映画『ジャッキー・ブラウン』の概要:「ジャッキーブラウン」(原題:Jackie Brown)は、1997年のアメリカ映画。監督は「レザボア・ドッグス」、「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノ。主演は「刑事ニコ/法の死角」、「ザ・パッケージ/暴かれた陰謀」などのパム・グリア。「パルプ・フィクション」、「ダイ・ハード3」などのサミュエル・L・ジャクソン。「カジノ」、「ヒート」などの名優ロバート・デ・ニーロ。他にクリス・タッカー、ロバート・フォスター、ブリジット・フォンダ、マイケル・ボーウェンなど。
映画『ジャッキー・ブラウン』 作品情報
- 製作年:1997年
- 上映時間:155分
- ジャンル:アクション、サスペンス
- 監督:クエンティン・タランティーノ
- キャスト:パム・グリア、サミュエル・L・ジャクソン、ロバート・フォスター、ブリジット・フォンダ etc
映画『ジャッキー・ブラウン』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ジャッキー・ブラウン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『ジャッキー・ブラウン』のあらすじを紹介します。
ロサンゼルスの航空会社に勤める、キャビンアテンダントのジャッキー・ブラウン(パム・グリア)は。安月給のため裏で武器密売人オデール(サミュエル・L・ジャクソン)の裏金の運び屋を務めていた。オデールは刑務所を出たばかりのルイス(ロバート・デ・ニーロ)を連れ、保釈金融業のマックス(ロバート・フォースター)の許へ向かう。オデールは逮捕された手下ボーマンの保釈に1万ドルを払うが、保釈されたボーマン(クリス・タッカー)を口封じのため殺害し、その死体を見せてルイスへと服従を促した。ジャッキーは空港で連邦保安官レイ(マイケル・キートン)に尋問される。彼らの狙いはオデールの検挙であり、協力すれば裏金の持ち込みは見逃すと、レイはジャッキーに取引を持ちかける。ジャッキーの逮捕を知ったオデールは再びマックスを訪ね、ジャッキーの保釈を依頼するも、ジャッキーを迎えに行ったマックスは彼女に一目惚れをしてしまう。オデールはジャッキーの口封じのため彼女のアパートを訪ねるが、彼女はマックスからくすねてきた銃を突きつけ逆に取引を迫る。彼女はオデール逮捕に協力しながらも彼の金を奪う事を思い付き、捜査の裏でオデールに裏金を運ぶ計画を立てさせ、捜査官のレイとも交渉を進めた。そしてオデールの裏金55万ドルを運ぶ役を担ったジャッキーは、金の引渡し場所であるショッピングセンターの試着室へ入る。オデールは金の受け取りを、愛人のメラニーとルイスに命じ彼女を見張らせた。ジャッキーは予め用意した5万ドルだけが入った、外見が同じ袋をメラニーに渡し、50万ドル入りの袋を置いて立ち去る。彼女が去るのを見計らい、全てを把握するマックスが妻の忘れ物と言い試着室の袋を持ち出す。張り込んでいたレイは、ジャッキーからメラニーが50万ドルを奪って逃げたと報告を受けて驚く。一方、50万ドルに目がくらんだメラニーはルイスへ裏切りを促すが、煮え切らない彼に悪態をつき、正気を失ったルイスはメラニーを射殺する。ルイスと合流したたオデールは、金が5万ドルしかないのに怒りルイスを射殺して身を隠す。ジャッキーは金を返したいとマックスを介してオデールに連絡し、マックスの事務所へ彼をおびき出す。そこへ現れたオデールはジャッキーの叫び声を合図に、潜んでいたレイに射殺される。そしてオデールの死で行方不明となった50万ドルはジャッキーの手に渡り、彼女は一人スペインへと旅立った。
映画『ジャッキー・ブラウン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ジャッキー・ブラウン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
タランティーノらしい人をくったような演出
タランティーノ監督のどこか誰かを小馬鹿にしたような演出がユニークである。正直ストーリーの内容はどうでもいいのであるが、随所に見られる黒人に対する偏見と憧れのようなニュアンスと、ロバート・デ・ニーロのような大物俳優を敢えて間の抜けた役に起用しているところが、どこか人をくったような独特の世界観を演出している。多分タランティーノの映画に出演する役者がこうもイキイキと輝いているのは、こんな演出をする監督が他にいないというところでイキに感じる部分なのではないだろうか。お約束のような設定での演技というのなら取り立てて大物俳優を起用する事もないだろうが、ロバート・デ・ニーロやサミュエル・L・ジャクソンが、まるで悪ノリをするような表情で演技をしているところが、その役者冥利に尽きるというところへ結びついているような感が見受けられるのである。タランティーノが若い時のオナペットだったというパム・グリアを主演にしているところも、殆ど趣味で撮った映画のようなところは否めないのだが、そういった映画オタクとしての思いつきとやり放題が何とも言えない個性を作り出し、そのわがままが唯一受け入れられる監督なのだろう。
音楽のセンスが作品にいい色付けをしている
本作の音楽は適当に流しているように聞こえるが、これもタランティーノ監督の趣味的要素が満載である。ブラザーズ・ジョンソンやジョニー・キャッシュ、ブラッド・ストーンやランディ・クロフォードにタイトル曲を歌うボビー・ウーマックなど、マイナーながらR&Bやソウルなどのビートの効いた音楽が随所で採り上げられ、そのコミカルな作風に一層強い味付けを醸し出している。本作の後に撮られた「キル・ビル」では、梶芽衣子の「修羅の花」などを劇中歌として採り上げ、そのマイナー指向の音楽センスの良さが見事というくらいに発揮されており、彼の映画に欠かせない大きな演出効果になっている。
裏切りの連続で暗めのストーリーかと思いきや、コメディチックなシーンもあり観客を飽きさせない工夫が盛りだくさんの作品でした。真面目に作られた作品だとは思いますが、正反対の要素を流れるように簡単に入れてくるので、これは笑っていいの…?と少し戸惑いました。
しかし、慣れてくるとこの作品の世界観が理解出来て、楽しみ方も分かってくるでしょう。
豪華なキャストが揃っているので、それだけでも見応えがありました。長い作品ですが、最後まで飽きずに見られると思います。(女性 30代)
映画『ジャッキー・ブラウン』 まとめ
二時間半にも及ぶ内容であるが、ストーリーに重きを置かないバラエティ感が飽きさせない作りになっている。俳優の演技は寸断的にショートコントのようなエッセンスも含んでおり、音楽のセンスも秀でているので一見サスペンスタッチながらもリラックスしながら楽しめる。私感ではあるが、本作を観ながら思い出したのは日本のテレビシリーズで一時大ブームになった、松田優作主演の「探偵物語」である。探偵は出てこないがシナリオの展開とかコメディの挟み方とか、その辺りのニュアンスが非常に似ているような雰囲気があるのだ。ハードボイルドながらコメディなタッチという部分もそうであるが、劇中に挟まれる音楽にしてもそういった感じに見えてしまった。松田優作はロバート・デ・ニーロを好きな役者に挙げていたが、日本贔屓のタランティーノは果たして「探偵物語」などを観ていたのだろうかと思ってしまった。
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