映画『gifted/ギフテッド』の概要:7歳のメアリーは生まれつき数学の天才的な才能を持っていたが、父親代わりの叔父フランクはメアリーを普通の子として育てようと奮闘する。そんなある日、メアリーの才能に気付いた祖母がメアリーの親権を主張する。
映画『gifted/ギフテッド』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:マーク・ウェブ
キャスト:クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン、ジェニー・スレイト etc
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映画『gifted/ギフテッド』の登場人物(キャスト)
- フランク・アドラー(クリス・エヴァンス)
- メアリーの叔父。姉でありメアリーの母であるダイアンの遺志を尊重し、メアリーを「普通の子ども」に育てようと奮闘する。
- メアリー・アドラー(マッケナ・グレイス)
- フランクの姪。先天的に高度な知能を持つギフテッド。数学の天才的な才能を持つ。
- イヴリン・アドラー(リンゼイ・ダンカン)
- メアリーの祖母であり、フランクの母親。ダイアンにもさせたようにメアリーにも数学の英才教育を受けさせようとする。
- ボニー・スティーヴンソン(ジェニー・スレイト)
- メアリーの担任教師。授業を通してメアリーの才能を知る。
- ロバータ・テイラー(オクタヴィア・スペンサー)
- メアリーとフランクの隣人であり、良き友人。
映画『gifted/ギフテッド』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『gifted/ギフテッド』のあらすじ【起】
フランクとメアリー、そして片目の猫フレッドはフロリダの海辺の町で暮らしている。メアリーは赤ん坊の時に母親を自殺により亡くしていた。そのためフリーランスでボート修理をして生計を立てている叔父のフランクが男手一つでメアリーを育てていた。現在7歳のメアリーは数学の天才的な才能を持っていたが、亡き母親の強い希望で普通の子どもらしく育てるため、フランクはメアリーを近所にある普通の学校に通わせることにする。隣人で友人のロバータだけはメアリーの才能を知っていたので、フランクの決断を心配していた。
学校に通い始めたメアリーは早速算数の授業で、彼女にとっては簡単すぎる小学校1年生レベルの問題に不満な態度を表し、担任教師のボニーを困らせる。ボニーはわざとメアリーに大人でも暗算では解けないであろう難しい問題を出題するが、メアリーは鮮やかに回答を導き出してしまう。
メアリーのことが気になったボニーは、メアリーの保護者であるフランクのことをインターネットで調べる。すると「著名な数学者、ダイアン・アドラーが自殺。残された遺族は弟のフランク」という記事が見つかる。
映画『gifted/ギフテッド』のあらすじ【承】
金曜の夜、バーでフランクを見つけたボニーは思い切って彼に声を掛ける。フランクは酔っていたこともあってボニーにメアリーを育てることになった7年前の出来事を打ち明ける。
7年前、フランクの姉ダイアンはまだ赤ん坊のメアリーを抱きかかえてフランクを訪ねてきた。話があると訪ねてきたダイアンよりも恋人とのデートを優先して外出してしまったフランクだったが、外出中にダイアンは自殺してしまう。ダイアンはメアリーの父親である男とも破局しており、妊娠をきっかけに両親とも絶縁していたため、唯一の身内であるフランクがメアリーを育てるしかなかった。メアリーを普通の学校に通わせるのも、娘に普通の生活を送らせたいと願ったダイアンの願いを尊重しての決断だった。
