映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の概要:ベンは眠る前に、母と妖精・セルキーの絵を描いた。セルキーが歌うと、妖精は家に帰ることができると言われていた。ベンは家族と共に幸せな日々を送っていたが、母が妹を産んだ後姿を消してしまう。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の作品情報
上映時間:93分
ジャンル:ファンタジー、アドベンチャー、アニメ
監督:トム・ムーア
キャスト:デヴィッド・ロウル、ブレンダン・グリーソン、リサ・ハニガン、フィオヌラ・フラナガン etc
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の登場人物(キャスト)
- ベン(少年期:デビッド・ロウル / 幼少期:ケビン・スウィアーズズ)
- 人間の男の子。母が姿を消したことに深く傷つき、妹・シアーシャに対して辛辣な態度をとってしまう。愛犬のクーをとても大切にしている。怖がりな性格。
- シアーシャ(ルーシー・オコンネル)
- 6歳。半分人間、半分妖精の女の子。ベンの妹。しゃべることができない。
- ブロナー(リサ・ハニガン)
- ベンとシアーシャの母。妖精・セルキー。海でシアーシャを産み、そのまま行方知れずになる。
- コナー(ブレンダン・グリーソン)
- ベンとシアーシャの父。ブロナーを突然失ったことを乗り越えることができず、今もなお深い悲しみに囚われている。
- マカ(フィオヌラ・フラナガン)
- フクロウの魔女。妖精から感情を奪い、瓶に封印していた。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のあらすじ【起】
ベンは眠る前に、母のブロナーと妖精・セルキーの絵を描いた。セルキーが歌を歌えば妖精達は家に帰ることができ、セルキー自身はアザラシに変身することができると言われていた。ブロナーはベンを寝かしつけると、巻貝で出来た楽器(笛)をプレゼントした。その巻貝はブロナーが自分の母から譲り受けた物だった。
ブロナーは子供・シアーシャを産み姿を消してしまった。月日は流れ、シアーシャは6歳の誕生日を迎えた。ベンは母がいなくなってしまった寂しさから、妹に優しくすることができなかった。父も妻のことを忘れられず、深い悲しみを抱えていた。祖母はそんなベン達家族のことを心配し、灯台から街に引っ越してくるよう勧めていた。
夜、シアーシャは母がベンに贈った巻貝の楽器をこっそり吹いた。すると、窓から小さな光が現れる。シアーシャはその光に導かれ、箱の中に隠されていたコートを見つける。シアーシャはそのコートを着ると、光の後を追って海の中へと入っていった。アザラシ達はシアーシャが来ると嬉しそうに鳴いた。海に入ったシアーシャは、アザラシに変身した。
祖母はシアーシャがいなくなったことに気づき、探し回った。そして、浜辺に倒れているシアーシャを発見する。祖母はすぐにシアーシャを家へと連れて帰った。ベンはシアーシャが脱いだコートを父に見せた。すると、父はベンからコートをひったくるように奪った。そして、元の箱に仕舞うと、海の中へと投げ捨てた。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のあらすじ【承】
ベンはシアーシャと共に祖母の下で暮らすことになった。飼い犬のクーや父と離れることを嫌がるが、聞き入れてはもらえなかった。ベンはシアーシャのせいだと思い、妹のことがさらに嫌いになった。シアーシャ達が乗った船を、アザラシ達が見送っていた。
シアーシャは祖母の家でコートを見つけ、それを羽織って巻貝を吹いていた。祖母が音色に気づいて様子を見に行くと、なぜかシアーシャは服を着たままシャワーを浴びていた。祖母はコートをダメにしたことを叱りつけた。そして、そのコートを外のゴミ箱へと捨てた。ゴミ箱の中に隠れていた怪しい3人組は、そのコートをセルキーの物だと言いこっそり拾い上げた。
ベンはこっそり書いていた地図を使い、クーの元まで戻ろうとした。すると、シアーシャが後を追ってきた。ベンは仕方なくシアーシャを連れて行くことにした。しばらく歩いていると、怪しげな3人組がシアーシャを連れ去ってしまう。ベンはシアーシャと紐で繋いでいたため、体を引っ張られてしまう。転けないように後を追って行くと、彼らは人間立ち入り禁止と書かれた土管の中に入った。怪しげな3人組はシアーシャのことをセルキーと呼び、楽器を弾いて歌を歌い始めた。その歌は、ベンが母から教えてもらったものと同じだった。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』のあらすじ【転】
怪しげな3人組は、妖精・ディナシーだった。ディナシー達はシアーシャにコートを着せ、歌を歌ってもらって家に帰ろうとしていた。だが、ディナシー達が拾ったコートは、本物のセルキーのコートではなかった。本物のセルキーのコートは、灯台にあったコートのことだった。ベンは父が海に捨てたことを知らず、灯台にあることを教えた。ディナシー達が喜んでいると、上空からフクロウが現れた。セルキーであるシアーシャを連れ去る気なのだ。ベン達は必死にシアーシャを守った。しかし、ディナシー達が石にされてしまう。彼らを救うには、シアーシャにセルキーのコートを着せ、歌を歌ってもらう必要があった。
