この記事では、映画『しんぼる』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『しんぼる』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『しんぼる』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ファンタジー、コメディ
監督:松本人志
キャスト:松本人志 etc
映画『しんぼる』の登場人物(キャスト)
- 男(松本人志)
- 四方を白い壁で囲われた部屋に閉じ込められている。何故自分がここに連れてこられたのかも解らず、天使のおちんちんの形をしたスイッチを押し、この部屋からの脱出を画策する。
- エスカルゴマン(デヴィッド・キンテーロ)
- メキシコのプロレス、ルチャリブレの善玉レスラー。アントニオの父。アギラ・デ・プラタとタッグを組み「ベサメ・ムーチョス」を名乗っている。
- アントニオ(カルロズ・トレーズ)
- エスカルゴマンの息子。学校でバカにされながらも、父エスカルゴマンを応援し続けている。夕方、祖父と待ち合わせて父の試合を見に行く。
映画『しんぼる』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『しんぼる』のあらすじ【起】
サングラスをかけ、タバコを吸いながらハンドルを握るシスターの運転する車が、遠くからやって来る。一方、アントニオの家では、アントニオが祖父と学校終わりで待ち合わせる約束をして学校へ行く。家の中では、プロレスラー、エスカルゴマンが新聞を読んでいる。シスターの運転する車が、家に着く。運転していたのは、この家の長女カレンだ。カレンの車に乗り込み、出かけるエスカルゴマン。カレンの運転する車が走った後に、鳥の白い羽が舞うのだった。
一枚の羽が真っ白な部屋の中に落ちて来て、ゆっくりと床に落ちたと思ったら、そのまま床に吸い込まれる。その向こうで、カラフルなパジャマ姿の男が目を覚ます。男が天井を見上げると遠くに光が見える。部屋は床も壁も白く、出入口らしき物はない。男は、壁伝いに部屋を歩き、ふと壁から出ている突起物に気がつく。男が指先で押すと「フォッ」と言う声がして、壁という壁から白い子供の天使たちが浮き上がってくる。天使たちは笑い、そして、おちんちんの部分だけを残して、また壁の中に消えて行くのだった。
「修行」が始まる。壁や床に天使のおちんちんが出ている。このおちんちんがスイッチとなり、何かが起こるようだ。男が試しに一つのスイッチを押してみると、歯ブラシが出てくる。別のところを押すと拡声器が出てくる。男は「あの〜、帰りたいんですけどぉ」と声を出すが、誰からも返事はなく、ただ部屋に響くのみ。仕方がないので男は、スイッチを押す。すると、今度は梅の盆栽が出てくる。別のスイッチを押すと、でっかい壺が出てくる。男は訳がわからない。更に別のスイッチを押すと、菜箸が出てくる。もう一度押すと、また菜箸が出てくる。男が押せば押しただけ、菜箸が出てくる。それが、ちょっと面白くなってくる男。しかし勢い余って、隣のスイッチを押してしまう。すると、台車が出て来て、男の脛に当たる。
映画『しんぼる』のあらすじ【承】
アントニオは、父でもあるルチャリブレのエスカルゴマンを応援している。しかし、そのことで学校のクラスの皆から、バカにされている。そして、今日学校が終わった夕方から、そのエスカルゴマンの試合は行われるのだった。
何もなかった白い部屋は、様々な物が溢れていた。男が、色々なスイッチを押したのであろう。そして、その部屋の真ん中で、ビーチチェアに寝ている男の姿があった。男が投げたビーチボールが、スイッチに当たり、寿司下駄に乗ったガリとマグロ2貫が出てくる。醤油皿も一緒に出てきたが、醤油はない。腹が減っていた男は少し喜ぶが、醤油が欲しい。醤油が出てこないか、別のスイッチを押してみるが、出てくるのはマグロの寿司ばかり。男は諦め、醤油なしでモソモソと寿司を食べる。食べきった後、何気にスイッチを押すと出てくる醤油。
エスカルゴマンは試合会場のロッカーで着替えを済ませ、更衣室のベンチを使い軽いウオーミングアップをする。時刻は午後4時になる。間も無く試合が始まる。