そんなある日、学校でメアリーが問題を起こしフランクが呼び出される。メアリーはクラスメートの男子が上級生にいじめられているのを見過ごせず、上級生に立ち向かい、殴って怪我をさせてしまったのだという。学校側はメアリーの才能に気付いており、先天的に高度な知能を持つ人(ギフテッド)の教育で名高い特殊学校への転校を勧める。しかし、ダイアンの遺志から、メアリーに普通の暮らしをさせたいフランクはその提案を拒み、学校を後にする。
映画『gifted/ギフテッド』のあらすじ【転】
徐々に学校生活に馴染み始めていたメアリーの前にある日、祖母を名乗る女性イブリンが現れる。イブリンはメアリーの才能を聞きつけて、歴史に名を残す偉業を達成するあと一歩のところで自殺してしまったダイアンに代わり、メアリーに偉業を達成させようとしていたのだ。親権を譲ってほしいとイブリンは願い出るがフランクは拒否。
イブリンはメアリーに数学関連のソフトが入った最新のMacBookを贈る。喜ぶメアリーだったが、イブリンとフランクの雰囲気を察し、フランクと引き離されてしまうのではないかと不安になる。フランクは何があっても一緒だとメアリーに約束する。
いよいよ、メアリーの親権は裁判で争われることとなった。弁護士を雇うので精一杯のフランクに対し、イブリンは一流の弁護士を雇い、実の父親をも利用して親権を奪おうとする。大人たちの親権争いの様子はまだ幼いメアリーを深く傷つけた。メアリーのショックに気付いたフランクはメアリーとロバータを連れて産婦人科を訪れる。そこでメアリーは生まれたばかりの赤ん坊と、その誕生を喜ぶ家族の姿を目にする。フランクはメアリーが生まれたときも皆でああやって喜んだのだとメアリーに教えた。
裁判は均衡状態が続いた。そこでフランクが親権を失わないよう弁護士から和解案が持ち掛けられる。それはメアリーを里親に預けるというものだった。メアリーが12歳になるまでの間、里親のもとからギフテッド教育を受けられる学校に通い、12歳になったら自らの意思決定で住む場所を選べるというものだった。フランクは納得いかなかったが、面会日を設けてもらえることと、里親の人柄や環境を知った上で、悩んだ末にこの折衷案を受け入れることにする。メアリーは何があっても一緒だと約束したフランクが約束を破ったことに激怒。フランクは里親のもとで暮らし始めたメアリーとの面会日に家へ訪問するも、精神的に不安定だとして里親から玄関口で追い払われてしまう。
映画『gifted/ギフテッド』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんな折に、ボニーは訪れた図書館であるポスターを発見。それはメアリーと共に里親に引き取られた片目の猫フレッドの里親募集だった。メアリーと会えず落ち込むフランクのもとに、ボニーからその里親募集ポスターの写真が送られてくる。写真を見たフランクは慌てて保健所に向かう。そして殺処分寸前のフレッドと、一緒に処分される予定だった猫2匹を助け出す。
イブリンが猫アレルギーなのを思い出したフランクはこの一件にイブリンが絡んでいると気付き、家からある箱を持って、メアリーの里親の家を訪問する。里親の制止を振り切って家に入ると、そこにはメアリーを部屋に閉じ込めて家庭教師と共に勉強を強いるイブリンの姿があった。
卑怯な手口で虐待まがいの教育をしていたイブリンに激怒したフランクは箱から取り出したある論文を叩きつける。それはダイアンが自殺する前に解き明かしていた「ナビエ-ストークス方程式問題」に関する論文だった。そしてフランクは部屋を飛び出したメアリーを追いかける。メアリーに追いついたフランクは、自分の選択が誤っていたことをメアリーに謝罪し、メアリーと再び一緒に暮らすことを約束する。
部屋に戻ったフランクは論文に驚愕するイブリンにこの論文が発表されなかった経緯を伝える。「ナビエ-ストークス方程式問題」は懸賞がかけられるほどの難問で、正しさの検証には数年の歳月を要する。イブリンが検証に取り組むことになれば、子育ては二の次になってしまうであろうことは明白だった。ダイアンはこの論文をイブリンの死後に発表してほしいと遺言を残し亡くなっていたのである。経緯を聞いて涙するイブリンに、フランクは論文発表と引き換えにメアリーの親権を渡すよう提案。イブリンは提案を飲む。