シアーシャは巻貝を吹き、光の後を追おうとした。だが、ベンが巻貝を吹くのを禁止し、自分で書いた地図を頼りに家に帰ることを決めてしまう。シアーシャは不満だったが、しゃべれないため何も言うことができなかった。ベン達は迷子になってしまうが、森の中でクーと再会する。クーはベンを追って来ていたのだ。ベンはクーに紐をつけ、家に導いてもらうことにした。だが、途中でシアーシャが弱って動けなくなってしまう。
雨が降ってきたため、小さな家のような場所で休むことにした。ベンはシアーシャをおんぶして歩いた。その家の周りには棘がついた葉っぱが生い茂っており、ベンは足を怪我してしまう。家の中で休んでいると、シアーシャが薬草を採ってきてくれた。ベンはシアーシャに感謝の言葉を伝えた。
ベン達が休んでいたのは、聖なる泉と呼ばれる場所だった。ベンが地図を見ている間に、シアーシャは巻貝を置いて泉の中に入ってしまう。ベンが慌てていると、クーが泉の中に飛び込んだ。ベンはクーと紐で繋がれていたため、泉の中に引っ張られてしまう。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の結末・ラスト(ネタバレ)
泉の中には洞窟があった。ベンは船に乗ってシアーシャを探した。そこで、髪の長い不思議なおじさんに会う。そのおじさんはシャナキーという名で、彼の髪の毛1本1本に物語が存在する不思議な語り部だった。シャナキーは髪の毛を見てシアーシャがフクロウの魔女・マカに捕まったことを知り、そのことをベンに教えた。
ベンは勇気を出してマカの元に向かった。マカは優しい言葉でベンに語りかけ、苦しみを取り除いてあげると話した。ベンがマカに惑わされそうになったとき、クーの鳴き声が聞こえた。ベンはマカの言葉に耳を傾けるのを止め、シアーシャとクーの元に向かった。シアーシャはさらに弱っていた。ベンは瓶に封じられているシアーシャの感情を取り戻せば良いのではないかと考えるが、蓋は魔法で封じ込められていたため力ずくでは開かなかった。ベンは巻貝を吹いて開けようとするが、シアーシャではないとダメだった。しかし、シアーシャには吹く力が残っていなかった。ベンはシアーシャに今までのことを謝罪し、歌を歌った。すると、シアーシャは巻貝を吹いた。
瓶が割れ、マカは様々な感情を取り戻した。しかし、シアーシャが倒れてしまう。シアーシャを助けるには、セルキーのコートが必要だった。マカは今までの行いを悔いると、ベン達を灯台まで導いた。ベンは父にコートが必要なことを話すが、父は信じてくれずシアーシャを病院に連れて行こうとした。ベンはコートが海に捨てられたことを知り、勇気を出して海の中に飛び込んだ。すると、アザラシ達が助けてくれた。ベンがコートを箱から取り出したとき力尽きるが、アザラシと父に助けられる。クーが動けないベンの代わりに、シアーシャにコートをかけた。すると、シアーシャは初めて言葉をしゃべった。
シアーシャはまだ弱ったままだった。ベンは母から教えてもらった歌をシアーシャに教えた。シアーシャが歌うと、彼女の体から光が空に広がった。石になった妖精達が元の姿に戻り、マカやシャナキー達と共に家に帰っていった。ベン達の前にブロナーが現れる。ブロナーはシアーシャを連れて行こうとした。ベン達はシアーシャを連れて行かないでくれと頼んだ。ブロナーはシアーシャからコートを取り上げた。そうすれば、シアーシャは人間として残ることができるのだ。妖精であるブロナーは残ることができないため、涙を流しながらベン達に別れを告げた。
映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』の感想・評価・レビュー
ロールプレイングゲームのような、世界観が素敵でワクワクする作品。
6歳の誕生日を迎えるも、いまだに話すことができない妹のシアーシャ。彼女は実はセルキーという妖精で、その特別な能力を狙った魔女に拐われた末、衰弱してしまう。そんな妹を危機から救うべく、主人公のベンが勇気を振り絞って立ち上がる。
ストーリーは児童書によくありそうな内容。しかし、独特で可愛らしいイラストレーションに、綺麗な色使い、聞き心地の良い音楽が合わさりできた世界観はとても神秘的。
細部まで見応えのあるアニメーションが魅力的。(女性 20代)
アイルランドに伝わる神話を元に作られた、アイルランドアニメーション作品。兄と妹の大冒険なのですが、とにかく映像が美しくて見ているだけで癒されました。
絵のタッチは可愛らしくて、妹を助けるために魔法世界に向かう兄と、ファンタジー要素も強いのですが、子供向けの作品という訳ではありません。大人が考えさせられるようなメッセージも込められていました。
作品を見ただけでは伝わりづらい部分もあるので、元となる神話について理解するとより楽しめると思います。(女性 30代)
パッと見絵本のような、可愛らしい絵柄からは想像できないくらい、深く深く物語の世界に惹き込まれてしまった。とにかく世界観が素晴らしい。
主人公のシアーシャがとても可愛くて、不器用なお兄ちゃん、ベンとのやりとりが切ないけれど愛おしくて、そんな兄妹を取り持つ愛犬クーが優秀すぎて微笑ましかった。
ラストでフクロウのマカが正気に戻り、物語の中に本物の“悪”がいなくなる、普段だったらご都合主義だなぁ~なんて思う展開が、なぜか自然と受け入れられる事が印象的だった。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー