この記事では、映画『バースデーカード』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『バースデーカード』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『バースデーカード』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:吉田康弘
キャスト:橋本愛、ユースケ・サンタマリア、須賀健太、中村蒼 etc
映画『バースデーカード』の登場人物(キャスト)
- 鈴木紀子(4歳:新津ちせ / 9〜12歳: 篠川桃音 / 中学生:中村ひなの / 17歳~大人:橋本愛)
- 幼い頃は泣き虫で、同級生達からよく苛められていた。大人しい性格。中学生の頃、同級生の立石純に片思いしていた。
- 鈴木芳恵(宮﨑あおい)
- 紀子の母。優しくて明るい女性。中学の頃、生徒会長だった。クイズが得意。病魔に侵され、紀子が幼い頃に亡くなってしまう。裁縫が得意。
- 鈴木宗一郎(ユースケ・サンタマリア)
- 芳恵の夫。滅多に怒らない穏やかな性格。病気の妻を献身的に支える。妻の死後、男手一つで子供達を育てる。
- 鈴木正男(幼少期:星流 /少年期:小野寺永遠 / 大人:須賀健太)
- 紀子の弟。学生時代は野球に打ち込んでいた。大学受験に3度失敗し、自転車で放浪の旅に出る。
- 立石純(中村蒼)
- 紀子の中学の同級生。母子家庭。女で一つで育ててくれた母に感謝しており、喧嘩をすることがない。自分のラーメン屋を開くのが夢。
- 石井沙織(木村多江)
- 芳恵の中学の同級生で、親友。中学生の頃芳恵といざこざがあり、疎遠になっていた。娘の真帆は中学生。真帆が引き籠りになった理由が分からず戸惑っており、親子関係が最悪な状況。
映画『バースデーカード』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『バースデーカード』のあらすじ【起】
鈴木紀子は幼い頃、引っ込み思案で常に1人でいるような子供だった。母の芳恵はそんな紀子のために、絵本を読んでくれたり落ち込んでいると励ましてくれるような、優しくて明るい人だった。紀子は母のことが大好きだったが、ものすごく悲しませてしまったことがあった。
紀子は小学校で行われるクイズ大会のクラス代表に選ばれたことがあった。紀子は不安を抱え、母に主役ではなく脇役がいいと訴えた。母はたくさんの本の中にそれぞれ主役がいるように、紀子の人生は紀子だけが主人公なのだと言って励ました。紀子は頑張ることにしたのだが、大会出場前にクラスのリーダー的な女の子に貶されてしまう。結局クイズに答えることができないまま、大会は終了した。母は落ち込む紀子を励まそうとしてくれたのだが、紀子は自分に期待しないで欲しいと言って反論してしまう。母は目に涙を浮かべて紀子に謝罪した。
母が入院してしまう。紀子は幼いながらも母の病気が治らないことを理解していた。だが、父の宗一郎はそれを認めることができず、治ると嘘を吐いた。紀子は父を非難し、泣きじゃくった。紀子の弟の正男はまだ小さかったため、現状が理解できていない様子だった。芳恵自身も自分の先が長くないことを理解していたが、子供達の前では笑顔でいることを心に決めていた。宗一郎は妻の手を握り締め、励ました。
芳恵の希望で、紀子の10歳の誕生日に家族皆でピクニックに行くことになった。母は紀子に自分で刺繍を施したハンカチとバースデーカードをプレゼントした。そして、病気を治すことと、毎年誕生日に手紙を渡すことを子供達と約束した。紀子も正男も心から喜んだ。
11歳の誕生日、紀子は亡くなった母からのバースデーカードを受け取った。手紙には傍にいれないことへの謝罪と、遠くから見守っていること、20歳までバースデーカードを贈る予定であることが書かれていた。そして、手紙の横には「たいくつな人が割引セールで買った花は何?」というなぞなぞが書いてあり、ひまわりの種が同封されていた。紀子は正男に声を掛け、一緒にひまわりの種を植えた。

映画『バースデーカード』のあらすじ【承】
紀子の誕生日に、毎年母からバースデーカードが届いた。12歳の手紙には美味しいチョコマフィンの作り方が書いてあり、それを友達に振る舞ったおかげでクラスの人気者になれた。13歳の誕生日には一人で学校をサボって映画を見てみよう!と書いてあり、紀子はそれを実践した。14歳の誕生日には初キスの心得が書かれた手紙と共に、口紅が同封されていた。紀子はドキドキした気持ちで口紅を塗った。
