映画『ミルカ』の概要:インド陸上界の英雄、ミルカ・シンの波乱万丈な人生を描いた人間ドラマ。ミルカ役のファルハーン・アクタルは、陸上選手の肉体を作るために体脂肪率を5%まで絞ったと言われる。インドのアカデミー賞に当たる国際インド映画アカデミー賞で、作品賞、監督賞など計14部門を獲得。
映画『ミルカ』の作品情報
上映時間:153分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
キャスト:ファルハーン・アクタル、ソーナム・カプール、ディヴィヤ・ダッタ、アート・マリク etc
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映画『ミルカ』の登場人物(キャスト)
- ミルカ・シン(大人:ファルハーン・アクタル / 少年時代:ジャプテージ・シン)
- インドに実在した陸上競技選手。400mの世界記録を樹立し、メルボルン、ローマと2回のオリンピックに出場。1958年に東京で行われたアジア大会では200mと400mで金メダルを獲得するなど華々しい記録を残すが、少年時代の悲惨な体験が、英雄になってからの彼の人生にも大きな影響を及ぼす。
- ビーロー(ソーナム・カプール)
- ミルカの初恋の人。ミルカとの仲は睦まじかったが、ゴロツキのような生活をしていたミルカとの結婚には躊躇してしまう。ミルカはまっとうな人間になることを誓い、ビーローに待っていてくれと頼む。しかし、ミルカが軍隊にいる間に、親の決めた相手と無理やり結婚させられる。
- イシュリ(ディヴィヤ・ダッタ)
- ミルカの姉。インド・パキスタン分離独立の混乱で一家が虐殺されるが、インドに逃げ延び、ミルカと再会。以後、さまざまな苦難にも耐えてミルカを育てる。ミルカが成人し、インドの代表となって戻ってきたときに涙を流して喜ぶ。
- ミルカの父(アート・マリク)
- 敬虔なシク教徒で、印パ分離独立の際、改宗してパキスタンに残る道を選ばず、戦って一家もろとも虐殺される。その際、ミルカと姉のイシュリはインドに逃れさせた。
- グルデーウ・シン(パヴァン・マルホトラ)
- ミルカが軍隊に入ったときの陸上のコーチ。ミルカの才能を見出し、インド記録を塗り替える選手に育て上げる。その後、ミルカのコーチをランヴィールに譲るが、ミルカとの交流はその後も続いた。
- ランヴィール・シン(ヨグラージ・シン)
- ミルカが400m競争のインド代表に決まってから彼のコーチを務める。メルボルン五輪で惨敗したミルカをさらに鍛え上げ、世界記録を樹立させる。
映画『ミルカ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ミルカ』のあらすじ【起】
1960年、ローマオリンピック。陸上400m競争の決勝で、世界記録保持者でもあるインド代表のミルカ・シンには、国内外から金メダル獲得への大きな期待が寄せられていた。
号砲が鳴り、走り出すミルカ。200m付近では先頭を走り、誰もが彼の金メダル獲得を疑わなかった。そのとき、コーチの「ミルカ、走れ!走るんだ!」という叫びが、幼い頃に聞いた父の「ミルカ、逃げるんだ!」という叫び声と重なる。
ミルカの脳裏に、幼い頃の忌まわしい光景が浮かび上がる。家族が殺される叫び声を背に、逃げるミルカ。馬に乗った虐殺者が、刃物を手にミルカを追ってくる。思わず後ろを振り向いたその瞬間、ミルカは数名の選手に抜かれ、金メダルどころか、メダルにも手が届かなかった。
この結果に、インド中の国民が落胆し、新聞には「インドスポーツ界最悪の日」という見出しが載った。帰国して自宅に戻ったミルカは、しばらく人前に姿を現さなくなった。それは、金メダルを取れなかった無念さだけでなく、彼の生い立ちにも深く関係する問題に直面していたからだ。
インドのネルー首相は、近く行われるインドとパキスタンの友好親善試合の団長に、ミルカを推していた。しかし、首相の要請にも関わらず、ミルカはパキスタン行きを固辞していた。
