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映画『ザ・ビーチ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ザ・ビーチ』の概要:都会の雑踏から離れ、伝説のビーチを求めて旅に出た主人公。とうとう楽園を見つけ出すも、共同生活をする中で問題が勃発。次第に各々で抱える闇が浮き彫りとなっていく。大自然の美しい楽園の中で、人間の醜悪さが対比となっている秀逸な作品。

映画『ザ・ビーチ』の作品情報

ザ・ビーチ

製作年:1999年
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、アドベンチャー
監督:ダニー・ボイル
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ティルダ・スウィントン、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ロバート・カーライル etc

映画『ザ・ビーチ』の登場人物(キャスト)

リチャード(レオナルド・ディカプリオ)
アメリカ人。独身で恋人もいない。フランソワーズと付き合うようになるも、サルと関係を持ってしまいフラれてしまう。やんちゃな子供のような性格。
サル(ティルダ・スウィントン)
伝説のビーチに辿り着き、集落を形成した創立メンバーの1人。現在は集落のリーダーを担っており、現地人の村との交渉も行っている。何をしてでもビーチの存在を守ろうとする。金髪で痩身、気丈な女性。
フランソワーズ(ヴィルジニー・ルドワイセン)
フランス人でエティエンヌの恋人だった。星の撮影が趣味。黒髪でしとやかな美人。リチャードに恋をするも、サルとの関係を知り別れてしまう。
エティエンヌ(ギヨーム・カネ)
フランス人でフランソワーズの恋人だった。ビーチへ向かうまでの手はずを格安で整えてくれる。とても優しい心根を持っており常識的な青年。人情家。
ゼフ(ピーター・ヤングブラッド・ヒルズ)
伝説のビーチの噂は知っているが、本当にあるかまでは信じていなかった若者。ひょんなきっかけでリチャードを助け礼に地図を貰う。口が軽く今時の若者。

映画『ザ・ビーチ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ザ・ビーチ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ザ・ビーチ』のあらすじ【起】

都会の雑踏や今までの生活を捨て、よりスリルを求めて旅に出たリチャード。飛行機を乗り継ぎバンコクへ。バンコクは東南アジアの入り口であり、快楽を求める街と言われている。
ここならきっと、自分が求めるものが見つかるはずだと思ったリチャード。だが、人間が生活する場所を移動するだけで、結局はどこも同じようなものだった。

その日の夜、リチャードはホテルの隣室に宿泊するおかしな男から、楽園のようなビーチの話を聞く。孤島にあるそのビーチは岸壁に囲まれ美しく完璧なものだと言う。数人がそのビーチを求めて旅立ったが、未だ戻らないとのことだった。

翌日、外出先から戻ると部屋のドアに黒い紙が貼り付いている。中を見るとビーチへの地図が書いてあった。男の部屋を訪ねたリチャード。彼は部屋に血塗れで絶命している男を発見するのだった。

警察から帰宅した後、リチャードは悩んだ末、隣室に宿泊している若いフランス人カップル、エティエンヌとフランソワーズを誘ってビーチを目指すことにした。ビーチの傍にある島から泳いで孤島に向かう計画だった。

出発の前日。リチャードはバンガローの鍵を失くしてしまい、悪態をついているところを隣に泊まっている若者達に見つかってしまう。そこでゼフという青年から、伝説のビーチの話を聞いた。

翌朝、リチャードは地図を書き写し、礼の代わりに青年たちへ置いて行くことにする。そして3人は予定通りに隣の無人島で1泊後、荷物を持って海へ泳ぎ出た。

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映画『ザ・ビーチ』のあらすじ【承】

無事に孤島へ渡った3人は、森に入り広大な大麻畑を発見。リチャードは歩き回って首輪をした子猿を見つける。紐の先には銃を持った男が寝ていた。恐らくは見張りなのだろう。他にも銃を持った男達が現れたため、3人は畑の影に隠れて静かに逃走を図る。