花火大会の日、紀子は近所のおばちゃんから声を掛けられ、浴衣を着せてもらう。そのおばちゃんが着せてくれた浴衣の帯は、芳恵から譲り受けたものだった。紀子がおばちゃんと花火大会を見に行くと、片思いをしている同級生(立石純)が屋台の手伝いをして働いていた。おばちゃんは紀子の気持ちを察知し、休んでくると言ってその場を離れた。紀子は立石と花火を見て良い雰囲気になったのだが、直前に食べたたこ焼きの青のりのことが気になり、結局キスすることはできなかった。
17歳の夏。紀子は母の願いを叶えるため、母の故郷を訪れた。中学生の頃の同級生が集まりタイムカプセルを掘り起こすことになったので、それを回収してきて欲しいとバースデーカードに書いてあったのだ。宴会の席で、紀子は母の中学生の頃の話を、母の友人達から聞いて楽しい時間を過ごした。だが、母が修学旅行を休んだ理由は、皆話そうとはしなかった。
宴会終了後、紀子は残った母の同級生から、修学旅行に纏わる事件を聞いた。本来は東京に行くことが決まっていたのだが、旅行1カ月前に急に行き先が京都に変更になった。表向きは予算に合う宿が見つからないとのことだったが、裏で教頭と旅行代理店が繋がっており、お金をちょろまかしていたのだ。生徒会長の芳恵と副会長であり芳恵の親友の石井沙織は、行先を戻さないならボイコットすると騒いだ。だが、沙織だけ修学旅行に来たため、芳恵を裏切った形になってしまったのだ。
紀子は東京旅行に拘った理由を沙織から聞かされる。実は、修学旅行と同じ日にピンクレディーの解散コンサートがあり、それに行こうとしたのだ。2人は返してもらった積立金のお金で東京に行くことを決めていた。だが、沙織は親に泣きつかれて止められたため、芳恵を裏切って修学旅行に行ってしまったのだ。沙織は芳恵と東京に行かなかったことを未だに後悔していた。
映画『バースデーカード』のあらすじ【転】
紀子は沙織の家の農作業を手伝った後、シャワーを浴びて沙織の娘の服を借りた。だが、娘の真帆はそれを知ると、激しく怒って服を脱げと怒鳴りつけてきた。紀子が真帆の部屋に服を返しに行くと、自分が知っているバンドのアルバムが置いてあった。初めはギクシャクしていた2人だったが、音楽の話をして仲良くなった。沙織は久しぶりに聞く娘の楽しそうな声に、思わず笑顔がこぼれた。
紀子は母がタイムカプセルに入れた封筒を沙織から受け取った。封筒を開けると、中からピンクレディーの解散コンサートのパンフレットが出てきた。芳恵は1人で行ってきたのだ。紀子はそのパンフレットを沙織に渡した。沙織がパンフレットのページを捲ると、芳恵から沙織への謝罪の言葉を書いたメモが挟んであった。沙織は芳恵を思い、涙を流した。その後、紀子を見送りに、真帆がやって来た。紀子は真帆と再び会うことを約束し、帰って行った。
19歳の誕生日、紀子はバースデーカードを開けることができなかった。母の言葉に振り回されたくないと思ったのだ。宗一郎は珍しく怒り、母に謝罪するよう叱った。だが、紀子は素直に謝ることができず、家を飛び出した。すると、偶然立石と再会を果たす。立石は紀子が落ち込んでいる理由を深く追求せず、バイクの後ろに乗せて街を走った。
立石は自分が働いている店に紀子を連れて行き、ラーメンを御馳走した。紀子がちょうど食べ終わったときに、花火の音が聞こえてきた。2人は外に出て、遠くで上がっている花火を一緒に見た。そこで、立石は泣いていた理由を紀子に聞いた。紀子が父と喧嘩したことを話すと、立石は紀子を羨ましがった。立石は父がおらず、子供達のために一生懸命働く母をとても大切にしていた。話を聞いた紀子は自宅に帰ると、バースデーカードを読んだ。そこには、手紙を破り捨てたため、宗一郎と喧嘩をしてしまったことが書かれていた。芳恵は将来の子供達にどんな言葉を掛ければいいのか分からず苦悩していた。そして、大きくなった子供達に直接会えないことを悲しんでいた。宗一郎はそんな芳恵を宥め、子供達のために手紙を書いてあげて欲しいと頼んだ。芳恵は涙ながらに宗一郎の言葉を聞いていた。手紙を読み終えた紀子も、母を思い涙を流した。
映画『バースデーカード』の結末・ラスト(ネタバレ)
20歳の誕生日。紀子は父と正男と共にピクニックに出かけた。そして、1人で母からの最後のバースデーカードを読んだ。そこには、紀子が母を悲しませた日に言った、「ママは希望通りの人生を歩めているのか?」と言う問いの答えが書かれていた。芳恵は希望通りの人生ではなく数えきれない後悔や心残りがあったが、自分の人生に満足していると書いていた。
