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映画『手紙は憶えている』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『手紙は憶えている』の概要:認知症のゼヴは同じ老人ホームで暮らすマックスからある手紙を託される。2人はアウシュビッツ収容所からの生き残りだった。ゼヴは復讐のためにかつてのナチス親衛隊員を探しに行く。

映画『手紙は憶えている』の作品情報

手紙は憶えている

製作年:2015年
上映時間:95分
ジャンル:サスペンス
監督:アトム・エゴヤン
キャスト:クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロフノウ、ハインツ・リーフェン etc

映画『手紙は憶えている』の登場人物(キャスト)

ゼヴ・グットマン(クリストファー・プラマー)
認知症が進行し、自分の妻が亡くなったことさえ忘れてしまう。マックスとはアウシュビッツ収容所の同じ区画にいた。腕に98814と番号が刻まれている。
マックス(マーティン・ランドー)
かつてのナチス親衛隊員が死んだ捕虜の身分を盗んでアメリカに移住しているという証拠を掴み、体が不自由な自分の代わりにゼヴに復讐を依頼した。

映画『手紙は憶えている』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『手紙は憶えている』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『手紙は憶えている』のあらすじ【起】

老人ホームで暮らすゼヴは、一週間前に亡くなった妻のことさえ忘れてしまうほど認知症の症状が進行していた。ゼヴは友人のマックスと妻が亡くなったらある事を実行すると約束していた。マックスはゼヴが忘れないように手紙を書き、ゼヴはその内容を頼りに家族を殺したアウシュビッツ収容所の区画責任者への復讐を決行する。

マックスからの手紙には現金と列車の乗車券が入っていた。ゼヴはルディ・コランダーという人物に会うために列車でクリーブランドへ向かう。その頃、ゼヴがいなくなったことに気が付いた老人ホームの責任者は警察への捜索願を出していた。ゼヴの息子のチャールズも近場の病院へ連絡を入れ、ゼヴが搬送されていないか確認する。

マックスが特定したルディ・コランダーを名乗る人物は4人いた。ゼヴは第一のルディ・コランダーに会いに行く。しかし、ドイツ軍にはいたもののアウシュビッツ収容所には関与していなかったことがわかる。ゼヴはマックスに電話を掛け、次のルディ・コランダーに会いに行くと告げる。

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映画『手紙は憶えている』のあらすじ【承】

マックスからの手紙には、かつてのナチス親衛隊員が死んだ捕虜の身分を盗んでアメリカに移住していたという証拠が見つかったと書かれていた。ゼヴとマックスが収容されていた区画の責任者が現在ルディ・コランダーという名前で生活しており、本名はオットー・バリッシュというらしい。しかし、逮捕に至る証拠までは見つからなかった。

ゼヴはバスでカナダ国境を越え、第二のルディ・コランダーがいる老人ホームを訪れる。アウシュビッツ収容所にいたと答えた第二のルディ・コランダーを区画責任者だと勘違いして憤るゼヴだったが、彼の腕にはゼヴと同じように番号が刻まれていた。第二のルディ・コランダーは同性愛者だとして収容所に入れられていたのだった。

ゼヴが第三のルディ・コランダーの家の前で待っていると、ルディの息子のジョンが帰ってくる。第三のルディ・コランダーは3ヶ月前に死亡していた。ゼヴがルディの友人だと伝えると、ジョンは家の中でルディについて話したいと言う。第三のルディ・コランダーは戦時品の収集家で、ゼヴはコレクションを見せてもらうことにする。

映画『手紙は憶えている』のあらすじ【転】

第三のルディ・コランダーの部屋にはナチスマークの旗が飾られており、当時のアルバムや軍服が保管されていた。確信したゼヴはジョンに話を聞くが、第三のルディ・コランダーは陸軍の料理人だったことがわかる。ゼヴが人違いだったと告げると、ジョンは逆上して差別的な言葉を叫び始める。ジョンはナチスの信奉者だった。

ゼヴはジョンに嗾けられて凶暴化した犬とジョンを銃殺し、そのままベッドに横たわる。翌朝、目を覚ましたゼヴは死体を見て取り乱す。上着のポケットに入っていたマックスからの手紙を読んでやるべきことを思い出し、決着をつけるために第四のルディ・コランダーに会いに行くとマックスに電話を掛ける。

