映画『桜姫』の概要:江戸時代後期の歌舞伎狂言演目『桜姫東文章』をベースにした時代劇。現代風を取り入れた作風はコメディタッチであるが、権助演じる青木崇高がそれを引き締めている。自分を手籠めにした相手を一途に想う桜姫の成長を描いた作品。
映画『桜姫』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:アクション
監督:橋本一
キャスト:日南響子、青木崇高、麻美ゆま、平間美貴 etc
映画『桜姫』の登場人物(キャスト)
- 桜姫(日南響子)
- 高家の名門、吉田家の息女。盗人の権助に手籠めにされるも、彼に恋慕して家を出奔。遊女へと身を落とし、一心に権助を探し続ける。強い芯を持った美しい女性。桜の化身と呼ばれている。
- 権助(青木崇高)
- 右腕に釣鐘の入れ墨をした盗人。色気があって男前、腕も立つ。依頼により吉田家家宝の掛け軸を盗みに入るも、桜姫の美しさに魅入られ彼女を手籠めにしてしまう。
- お七(麻美ゆま)
- 遊女屋「じごくや」の女郎。桜姫が来たせいでトップの座から転落し恨みを募らせている。実は清玄と心中した稚児の生まれ変わり。
- 清玄(でんでん)
- 稚児坊主と心中をしようとしたが、死に損なった坊主。お七に飲まされた薬で一旦は命を落とすも、落雷により復活。桜姫を稚児の生まれ変わりと追い続ける。
- 長浦斬月(平山祐介)
- 吉田家の転落を願う侍。吉田家家宝である掛け軸を権助に盗むよう依頼するも、権助からいいようにあしらわれ業を煮やす。
映画『桜姫』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『桜姫』のあらすじ【起】
高家の名門である吉田家の娘、桜姫は桜の申し子と呼ばれるほど美しい娘だった。彼女はある夜、腕に釣鐘の入れ墨をした男に襲われてしまう。男は吉田家に入った盗人権助であった。
その後、桜姫に縁談の話が持ち込まれる。しかし、彼女は釣鐘の男を忘れることができず、家から単独で出奔。彼女は遊女へと身を落とし、釣鐘の男を探し続けた。
3か月後、遊女屋「じごくや」で働く桜姫。美しく清楚で床上手な彼女の人気は次第に高まり、やがて風鈴のお姫と呼ばれるようになる。
そこへ、桜姫の噂を聞いた清玄坊主が「じごくや」を訪れる。彼は稚児坊主と心中をして死に損なったと専らの噂だった。清玄は風鈴のお姫を稚児の生まれ変わりだと思っているらしい。そして、彼は桜姫の美しさを友である権助へと切々と話して聞かせるのだった。
桜姫の噂を聞いた権助。噂のお姫へと会いに「じごくや」へ。彼の馴染は同じ遊女屋のお七であったが、店側へ話をつけて桜姫と対面。権助はすぐに風鈴のお姫が桜姫であることを見抜き、自分が襲った男であることを明かすのだった。
自分を襲った相手でありながら権助に恋慕を募らせていた桜姫は、彼を激しく求めた。
映画『桜姫』のあらすじ【承】
一夜明け、権助が桜姫と寝たことに憤りを顕わにした清玄だったが、権助には軽くあしらわれてしまう。権助が去った後、自分の客を桜姫に奪われ恨みを抱えるお七が現れる。彼女は清玄に甘言を説き、怪しげな薬を飲ませ彼を殺してしまうのだった。
「じごくや」へ戻ったお七は、薬を盗んだ咎で厳しい折檻を受けてしまう。
彼女を気の毒に思いお七の縄を解いた桜姫だったが、自由になった彼女と取っ組み合いを展開。危うくお七を殺しそうになる。そのせいで、お七は気が触れてしまい「じごくや」から姿を消してしまうのだった。
自分の恐ろしさに愕然とした桜姫。取っ組み合いの後、店へ戻り吉田家の噂を耳にする。姿を現さない桜姫と盗まれた家宝の掛け軸のせいで、吉田家は騒動の渦中にあるというのだった。