21歳の誕生日。紀子は立石から腕時計とバースデーカードをプレゼントされる。カードに書かれていたのは「これからもよろしく!!」というシンプルなものだったが、紀子は立石の気持ちが嬉しくて笑顔になった。
紀子は幼い頃のクイズ大会のことを未だに引き摺っており、やり直したいと思っていた。そのことを立石に話すと、クイズ番組に出場してやり直すことを勧められる。紀子は家に帰ると、母の裁縫道具箱の中から、クイズ番組へ出す予定だった応募ハガキを取り出した。それは、病室にいた母と共に、紀子が書いた物だった。紀子はハガキを出し、クイズの勉強をした。正男もそんな姉を応援し、家事を手伝った。しかし、上手くはいかなかった。
紀子は大学を卒業し、地元の企業に就職した。クイズ番組への応募を続けていたが、予選を落ち続けていた。ある日、正男が日本一周の旅に出ると言い出した。母のバースデーカードに書いてあったと言うのだが、実際に書いてあったのは「人生に悩んだときは、旅行に行くもよし」だった。父は許していなかったのだが、正男は気にせず旅立とうとしていた。家に帰って来た宗一郎は正男を追いかけるが、正男は父の制止を無視して行ってしまう。
紀子はクイズ番組の筆記試験に合格し、面接を受けた。立石は店長への昇進が決まった。2人はそれぞれのお祝いをするため、レストランを訪れた。紀子が家に帰ると、クイズ番組に受かったと父から言われる。紀子は叫んで喜んだ。
父と立石と真帆が見守る中、紀子はクイズ番組に出場した。紀子が頑張っている中、観客席にいた立石は、宗一郎に紀子と結婚させて欲しいと頼んだ。宗一郎は声を上げて驚いた。紀子は母を思いながら回答するが、優勝を逃してしまう。番組終了後、宗一郎は娘の労をねぎらい、声を掛けた。そして、立石に頭を下げ、娘のことを頼んだ。実は番組の最後で、紀子は自分が結婚することを、正男に呼びかけていた。テレビを見ていた正男は、口から飲み物を零しながら驚いた。
結婚式当日。正男は自分の最後のバースデーカードと一緒に同封されていた、母からの手紙を姉に渡した。それは、紀子が結婚するときに渡して欲しいと、母から頼まれていた物だった。手紙には「たくさんの人に愛されているから感謝の気持ちを忘れず、花婿を大切に一生懸命幸せになって下さい」と書かれていた。しかも、結婚式に参加できなかったお詫びにと、母は自分が編んだベールを残していた。
紀子は母が残したベールを着け、結婚式に挑んだ。正男は母の写真を手に持ち、そんな姉の姿を見守った。父は旅立つ娘を、少しだけ悲しそうな表情で見守った。
映画『バースデーカード』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
母が亡くなっても、毎年誕生日に届く手紙という設定に最初から胸がいっぱいになりました。特に20歳の誕生日に届く最後の手紙は、自立を促す母の想いが詰まっていて涙が止まりませんでした。過去の自分を受け入れ、前に進む勇気を与えてくれる作品で、観終わった後に自分も親に感謝したくなりました。(20代 男性)
母が生前に書いた手紙が、娘の成長を導いていくという物語に心を揺さぶられました。成長の節目ごとに的確なアドバイスや温もりを届ける母の存在は、まるで生きているかのようで、観ていて何度も涙しました。最後の手紙で「自分の人生を歩んで」と背中を押す言葉に、母の愛の深さを痛感しました。(30代 女性)
物語を通じて描かれるのは「死別」ではなく「永遠の絆」でした。亡き母から届く手紙を受け取るたびに主人公が成長していく姿に、親子のつながりは時間を超えるのだと感じました。特に結婚を迷うシーンでの母の言葉が印象的で、見守ってくれる存在のありがたさを強く感じました。(40代 男性)
涙なしには観られない作品でした。母を失った少女が、手紙を通じて愛を受け取り続ける姿は切なくも美しかったです。特に「20歳の手紙」が彼女の背中を押し、大人としての一歩を踏み出す場面に心を打たれました。母の死を悲しむだけでなく、前向きに生きる力を描いた作品だと思います。(50代 女性)
手紙が主人公の人生に寄り添うアイデアが素晴らしかったです。毎年届くたびに涙する主人公の姿は、自分の人生と重ね合わせて共感しました。母の死を受け入れる過程と、最後に残される「これからは自分で歩いて」というメッセージが、観る者に勇気を与えてくれるようでした。(20代 女性)
母からの手紙が主人公に「生きる道しるべ」を与えていく流れが感動的でした。特に恋愛や進路で悩む時期に届く手紙が、その時の彼女にぴったりな内容で、母の愛情の深さを感じました。最後の手紙で涙しつつも、主人公が笑顔で前を向く姿に救われる思いがしました。(30代 男性)