男は、続き物のコミックを5巻まで読み終わった。次は6巻が読みたいと思い、スイッチを押す。しかし、出てくるのは7巻。別のスイッチを押すと8巻、9巻が出てくるが、6巻が出てこない。6巻を求め床のスイッチ押すと、離れた後ろの壁が大きく開く。指を離し、しばらくすると閉まる。脱出口を見つけた男は、スイッチを押し壁が開き切った瞬間にダッシュで出口に向かうが、目の前で壁は閉じられてしまう。開いたままにしておくために、スイッチの上に壺をおくが、重さが足りず跳ね返されてしまうのだった。
試合前、エスカルゴマンは控え室で、シスターのカレンは教会で祈りを捧げる。学校の終わったアントニオは祖父と待ち合わせ、カレンの運転する車に乗りエスカルゴマンの試合が行われる会場へ向かう。しかし、車は渋滞に巻き込まれてしまうのだった。
映画『しんぼる』のあらすじ【転】
男は脱出しようと奮闘していた。壺に寿司を入れ、錘にしようとする男。先ほど食べたマグロを出すスイッチの押し、次々と壺の中に寿司を入れていく。いっぱいになったところで、壁を開けるスイッチの所に移動させようとするが、今度は重たくて動かない。寿司を減らそうと手を入れるが、引っかかって届かない。仕方がないので、男は菜箸で一つずつ取り出ていく。ようやく動かせる重さになったが、今度はどこに壁を開けるスイッチがあったのかが解らなくなってしまう。適当なスイッチを押すと、アフリカ原住民が走り出て来て、壺に足をぶつけた後、壁に消える。しばらくすると、壺は割れ、中から寿司が溢れ出てくるのだった。男は次の手を考え、あれこれ試してみるが、どうやっても壁を開いたまましておくことはできないのだった。
カレンの車は、渋滞に巻き込まれていたが、何とか試合開始前に会場に到着する。
男の試行錯誤は続く。あるスイッチを押すと、天井から紐が現れ、少しすると消える。男は妙案を思いつく。スイッチを押して紐を出す、続いて壁を開けるスイッチを押し、紐にぶら下がり、開いた壁のところまで一気に向かうという案。成功するかと思えたが、壁の奥にある扉のノブには鍵穴があり、鍵を差し込まないと開かないのだった。出られそうで出られない男は、イライラして壁を蹴る。するとスイッチが押され、空中に鍵が浮かび出る。再度、試行錯誤し、鍵も手に入れ、これで脱出できるかと思った瞬間、壁が閉まり、男は壁と扉の隙間に閉じ込められてしまう。狭い空間に閉じ込められ、身動きの取れない男。ただ時間だけが過ぎていく。こんなことなら、あの部屋の中で遊んでいた方が良かった後悔する。しかし男は、どこかから隙間風が入ってくることに気がつく。恐る恐る横の壁を触ると、それは引き戸になっていて、簡単に開くのだった。
試合会場では、メインイベントが始まる。悪玉は「北の悪魔たち」エル・スペール・デモーニオとテキーラ・ジョー。アントニオは、父エスカルゴマンの心配をする。そして登場する、善玉「ベサメ・ムーチョス」の二人、アギラ・デ・プラタとエスカルゴマン。「北の悪魔たち」は、ゴング前から「ベサメ・ムーチョス」に攻撃を仕掛けてくるのだった。
映画『しんぼる』の結末・ラスト(ネタバレ)
引き戸を開けた男は、その先に続く廊下を走って、走って、ようやくどこかの部屋にたどり着く。暗いその部屋には、大人な天使たちの姿があり、おちんちんのスイッチだけを残して、同じように壁の中に消えていく。「実践」が始まる。
メインイベントのゴングが鳴る。「北の悪魔たち」の反則攻撃に、アギラ・デ・プラタは一人苦戦を強いられる。善玉のエスカルゴマンは反則を犯してまでリングには入らない。ようやくタッチを受けリングの中へ入るが、悪玉二人の攻撃を受ける。
ここから二つの世界が交錯していくのだった。反則攻撃で劣勢のエスカルゴマン。男がスイッチを押すと、突然エスカルゴマンの首が伸び、頭突きで、「北の悪魔たち」の一人を倒す。男がもう一度スイッチを押すと、エスカルゴマンは頭突きでもう一人も倒す。男がスイッチを押すたびに、エスカルゴマンの首が伸び頭付きで誰かを倒していく。味方も、レフリーも、ついには息子までも。
男がスイッチを押すと、世界の何処かで何かが起こっていた。ロスのライブ会場では、メインボーカルが火を吹き、ロシアのテレビマジックショーでは奇術が成立しなかったりし、