その後、メアリーは再びフランクと暮らし始める。他に変わったことといえば、メアリーは午前中、大学で数学の授業を受け、午後は普通の学校で過ごすようになった。そこには同年代の子ども達と楽しそうに遊ぶメアリーの姿があった。
映画『gifted/ギフテッド』の感想・評価・レビュー
数学の才能を持ったメアリーを中心とした物語。才能に引っ張られず、普通の学生生活を送って欲しいと願うフランクと、その才能を活用しようとするイブリンの考えが交錯していく。メアリー自体は、数学を嫌っているわけではないので、せっかくの才能自体は伸ばしてあげるのは有りだとは思った。大人がいくら抑制しようと、子供は自立していくものであり、数学もそれ以外も楽しめる環境があれば、本人おのずと成長していくのだろう。子育てにもあてはまりそうな内容だったので、とても興味深く見てしまった。(男性 30代)
天才少女をどう育てるかという映画で、天才を伸ばすか自然に育てるかのお話。クリス・エヴァンスと子役のマッケナ・グレイスのバランスと掛け合いがよく非常に心地よい映画。ただ本来どう育てるかが正しいかは答えが出る問題ではなく、今回は英才教育派がいくなんでもあんまりな態度なために楽しく育てる派が圧勝したが、もう少しここを公平に描いて、揺れ動く心情を描写してもよかったように思える。(男性 30代)
亡くなった母親の才能を受け継いで、数学の天才少女として育ったメアリーと、少し不器用だけど愛に溢れたメアリーの叔父であるフランクの家族の絆を描いた作品です。ただ2人仲良しで2人で生きていきたいだけなのに、本当の親子ではない2人の関係性やフランクの経済状況、メアリーの才能など、多くの問題が2人を引き裂きます。メアリーとフランクが引き離されるシーンは胸が締め付けられました。
もともと高度な知能を持ったメアリーですが、演じている子役の顔も大人びていて、表情や身長は子供であるにも関わらず、大人に見えたので不思議な感覚でした。(女性 20代)
子どもの才能の活かし方について衝突する家族と、「人としての幸せとは何か」を描いた感動作。
劇中では、育ての親であるフランクと姪のメアリーがメインのストーリーになっているため、「普通の生活を送らせたい」というフランクの考えに共感できる。
でも私自身は平凡な家庭で育ってきたので、もし自分の子供に才能があったら、母イヴリンと同じく才能を活かす教育を受けさせたいと思うかもしれない。
将来自分が親になった時は、子どもにとっての幸せを一番に想って教育してあげたい。(女性 30代)
ヒューマンドラマが自身の原点だと語るマーク・ウェブ監督によるドラマ映画。心に刺さるセリフが多く、自らの手で作り上げる家族の素晴らしさを描いている。
ギフテッドを持つ少女と平凡な叔父、英才教育を施したい祖母がメインでストーリーが進むが、そもそも祖母と少女の母親との間から根深い問題が発生している。祖母も数学者であったが、難解と言われる問題を解けずに限界を迎えていたため、自分の娘にその夢を託したのだが、娘は母の英才教育により青春時代を満足に過ごすことができなかった。唯一、弟だけが姉の気持ちを知っていたので、子供が生まれた後、弟に全てを託したのだ。そんな問題が土台にあってからの今作となっているので、非常に奥が深いと感じる。姪と叔父の絆に涙する感動作である。(女性 40代)
天才児の育て方について、よく描かれている作品だと思う。預かったメアリーを姉の望んだ通りに普通に育てようとするフランクと、メアリーの才能を伸ばすために英才教育を受けさせようとする祖母・イブリンとの対比が特に印象的だった。教育には正解がない。どちらの主張も間違ってはいないし、正しいとも言い切れない。どちらか一方を選ぶのは非常に難しいことだと感じた。
そんな中で、天才であるメアリーが大人の事情で板挟みにされるのはすこしかわいそうだった。天才であっても、まだ子どもであることには変わりない。法廷での争いは少々中だるみを感じた部分だった。