「死」というテーマを扱いながらも、観終わったあとに温かさが残る映画でした。母の存在が手紙を通して生き続けることは、観客にとっても希望になります。人は亡くなっても想いは残り続ける、その真理をやさしく描いていて、何度も涙を誘われました。親子の愛情を改めて考えさせられる一作です。(40代 女性)
主演の橋本愛さんの演技が繊細で素晴らしく、母の死を乗り越える姿に自然と感情移入できました。手紙を読むたびに揺れ動く表情がリアルで、観ているこちらまで胸が締め付けられました。母役の宮﨑あおいの優しい存在感も相まって、物語全体に温もりがあふれていました。(50代 男性)
母と娘の絆を描きながら、観客自身にも「親との関係」を問いかける作品だと思いました。普段は照れくさくて言えない感謝の言葉を、母は死後も手紙に込めて伝えてくる。その姿が羨ましくもあり、胸に深く刺さりました。観終わった後、すぐに親に会いたくなる映画でした。(60代 女性)
派手な演出はなくても、手紙というシンプルな設定が観る者の心を打ちます。母の愛が言葉になり、年月を超えて娘に届く様子はとても純粋で美しいです。最後の手紙を読み終えた主人公が涙をこらえて笑顔を見せるシーンは、人生の切なさと希望を同時に描いていて心に残りました。(60代 男性)
映画『バースデーカード』を見た人におすすめの映画5選
八日目の蝉
この映画を一言で表すと?
母と子の絆をめぐる、切なくも深いヒューマンドラマ。
どんな話?
不倫相手の子を誘拐した女性と、彼女に育てられた少女の物語。育ての母と実の母、二人の間で揺れ動く少女の心情を描きながら、母性の本質を問う感動の人間ドラマです。母を求める少女の姿に、観客の心も締め付けられます。
ここがおすすめ!
井上真央、永作博美の圧巻の演技が光ります。『バースデーカード』と同じく「母と子の絆」をテーマにしており、愛の形は違っても、母の存在の大きさを実感できる一本です。涙なくして観られない感動作です。
世界の中心で、愛をさけぶ
この映画を一言で表すと?
永遠に色あせない、純愛と喪失の物語。
どんな話?
高校時代に恋人を病で失った青年が、大人になってから過去と向き合い、喪失と再生の狭間で葛藤する物語。過去と現在が交錯しながら進むストーリーは、愛の切なさと強さを鮮烈に描き出しています。
ここがおすすめ!
壮大な映像美と音楽が心に残る名作。『バースデーカード』と同じように「大切な人を失った後の生き方」がテーマで、観る人の胸を強く打ちます。失われても残り続ける愛の力を感じられるでしょう。
マイ・ライフ、マイ・ファミリー
この映画を一言で表すと?
余命を知った父が、家族に残す「愛の形」を描く感動作。
どんな話?
余命わずかな父が、生まれてくる子どものためにビデオレターを残す物語。成長を見届けられないことを知りつつも、未来に愛を託す姿に胸を打たれます。親として何を残すのか、普遍的なテーマが描かれています。
ここがおすすめ!
父親の「愛の遺言」とも言える映像が家族の支えになる展開は、『バースデーカード』の母の手紙と重なります。涙を誘いながらも、愛の形が永遠であることを実感できる心温まる映画です。
永遠の0
この映画を一言で表すと?
戦争を通じて語られる、家族愛と命の物語。
どんな話?
零戦パイロットとして命を落とした祖父の人生を、孫が調べていく中で明らかになる物語。家族のために生き、戦場で散った男の愛と覚悟が描かれています。過去と現在がつながり、家族の絆を浮かび上がらせます。
ここがおすすめ!
戦争映画でありながら「家族のために生きる愛情」を強く描いています。『バースデーカード』同様、大切な人への思いが時を超えて届く物語で、観た後に家族を大事にしたくなる作品です。
P.S. アイラヴユー
この映画を一言で表すと?
亡き夫から届く手紙が、妻を再び生きる力へと導くラブストーリー。
どんな話?
最愛の夫を病で失った女性が、夫の残した手紙を通じて再生していく物語。手紙は妻を励まし、新たな人生へ踏み出す勇気を与えます。愛する人を失った悲しみと、そこから立ち直る過程が丁寧に描かれます。
ここがおすすめ!
『バースデーカード』と同じく「手紙を通じて届く愛」がテーマ。ヒラリー・スワンクの演技が切なくも美しく、観る人の心を温めます。大切な人を失った経験がある人には特に響く名作です。
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