ネルー首相は、担当大臣にミルカを説得するよう指示する。大臣は、ミルカのコーチであるランヴィールと、かつてのコーチであったグルデーウと共に、ミルカの自宅があるチャンディガルに向かう。
汽車の中で、大臣はミルカがパキスタン行きをかたくなに固辞する理由を2人のコーチに訪ねた。グルデーウは、「長い話になりますが」と前置きして、ミルカの生い立ちを語り始める。
映画『ミルカ』のあらすじ【承】
グルデーウがミルカと初めて会ったのは、ミルカが陸軍に入隊したときのことだった。当時、陸軍では優秀な陸上選手も養成しており、選手を選抜するためにクロスカントリー競争を行う。上位10名には、牛乳と卵が支給されると聞き、ミルカは牛乳欲しさから全力で走り、トップでゴールした。
ある日、ミルカはインド代表だけが着られるブレザーが宿舎の部屋に掛けられているのを見て、つい持ち主に内緒で、そのブレザーに袖を通してしまう。そこを持ち主の代表選手と仲間に見つかり、泥棒呼ばわりされて暴行を受けそうになる。
争いを止めに入ったグルデーウは、ブレザーが着たければ代表選手と競争して勝てと言い、ミルカは「勝てる」と宣言してしまう。翌日、それを証明するために、代表選手とミルカを含めた記録会が行われることになった。
他の選手がスパイクを履いてレースに臨む中、ミルカだけは裸足だった。スタートの合図が鳴り、一斉に選手が駆け出す中で、やはり代表選手のスピードは群を抜いていた。ところが、レース後半になり、ミルカが物凄いスパートで代表選手を猛追した。そして、ゴール寸前で代表選手を抜いたと思われた瞬間、ミルカは突然倒れこんで敗れた。
裸足のミルカの足の裏には、尖った石が刺さり、パックリと傷口が開いていた。しかしレースを見ていた連隊長がミルカのところへやって来て「石がなければ君が1位だった」と言い、ミルカを強化選手に加えるよう、グルデーウに指示した。
クルデーウは大臣に、ミルカには天賦の走る才能があったと話す。興味深く聞いていた大臣は、次にミルカとパキスタンの関係を尋ねた。そこでクルデーウの話は、ミルカの幼少の頃にさかのぼる。
映画『ミルカ』のあらすじ【転】
ミルカは幼少期を、インド国境に近いパキスタン領内の小さな村で過ごした。そこでは家族が貧しいながらも幸せに暮らしていた。しかし、1947年の印パ分離独立により、シク教徒は改宗してパキスタンに残るか、インドに移り住むかの選択を迫られる。
当時、100万人にも及んだと言われる民族の大移動が始まり、ミルカもその混乱の中、家族と離れて単身でインドに向かった。インドの難民村でミルカは姉のイシュリと再会し、2人は同じく村から逃げてきた親戚と一緒に住み始める。しかし、2人の生活は決して楽なものではなく、姉は家を追い出されないために、しばしば家主の相手をさせられた。
心に怒りを抱えるミルカは、ある日、街の少年たちと喧嘩をする。それを見ていた街の不良グループが、ミルカの強さを買って、仲間に引き入れる。不良グループと共にミルカは、盗みを働いたりして生計を立てる。そして、その街で成長していった。
成長したミルカは、その陽気な性格から街の人気者になっていた。そして、ビーローという美少女と巡り合い、恋に落ちる。ビーローに結婚を申し込むミルカだったが、ビーローはゴロツキのような生活をしているミルカとの結婚をためらう。そこでミルカは、まっとうな人間になることを宣言し、ビーローに待っていてくれと言い残し、軍隊に入隊した。
軍隊に入ったミルカは、グルデーウの元で厳しい練習に耐え、めきめきと実力を伸ばす。スパイクを履いて走ることにも慣れ、オリンピックのインド代表を決める選考会を迎えた。ところが、ミルカに代表の座を奪われることを恐れた今の代表選手が、選考会の前の晩、仲間と共にミルカが眠っているところを襲い、スパイクでミルカの足を傷つける。
翌日、ミルカの足には、スパイクの鋲が深く刺さった傷が数カ所もあり、応急手当してもとても走れるような状態ではなかった。しかしミルカは、周囲が止めるのも聞かず、裸足でレースに出場する。