メアリー役のマッケナ・グレイスの演技は目を見張るほどだった。天才であるということを感じさせながらも、子どもの危うさもたしかに存在する。演技力がずば抜けていたと思う。
子どもの教育に携わる人、子を持つ親に観てほしい作品だった。(女性 20代)
高い潜在能力を持つ「ギフテッド」と呼ばれる英才児の一人の少女の話。このメアリーの子役を務めたマッケンナ・グレイスが、難しい役どころにも関わらず大人顔負けの演技力だったので素晴らしい作品となっていた。周囲の大人たちを演じたキャストもさることながら彼女はこの作品の中で一番複雑な役であった。しかし、見事に演じあげていて拍手喝采である。大人びた表情を見せるシーンなんかは特にグッと惹き込まれるものがあった。生まれ持った高い能力を大人がどう育てていくか、そんなやり取りの中から考えさせられることもたくさんあった名作品ではないだろうか。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
一見生意気だけど、本当は優しくて良い子でフランクのことが大好きなメアリーがめちゃくちゃ可愛い。子役の演技が上手すぎて、彼女が傷付いたり泣いたりするシーンではこちらまでもらい泣きしそうになってしまった。
作中フランクとボニーの恋愛要素もあるが、メインは家族愛かなという感じ。落ち込むメアリーをフランクが産婦人科に連れて行き、彼女が生まれた日の事を語るシーンがとても印象的だった。隣人のロバータが最高に良いキャラ。
「ギフテッド」とは先天的に高い知能を持っている人間のこと。今作に出てくるメアリーの場合は「数学」に対して天才的な知能を持っていました。もし、自分の子供が「特別」な知能を持っていたら「伸ばしてあげたい」と思いますか?それとも「普通の子」として育って欲しいですか?この作品を見ると、どちらが良いかは問題では無く、ギフテッドである本人がどうしたいかが何よりも大事なのだと感じました。
好きなことでも無理強いされたら嫌いになってしまいます。いくら数学が好きでも、勉強するために大事な人と離れて暮らすことになるなら、数学なんて…と思ってしまうはずです。
それぞれの考え方や価値観の違いが描かれていましたが、メアリーとフランクの親子関係がとても素敵で、その雰囲気がこの作品をより良いものにしていたと思います。
「与えられた才能を伸ばしてあげたい」「子供らしい普通の生活を送るべきだ」大人のエゴや価値観を、どれくらい子供に向けるのが正解なのだろう。相手のことを愛しているからこそ、間違った選択をしてしまうこともあるし、どうすればいいのか正しい答えなんてもちろんないのだが、いつも対等にメアリーと話し合うことのできるフランクが彼女のそばにいたことが一番のギフテッドだったのかなと感じた。キャプテン・アメリカのイメージが強いクリス・エヴァンスだが、彼の温厚な演技がとてもよかった。
7歳のメアリーの才能に気づいた学校の先生が、父親にメアリーを奨学金で特別な学校に入学させるように勧めた。父親であるフランクは、姉の自殺という辛い経験から、メアリーを普通の子供として育てるという固い意志を持っていた。彼女の才能を伸ばしたい祖母とも、対立することになる。周りからの期待や、大人の都合での決断に振り回されるメアリーの人生がどうなってしまうのか、とても心配になる。子供らしい幸せも、才能を活かせる場も、子供の立場になって考えたいと思わされる。
天才的な数学の才能を持つ姪っ子のメアリーを死んだ姉から託されたフランク。娘に普通の人生を望んでいた姉の意思を尊重しメアリーを育てるが、初めての子育てに戸惑うフランク。2人が絆を深める過程も見どころ。学校の先生に対して才能を見せつけるシーンがとてもかっこよく誇らしい。メアリー役のマッケナ・グレイスの大人顔負けの演技力に釘付けになった。大人びているが、見え隠れする子供らしさが可愛らしいが、才能だけでなく問題を抱える子供という複雑な役を見事に演じきっている。