12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の結末までのストーリー
  • 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を見た感想・レビュー
  • 『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を見た人におすすめの映画5選

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の作品情報


出典:U-NEXT

製作年 2017年
上映時間 121分
ジャンル ミステリー
サスペンス
ドラマ
監督 ヨルゴス・ランティモス
キャスト コリン・ファレル
ニコール・キッドマン
バリー・キオガン
ラフィー・キャシディ
製作国 イギリス
アイルランド

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の登場人物(キャスト)

スティーブン(コリン・ファレル)
心臓外科医。常に冷静沈着な態度で接する男。マーティンにつき纏われても、冷静な対応を心がけるが、次第にマーティンによって恐怖の底へと突き落とされていく。
アナ(ニコール・キッドマン)
眼科医でスティーブンの妻。スティーブンを愛しているが、淡々とした態度や、時に優柔不断な様子を見せるところに苛立ちを感じることもある。
マーティン(バリー・コーガン)
スティーブンが手術中に死亡させてしまった患者の息子。物静かな少年だが、スティーブンが家族に会わせた後、本性を現していく。
キム(ラフィー・キャシディ)
スティーブンの娘。聖歌隊に入っており、歌うことが好き。マーティンに出会い、一目惚れしてしまう。
ボブ(サニー・スリッチ)
スティーブンの息子。髪を切れとさんざん言われているが、切ろうとしないワガママなお年頃。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじ【起】

心臓外科医のスティーブンは美しい妻で眼科医のアナと、娘のキム、息子のボブと何不自由ない暮らしをしていた。そんな彼のところに、マーティンという少年から連絡がくる。マーティンはスティーブンの元患者の息子で、少し訳ありの関係だった。スティーブンはマーティンに高価な時計を贈ったり、親身に話を聞いたりしてあげていた。

スティーブンはマーティンを自宅へ招待した。聖歌隊で歌うキムはマーティンのことを気に入った様子だ。一緒に散歩に出かけると、マーティンが歌を聞きたいというので、キムは歌ってあげた。

マーティンはお返しに、自分の家で食事をしようとスティーブンを誘った。翌日、マーティンの家で食事をしたあと、映画を観ることになった。だが、マーティンはそうそうに寝てしまい、マーティンの母親と二人きりになってしまう。母親はスティーブンに気があり、迫ってくるが、スティーブンはそれを拒否し、逃げるように家を後にした。

連絡なしに病院に来てはいけないと忠告していたにも関わらず、マーティンはスティーブンのオフィスにやってきた。心臓が痛いという。父のように心臓の異常で死ぬのではないかと言いだすマーティン。だが、検査をしても異常は見当たらなかった。

マーティンから何度も電話がくるようになった。少しでいいから家に来てほしいと、しつこく誘ってくる。スティーブンはその度に、はぐらかしていた。

ある朝、息子のボブがなかなか部屋から降りてこない。気になって部屋へ行ってみると、立ち上がることができないという。足が動かないというのだ。病院へと運び、検査をしてみたが異常はなく、すぐに歩けるようになった。学校でのテストをサボるための嘘だとスティーブンとアナは思ったが、帰ろうとした瞬間、ボブの足は再び動かなくなり、その場に倒れこんでしまった。ボブはそのまま入院することとなった。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじ【承】

翌朝、病院にやってきたスティーブンは、ボブの病室にマーティンがいるのを発見する。マーティンはスティーブンに言った。“ついに始まった。先生はぼくの家族を一人殺したから、先生の家族も一人殺さないといけない”と。そして、家族の誰を殺すか、数日以内に決めて実行しろという。そうしないと、スティーブン以外の全員が死んでしまうというのだ。

ボブは歩けないため、寝たきりになり、何も口にしなくなった。あらゆる検査、治療が行われたが、なんの異常も発見できない。結果、これは心理的疾患だという結論が出される。

キムはマーティンとこっそり会うようになっていた。キムは彼に夢中だ。マーティンとの肉体関係を望んでいるが、誘いをかけても、マーティンは何もせずに帰ってしまった。そして、キムにも兆候が表れ始める。彼女もボブと同様に、突然に歩けなくなってしまったのだ。

スティーブンはアナに今までのことを全部話した。マーティンは自分が手術した患者の息子で、父親は手術中に亡くなったのだと。少し酒が入っていたが、自分のミスで死亡したのではないと強調するが、うしろめたい気持ちがないわけではなかった。半年前、マーティンに出会い、たまにお金を渡したりしていたという。マーティンが口にした“一人選べ”ということも、正直に話した。

入院しているキムに、マーティンから電話が入る。マーティンは駐車場にいるから、窓辺に立ってほしいと言ってきた。歩くことができないキムは無理だと言うが、ベッドから降りてみると、なんと歩くことができた。その様子を見て、アナもボブも驚きを隠せない。駐車場には誰もいなかったが、キムは窓辺まで歩くことができた。だが、ベッドに戻ると、再び歩けなくなってしまった。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』のあらすじ【転】

キムはアナに不気味なことを言った。“次はママの番”だと。マーティンの言葉を信じ始めたアナは、彼の家を訪ねた。アナは、スティーブンの職務怠慢で父親が死んだのは申し訳ないが、なぜ無関係の私と子供たちが代償を払わなくてはならないのか、と問い詰める。マーティンは、フェアではないが、正義に近づいていると言い、アナを追い払った。

キムとボブに異常が見つからないため、強制的に退院させられてしまう。ナーバスになりだしたアナは、スティーブンの煮え切らない態度に苛立ちを募らせ、激しく叱責した。

翌朝、スティーブンはアナを連れて地下室へと向かった。そこでアナが見たのは、縛りつけられたマーティンだった。昨夜のうちに彼は誘拐され、監禁されたのだ。スティーブンはライフルに弾を込めると、マーティンに狙いを定める。だが、寸前で思いとどまった。マーティンは賢明だとこぼした。“一発で4人が死ぬのだから”と。

スティーブンは、誰を殺すのかという選択を迫られる。アナは、殺すならば子供たちだと言いだす。もし、殺したとしても、また生むことができるのだからと。では、どちらの子供を殺すべきか。スティーブンは学校の成績や、二人の良い子ぶりなどで判断しようとするが、当然、簡単に決められるものではない。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の結末・ラスト(ネタバレ)

ある日、スティーブンが地下室へ降りてみると、マーティンの姿が消えていた。アナに尋ねると、逃がしてあげたという。このまま監禁し続けても、何も解決しないからだと。そんな時、ボブの目から出血が始まった。死は、すぐそこまで迫ってきていた。

スティーブンは決断した。彼は三人をリビングに集めると、動けないようにビニールテープで縛りつけ、口も塞いだ。そして、顔には袋をかぶせた。スティーブンはライフルを手に持つと、ニット帽を深くかぶり、何も見えない状態で三人に順繰りに狙いを定めた。ロシアンルーレットの結果、弾丸は息子のボブに当たる。犠牲になったのはボブだった。

ボブの死のおかげなのか、アナとキムの命は助かった。キムの足もすっかりと治った。三人はダイナーに食事にやってくる。そこへ、マーティンがやってきた。だが、彼は三人を素通りしていく。スティーブンが席を立ち、三人は店を後にした。スティーブンは、マーティンを一度も振り返らなかった。その様子を、マーティンは静かにじっと見つめていた。

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

登場人物すべてが感情を排したように話す独特のトーンが、終始不気味さを醸し出していた。物語の中盤から家族が倒れていき、医師であるスティーヴンがその原因を理解していく過程には戦慄した。神話的な“贖罪”を現代に落とし込んだ脚本は見事で、ラストの選択に至るまでの過程が恐ろしくも目を離せなかった。(30代 男性)


ラストの“ロシアンルーレット”のようなシーンに衝撃を受けた。家族の中から1人を選んで殺さなければならないという選択を迫られる展開は、倫理と恐怖が入り混じっていて息が詰まった。マーティンという少年の不気味な存在感が全編を支配しており、彼の言葉に抗えない重さが印象的だった。(20代 女性)


まるでギリシャ悲劇を観ているような映画だった。実際にモチーフとしてイフィゲニアの神話が引用されているが、それを現代の家族劇に仕立て直すヨルゴス・ランティモス監督の手腕は恐るべきものがある。全員が奇妙に淡々とした口調で話すのが逆に狂気を際立たせ、静かな恐怖が全身に染み込んだ。(50代 男性)


観終わった後もしばらく放心状態でした。登場人物がどこか機械的で人間味が薄いぶん、逆に“誰かが死ななければならない”という理不尽さが際立っていた。特に母親が「私を選んで」ではなく「子どもを選んで」と言うシーンには、人間の本質がむき出しになっていて恐ろしく感じた。(30代 女性)


医師という“人の命を救う”職業の主人公が、逆に家族の命を選別するという皮肉に満ちた構図が印象深い。倫理や感情が通用しない世界の中で、合理的に“誰を殺すか”を決めようとするラストの描写は狂気としか言いようがない。音楽の使い方も非常に不安を煽るもので、完成度の高い不快感があった。(20代 男性)


ヨルゴス・ランティモス作品らしい、台詞や表情の“無機質さ”が本作でも健在で、その効果が物語の異常さをより際立たせていた。少年マーティンの行動は非現実的なのに、なぜか現実感があり、主人公が追い詰められる姿には自業自得感と哀しさが共存していた。冷たくて恐ろしくて、でも見逃せない映画。(40代 女性)


