この記事では、映画『恋に至る病』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『恋に至る病』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『恋に至る病』の作品情報

上映時間:116分
ジャンル:ラブストーリー
監督:木村承子
キャスト:我妻三輪子、斉藤陽一郎、佐津川愛美、染谷将太 etc
映画『恋に至る病』の登場人物(キャスト)
- ツブラ(我妻三輪子)
- マドカに片思いをしている女子高生。マドカに積極的に話しかけるが、いつも拒否される。腐敗しない体にするために防腐剤が含まれたサプリメントしか口にしない。
- マドカ(斎藤陽一郎)
- 冴えない生物教師。昆虫好きで、ハナムグリの標本を大切にしている。パニックになった結果、かつて住んでいた実家にツブラを拉致監禁することにする。
- エン(佐津川愛美)
- ツブラの唯一の友達。大人っぽく、現実的な性格。連絡の取れなくなったツブラを心配してマドカの実家を訪れる。異性と何をしてもドキドキすることがない。
- マル(染谷将太)
- エンの幼馴染で、同じ団地の隣の部屋に住んでいる。子供の頃からエンに片思いしている。エンの部屋で見つけたツブラのノートを盗む。
映画『恋に至る病』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『恋に至る病』のあらすじ【起】
生物教師のマドカに恋をしているツブラの楽しみは、授業中のマドカの様子を観察してイラストを描くこと。マドカの仕草の意味をノートに記録し、お互いの性器を入れ替える妄想をイラストに描き起こしていた。
終業式の日。ツブラは生物準備室でマドカに迫り、関係を持つ。しかし、事後にお互いの性器が入れ替わっていることが判明する。マドカは事の発覚を恐れ、ツブラを今は誰も住んでいない実家へ連れて行くことにする。マドカに拉致監禁されることを自覚していたツブラだったが、夏休みの間マドカと2人きりだとはしゃいでいた。
テーブルの上に置いてあったツブラのノートを見たマドカは、ツブラに原因を知っているのかと問い詰める。ツブラは何も知らないと答えるが、恐怖を感じたマドカは押入れの中に閉じこもってしまう。心配したツブラが話そうと近付くとマドカは吐き気を催し、ツブラはマドカに気味悪がられているとショックを受ける。
完成したイラストを見せる約束をしていたツブラは、エンにノートを郵送する。ツブラはただマドカと一緒にいたかっただけだったが、妄想が現実となったことで2人の距離は離れてしまっていた。

映画『恋に至る病』のあらすじ【承】
ベランダからエンの部屋に入り込んだマルは、ツブラが送ってきたノートを見つける。エンが帰ってきた音を聞いたマルは、咄嗟にノートを持ってベランダから自分の部屋に戻る。マルがノートを持って行ったことに気が付き、エンはノートを返すようにマルに言いに行く。しかし、マルは鍵を閉めたままエンを無視する。
連絡の取れなくなったツブラを心配したエンは、マドカの実家を訪れる。2人の関係を怪しむエンには、マドカはツブラの自己推薦入試に必要なレポートをまとめるための合宿だと説明する。
その日からツブラとレポートを書くふりをし始めたマドカだったが、エンはツブラが近付く度にえずき始めるマドカを不審に思っていた。エンはツブラに早く帰ろうと問いかけるが、ツブラはマドカのことを諦められなかった。
マドカの部屋でハナムグリの標本を見せてもらったツブラは、自分が近付いてもマドカが平気だったと指摘する。それを聞いて笑うマドカだったが、思い出したかのようにえずき始める。
映画『恋に至る病』のあらすじ【転】
ツブラはエンにメイクをしてもらっていた。ツブラの肌の調子がいいことに気が付いたエンは、ツブラの肌が柔らかいと言いながらツブラに抱き着く。その時にツブラの股間に触ってしまったエンは異変に気が付く。やってきたマドカの股間に手を当て、事態を把握したエンは気持ち悪いと言いながら逃げようとする。
マドカとツブラが逃げるエンを縁側で羽交い絞めにしていると、エンを探しに来たマルに見つかってしまう。マドカに合宿だと説明されたマルは浮かない顔をするエンを連れて帰ろうとするが、ツブラが邪魔をする。
防腐剤が含まれたものしか口にしなかったツブラだが、マドカに促されておにぎりを食べるようになる。ツブラの変化を目の当たりにしたエンは、マドカにこれからどうするつもりなのかと問いただす。言い淀むマドカに、エンはツブラを連れて行くと宣言する。
マドカは病院に行くつもりだとツブラに報告する。マドカが去った後、ツブラは食べかけのおにぎりを握りつぶし、マドカに忘れられてしまうと呟く。
映画『恋に至る病』の結末・ラスト(ネタバレ)
朝。テーブルに突っ伏したまま寝ているツブラを見つけ、心配したマドカは声を掛ける。起きたツブラが不安を口にし、マドカの腰に抱き着く。ツブラはマドカに頭を撫でられたことに驚き、咄嗟にマドカから離れる。
マルがツブラのノートを馬鹿にし、怒ったツブラはマルからノートを取り返そうとする。喧嘩になった2人を止めようとしたエンはノートを床に叩きつけ、ツブラが好きだと口にする。自分の発言に驚いたエンは、その場から飛び出す。