中国ではおっさんが犬の声で吠えたりするのだった。しかし、男の側では何も起こらない。男は不信に思い、天井からの光を見上げる。遠くには天使たちが飛んでいる。男は、意を決して、おちんちんのスイッチを伝いながら壁を登っていく。スイッチが押されるたびに世界の何処かで何かが生まれたり、事故が起こったり、花火が上がったり、世界が動いていく。いつの間にか男は、壁を伝っているのではなく、空中を上へ上へと上がっていく。その度に世界は動いていく。世界のありとあらゆることを司る男。白い天使の羽が舞う中、上へ上へと登っていく。そして、黒い部屋にたどり着く。目の前には黒く大きなおちんちんのスイッチがある。男はそれにゆっくりと近づいていくのだった。
映画『しんぼる』の感想・評価・レビュー
天才と称される松本人志ですが、私はこの作品からは彼の天才っぷりは感じられませんでした。普通の人が持ち合わせていない感覚を持つ人のことを天才と呼ぶのなら、彼はそうなのかも知れません。正直、この作品で彼が何を伝えたいのか私には理解できませんでした。
シュールな面白さや、芸術的に世の中を皮肉っているのかな…など色々考えながら見ていましたが、最後までよく分かりませんでした。
理解出来るまで何度も繰り返し見るほど興味を惹かれる内容でもなかったので、私は1度見れば十分です。(女性 30代)
何これ!?と思いながらも、最後には拍手したくなる不思議な映画だった。白い空間に閉じ込められた松本人志がボタンを押すたびに謎の展開が起こる。最初はシュールギャグの連続だけど、次第に「これは人間の進化や創造の象徴かも」と思えてきて、自分なりの解釈が楽しかった。松ちゃんらしい実験作。(20代 男性)
全体を通してセリフがほとんどなく、表情と動きだけで見せる松本人志の身体表現力に驚かされた。白い部屋での謎解きのような試行錯誤と、メキシコのルチャリブレの対比が、最終的に一本に繋がったときは鳥肌が立った。笑いと哲学、無意味と意味の境界線を行ったり来たりする不思議な映画体験。(30代 女性)
「訳が分からない」と思った人も多いと思うけど、私はこの作品を“人生の比喩”として受け取った。白い空間=神の視点で、そこに閉じ込められた存在が、偶然の連鎖で新しい何かを生む。たった一つのアクションが世界を変える可能性を秘めているという示唆があって、妙に感動した。(50代 男性)
松本人志の独特な世界観が炸裂している。白い部屋の中で起こる理不尽な出来事は、まるで夢の中にいるような感覚。特に、歯ブラシや寿司が飛び出すシュールさは笑うしかない。でも、何度か観るうちに深いテーマが隠れている気がしてくる。ちょっと難解だけどクセになる一本。(20代 女性)
この作品、前情報なしで観ると99%の人が「なんじゃこりゃ」となると思う。でも、その“なんじゃこりゃ”の中に、実はものすごく人間的なものがある。何かに閉じ込められたとき、どう足掻くか、どう希望を見出すか。笑いながらも、自分自身を重ねて見てしまった。松本人志、やっぱり天才。(40代 男性)
前半のギャグ的なパートと、後半の“神になった松本”の展開のギャップに圧倒された。最初は脱出ゲームみたいなノリなのに、最後は「神話を見てるのか?」ってくらい壮大に。何度も繰り返し観ると伏線や構造に気づけて、だんだんと意味が見えてくる。脳が刺激される映画だった。(30代 男性)
まったく新しい“無声コメディ”の形を観た気がする。セリフがなくても、笑いが生まれ、緊張感が生まれ、最後は感動にすら至る。こういう表現ってなかなかできるものじゃない。メキシコのプロレスパートと融合したとき、「これが“しんぼる”の意味か!」と腑に落ちた。芸術作品としても評価したい。(40代 女性)
松本人志の発想力にただただ圧倒された。あの白い空間だけで、ここまで引っ張れるのかという驚きと、そこに込められた“人間の欲望と創造性”の暗喩がすごい。ぶっ飛びすぎていて万人受けはしないけど、好きな人にはめちゃくちゃ刺さるタイプの映画。考察も楽しい。(20代 男性)
ルチャリブレのくだりが最初意味不明だったけど、ラストのリンクで「なるほど」となった。笑えるのに哲学的で、子供が観ても大人が観ても違う感想が出てくる稀有な映画。小道具の一つ一つに意味がありそうで、見返すたびに新たな発見がある。松本人志の挑戦心に拍手。(50代 女性)
映画『しんぼる』を見た人におすすめの映画5選
ヒミズ
この映画を一言で表すと?
