映画『アナザヘヴン』の概要:飯田譲治原作、脚本、監督、主演は江口洋介のSFホラー映画。映画のストーリーとリンクしていくドラマ、ゲーム、原作小説と展開した。異常な連続猟奇殺人事件を追う刑事がつかんだ、人間以外の存在を描いた。
映画『アナザヘヴン』 作品情報
- 製作年:2000年
- 上映時間:131分
- ジャンル:SF、ホラー
- 監督:飯田譲治
- キャスト:江口洋介、市川実和子、原田芳雄、柏原崇 etc
映画『アナザヘヴン』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『アナザヘヴン』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『アナザヘヴン』のあらすじを紹介します。
遺体から脳を取り出し、料理して現場に残すという、異常な猟奇殺人事件が立て続けに起こる。
ひとりの目撃者の証言と似顔絵から、女子大生の柏木千鶴が犯人として浮上する。
奇妙なことに、行方不明者のリストの中に彼女の名前があり、殺害方法は怪力でないと不可能だった。
とあるマンションの一室で柏木千鶴が発見されるが、彼女には脳が無かった。
やがて彼女は命を落し、事件は解決と思われた。
だが、柏木千鶴の犯行に疑いを抱く刑事、早瀬マナブは、かつて関わった事件の関係者で勘の鋭い朝子と、犯人像について考えをめぐらせる。
柏木千鶴の最後の現場で生き残った男性、木村敦は、柏木千鶴と同じ犯行を始める。
犯人は人間の脳に入り込む異質な存在だと考えるマナブ。
そして、その異質な存在”ナニカ”は、マナブに目をつける。
彼は先輩刑事の飛鷹と共に木村を追い詰めるが、双方怪我を負い、木村には逃げられてしまう。
”ナニカ”は警察病院勤務の女医、笹本に入り込み、警察署で暴れた後、マナブに会いに来た朝子の中に入り込む。
飛鷹を振り切り朝子の元に向かうマナブと、飛鷹に力を貸す、犯罪マニアで飛鷹とマナブのファンだという青年。
朝子と再会したマナブだったが、やがて朝子も”ナニカ”に侵食され始める。
そして朝子の口から明らかになる”ナニカ”の正体。
そして多くの犠牲を払って、事件は幕を下ろした。
映画『アナザヘヴン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『アナザヘヴン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
グロテスクな印象だけの作品
猟奇事件の犯人は未来からやってきた水だった、という設定は面白いものの、料理に関しての表現がとにかくグロテスク過ぎる。
一連の事件と共に増える、脳料理レシピの会話は、悪い印象しか与えられていない。
監察医と飛鷹刑事の”今までで最も最悪だった現場”の話も、気持ち悪いだけだ。
「羊たちの沈黙」シリーズのハンニバル・レクター博士をテーマにした海外ドラマ「ハンニバル」でも、人間の体を調理する設定は存在するが、標的にされる人間がグレーゾーンの犯罪者や礼儀が存在しない人間ばかりなので、どこか納得してしまうものがある。
しかし、この脳料理殺人犯の”ナニカ”には、見境なく犯行を行うため、気持ち悪さしか存在しない。
特に、柏木千鶴の時は、色仕掛けも厭わないために、更に嫌な印象のストーリーになっている。
とにかく脳料理という設定があまりにも強烈で、それ以外に印象が残らない映画になってしまっている。
”ナニカ”に脳を乗っ取られると脳腫瘍が出来るため、頭痛薬を大量に服用していた笹本女医が”ナニカ”だと朝子が確信するきっかけになっているのだが、それをマナブに連絡した後、彼女はマナブにつきまとわないと言っている。
その後すぐにマナブに会いに来るのは釈然としない印象を与え、一般人(しかも前科がある様子)の朝子が、警察署に入ってこれた説明が全く無く、ストーリーに矛盾を感じさせる。
キスシーンで話題にもなったキャスティング
公開当時、人気の高かった柏原崇を”ナニカ”に取り憑かれた殺人犯にし、江口洋介とのキスシーンは世間を驚かせた。
朝子からマナブへ乗り移ろうとする水の動き、乗っ取っている人間の限界を表す、涙のように目から流す血液など、特殊な映像は凝っていて驚くばかり。
誰に乗り移っているかわからずに、疑心暗鬼になるマナブと飛鷹の行動もよく出来ている。
飛鷹を助ける犯罪マニアの青年が飛鷹のサインを求めるなど、2人のシーンの会話は、ちぐはぐで笑える。
だが、朝子の遺体を抱えてマナブと飛鷹が燃える家を出た後、雨が降り出すというラストは、他の作品「クロスファイア」に似た印象を与え、ありきたりなイメージだ。
見ていて思わず笑ってしまうほど美しさの欠けた描写が多く、どういう意図でこの作品を作ったのか気になってしまいました。グロテスクで過激な描写をアピールしたいならとことんそれをやりきればいいのに、無駄な会話や軽はずみな行動で矛盾点を作ってしまい、台無しにしている気がしました。だからと言って脳みそを調理するシーンが雑かと言うとそうではありません。もういいよと言いたくなるほどグロテスクな描写なので途中で見るのを辞める人もいるでしょう。
どちらにしても、振り切っていない作品で中途半端な印象でした。(女性 30代)
本作は、人間ではない何者かによる死体の脳みそを取り出すという連続猟奇殺人事件と事件を追う2人の刑事の行く末を描いたSFサスペンスホラー作品。
昭和時代を感じる映像の雰囲気やキャストの若さに驚いた。
そして、スリリングでサイコパスなストーリー、後半で急展開を迎えるところ、それだけでなく、見えない「何か」の正体を想像しながら観れて臨場感を感じられた。
タイトルの意味の捉え方も人それぞれ違った解釈ができるところも興味深い。(女性 20代)
映画『アナザヘヴン』 まとめ
毎回斬新な設定やアイディアで世間をあっと言わせる飯田譲治監督だが、この作品に限って言えば、設定のグロテスクさだけが印象に残った残念な作品だ。
そういったものが好きな場合は、とても楽しめる展開だし、未来の水が人間の脳に入り込んで人格を乗っ取る、という設定も斬新で面白い。
誰が乗っ取られているか、緊張しながら見ることもできる。
この事件とクロスオーバーした形のドラマ版の事件も、同時に見る事が出来れば世界観を楽しめるし、ゲームや小説などでも登場人物の活躍を楽しむことができる。
だが、私はこの作品を見てから苦手な料理が増えてしまった経緯があるため、必ず見る側を選ぶ作品ではあるだろう。
もしくは、覚悟して見る必要があると考えられる。
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