翌朝。エンはツブラの手を取って走り、マドカの実家から連れ出す。2人は疲れて道に座り込み、エンは泣きながらツブラにキスをする。2人を探しに来たマドカが腕を掴んで立たせようとすると、ツブラはマドカを突き放して走り出してしまう。
マドカは自分の体が恥ずかしいと言いながら逃げるツブラを追いかけ、恥ずかしいのはツブラだけではないと説得する。マドカにもう逃げられないと言われたツブラは、マドカと一緒に帰ることにする。
自分の体を受け入れたツブラは、マドカと改めて関係を持つことにする。翌朝、マドカが目を覚ますとツブラは既にいなかった。
映画『恋に至る病』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
最初から最後まで全く理解出来ない作品でした。先生に恋する気持ちは分かりますが、性器を交換する妄想が現実になってしまうと言うのはかなり無理があります。しかも、関係を持ったことがきっかけで、性器が入れ替わってしまったり、ツブラが消えてしまったりと疑問の残る展開でした。
ツブラに思いを寄せていたエンの描写は必要だったのかなと感じます。エンがいたからツブラが消えたのかよく分かりませんでしたが、好きな人はかなりハマってしまう作品でしょう。(女性 30代)
高校生の望くんが人気者・景ちゃんに惹かれ、「どんな私でも守ってくれる?」という約束を交わすあたりで、純粋な恋の始まりに心が動いた。だが、友人・根津原の遺体発見、不審死の連鎖、そして景が関わっているのではという疑惑が明かされる終盤には背筋が凍った。最後、景の“本心”が4分で明かされる演出には、甘酸っぱさと背徳が混じった痛みを感じる。映像の美しさと少年の一途さが強く残る作品だ。(20代 女性)
静かで淡い恋物語が、まさかミステリーの領域へと転じるとは。望が景を信じたい気持ちと、彼女への疑念が交錯する心理描写が秀逸だと感じた。特に、景が「君のために人を殺したの?」という望の問いに沈黙するシーンが忘れられない。最後に景が微笑んだ瞬間、その裏に潜む“病”が胸に刺さる。恋って、美しく刃にもなり得るのだと痛感した。(30代 男性)
最初は“初恋×高校”という可憐な設定に惹かれたが、作品が進むにつれてその甘さだけではない深みが見えてきた。景の明るさ、望の奥手さ、そしてクラスメイトの死という影が、どんどん恋の純粋さを揺るがしていく。ラストで景が過去と自分を解き放とうとする姿に涙が止まらなかった。「愛=守ること」ではなく、「愛=暴かれていく自己」なのかもしれない。(40代 女性)
「このまま恋愛映画で終わるのか」と思わせておいて、後半の展開にはかなり驚いた。望が転校生として景と出会い、少しずつ距離を縮める前半。そして、根津原らの不審死、景の過去、そして望の告白――そのギャップが大きくて心地よく揺さぶられた。特に景の“どんな私でも守ってくれる?”の問いかけが、ラストの景の笑みに繋がると思うと、胸に鋭い残響を残す。(20代 男性)
クラス内では誰もが魅力を感じる景が、実は多くの“死”に影を落としていたという真実に、観ているこちらも呆然とした。望の一途さといじらしさがその陰を貫く力となっていたと思う。終盤で景を信じると決めた望の選択には、切なさと希望が混ざっていて、観終わった後も「もし自分ならどうするか」と考えさせられた。恋は甘く、そして残酷だ。(30代 女性)
“恋=病”というタイトルの意味が最後に一気に開くクライマックス。景の過去、望の疑念、クラスメイトの死――それらが絡まり合った展開は緊張の連続だった。望が景を信じてしまったこと、自分を守ってくれるという言葉を信じたことが、むしろ自分を追い詰めた。どこかで、「守る」という言葉の裏にある暴力性を感じてしまった。高校生向けラブストーリーの枠を軽々と飛び越えた佳作だと思う。(40代 男性)
純粋で無垢な片想いから、疑心暗鬼と狂気の境界線に踏み込んでいく構造に強く惹かれた。望が景を「君のためなら何でもする」と思う一方で、景の微笑みが“その代償”を知っているように見えてしまう。最後の4分で明かされる景の“本心”では、観客としても眩暈がした。恋という感情が、いつしか“病”になる瞬間を鮮やかに映している。(50代 女性)
転校先での出会い、人気者と地味な少年という王道の組み合わせだが、本作はその枠に甘んじない。景が関わる不審死の謎が物語を揺さぶり、望の恋心もただの初恋では終わらない。終盤で景=守る存在ではなく、自らの欲望と罪を抱えた存在だと気づいた望の表情が、まさにこの映画の核だ。恋の終わりは、誰かの終わりでもある――と感じた。(20代 女性)
望が“守られたい”と思った瞬間から、景の呪縛は始まっていたのかもしれない。景の「どんな私でも守ってくれる?」というセリフが、最後には「あなたは私を守れる?」という問いに変わる。その転換がラストの微笑みに込められていて、観終わったあとも頭の中で余韻が消えなかった。恋という言葉の甘さと恐ろしさを同時に感じられる作品として、個人的には高く評価したい。(60代 男性)
映画『恋に至る病』を見た人におすすめの映画5選
冷たい熱帯魚(2010年)
この映画を一言で表すと?