絶望の中でもがきながら、少年が“生きる意味”を探し続ける異色の青春映画。
どんな話?
家庭に恵まれず、心に深い闇を抱える中学生が、災害と混乱の渦中で希望を模索していく。園子温監督が東日本大震災後の日本を背景に、暴力、喪失、再生といったテーマを大胆に描いた重厚なドラマ。
ここがおすすめ!
『しんぼる』同様、視覚と感情で“生きることの意味”を感じ取らせてくる作品。登場人物の行動に明確な正解がなく、観る人それぞれの感性に委ねられる点も共通しており、強烈な余韻を残します。
永遠のこどもたち
この映画を一言で表すと?
“見えない何か”との対話が心を打つ、幻想と現実の狭間を描いたスペイン発の傑作。
どんな話?
自らが育った孤児院を訪れた女性が、謎の失踪事件と“見えない存在”に巻き込まれていく。ホラー的な要素を持ちながら、母性や愛、そして喪失と救済を優しく描いた、感情の余白が豊かな物語。
ここがおすすめ!
『しんぼる』と同じく“見えない意味”を視覚で伝えてくる作品で、思考や解釈の自由度が高い。観るたびに解釈が変わるような構成で、感覚的な映画を好む人に強くおすすめできます。
ホーリー・モーターズ
この映画を一言で表すと?
「映画とは何か?」を根本から揺さぶる、奇想と変身の連続劇。
どんな話?
ある男がリムジンで移動しながら様々な“役”を演じる一日。現実と虚構の境界が曖昧になり、観る者の中に無数の疑問が残される。夢か妄想か現実か――そのすべてが混在する実験的な映画体験。
ここがおすすめ!
『しんぼる』に通じる“意味のないようで意味深な映像”が特徴。謎だらけの構成、演じることの哲学、視覚的インパクトを通じて、解釈を観客に委ねる点も共通しており、挑戦的な映画を求める人にぴったり。
イレイザーヘッド
この映画を一言で表すと?
悪夢のような日常を描いた、デヴィッド・リンチのカルト的映像迷宮。
どんな話?
工場の町で生きる青年が“奇形の赤ん坊”を育てることになるが、次第に現実と幻想の区別が曖昧に。意味不明で不快で、しかし目を逸らせない世界が広がる、リンチらしさ全開の体験型映画。
ここがおすすめ!
『しんぼる』が持つ「異空間での孤独な奮闘」と「意味を読み取る面白さ」が、より不条理に、より暗く表現されている。精神と映像の境界を揺さぶるような異様な美しさは、クセになる魅力です。
ビッグ・フィッシュ
この映画を一言で表すと?
嘘のような話が、いつしか“人生の真実”に変わる魔法のような物語。
どんな話?
父の死期が近づく中、息子は“ほら話ばかり語る”父の過去を探り、その中に隠された真実に触れていく。現実とファンタジーを行き来しながら描かれる、父と息子の感動的な愛と和解の物語。
ここがおすすめ!
『しんぼる』とはジャンルは異なるが、象徴性の強い演出と“虚構にこそ真実がある”というメッセージが共通。ビジュアルの豊かさと感情の深さが絶妙に絡み合った、心に残るファンタジー作品です。
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