの3人目の妻である、中国人のスーキーがいた。
ジェニーは他の娼婦を引き連れ、ピーチャムのところへ金を受け取りに行く。ところが、シーリアに「マッキースが脱獄したので金は渡せない」と言われ、大喧嘩になる。その際、ジェニーはマッキースの居場所を口走ってしまい、ピーチャムの手下が警察へ走る。しかし、警視庁からは大勢の警官が出動するところで、手下は通報する機会を失う。
映画『三文オペラ』の結末・ラスト(ネタバレ)
警視庁には「物乞い商会で暴動が起きている」という通報が入っており、ブラウンたちが現場へ駆けつける。今日はヴィクトリア女王の戴冠式の日で、騒ぎを起こされては困るのだ。ピーチャムはそこにつけ込み、「マッキースを逮捕しなければ、ロンドン中の物乞いを使って、女王の戴冠式を邪魔する」とブラウンを脅す。ブラウンは、マッキースを助けたかったが、ピーチャムは強硬な姿勢を崩さない。
ピーチャムは、密告者としてジェニーを引っ張り出し、マッキースが波止場にいることを白状させる。スーキーの詳しい住所は、マッキースの手下たちが暴露していた。ブラウンは仕方なく、部下にマッキースの逮捕を命じる。ピーチャムは、「7時までにマッキースを処刑しないとパレードを妨害するぞ」と、さらにブラウンを脅す。
マッキースは再び逮捕され、牢屋に収監される。牢屋の外では、マッキースを絞首刑にするための準備が進められていた。絶体絶命のピンチを迎えたマッキースは、手下たちに大金を用意するよう命じる。しかし、まだ朝が早すぎて銀行は開いておらず、金の工面がつかない。そうこうしているうちに、処刑時刻の7時5分前となり、マッキースは覚悟を決める。
多くの群衆が見守る中、マッキースは処刑台へ連行される。彼の最期を見届けようと、3人の妻とジェニー、そして友人や手下たちも集まっていた。マッキースは、愛する人々に別れを告げ、処刑台に立つ。首にロープをかけられたマッキースは、自分のために祈りを捧げてくれるよう、群衆に訴える。
ついに刑が執行された。ところが、床下には路上の歌うたいが待ち構えていて、マッキースの体を受け止める。そして、「これはオペラだ、悲しい終わりはやめよう」と叫ぶ。
そこから『第3の三文フィナーレ』が始まり、舞台は劇場へと移る。マッキースは、戴冠式の恩赦によって釈放され、勲章と終生に渡る多額の年金を与えられる。全ての登場人物が舞台上に集まり、三文オペラは陽気なハッピーエンドで幕を閉じる。
映画『三文オペラ』の感想・評価・レビュー
大泥棒のマッキースが、ある意味ひとつの人生を終えるまでの物語。マッキースを演じたのは『アダムス・ファミリー』シリーズの父親・ゴメスでお馴染みのラウル・ジュリア。彼の強い目力と迫力のある演技がすごく好きな私は、彼が出ているというだけで見る価値があるなと思っていましたが、彼以外のキャストも素晴らしく、ストーリーも秀逸でした。
マッキースが最期を迎えるはずだった処刑シーン。大泥棒としての彼ではなく、人々から愛される一人の人間としてのマッキースが描かれていてすごく良いラストだなと感じました。(女性 30代)
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