愛と狂気が紙一重――人間の“欲”が崩壊を導く衝撃のサイコドラマ。
どんな話?
熱帯魚店を営む冴えない男が、カリスマ的な同業者に取り込まれ、次第に犯罪の深みに沈んでいく。家族を守りたいという願いがいつしか狂気に変わり、愛と暴力の境界が消えていく。園子温監督が描く、“人間の業”の暴走を圧倒的な熱量で突きつける問題作。
ここがおすすめ!
『恋に至る病』同様、「愛」と「支配」の表裏を描く作品。人間の欲望が崩壊を呼ぶ過程がリアルで、生々しい心理描写に圧倒される。登場人物たちの感情が極限まで振り切れることで、観る者に“人間とは何か”を突きつける。衝撃度と完成度の両方で日本映画屈指。
告白(2010年)
この映画を一言で表すと?
復讐と愛が入り混じる、静かな狂気の傑作サスペンス。
どんな話?
娘を殺された女教師・森口が、犯人が自分のクラスにいることを告げる衝撃の“告白”から始まる。彼女の復讐をきっかけに、生徒たちの心の闇と罪の連鎖が暴かれていく。モノローグと冷たい映像が絡み合い、静かに心をえぐる復讐劇。
ここがおすすめ!
『恋に至る病』が持つ「純愛の裏に潜む狂気」をさらに拡張した作品。中島哲也監督の独特な映像美と、松たか子の抑制された演技が圧倒的。愛が歪んだとき、人はどこまで残酷になれるのか――その答えを見せつける一作。
渇き。(2014年)
この映画を一言で表すと?
“愛”が暴走するとき、すべてが壊れていく――圧倒的な狂気の映像体験。
どんな話?
失踪した娘を探す父親が、彼女の裏の顔を知るうちに、次第に理性を失っていく。暴力、ドラッグ、そして絶望の連鎖。娘を探すはずの父親が、自らも破滅していく姿をスピード感あふれる映像で描く。
ここがおすすめ!
『恋に至る病』のように“愛が狂気に変わる瞬間”を描く作品。中島哲也監督の演出は過剰だが、そこに宿る感情は痛いほど真実的。映像、音楽、編集すべてが攻撃的で、観る者を感情の極限に追い込む。強烈な衝撃を求める人に。
愛のむきだし(2008年)
この映画を一言で表すと?
愛と宗教と性――狂気の中にある“純粋な愛”を描いた4時間の衝撃作。
どんな話?
敬虔なカトリック家庭で育った少年ユウは、父への反発から盗撮にのめり込み、やがて運命の少女ヨーコと出会う。だが彼女もまた心に深い傷を抱えており、二人の関係はやがて狂気へと変貌していく。
ここがおすすめ!
“狂気の愛”をテーマにした作品として、『恋に至る病』と通じる要素が多い。長尺ながら一瞬も退屈しない構成力と、満島ひかり・西島隆弘の圧倒的な演技が光る。愛とは何か、信仰とは何かを問う究極の愛の物語。
白ゆき姫殺人事件(2014年)
この映画を一言で表すと?
“真実”は誰の言葉にある?――現代社会の闇を映すミステリー群像劇。
どんな話?
同僚女性の殺害事件をめぐり、SNSやメディアが錯綜する中、容疑者とされた地味な女性・美姫の過去が暴かれていく。語られる証言はどれも食い違い、観る者は真実を見極める立場に立たされる。
ここがおすすめ!
『恋に至る病』のように、人間の“心の闇”と“他者の視線”を描いた作品。表向きのイメージと本当の自分との乖離、そして孤独の果てに生まれる歪んだ感情。石原さとみ演じる美姫の不安定な存在感が圧倒的で、観る者の心に爪痕を残す。






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