人間の選択の不条理さを描いた映画として非常に興味深かったです。医療ミスによって失った命を、別の命で“償わせる”という神話的な設定が、現代の倫理と真っ向からぶつかっていて、観ていてずっと居心地が悪かった。ラストで少年を撃つ瞬間、主人公の人間性が完全に崩壊したように見えた。(60代 男性)


一種のブラックコメディのようにも感じました。とにかく全員の感情が“どこかおかしい”ので、普通なら泣き叫ぶシーンでも淡々と進行していく。そのズレが観る側に強烈な違和感を与え、逆に恐怖を倍増させているように思いました。マーティンのキャラクター造形が完璧で、夢に出そうです。(20代 女性)


一言で言えば、“静かなる地獄”。家族がバラバラになっていく様子を淡々と描くことで、感情の爆発がより鋭く刺さってくる作品でした。特に子供たちが原因不明で足が動かなくなっていく描写は、生理的な不安感を呼び起こす仕掛けで、非常に巧妙だと思いました。音響も不穏さに拍車をかけていました。(40代 男性)


“罪”の概念と“報い”の関係を、こんなにグロテスクに、しかも美しく描く映画は稀有だと思います。マーティンの存在が完全に神格化されていて、彼が語ることが絶対のような空気に包まれているのが怖かった。医師である主人公が最後に選んだ方法は、まさに人間が論理的に狂気に堕ちる瞬間を象徴していました。(30代 女性)

映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

ロブスター

この映画を一言で表すと?

独自すぎる世界観で“愛のルール”を描く、異色のディストピア恋愛映画。

どんな話?

独身であることが許されず、恋人が見つからないと動物に変えられてしまうという世界で、ホテルに収容された男が“愛”とは何かを模索する。常識を覆す設定と会話の不自然さが不気味なリアリズムを生む作品。

ここがおすすめ!

『聖なる鹿殺し』のヨルゴス・ランティモス監督作で、台詞の無機質さやブラックユーモア、寓話的なメッセージ性など共通点が多数。愛の定義に疑問を投げかける刺激的な体験が待っています。

ミッドサマー

この映画を一言で表すと?

明るい祝祭の中でじわじわと崩壊していく、異文化ホラーの傑作。

どんな話?

悲しみを抱える若い女性が恋人たちと共に、スウェーデンの村の“夏至祭”に参加。最初は美しく平和に見えた風習が、次第に常軌を逸していき、彼女たちの運命を飲み込んでいく。

ここがおすすめ!

『聖なる鹿殺し』のようなじわじわとした不穏な空気、予測不能な展開、そして異文化を媒介にした人間の本質の露呈が見どころ。極彩色の映像美の中で進行する狂気がクセになります。

ドグヴィル

この映画を一言で表すと?

舞台劇のような空間で人間の本性を剥き出しにする、容赦なき実験的映画。

どんな話?

逃亡中の女性グレースが、小さな村に匿われる代償として住民に労働を強いられる。やがて人々の要求は過激になり、彼女の尊厳が徐々に奪われていく。そして彼女は最後に、驚くべき決断を下す。

ここがおすすめ!

『聖なる鹿殺し』と同様に、倫理観と人間の残酷さを問いかける作品。視覚的にはシンプルだが、内容は極めてヘビーで強烈な印象を残す一本。ニコール・キッドマンの演技も圧巻です。

ファニーゲーム U.S.A.(またはオリジナル版『ファニーゲーム』)

この映画を一言で表すと?

暴力の構図を冷徹に見せつける、観客にすら問いかけるメタ・ホラー。

どんな話?

休暇中の一家が、無表情な若者2人組に突然襲撃され、家の中で理不尽なゲームを強いられるという物語。映像や演出で観客すらも“共犯者”にする異色のサスペンス。

ここがおすすめ!

『聖なる鹿殺し』のような不条理劇や、冷たい空気感、そして感情を極力排除したキャラクター描写に通じる要素が満載。視聴者の感情を逆撫でする演出に挑戦する覚悟が試されます。

マザー!(Mother!)

この映画を一言で表すと?

不条理な来客の連鎖が世界の崩壊を導く、寓話と狂気のカオス劇。

どんな話?

詩人の夫と静かに暮らす妻の元に、ある日見知らぬ客が訪れる。そこから次々と異常な出来事が起こり、家と彼女の精神は崩壊していく。人間の信仰とエゴを視覚化した、ダーレン・アロノフスキーの問題作。

ここがおすすめ!

『聖なる鹿殺し』同様、現実感を保ちながら突如非現実へと突入していく構造が特徴。何を信じればいいのか分からなくなる感覚、そして暴走する“象徴”の力に圧倒される作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

影山みほをフォローする
映画のネタバレあらすじ

みんなの感想・レビュー