行き当たった川を上流へ遡ると滝になっていた。リチャードとエティエンヌは、ここに来て口論を開始。だが、フランソワーズは1人でさっさと滝を飛び降りてしまう。彼女の行動に唖然とした男2人も、滝から飛び降りることにした。
歓声を上げている3人を岸から見ている男がいる。彼は3人に拍手を送り、勇気を称えて集落へと案内するのだった。

そこは辿り着いた者だけが集まり、生活を営んでいる共同集落だった。案内された3人は集落の創設メンバーでありリーダーのサルの元へ。彼女は、ここで暮らすなら固く秘密を守ることが鉄則だと言って地図を燃やしてしまう。
その後、ビーチへと案内された3人。そこはとても美しく、岸壁に囲まれた楽園だった。

集落に受け入れられたリチャード達。そこには各国から集まった人々がおよそ30人生活していた。彼らは何年もこの場所で秘密を守り、生活を営んでいる。自前で家屋を造り食料も自給自足。時々は文明社会に戻りそして、マリファナを売った金で米を買っていた。

集落の他にも現地人の村があるらしく、交流はほとんどない。広大な大麻畑は村の方で管理しているが、集落にも集落専用の畑があった。更に村からは、これ以上人を増やすなとも忠告されているらしい。

島の生活にも慣れたある日の夜、フランソワーズにビーチへと誘われたリチャード。彼はそこで彼女から好きだと告白される。エティエンヌにはまだこのことを話していないため、2人だけの秘密だと約束し、彼らは体を繋げるのだった。

映画『ザ・ビーチ』のあらすじ【転】

だが、集落の中では隠し事ができない。当然、2人の関係はエティエンヌの耳にも入ってしまう。彼はフランソワーズが幸せならいいと、嫉妬で怒りながら怒鳴るのだった。

集落の米が残り少なくなったため、サルと島へ買い出しに行くことになったリチャード。久しぶりに触れる都会の雑踏に辟易となる。サルたちがなぜ、ビーチの存在を秘密にしているのかを理解した気がした。
屋台で一息ついた時、リチャードはゼフ達に遭遇する。彼らはサルがいる前で、ビーチの話をしてしまう。リチャードは必死にそれを否定。どうにか事なきを得たが、このことを隠すためにサルから取引を持ち出されるのだった。

サルには集落にれっきとした恋人がいるが、集落では浮気をするとすぐに知れ渡ってしまうため、この機会に堂々と浮気をするのだと言う。彼女にとってバッグスはパートナーで、リチャードはただの性欲処理係なのだ。
翌朝、皆の買い物と米を持って、ビーチへ帰還したリチャード。フランソワーズにサルとの浮気を疑われるも、何もなかったと秘密を隠し通すことに成功する。

買い出しの際にあったことを忘れかけた頃だった。漁をしていた3人の仲間がサメに襲われる。1人は無傷だったが、1人は死亡。そして、もう1人は足に深い傷を負った。このことにより、怪我を負った仲間は医者を島に連れて来て欲しいと言うも、サルはビーチを守るため、島に残るか病院へ行くかの2択を迫った。どうしようもなくなった彼は、病院へ行かず島に残ることになった。

数日後、熱と激痛に唸る仲間のせいで、集落には苛立ちが募り始める。このままでは争いに発展しかねないと思ったサルは、傷を負った仲間を隔離。エティエンヌは必死に抵抗し、彼の看病をするため、その場に残った。
そうして、集落には平安が戻った。

しかし、リチャードはある日の朝方、サルに呼び出され見張り台へ。隣の島にゼフ達がやって来たと言う。地図を渡したのかと詰問されたリチャードは、ここで見張りをして地図を取り返しゼフ達を追い返せと命令される。
その日の夜、フランソワーズがサルとの関係を知ってしまい、激怒している彼女から一方的に別れを告げられるのだった。

映画『ザ・ビーチ』の結末・ラスト(ネタバレ)