映画『桜姫』のあらすじ【転】
その夜は雷鳴轟く豪雨。雷が落ちて奇跡的に清玄が生き返る。彼は「じごくや」へと足を運び、桜姫の元へ。しかし、清玄の身体には雷が留まり、触れる者を殺してしまう。清玄は桜姫に近付くことができず、彼女に説得され「じごくや」から走り去ってしまうのだった。
お七の逃亡で気落ちする桜姫の前に権助が現れる。吉田家の家宝を盗んだのは権助である。そして、桜姫はそのついでに襲われたのだ。裏切られたと感じた彼女は権助を傷つけるも、自分も同じように傷つける。権助は桜姫の思いの強さに負け、2人は再び身体を重ねるのだった。
そんな折、桜姫の前に琴の師匠が訪れ、掛け軸と姫の行方を捜していたと話す。姫の失踪と家宝を盗まれ、桜姫の父親は床に臥せっているらしい。どうするべきか悩んでいると権助が現れ、掛け軸を渡される。そして、店の主に大金を渡した彼は「じごくや」から桜姫を解放するのだった。
映画『桜姫』の結末・ラスト(ネタバレ)
情に流された権助はその後、「じごくや」から逃走。直後、権助を追う長浦斬月が「じごくや」へと乗り込んで来る。掛け軸を盗むよう権助に依頼した侍であった。彼は吉田家に何らかの恨みを抱え、掛け軸を手に入れようとしていたが、その度に権助から躱されて業を煮やしていたのである。
追い詰められる桜姫と琴の師匠。そこへ、清玄が現れ放電。その拍子に女郎屋の主が殺害され、抱えていた大金をばら撒く。「じごくや」は客も遊女もない交ぜになり騒然となった。
しかし、長浦は桜姫が持つ掛け軸を狙い続ける。追い詰められた桜姫だったが、権助が登場。彼は次々に長浦率いる郎党どもと激しい戦闘を繰り広げた。そんな中、桜姫へと郎党が迫る。彼女は身を守るため、落ちていた刀で郎党を刺殺し権助を追いかけた。
だが、そんな彼女の前にお七が立ちはだかる。鎌を手にしたお七と対峙する桜姫だったが、戦闘で首の落ちた清玄が現れ彼女を助けてくれる。
長浦と激しい戦いを繰り広げた権助。彼も桜姫に惚れており、彼女のために命を賭して戦った。息も絶え絶えである。彼は最期の力を振り絞り、川へと身を投じるのであった。
権助の死を察した桜姫。彼女は泣き濡れて彼の名を叫び続けた。
翌年の春。吉田家へと戻った桜姫は江戸城へと輿入れが決まり、清楚さに加え妖艶さをも身につけ桜吹雪の中、美しく微笑むのであった。
映画『桜姫』の感想・評価・レビュー
鶴屋南北の『桜姫東文章』を元に因縁の関係を描いた時代劇。
作品のクオリティとしては非常に低く、チープな印象が強い。役者達の演技もあまり良いものとは思えず、唯一青木崇高だけが迫真の演技を見せるので、酷くちぐはぐな感じになる。終盤の戦闘シーンで桜姫の目的が復讐だったのか、恋慕だったのか迷わせられ全てはラストシーンでの美しい桜と桜姫で満足して下さいと言わんばかりの終わり方。せめて、もう少し作り込んであったらと惜しまれる。(女性 40代)
いい意味でも悪い意味でもかなり見やすく、あっさりとしたストーリーになっていたので元となった「桜姫東文章」を知らなくても楽しめると思います。桜姫を演じた日南響子がとにかく綺麗です。モデルやグラビアをしている彼女の身体が存分に活かされた作品なのでファンにはたまらないでしょう。しかし、ストーリーに拘ってしまうとかなり物足りないと思います。雷に打たれて生き返ったり、首を切られても死ななかったりと少し無理のある展開もありましたが、個人的には楽しめました。(女性 30代)
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