第四のルディ・コランダーに会いに行こうとしたゼヴだったが、交差点で転んでしまい意識を失ってしまう。救急車で搬送され、目を覚ましたゼヴはマックスからの手紙を読んで記憶を取り戻す。病院からの連絡でゼヴの居場所を知ったチャールズと電話で話したあと、ゼヴはタクシーに乗りこむ。

映画『手紙は憶えている』の結末・ラスト(ネタバレ)

ゼヴは第四のルディ・コランダーの家へ向かう。ルディはいつかゼヴが会いに来るだろうとずっと思っていたと告げる。ルディは家族にばれないようにドイツ語で話し始め、ゼヴをバルコニーに連れて行く。ルディはいままでずっと嘘をついて生きてきたと話し、ゼヴは彼こそがオットー・バリッシュだと確信し銃を向ける。

チャールズがタクシーの乗車記録を辿ってルディの家までやってくる。ルディの娘がチャールズをバルコニーまで案内すると、ゼヴに脅されたルディが真実を話し始めた。

第四のルディ・コランダーの本名はクニベルト・シュトルムで、アウシュビッツ収容所で区画責任者をしていた。そして、クニベルトはゼヴこそがオットー・バリッシュだと言い放つ。クニベルトは逃亡の際に腕に98813と刻み、オットーは98814だと告げる。

全てを思い出したゼヴはクニベルトを撃った後、銃で自分の頭を撃ち抜いて自殺をする。事件はニュースとなり、老人ホームにいたマックスはゼヴが自分のしてしまったことを思い知ったのだと話す。マックスはオットー・バリッシュがゼヴであると知ったうえで手紙を渡していた。

映画『手紙は憶えている』の感想・評価・レビュー

認知症やアウシュビッツなど重いテーマの作品。
前半はロードムービー調で、すぐに忘れてしまうおじいちゃんをハラハラしながら見守っていたが、だんだんとピリピリとした空気に緊張感が漂う。
ラストは衝撃的で、観終わった後もラストの余韻がしばらく続いた。
すばらしいミステリーだし、色々と考えさせられる映画。戦争は罪深く終わりがない。(女性 40代)


よぼよぼで認知症のおじいちゃんが危なっかしくて、最初は不憫で見ていられないと思ったけど、想定外の展開に転がっていくのでかなり衝撃的でした。
自分たちの家族を殺された、という事実をはっきりと思い出したわけではないのに、どうして他人から言われたその言葉をそのまま信じ込んでしまうのかは不思議でした。
認知症でも身体に染み付いているから、銃を撃つことも容易いし、死体を見ても驚かないのは、真実への暗示だったんだろうなと後から気づきました。
忘れてしまった過去をあえて思い出さないほうが、彼は幸せだったんじゃないかなと思いました。(女性 20代)


本作は、一通の手紙をきっかけに70年前家族を殺したナチスへの復讐の旅に出る男を描いたサスペンス作品。
認知症の主人公ゼヴが動けぬ友人と約束を交わし旅に出るが、足元のおぼつかない様子やいつ記憶が飛んでもおかしくないという緊張感にハラハラしながら鑑賞した。
劇中に沢山の伏線が散りばめられていて、思いもよらぬどんでん返しの結末に衝撃を受けた。
戦争が終わっても人々の怒りや憎しみ、悲しさは消えず、傷も癒えることはない。(女性 20代)


認知症で眠るたびに記憶がぼやけてしまう老人が主人公。アウシュビッツで起きた悲劇を味わい、手紙を頼りに復讐の旅をします。目が覚める度に取り乱してしまう危なっかしいお爺ちゃんですが、銃を構え脅す姿から固い意志を感じます。どんでん返しと言えば定番なラストではありますが、作品自体の背景について考えさせられる作品です。

主人公の弾くピアノ伴奏の美しさが、この不穏な雰囲気漂う物語の中で程良い緩衝材になっています。(男性 20代)


認知症のおじいちゃんが、昔家族を殺されたナチスを探しに行く物語だと思って鑑賞していたのですが、多くの方がこの先入観によってゼウを応援し、ハラハラドキドキしていたことでしょう。
ラストの展開には驚きましたが、気持ちの良い終わり方ではありませんでした。言ってしまえばゼウは復讐に利用されただけ。しかも何も分からないまま手紙だけを頼りに、自分の行動と記憶の辻褄を合わせていたのが可哀想で仕方ありませんでした。
戦争は悲しみしか生まないと改めて感じる作品です。(女性 30代)

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