痛みをこらえ走り出すミルカ。しかし、傷だらけの足で思うように走れるはずもなく、他の選手との差が徐々に開いていく。コーチもミルカの勝利を諦めた。
ところがレース後半、ミルカは神がかったように信じられないスパートをかけて一気に先頭に立ち、トップでゴールに飛び込むと、そのまま倒れこんだ。大逆転の勝利。そして、タイムはインド記録を更新し、ミルカは代表選手の座を獲得する。
その後、憧れのインド代表のブレザーを着て、ミルカは姉のイシュリに会いに行く。見違えるように立派になった弟を見て、イシュリは涙を流して喜んだ。
そしてミルカは、ビーローの家を訪れる。しかしビーローはもう、その家には住んでいなかった。かつての不良仲間を捕まえてビーローの行方を聞き出すミルカは、ビーローが結婚して他所に移り住んだことを知り、愕然とする。旧友は、ビーローが親に殴られるほど結婚を拒んだが、最後は親の言うことに従わざるを得なかったと話した。
映画『ミルカ』の結末・ラスト(ネタバレ)
1956年。メルボルンオリンピックに出場するため、ミルカはインド代表団と共に渡豪する。このとき彼のコーチは、インド代表強化コーチのランヴィールに代わっていた。
ミルカたち代表選手は、ランヴィールとともに、地元のコーチであり、元選手でもあったピーター・ハミルトンの家に招待される。そこでハミルトンの娘ステラを紹介されたミルカは、彼女と意気投合し、酒を飲んで酔った挙句、一夜を共にしてしまう。
その後もミルカは練習の合間にステラとビーチへ行くなど、2人の時間を楽しんだ。そして迎えた競技当日、ミルカは絶対の自信があった400m競争で惨敗する。ミルカが練習にもレースの本番にも集中できていなかったことは明らかだった。レース後、ミルカは洗面所で鏡の前で何度も自分の頬を殴りつけた。
インドに帰国したミルカは、生まれ変わったようにランヴィールの元で厳しいトレーニングを行った。タイヤを結んだロープを腰に巻き付け、高地を走り続ける。倒れても起き上がって走り続け、ランヴィールも驚嘆するような走力を身に着けていった。
1958年、東京で開催されたアジア大会に出場したミルカは、200m決勝でパキスタンのカーリクと対戦する。幼い頃、パキスタンで家族を殺された凄惨な過去が思い出されたが、ミルカはその過去を振り払うようにレースを全力で走り抜き、わずかの差でカーリクを破って優勝した。
その後、ミルカの快進撃が始まり、数々の国際大会で優勝し、ついには400mの世界記録を塗り替えた。いつしかミルカは、国民の英雄になっていた。首相からミルカに、インド・パキスタン友好親善試合の団長になってほしいという要請が来たのは、その頃だった。
グルデーウとランヴィールの話がここまできたところで、汽車はランヴィールに到着した。ミルカの家を訪れた大臣は、ミルカにもう一度首相と会ってほしいと頼む。
ミルカを迎えたネルー首相は、「君は軍人だ。国が君を必要としている。進んで自分自身を捧げるべきだ」と説得する。その言葉にミルカは決意を固め、パキスタンに向かった。
友好親善試合での対戦相手は、アジア大会で競ったカーリクだった。競技場は自国の英雄カーリクへの声援が圧倒的だったが、インドでは人々がラジオの前でミルカを応援していた。
号砲が鳴り、地元の声援を受けたカーリクが圧倒的なスピードでレース序盤からミルカに差をつける。このままカーリクの勝利に終わるのかと思われたそのとき、ミルカは驚異的なスパートをかけてゴール前でカーリクを抜き去り、見事に優勝する。
インド中が喜びに湧き立った。ネルー首相はミルカの勝利を記念して、インド全土に1日の休日を与えると発表する。それはかつて、ビーローに話した彼の夢だった。マハトマ・ガンジー生誕日のように、ミルカ・シンの休日を作るという…。
レース後の表彰式で、ミルカはパキスタンのアユブ・カーン大統領から、「空飛ぶシク」という賛辞の言葉を贈られる。空を飛ぶようなミルカの走りは、シク教徒としてパキスタンの地で死んでいった、家族の名誉も回復したのだった。
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