踏んだり蹴ったりのリチャード。数日は真面目に見張りをしたが、たった1人で見張りを続けるには無理があることを悟る。そして、森を通過して行く現地人を目にしてひらめいた。
たった1人ということは、集落の決まりを守ることも義務である仕事もしなくていいのだと。自分は自由になったのだと思った彼は、ゲーム感覚で森をブラついた後、現地人を密かに観察することにした。

やがてリチャードは、孤独から正気を失う。初めてビーチの存在を教えてくれた、あのおかしな男もこんな気分だったのだろう。彼は集落から食べ物を盗んでは生き延びる。仲間の1人が戻れと説得に来るが、リチャードは何も答えず森へと戻り黙々と罠を作った。

そうしている内にゼフ達が孤島へ渡って来る。彼らは初めてリチャード達が来た時と同じように、広大な大麻畑を発見して大はしゃぎ。当然、彼らは見張りに見つかってしまう。
都会の若者らしく、金や物で許してもらおうとするも、警戒した現地人の1人がゼフの仲間を1人撃ち殺してしまう。そうして、ゼフ達は全員が見張りに殺されてしまうのだった。

リチャードはそれを物陰から見ていたが、目前で若い女が撃たれて絶命。彼はそこで、ようやく正気に戻る。すぐさま踵を返して逃走を図るも、追いかけられてしまう。罠で1人を倒した後、滝から飛び降りて助かった。

集落へ戻って来たリチャード。フランソワーズとエティエンヌにビーチから逃げようと相談。2人を先に行かせたが、残った彼は何者かに殴られ意識を失う。
同じ頃、現地人が集落へとやって来て、仲間の全員が集められた。人を増やすなという約束が守られていないと激怒した現地人は、彼らに出て行けと言う。しかし、サルは断固として島から出ないと言い、一番悪いのはリチャードだと告げ口をするのだった。

現地人のボスはサルに銃を渡し、リチャードを殺せと命令。サルは銃を手にリチャードを狙った。彼は必死にサルを説得するも、彼女は躊躇いつつ引き金を引く。島を秘密にしておくための代償は人命である。しかし、銃には弾が入っていなかった。
次の瞬間、仲間達は恐れを成して一斉に島から逃亡。楽園の夢は脆くも崩れ去った。

その後、仲間達は散り散りに帰国の途へ就き、リチャードも文明社会へと帰って行くのだった。

映画『ザ・ビーチ』の感想・評価・レビュー

理想郷が崩れていく様が興味深い作品です。

最初は、誰もが幸せに生きることのできるプライベートビーチ出会ったはずの場所が、どんどん崩れ、リーダーだったサルの元には誰も残らなくなります。

人情を無視し、理想郷維持のためのルールに固執した結果でした。
もし、理想郷をつくったリーダーが自分だとしたら、どんな風にみんなをまとめるだろう。そんな想像もしてしまいます。(女性 20代)


主人公のリチャードが独り旅の最中に出会った謎の男から、幻の美しいビーチへの地図を受け取ったのが物語の始まり。半信半疑ながらも、幻のビーチを探し求める為に仲間を作り、異国の地を旅していく姿はまさに冒険そのもの。なかでも、何キロも先の島へ泳いで渡ろうとする無謀な姿が、希望と愉快さ満ち溢れていて、つい自分も旅に出たくなる。
ビーチにたどり着いた後の生活は、一見楽しく開放的に見えるが、閉鎖的なコミュニティと自分自身を守る為の人間の残酷さ、またその考えが次第に普遍的になっていくコミュニティのあり方にゾッとした。(女性 20代)


今の生活に不満のある人が見ると、考え方が少し変わるのではないかなと感じます。私は今の生活が大好きで不満も無いので夢のビーチを目指し旅に出る彼らの気持ちはよく分かりませんでした。しかし、ビーチで穏やかで充実した生活を送る彼らを見ていると、とても満たされているのだろうと感じます。
そんな夢のような場所を楽園にするか地獄にするかを分けるのは結局人間の行動や考え方なのだと思いました。サルも最初はビーチが大好きで楽園を守りたかっただけのはずなのに…と少し切なくなりました。(女性 30代)

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